[1]ユーリ
【レイトン教授と目覚めの杖~レミとルークの時間旅行~】
はじめまして、ユーリと言います!
小説どころか、提示版なども初心者ですが生温かく見守ってください。
あと、レイトン教授と書きましたが、教授の時代のエルシャール・レイトンはあまり出てきません。主役は題名通り、レミとルークです。
よろしくお願いします!
ではさっそくいきますよ!
昔、とある美しい村に一人の神がいました。
美しく賢い神は人々の心から慕われていました。
そんなある日、意地悪な民族が現れてこの村を支配しました。
平和な暮らしはあっというまに崩れ、人々は飢え村中をさまよい他の住民を気遣いながら亡くなっていくのでした。
村の人々のくらしには目にくれず、民族は私腹をこやしていくのでした。
そして、その民族の野望は村を守っていた神をおさめようというとんでもないものへと変わっていきました。
優しき心を持つ人々とこの村をこよなく愛していた神は一本の杖になり、ある青年の持ち物になりました。
するとどうでしょう。
杖を持った青年は隠されていた正義感とその強さを瞬く間に開花させました。
そして民族の悪事を暴き、村の人々を苦しみからときはなったのです。
心優しい青年は民族が不正にえた金を貧しくなってしまった村人にわけてあげました。
そして青年をはじめとした村人は杖になり青年を目覚めさせ、村を救った神を今まで以上に崇めました。
この村のすばらしさにすっかり満足した神は、敵がくるたびに追い出し人々を守り続けたのです。
そして、この村に住んでいる心優しき者は不思議なことに青年と同じく秘めた才能を現し、世界に羽ばたいていきました。
その杖は“目覚めの杖”と呼ばれるようになり、今も村を守っているのです。
ロンドンの一角にある、本と機械にまみれた部屋。
その中心にあるソファに腰をかけた人影はほうと息をついて、本を閉じた。
「別れてからもう30年以上になるのか……思った以上に時はたっているんだね。」
ふっと浮かべた笑みは優しく、だがどこか寂しげだった。
「この文明あなたにもみせたかった。あなたに、生きているうちに会えるのかな。」
そうして、閉じていた本をぱらぱらめくる。そこに書かれているのは、解読法が未だに判明していないと世間に思われている文明の文字だ。
わかるものだけがわかる、隠されたレガシーがある。
謎多き文明として知られていたアスラント文明を初め、人々が本当に危険と思ったものはすべてもみ消されてしまた。だか限られた人々により 密やかに伝えられてきたのだ。
「まだまだ隠されたレガシーはある。けれどそれは……まだ人の弱き心だとあつかえぬもの……」
そうつぶやいて、本を再び閉じ、立ち上がった時だった。
突然一つのマシーンがウィーンとなった。そしてメーターはレットゾーンをあっという間に追い越し、今にも壊れそうになる。
「バカな…!?あの機械は!」
その人物は色を失い機械に駆け寄った。
そしてモニターに光がぱっとついた。
浮かび上がったのはーーロングヘアーの女性と思われし人と、バックを肩に掛けた子供のシルエット。
その影をみて呆然と呟いた。
「まさか、時を……?」
2011/05/18 13:45
[109]Milia
イラスト可愛いですね[a:0051]
レミすごい!
もう解けたんだ!
更新頑張って下さい!
2012/03/16 17:27
[110]ユーリ
★重要なお知らせ★
みなさんどうも久し振りです!
とりあえず……
すみませんでしたああああ!!!!!
いやあ、家の電話線が切れて早二ヶ月、その間まったくパソコンをつなげませんでした。
現代人としてそれはどうなの……と思いますが、それはともかくとして。
実はこの状態がまだしばらく続くと思います。
すきを見て来たんですが、またいつ来れるかわかりません。
まず、ユーリは今年ついに受験の年です。
それだけで来づらいので……。
そんなわけで、今回もふくめてコメント返しができなかったり、今まで以上に更新が不定期になります。
ごめんなさい……ご了承してもらえるとうれしいです。
ちゃんとコメントは読んでいますし、暇な時でもいいので「あ、ユーリが更新しているな」と思っていただいたら、コメントしてもらえるとこっちは感涙です(これはマジで)
ということですが。
これからもレイトン教授を愛し続けます。
みなさん、これからもよろしくです!
