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【レイトン教授と創造の杖】
初めましてUと申します。
レイトン教授で初めて小説を書きます。
超低速更新なので、気長にお読み下さいまし
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〜序章 創造の杖〜
『創造の杖は全てを生み出す
大地も海も、そして生ける物をも
創造の杖は持ち主を選ぶ
運命に従い、逆らわざる者を
創造の杖は侵されてはならない
杖侵されしとき、生み出されし全ては消えゆくだろう』
2011/02/27 09:40
[23]U
確かに、一際目立つ背の高い家がある。他の家が木や泥で作られているのに対
し、この家だけは人の手が加えられた石で造られている。
「でもデヴィッドさん、ここにはやぐらって書いてありますよ?」
僕は案内板を指さして言った。しかしデヴィッドさんは少し笑って答えた。
「確かにやぐらには十分な高さだね。しかしそれにしては床の面積が広いし、
第一やぐらのように高い物をわざわざ石で造る必要はない。むしろ木の方が簡
単に造れる。でも石で造ってあると言うことは、それぐらい集落内で力の強い
人の家だったということじゃないかな」
なるほど、と僕は手を叩いた。その後もデヴィッドさんはそれぞれの遺跡の、
案内板とは違う意見を僕に聞かせてくれた。やっぱりレイトン先生の考古学仲
間とあって、こういう時にはいつもより凛々しく見える。
全部の遺跡を見て回ったがまだ時間があまり、ベンチに座ってデヴィッドさん
と『創造の杖』の話をした。
「この間先生の部屋で見つけた本に書いてあった『創造の杖』なんですけど、
この島がその発祥の地なんですよね?」
「そうさ、僕も君ぐらいの時にその話に興味を持ったものさ。全てを生み出せ
る杖なんて、夢があるじゃないか」
「でもそんなのあるわけないです。そんな杖があったら、とっくに大変な事に
なってます」
「そうかな?伝説だと、杖は持ち主を選ぶそうだ。悪用する者は杖を使えない
ようになってるんじゃないか?」
2011/03/30 14:21
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デヴィッドさんも『創造の杖』に興味があったのか。それが本当なら確かに夢
があるが、そんな物は存在し得ない。0から何かを生み出すなんて、物理的に
あり得るはずがないのだ。
つい話し込んでしまい、気が付いた頃には周りは真っ暗だった。
「おや、もう日が沈んでしまっていたか。気が付かなかった」
「すいません、僕がついムキになっちゃって・・・」
「謝る事はないよ。ムキになるということは、自分の言いたいことを伝えよう
と頑張ってるという事だからね。どっちに行けばいいのかな?」
暗闇は嫌いだ。どこに向かっているのか分からない不安と、何があるのか分か
らない恐怖に同時に襲われる。デヴィッドさんの先導でゆっくり進んでいくと
、ちょっと広い場所に出た。弱々しい街灯に照らされて、20本ほどの細長い
物が闇に浮かび上がっている。どことなく不気味な空気を醸している。
「ここ・・・正しい道なんでしょうか?」
「この棒はこの島独自の墓標だね。どうやら共同墓地のようだ」
「えぇ!!?」
夜に見知らぬ島の共同墓地に入ってしまった。最悪だ。隣がレイトン先生なら
もう少し勇気が出たろうが、ボサボサの白髪と丸眼鏡の考古学者では何の頼り
にもならない。
「デ、デヴィッドさん!すぐ戻りましょう!」
「ハハハ、ルーク君はレイトンの助手なんだろう?考古学者の助手なら墓地ぐ
らい堂々と歩けなくちゃ」
「僕の専門はナゾです!」
2011/03/31 13:00
[25]U
流石に考古学者なだけあって、こういう時には度胸が据わってる。しかし、僕
は怖くて、今すぐここから走り帰りたくてたまらなかった。とはいえ、1人で
いるよりもデヴィッドさんといた方がまだ怖さが紛れる。それを知ってか、デ
ヴィッドさんは少しずつ前に歩いては意地悪く僕を見る。
「ご覧ルーク君、あそこに門がある。あの先が気にはならないかい?」
デヴィッドさんの目線の先には、蔓が絡まったいかにも古そうな鉄の門があっ
た。その先は闇に包まれた森に続く道が延びている。昼間なら探検してみたい
が、夜中には絶対に近付きたくない場所だ。
「デヴィッドさん・・・もう帰りましょうよぉ」
僕が半泣きで頼むと、さすがにデヴィッドさんは諦めた。
「ごめんごめん、じゃあ明日の昼間にでもまたここに来ようか」
