[1]Ewota
【レイトン教授と幸甚の額縁】
もし幸せを運ぶ額縁が
本当に在ったとすれば
あなたは
どんなものを額縁に入れますか?
幸せを感じていた時の写真を
忘れられない風景を
愛していたあの人を
忘れられない悲しみの絵を
どんなものだとしても
あなたにとって
…それは一生の思い出。
私の名前はEwota(エウァタ)といいます。
「ウァ」にアクセントですよ!
大長編を終え、ついに7作品目を迎えました。
いままでの欲望渦巻く話とは違う、爽やか・甘めストーリー。
2011/04/29 23:22
[2]Ewota
序章
依頼人からの手紙
2011/04/30 10:05
[3]Ewota
昼下がり。
僕はレイトン先生の研究室に来ている。先生の部屋は相変わらず汚くて、
「…まったくもう」
と思わず声をだしてしまう。
でも、それだけ弟子の僕にはやり甲斐があるんだ。
閉めきったカーテンを開けると、研究室は電気いらずで明るくなった。
窓から覗くロンドンの街は、やはり風情があっていいと僕は思う。
「……さてと」
床に散らばっている新聞や資料を手早く整頓し、ゴミを袋の中に次々放り込んだ。
レイトン先生の机の上は他より一段散らかっているように見えるけど、さわると怒られそうなので、やめておこう。
埃被った本や電灯にはたきをかけていると、ドアを開ける鈍い金属音がした。
「ルーク、すまないね。また掃除してもらって」
先生だった。あるくたびに、ミシミシと重いような軽いような軋む音がする。
「先生、また散らかして。毎日来て整理したいくらいですよ」
怒っているように腰に手をおくそぶりをすると、先生は苦笑いしながら
「ありがとう。なにか飲まないか」
とキッチンに目をやった。
「いつものでいいですか?」
「ああ、いつものでいいよ」
僕は慌ててキッチンにいくと、先生が好きな銘柄の茶葉をポットによそった。
お湯を沸かしているのをまっていると
「あ、ルーク、これは捨てないで」
と先生がゴミ袋を漁る物音がする。
「そんなんだから片付かないんですよ〜」
「…そうだね」
いれおわった紅茶をカップに注いで、トレーにお菓子と一緒にのせて運ぶ。
さっき片付いたばかりの机にカップをおくと、先生は「ありがとう」というがはやいか口に運んだ。
「……生き返るようだ」
「本当ですね」
「最近はずっと慌てていたから、なんだか力が入りっぱなしでね…」
郵便受けになにかがはいる音がすると、先生はそのままの声質で
「…みてきてくれないか」
と僕に言った。
「はい」
「…最近、ルークも疲れたと思わないかい?」
「なんだかんだで大変でしたから」
郵便受けに手紙が二通。僕は出し主を見ながら、
「カルロさんからです」
と肩をすくんで見せた。
「…カルロから?」
「はい。あ、もう一人は…
キース・レイモンドさん、だそうです」
「知らない名前だ、依頼人かな?」
「でしょうね」
先生はカルロさんからの手紙を開けて、中身を読みはじめた。
「相変わらずカルロは達筆だな」
「中身はなんですか?」
「…イタリアの暮らしとか、それから…大学の研究チームの話とかかな」
「…うまくいっているみたいですね!」
「ほっとしたよ」
先生はカルロさんからの手紙をおくと、依頼人からの手紙に手をだした。
2011/04/30 10:06