[1]Ewota
【レイトン教授と幸甚の額縁】
もし幸せを運ぶ額縁が
本当に在ったとすれば
あなたは
どんなものを額縁に入れますか?
幸せを感じていた時の写真を
忘れられない風景を
愛していたあの人を
忘れられない悲しみの絵を
どんなものだとしても
あなたにとって
…それは一生の思い出。
私の名前はEwota(エウァタ)といいます。
「ウァ」にアクセントですよ!
大長編を終え、ついに7作品目を迎えました。
いままでの欲望渦巻く話とは違う、爽やか・甘めストーリー。
2011/04/29 23:22
[64]Ewota
煙草がきれた。
「あちゃあ」
カルロは独り言を呟き、煙草の箱の口を下にした。しかし一本もない。
ただでさえ持病もち。右半身は生れつき自由がきかない。
アンネに煙草を吸っている所を見られると、「ダメえ!カルロ禁煙してよ」と口から抜き取られる。最近はジョルジョもそれを面白がって、「ダメ!パパ煙草はめ、だよ」と忠告してくる。
だからかえって量が増えた。
あ、酒がある。
ルーク君に会話を聞かれたいらいらをやわらげようか。煙草がない物寂しさを紛らわそうか。
なんかひっかけたい気分。
酒代、つまり財布を探しにベランダを二、三歩歩いていると、きゃっきゃと子供の声がする。
そうだ。
アンネに逃げられたカルロは、寂しさと情報を流される恐怖で酒に潰れていたんだった。ああ、もう、酒はやめだ。かえって気分がいやになる。アンネに子供孕ませといて、馬鹿な事していた俺が蘇る。
煙草は?
問題は?
あるな。
そのアンネを悲しませているのは事実だし、なんたって、
無理矢理寿命伸ばしてるんだから、身体はもうキツイはずだ。なにが趣好品だ。なに自分で寿命縮めてやがる。アンネやジョルジョ捨てて逝けるか?
そう考えたら、なにをやるのも嫌になって、カルロは地べたに座り込んだ。
「どうしよう、俺」
気付けば、言葉遣いがひどく荒れている。まいったな。自分はなんて心の荒れた奴なんだ。
こんなとき、額縁がさっさと幸せ運んできたらな。
カルロは寂しげに顔を手でおおい、しとしと降り始めた雨に洗われた。
濡れた髪を撫で付けると、数本指に絡まる。それを一本それとなく月にてらすと、カルロの灰色がかった金髪はきらっと輝いた。
「カルロさん、こんなところに居たんですか」
背後から、キースの声が響き渡った。
2011/06/07 01:26
[65]Ewota
第二章
骨董市と戯れ
2011/06/09 17:18
[66]グラタン
只今文章に酔っておりまする~!
カルロ・・・色々あるんだなぁ。
・・・ん?
ということは額縁を手に入れる人の候補が二人に・・・。まだ増えるのか楽しみです♪
2011/06/09 23:06
[67]笹(青)
何か、俺はカルロさんに額縁を貰って欲しいな…
何か、可哀想だし…
よし!探してくるぜ!
スピカ「無謀な‥.」
その間、更新がんば!
2011/06/10 17:21
[68]Ewota
グラタン
酔うな《(゜Д゜)
確かに…自分では気がつかなかったが、候補が二人ってことになるな←馬鹿
笹
カルロさんが額縁ゲットったら、売りさばかれちまう;
え、額縁探しにいくの!?が、がんば…
カルロさんは最初はキースのことを警戒していましたが、少しずつそれも解けて、弱さをさらけ出せたみたいですね…
いつもドSなカルロさんの秘密。
更新!!