そう言ってデヴィッドさんがもう一歩進むと突然、墓地中に不気味な音が響き
渡った。それは、おぞましい怪物の笑い声にも、苦しむ人々の呻き声にも聞こ
え、とにかく耳を塞ぎたくなるような音だった。驚いた僕とデヴィッドさんが
辺りを見ると、そこには目を疑う光景が広がっていた。
2011/04/01 12:08
[26]U
墓標の周りの土が盛り上がって、中から細長い何かがゆっくりと現れる・・・
ありえない。僕は頭の中で何回も繰り返したが、現実は容赦なくその努力を踏
みにじる。
「あ・・・あぁ・・・」
「これは・・・!」
ゾンビだ!!それが頭に浮かんだ次の瞬間、僕は1人で墓地を走っていた。後
ろでデヴィッドさんが呼ぶ声が聞こえたが、足が勝手に前に進む。
僕はとにかく走った。何も考えず、ただひたすらに墓地を離れたかった。走り
疲れて転んだとき、ようやく自分が泣いていることに気付いた。後ろからデヴ
ィッドさんが追いついて、僕を起こしてくれた。
「ルーク君!大丈夫か!?」
「うぅ・・・デヴィッドさん・・・」
僕はデヴィッドさんの胸で思いっきり泣いた。墓地から逃げられた安心感から
、自然に涙がわき上がってきた。そこを通りかかった人が、泣きわめく僕とそ
れを胸に抱えるデヴィッドさんを照らし出した。
「君達、そこで何をしている!」
「えっ?」
2011/04/04 14:49
[27]U
昼間も街中に大勢いた警官だ。懐中電灯を持って公園内をパトロールしている
ようだ。その後ろから、シルクハットを被った男の人が顔を覗かせた。
「先生!」
僕は思わずレイトン先生に飛びついた。どうやら僕達の帰りが遅くて、警官さ
ん達と一緒に探していたようだ。レイトン先生は警官さんにお辞儀すると、僕
とデヴィッドさんを連れてホテルに帰った。ホテルに着いた頃には僕も落ち着
き、お腹が強く食べ物を要求してきた。
部屋に戻り、疲れた体を気遣ってルームサービスを取った。この島の伝統料理
が振る舞われたが、肉や魚ばかりでイマイチ物足りない。
「レイトン、今日は済まなかったね。本当はもっと早く帰るつもりだったんだ
が・・・」
「いやいいさ。私は君のそういう所が好きだからね、デヴィッド」
「そうか?照れるじゃないか。それよりもレイトン、君の弟子はとても優秀だ
ね。うらやましいよ」
僕はお腹が一杯になると、たちまち眠くなってベッドに沈み込んだ。このまま
ぐっすり眠って嫌なことは全部忘れてしまいたい。そう祈りながらゆっくりと
目を閉じた。
2011/04/05 14:17
[28]U
〜二章 ゴードン=オルセイン〜
島に来て二日目の朝、僕はあまり気分が良くなかった。昨日の恐怖もあったが
、つい寝る前に着替えるのを忘れてしまっていた。朝改めてシャワーを浴び、
きちんと服を着替えた。
朝食を取っている間、レイトン先生に昨日の事件を伝えた。
「先生、言い忘れてたんですけど、昨日大変な事があったんですよ!」
「どうしたんだいルーク?」
「昨日デヴィッドさんと公園の奥の共同墓地に行ったんですけど、そこに・・
・その・・・」
言ってる途中で、自分で馬鹿馬鹿しくなってしまった。あの時は恐怖で気が動
転していたし、暗かったから見間違いかもしれない。ゾンビなんて物、ありえ
るはずがないのだ。しかしレイトン先生は、僕に優しく声をかけてくれた。
「心配しなくていいよルーク。私が君の言うことを疑うと思うかい?」
それを聞いて僕は安心した。レイトン先生が僕を笑うわけがない。
「ゾ、ゾンビですよ!ゾンビが現れたんですよ!」
「ゾンビ?生ける屍か」
レイトン先生もさすがに驚いたようだ。誰だって、まさかこの場でゾンビが話
題に上がるとは思わないだろう。丁度シャワーを浴びてきたデヴィッドさんも
話に加わった。
2011/04/06 13:38
[29]U
「そうだ、昨日の夜確かにゾンビが出たんだ!この目で見た!」
「落ち着いてくれデヴィッド、ゆっくり聞こうじゃないか」
レイトン先生は持参した茶葉が入ったビンを僕に渡した。僕はすぐにお湯を沸
かして、3人分の紅茶を淹れた。コップ一杯の紅茶を飲むと、デヴィッドさん
も落ち着いた。
「昨日遺跡公園の奥にある共同墓地に行ったんだが、突然おかしな音がしたと
思ったら、墓標の下からゾンビが現れたんだ」
「そうなんですよ。ゾンビが出る少し前に大きな音がしたんです!」
「調べてはみなかったのかい?」
「僕はそう思ったんだが、ルーク君が走り出してしまってね」
僕は恥ずかしくなった。あの時怖がらずに調べておけばよかったのに。レイト