2012/04/28 13:19
[111]ユーリ
ちなみに隙を見たのは、学校のパソコンで更新しているんです。
そして、本当にコメント返しできなくてごめんなさい。
約二か月ぶりの更新!
一瞬の静寂の後、レミさんの言葉に最初に反応したのはカヌートだった。
「ほ、本当ですか!?」
その声は真っ白なこの部屋に大きく響いた。
大声を出してはいけないと、僕が注意されたばかりなのに。
彼にとっては一刻も早く、杖を取り返したいのだろう。
そのためにはまず、杖を奪った手段を探し出さなければならない。
で。
「どうやったんですか?」
僕がその場の人を代表して言うと、レミさんは静かに頷いた。
まるで、レイトン先生みたいな感じ。
目を閉じながら話始めた。
「カヌートの話を聞いていた限り、目を開けたときは眩しかったのよね?」
「眩しかったというか、もう杖はなかったので……。」
そういえば、どうでしたっけ?とカヌートが首を傾げる。
いや、そうこっちが聞かれても。
でも確かに。
光の根元がなくなっていない限りランプの光はむしろ暗く写るだろう。
「あら?」
レミさんの言葉にカナリナさんが目をぱちくりさせた。
「もしかして……杖はまだそこにあったの!?」
「そうと考えた方がいいです。いや────。」
いったん言葉を切り、鋭い視線を上に向ける。
「そもそも杖は光ってもいなかった。あらゆるところから光が集まったせいで光っているように見えたんです。」
「で、でも間違いなく杖はなかったですよ!?もしあったなら影ができてすぐにわかるはずです!」
それでも食い下がるカヌートに対して、レミさんはカナリナさんに視線を移した。
「カナリナさん、杖のあった場所に何か置ける物がありますか?できれば細くて長いものを…。」
「何でですか?」
「言うより見てもらった方が早いと思うんです。」
そういわれてカナリナさんは「ちょっと待っててね」というと、部屋から出ていった。
レミさんはまた、視線を天井に戻している。
何かあるのかな?
僕も見上げてみるが、特に変わったところはない。
考えているうちにカナリナさんが戻ってきた。
「これでいいわよね?」
カナリナさんが持ってきたのは、細身の歩行杖だった。
黒と赤のコントラストで真っ白のこの部屋にかなり目立つ。
「大丈夫だと思います。あの、大きさって目覚めの杖と比べてどれくらいですか?」
「大体同じよ。あ、目覚めの杖は飾りが大きいから何とも言えないけどね。」
「まあ、それくらいなら大丈夫…って、あ!」
そこまで言ったところでレミさんは固まってしまった。
「レミさん、どうかしたんですか?」
「カヌート……実は……。」
見つめられて眉をひそめているレミさん。
「このトリック……かなりの光が必要なのよ。太陽のような、そんな光が。」
「え、無理矢理なトリックは、机上の空論ですよ!そんなこと…」
その時、扉の外から聞き覚えのある、明るい声がした。
「レミさーん!ルーク君ー!カナリナさーん!カヌートー!いたら返事してくださいいー!」
「なっ!?」
「ほへっ!?」
カナリナさんとカヌートが驚愕の声をあげる(特にカヌートはらしくない声だった)。
同時にばーん!と音をたてて扉が開く。
そこに立っていたのは紛れもなく。
「ランドさん!シャロアさん!それに……レイトンさん!」
「僕だけ微妙に遅れていなかったかい?」
「い、いや気のせいです!」
ランドさんに、シャロアさん、そしてレイトン先生が立っていた。
そしてレミさんを見るなり、ランドさんはきらきらしたレミさん目を向ける。
「ええと、何か?」
「レミさん!」
「は、はい!?」
「これ、持ってきました!さあ、謎解きを聞かせてください!」
「…………………ええええええええ!!!!」
ランドさんの言葉に、悲鳴のような声が響きわたった。
────それから数十秒後。
ようやくフリーズから解除された僕らはあわててランドさんが持ってきた物を見た。
それは、ランプ。
電球が入っている、回すと光が調節できる類の物。
どこかで見たことのあるランプが数台目の前に置かれていた。
「これ、僕らが使っているランプじゃないですか!」