「雨に濡れちゃって、風邪ひきますよ」
「…レイモンドさん」
カルロは力なく頭(こうべ)をたれて、手に握られた煙草の箱の角を指で撫でた。
「…煙草、吸うんですね」
「そうです」
「持病があるんですよね?家族に窘(たしな)められはしないんですか」
その言葉をきいて、カルロはぴたりと動作を止めた。
なんでそんな、人の持病のことまで知っているんだ。メディアにもばれていないはずの情報が、この浮世離れな田舎の貧乏人に知られているはずがない。
こいつはどこかで、富豪なり貴族なりと接点が有るはずだ。でないかぎり、この話を知るはずがないのだから。
カルロは慎重に言葉をかい摘まんで聞いた。
「…配慮ありがたいです。誰かから聞いたんでしょうね」
「ええ。貴方は有名人ですから」
しかし、キースは上手に回避した。面白くない。
「…知っていますか?世界中の絵をみていると、雨を描いた絵はあまり沢山はないのですよ。
しかし、東洋、しかもたった一国には雨を線として表現し、しっとりとした今みたいな町並みさえも再現できる技法があるのです。浮世絵というのに使われていますが」
「…ほう」
「かのゴッホも模写したんです」
「…はあ」
キースはひとしきりまくし立てた後、恥ずかしくなったのか俯きがちになり、
「つい熱中してしまって」
「構いませんよ」
「レイモンドさんは本当に美術が好きなんですね」
「こういったものを見ていると、自分自身が洗われていくような気がする。自分自身に程よい刺激をくれます。
たまに電流を浴びせられもしますが」
「…私にはそういうものがない」
キースは顔をあげて、霧雨に頬を濡らした。
「…打ち込む物、ってことですか」
「そういった所です」
カルロは煙草の箱をくしゃりと潰した。物に八つ当たりしたのだ。
「…僕の人生は、殆どあの計画の為に捧げました。幻の王国計画。今思えば馬鹿らしいくらい、財力も頭脳も注ぎ込みました。
でもその計画が遂行され成功したら、一気にやることが無くなった。
抜け殻ですよ、全く目的がなく時間が過ぎるのは」
「……」
「貴方のいう通り、僕には持病がある。まず、人並みの寿命は生きられないようですが。
だからこそ妻や息子を大切にしたいとは思っているんです。だけど、たまに幼い頃の自分が首をしめてくる」
カルロは口からぽろぽろと言葉が漏れるのを感じた。でも止めはしたくなかった。全てを誰にでも良いから吐露したかったのだ。
「…どうせ、社会はみんな価値だけをみて動いているんだ。自分を怪奇な目でみてきているんだ
……って」
この時、キースははっとさせられた。しかし、それをきいたキースの気持ちを、その場で理解した人は誰ひとりいなかった。彼は美術としての視点で、カルロの言葉を怖ず怖ず飲み込んだ。
カルロは全てを吐ききって、深呼吸をした。
自分が陥っているのは一種の人間不信だ。それは大切に思っている妻や息子にさえももつ。だから繋がりを持っていたくて、直ぐに電話してしまったのだ、忘れられたくなくて。
あの時はそんな人間不信の感情を忘れられた。物に打ち込めたから。
ヘッツィと朝から晩まで部屋に篭り、計画をねっては罪悪感にさいなまれて煙草や酒で紛らわす。
そんな暗い気持ちは、計画を練るという行為で無くなった。でもそれが無くなった今、不信の感情がダイレクトにくるのだ。
黙りこけてしまったキースに、カルロは「すみません」と詫びた。
そして財布を拾うと、小走りでベランダから部屋に入った。
2011/06/11 14:10
[69]グラタン
うん、安藤(歌川)広重さんの絵はいいねぇ☆
(以下自分の持っているいらん知識・・・知ってたらごめんね!)
浮世絵は元々陶磁器なんかを外国に輸送するときのクッションとして使ってたよね。(今で言うチラシみたいなもの)つまり日本ではあまり価値が無くてさ、(まぁ役者のブロマイド等は大切にされてただろーけど)普通に捨ててたそうな。で、外国の画家さん達は陶磁器目当てで受け取った荷物が素晴らしい絵で包まれていてビックリ!!・・・当時暗い感じの絵がベースだったから新鮮だったんだろーな浮世絵は・・・・・。
ハイ失礼いたしました~~。語ると止まらんのです、グラタンは。
確かに目的がなくなると人生ってつまらない物になるよねぇ。どうしようか・・・。
うーん、じゃあカルロ、私の額縁やろうk(殴
2011/06/11 14:33
[70]笹(青)
来ました!
やっと見つけました…額縁…って、これ違う!
蛇の抜け殻が四角になったやつだ!死にかけになって帰ってきたのに…
コブラとハブに殺されかけたのに…意味ねぇ~
ていうか、キースさん何者!?