ン先生は何か考えていたようだったが、何かを思い出したように部屋中を何か
を探し始めた。どうやらいつもの散らかし癖がここでも災いしたようだ。そし
てカバンの中から、デヴィッドさんの板を持ち出してきた。
「どうしたんですか先生?」
「それは・・・僕が君に預けた板じゃないか」
「昨日、ホテルのフロントでこの島の地図を貰ってきたんだ。この板には島の
地形が記されているが、建物や街の事は書かれていないからね。板と島の地図
を照らし合わせてみよう」
地図と板を横に並べると、確かに同じ形の島が描かれている。そして、板に書
かれた宝らしき物が眠っている大きな窪地のある場所は・・・
2011/04/07 16:08
[30]U
「ほぅ!」
「あぁ!これは・・・」
「この窪地は今森になっていて細かな場所の特定はできないが、この窪地に通
ずる道はただ一つ」
「共同墓地だ!!」
僕とデヴィッドさんは同時に言った。これは何か怪しい。ゾンビが現れた墓地
が、宝が眠る場所への唯一の道なんて、絶対に偶然じゃない。僕の中で、もし
かしたらこの板は本当に宝の地図で、ゾンビはそれを守る番人ではないかとい
う推測が生まれた。
「先生、どういうことなんでしょう?」
「どうやらこの板に隠されたナゾは、私達が思っていたよりも大きい物のよう
だ」
レイトン先生とデヴィッドさんは、予想外のナゾを目の前にすごく嬉しそうだ
。正直僕もとっても嬉しいが、嫌な予感もしていた。
「レイトン、絶対にこのナゾを解明しようじゃないか!」
「えぇ!デヴィッドさん、本気ですか?」
「ルーク、これほど大きなナゾを目の前に見過ごすのはよくないよ。英国紳士
としてはね」
「うぅん・・・そうでしょうか?」
とはいっても僕はレイトン先生の弟子だ。それにこんな右も左も分からない島
で、1人では行動できない。仕方なく先生達の調査についていくことにした。
2011/04/08 15:14
[31]U
遺跡というのは、時間帯で見せる表情が変わる物なのかと思った。昨日の夜中
は恐怖心も手伝って不気味な印象を受けたが、昼間に見ればこれほど興味深い
物は無いほど面白そうな形をしている。
昨日と同じようにデヴィッドさんの先導で共同墓地近くまで来ると、僕は昨夜
の恐怖心が再び湧き上がってきた。それほどあの衝撃は大きかったのだ。
昼間の共同墓地は、昨日の怪奇現象とは無縁のように静まりかえっていた。墓
地の土は何事もなかったかのように平らになっていて、やはりあれは見間違い
だったのではないかと思ってしまう。
「ゾンビ・・・出てきませんよね・・・?」
「なるほど・・・確かに夜中だったら怖い場所だね」
レイトン先生は僕を気遣って意見を合わせてくれた。地図に書かれた窪地を目
指して墓場を突き抜けていくと、昨日と同じく鉄製の古い門に行き着いた。た
だ、2人の警官さんが門の前で仁王立ちしている所が違ってる。先生と一緒に
僕を捜してくれた警官さんとは違うようだ。
「あれ?昨日の夜は警官なんかいなかったはずだが・・・」
「何かあったんでしょうか?」
「話を聞いてみようか」
レイトン先生が帽子の位置を直して近付くと、2人の警官は僕達をにらみつけ
た。何があったかは分からないが、ここから先は簡単には進めないようだ。
2011/04/11 16:42
[32]U
「すいません。私達はこの先に進みたいのですが、通してくれませんか?」
「一般人はここから先への立ち入りを禁じられている。速やかに立ち去りなさ
い」
警官は礼儀正しく尋ねるレイトン先生に、冷たく言い放った。そんな言い方を
しなくてもいいのに、と言おうと思ったが、デヴィッドさんに制された。
「どうしてもですか?」
「我々この島の警察組織は、島の行政を担当しているゴードン=オルセイン氏
の指示の基に行動しています。ランバルド氏の許可があれば通ることができま
す」
「オルセイン氏・・・?その方はどこに?」
「さぁ、夕方になれば役所の方にいられると思いますが、昼間は島内を歩き回
っておりますので」
「そんな無責任な・・・」
僕はつい口が滑ってしまった。警官ににらまれてしまったが、デヴィッドさん
が助けてくれた。レイトン先生は、先に進めないと考えて潔く撤退した。
「レイトン、これじゃナゾが解けないね」
「フフフ、ここで諦めるようでは英国紳士の名折れだよ。オルセイン氏の許可
があればあの先へ行けるそうじゃないか」
「オルセインさんの許可を貰うんですね!でも・・・どうやって探せばいいん
でしょう?」
「とりあえず役所に行ってみようか」
2011/04/13 16:50