「正確にはエリスさんが、使っているランプを真似て作った物よ。」
カヌートの言葉に、すかさずシャロアさんから訂正が入る。
その言葉で納得した。
僕は上を見上げる。
そうか、天井のランプと同じ物だったんだ。
そしてシャロアさんが話を続けた。
「しかしびっくりしたわ。いきなりエリスさん、『レミさんが困っているかもしれないから、これを私のかわりに持っていって』なんてことを言うんだもの。」
「……エリスさん、もしかしてレミさんが謎を解くことをわかっていたんじゃ……。」
「多分ね……。」
おずおずと訪ねる僕に、シャロアさんは歯切れ悪く呟く。
────世の中には凡人には理解できない頭脳を持った人がいる。
僕は今、それを再び痛感した。
いうまでもないけど、初めてそう思ったのはレイトン先生に対して。
前から頭はいいと思っていたが、エリスさんはレイトン先生に匹敵する頭脳を持っているらしい。
それはさておき。
「レミさん、これがあれば謎は解けるんですよね?」
「解けるって言うか、考えが実証されるはずよ。」
ランドさんの言葉にレミさんは深く頷いた。
その言葉に反応するかのように歩行杖がかたんと音を立てた。
空気が変わる。
それはその場にいる人たちが言葉を待つ空気。
さあ、謎解きの時間だ。
2012/04/28 13:22
[112]ユーリ
長いのでダメ出しをくらいました!
というわけで2回目の更新です!
「カヌートの話を聞いている限り脱出は不可能です。しかし、そうでなければ考えられるのは一つしかありません。
さっきもいいましたが、杖はまだそこにもあった。そう考えるのが自然です。そして、事態の混乱に生じて目覚めの杖を持っていったんです。」
いったんレミさんは息をつき、持っている杖をもともと目覚めの杖があったという場所にその歩行杖を置いた。
「一つやってみたいことがあるんです。みなさん、協力してくれますか?」
その言葉に二つ返事で応じる。
僕、レミさん、カナリナさん、カヌート、ランドさん、シャロアさん、そしてレイトン先生だ。
ちょうど円を書くようにみんなは立つ。
余談だけど、ランプはぴったり7つあった。
僕らはともかく、人数も予想していたんだろうな……。
「カヌートの話だと、みんな顔が見えない状況だった。声で判断するって言っていましたが、それは変声機を使ったりすることで解決できます。
その中に仲間が数人混じっていた。今から状況を再現します。」
そういうと、レミさんは背伸びし、上のランプを最大に回した。
って!
「ま、眩しい!」
「こんなに眩しくならないはずなんですが…!」
上の数個付けただけなのに、目が痛くなるような強い光だ。
カナリナさんが手で目を隠し、カヌートはおろおろしている。
きっと前はこんなのではなかったのだろう。
ということは……誰かがすり替えた……?
「まだです。みなさんのランプも最大につけてください!」
みんなもう十分だと思っているみたいだけど、その言葉にいっせいに光をつけた。
「その状態で杖を見てもらえませんか?」
強い光で、おずおずと目を開けると。
「あ、あれ!?」
「杖が……ない!?」
眩しい光の中、杖は影もなくなっていた。
「いったいどういうことなんですか……?」
呆然と呟くカヌートに、レミさんは答える。
「これがトリックよ。」
「人が目で見えない場合、二つの場合に分かれるの。
一つは暗くて判然としない場合。もう一つは光がありすぎて、反射が遮られる場合よ。
誰かが天井のランプをすり替えた上で、みんなの目をくらませ、杖を奪ったんです。
……これで推理は終わり。らしくもなかったわね。」
レミさんが言い終わった瞬間、ぱちぱち!という音に包まれる。
それが拍手だと僕は気づいた。
とても暖かい拍手……。
「すごい!すごいですレミさん!」
「見事です!」
みんながレミさんを称える声が、なんだかくすぐったい。
僕に向けられたものじゃないのに。
ふと、僕は伝説のことを思い出す。
────村の人は優しい心を持っていた。
今、その文章がわかったような気がした
2012/04/28 13:23
[113]Milia
なるほど、そういうトリックだったのか!