裏まで知っているなんて…
2011/06/11 19:46
[71]雫
カルロさん…。
う~ん、やっぱりキースさんと2人で手に入れて欲しいな~。
って、キースさん、何故カルロさんの持病のことを知ってるの!
あなたは何者なんd((
カルロさ~ん、雨の中タバコと酒を買いに行く気じゃ…。
2011/06/12 17:28
[72]レグルス
カルロさん煙草吸うんだ~・・・なんかかっこいいV←←
キースさんってどういう人!?∑∑
カルロさんの持病のこと知ってたり・・・
こわi(((((((失礼
2011/06/13 15:52
[73]Ewota
グラタン
その通り!浮世絵は、昔こそ雑誌の挿絵や芸術としてかかれていたんやけど、明治に西洋文化が持て囃されるようになると姿を消すんですね…(゜∀゜)
やがて包装紙に下落した浮世絵を外国人はみて、「ジャポニズムだぜ!」と30年余り美術では日本技法が奨励されたわけだ☆
…はっ!話しすぎた;
私もキースにはまけんぞ∀
笹(青)
なに、コブラとハブが四角に干からびた奴!?そんなのある自体やべーよ;
笹、お疲れ様ですわω
雫
キースさんは変な奴やよね…(#゜∀゜#)
さすがにカルロさん、夜中に酒と煙草煽りにいくほど危険じゃないぜ;
レグルス
煙草吸うんだよね〜∀
最初は「怖い」っていう位置付けの為につけたんやけど、なんか最近はイケメンキャラづけになっちってよ;
キースさん、こわいよね;
優しく冷静、たまに頭がきれる。そんなキースさんの、ダークな瞬間です。
更新!
キースは一人ぼっちのベランダで、止みかけの霧雨に当たっていた。
そうか、やはりあの人は人間不信なんだ。だから逆にあんなえぐい計画を実行することが出来たのだろう。
裏切られ続けたり、金に翻弄されたせいで。
表面上の付き合いがうまいのは彼の天性なんだろうが、自分は違う。付き合いも好きじゃないからやりもしない。カルロは自分の慰めに煙草や酒を使ったらしいが、自分にはそんな怪しいものに手を出す勇気すらない。
だから自分は「変な奴」、なんてレッテルを貼られてしまっている。
でも、僕は知っているんだ。
価値あるものは崇められる。これは世界を取り巻くルールに組み込まれているはずだ。
キースは密かな野望をたぎらせて、思わず不気味に笑みをこぼした。
朝。ぽかぽかと暖かい日和なのに、カルロさんは「やけに寒くないか?」と身体を震わせていた。
「もしかして風邪かな?」
「みたいです」
レイトン先生がカルロさんの額に手を当ててみるが、熱はないようだった。カルロさんは小さく鼻を啜る。
キースさんが、小さな丸薬と水をもってきた。
「これはかなり効きますよ」
何故か、クスクス笑いながら。
「すみません」
カルロさんはそう言って丸薬を口に入れた。しかし、途端に「うえっ」と一声。
「昨日霧雨に当たったからですよぉ。その丸薬は酷く辛く、苦いのです。こういうのはさっと水で流し込まないと」
レイトン先生はキースさんから借りた地図をじっと見つめながら、時計をちらりと見て
「あと一時間したら出発するよ」と一声掛けてきた。
「先生」
カルロが声を掛けてきた。
「なんだい?」
「…あの、先生。キースについてですが」
「キースとなにかあったかい?」
「そういう訳です。気をつけて。彼の情報はもしかして僕ら以上かもしれませんね」
「……?」
「つまり」
カルロは、ついさっきまでずっと見せては来なかったのに、意地悪に瞳を細めてこっちを見据える。幻の王国を調査している時はよくこの表情をした。ルーク曰く、「周りの空気がすっとするような、冷たい表情」といったところ。
「限りなく黒に近い、グレーということです」
レイトンはむっとした。カルロはそういった目でしか人を判断することは出来ないのだろうか?カルロの去り際、レイトンは彼の背中に悟るように言い放った。
「他人を怪しむような目で見て、判断してはいけないよ」
カルロは無言でレイトンの元を去った。
しかし、彼の瞳はレイトンに向いていた。まるでそれは、何もわかっていない、といいたげな軽蔑の瞳だった事は間違いない。
2011/06/14 23:24