流石レミだわ、あたしは分からなかったな…^^;
更新頑張って下さい!
2012/04/28 18:32
[114]ユーリ
皆さん、久しぶりです~!ユーリはちゃんと生きています。
でも、やっぱり受験の影響は思った以上にでかいですね。今日も隙を見て学校のパソコンを貸してもらって、更新しています。(いまだに家の電話線は繋がってない……)
>雫さん
絵を褒めていただいて、本当に嬉しいです。
むしろ私は無駄に服を凝って、肝心の顔が描けない人です(笑)
この絵ではそんなに凝っていないけれど。
本当に絵のうまい人がうらやましいです。
>Miliaさん
度々コメントを、本当にありがとうございます。励みになります。
一応、レイトンの世界としては科学的な方向でトリックを考えていますが、それでもファンタジーなことは否めないです。
というわけで、レミとかじゃないと解けないでしょう。(正直ほかの方々の小説でも解けたことはない……。)
レイトン先生はどんな頭脳を持っているんだろうと考える瞬間でもあります。
2012/06/29 15:52
[115]ユーリ
さて、いつ来られるのかわからないのに、時間は少ない……。
というわけでスピード更新です!
「いや~レミさん、すっごいですね!格闘が強いだけじゃなくて、謎解きも強いんですね!」
「え?カヌート、私の戦っているところ、見ていたっけ?」
「あ……クーガーさんに聞いたんですよ!」
「ふ~ん。」
先頭で、不思議そうに首を傾げるレミさんと、そのビー玉みたいな瞳に尊敬の念を込めているカヌート。
僕は二人の後ろを歩いているんだ。
カヌートは本当にキラキラしてレミさんを見上げていて、もしかしたらレイトン先生を見ている僕もこうなのか……と思ってしまった。
客観的に見ると実に恥ずかしい。
顔を赤くなるのを自覚した時、不意に影がかかった。
「カヌートやルーク君とか、ランド君を見ていると、何もかも純粋でいられた昔が懐かしいわ。」
「カナリナさん……。」
「子供時代に戻れないかしらねえ。」
低くて風に紛れかけていたけれど、聞こえてきたその言葉は余りに深刻で。
どう反応していいかわからず黙っているとふふっとカナリナさんは笑った。
「ごめんなさい、こういう話をするんじゃなかったわね。」
「カナリナさんは子供になりたいんですか?」
「子供になりたいと言うよりも────。」
その先の言葉は発すことができなかった。
「っ!?あぶない!」
落ちてきた岩によって。
「レミさん!カヌート!」
「…………声を聞く限り大丈夫そうね、ルーク。」
「僕たちは大丈夫だよ、ルーク!」
「二人とも!よかった!」
間一髪、とっさにカナリナさんが後方に引っ張ってくれたおかげで僕は助かった。
前を歩いていた二人も避けられたようだ。
でも。
二人の姿は落ちてきた何かによって見えない。
「これは、ただの岩じゃないな。正長石だ。」
「正長石?」
ランドさんに言われてみてみたら、たしかにただの岩じゃないような気がする。
きらきらとした光沢があるし。
でも正長石って何?
「ガラスとか陶器の材料に使われる石なんだよ。これは灰色の物だけど、白い物や緑色の物もある。」
?マークを浮かべている僕にレイトン先生がそっと耳打ちをしてくれた。
シャロアさんは不安げにその後の言葉を次ぐ。
「それでね、硬度は6と言われているの。まず、勢いづけてあたったら即死するわ。」
「そ、即死!?じゃあもしかして!」
「……多分これを私たちに向けて殺そうとしたんでしょうね。」
そこまでして、僕らを殺したい人といえば。
「これをやったのは、神の化身?」
「そうなのかしら……?」
「カナリナさん?」
神の化身しか、思いつかないんだけどなぁ。
しかし、カナリナさんの表情は揺らいでいなかった。
「神の化身はね、町を破壊しても人にはかすり傷一つ付けていないのよ。一度もね。」
「人は傷つけていなかった?」
「ええ。あなたたちも見たでしょう?」
「あの手紙というか犯行予告状ですよね?」
僕はオーガネットさんに見せて貰った文を思い出す。
村人のみなさん、お聞きください。
神はこの村を壊すと決意なさりました。
ですが村人のみなさんには危害をくわえるおつもりは
ないようなのです。
今から神に選ばれた私、神の化身は破壊行為に及ぼす
つもりですが、速やかに破壊できるよう、皆様ご協力
よろしくお願いします。
神の化身
ここで僕らはあることに気がついた。
「『村人のみなさん』。そう書いてあったはずですよね。」
「そうよね。それじゃあこれは……。」
「俺たちを狙ったものと見て間違いないな。カナリナさんとカヌートを除いて。」
シャロアさんとランドさんも僕の考えに同意する。
────村人のことは保証するけど、外の人たちには容赦なく牙をむくということなんだろう。
僕らの会話が聞こえてきたのか、レミさんの声が聞こえてくる。
「とりあえず、エリスさんのところに戻りましょう!じっとしていたら神の化身の手下にやられてしまうわよ!」
「手下?」
「ルーク、昨日の夜にエリスさんが言っていたでしょ!神の化身自身は今日は動けないはずなのよ!」
あっ!!
「それじゃあ、私はカヌートと一緒に行くわ。そっちもできるだけバラケて動いて。健闘を祈るわ!」
ばたばたという足音が遠ざかっていく。
どうやら行ってしまったようだ。
レイトン先生が正長石のほうに視線を一瞬向いた後僕らに戻した。
「気になることがいろいろあるけれど、今は無事に帰ることが最優先だ。ここは二手に分かれよう。」
「そうだな。俺とエルシャールで分かれた方がいい。そうだな……。」
ぐるりとランドさんが見渡すと僕で目を止めた。
「ルーク君にカナリナさん、俺と一緒に来てください。エルシャール、シャロアのことを頼むよ。」
「で、でもみんなは一緒にいた方がいいわよ。ルーク君はいざというときになれば、私が盾になるわ。」
確かにカナリナさんが盾になれば相手は絶対に手を出さない。
しかしランドさんは首を横に振った。
「万が一という場合もあります。それに俺は感情に流されるので、友人たちと一緒だと油断してしまうんです。」
「……それだったら一緒に行かせて貰うね。」
「僕もそれでいいです。」
よし、決定だ。
「また後であおう、ランド!」
「気をつけてね!」
レイトン先生とシャロアさんと別れて僕らは走り出した。
2012/06/29 16:28
[116]ユーリ
これは書きたかったのに……、連レスすみません。更新!
ガチャン!
「……エリスさん?」
「あ、クーガーごめんなさい。壊しちゃったか、私らしくないなあ。」
紅茶が入っていた見事なティーカップが粉々だ。
エリスは苦笑しながら箒を取り出した。
「もしかしたら、もう始まってしまったのか……。」
「始まった?」
「神の化身の配下の、逆襲だよ。」
クーガーは訳わからないとぱちくりさせた。
しかし意味を察した瞬間、ざっと色が引く。
「ちょ、ちょっとあの人たちは大丈夫なんですか!?」
「大丈夫さ。第一、殺すなら間違いなく神の化身本人がやってくる。もし殺されかけたということは……。」
エリスの瞳が闇にきらめいた。
「それはその中に神の化身が混じっている証拠さ。いや、誰が神の化身なのか私はわかっているんだけど。」
「……神の化身のことを考えると迂闊に動けない、とか。」
「そういうことだ。」
まだ神の化身の感情は掴み切れていない。
そんな状態で下手に動けない。
難しい顔をしている青年に向かってエリスは優しくほほえんだ。
「大丈夫さクーガー。彼らはやれるさ。きっとこの事件を乗り越えられる。今のピンチも、そしてこの村に隠されたすべての真実も。」
「……それは、俺やカナリナさんたちがあった事件も含まれます?」
「もちろん。」
ふふっと微笑む女性にクーガーは渋い顔になった。
「本当に、エリスさんは一番信頼できて、一番信用できない人です。」
「褒め言葉として受け取っておくよ。」
「まったく……。あなたはどこまでこの謎を解けているんですか?」
「どこまで、とは?」
「すべて、ということです。」
思った以上に低い声に、エリスは振り向く。
クーガーの顔は本気だった。
が、しかし一拍置いて気が削がれてしまった。
話すつもりは無かったんだが。
そう呟き、体をクーガーのほうに向きなおしているエリスの瞳には、一切の感情を持っていなかった。
仮面のように、そして彫刻のように整った美しい顔。
それが酷く、感情を搔き乱してくる。
「そこまでして、この村が心配なのか?そして、たとえ残酷な運命が待っていたとしても、真実に耐えられるのか?」
――――だがクーガーには迷いは無かった。
「俺は真実を知りたいんです。たとえ、残酷な運命でも、自分が死にゆく運命でも。
俺はあなたのように強くはありません。
あなたのように頭脳もなければ格闘もそこまでではない。
身の軽さを生かして、わずかな生計を助けてもらいながら生きている身です。
だからむりやりあなたから聞き出すのは、愚かだとわかります。」
「……。」
「だけど、俺はこの村が壊されていくのに許さない。
俺はここでずっと暮らしていました。
生活ならたしかに都会のほうが良いでしょう。そしてこの村は観光にも向いていないような田舎です。
だけど、だけど!」
クーガーは、激しく歯を食いしばっていった。
じんわりと血が滲みだす。
「あなたなら、俺の本当の姿を知っているのでしょう。
だけど、それとは別としても、俺はこの村が大好きなんです。
自然と気持ちが暖かくなる、この場所を失いたくないんです。
そして、何より支えてくれた村の人を、これ以上悲しい顔にさせたくないんです!」
もはや悲鳴に近かった。
どれだけ自分が惨めな顔になっているんだろう。
クーガーには俯いた顔からぽたりと、服に染みていくのがわかる。
もちろん、泣いているから教えてくれるなんて甘い考えの持ち主ではないのは重々承知だ。
やはりだめか。
そう思った時だった。
「君は、愚かではない。」
はっと、顔を上げるとエリスはいつものやさしい微笑みに戻っていた。
「立場で愚か者と決めつけるのは、それこそ愚かしい行為だ。
むしろ、私が教えてもらったよ。故郷とはそういうものなんだね。私には故郷がないから新鮮だったよ。」
「え……?」
「さあ、場所を変えよう。私の自室なら防音効果も並じゃないから。
話そうか。神の化身は誰か。そしてね。」
穏やかな海を思わせる表情で言い切った。
「私や、レミさんやルークがいる世界がどんなところかもね――――。」
2012/06/29 16:29
[117]雫
全然来てなくてごめんm(_ _)m
あう、レミに先越された…。
強い光を当てて一時的に視界を奪うのは分かってたんだけどな~(汗)
エリスさんとクーガーさんの会話。
自分が死に逝く運命ってどういうことだろう?
しかもエリスさんの最後の言葉…。
もしかして、エリスさんも…?
意味不な言葉をおき逃げします。
2012/09/04 10:27
[118]Milia
めっちゃ久しぶりです!
神の化身って誰なんだろう…?
更新、大変だと思いますが頑張って下さい!
2012/09/07 22:14