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【レイトン教授と創造の杖】
初めましてUと申します。
レイトン教授で初めて小説を書きます。
超低速更新なので、気長にお読み下さいまし
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〜序章 創造の杖〜
『創造の杖は全てを生み出す
大地も海も、そして生ける物をも
創造の杖は持ち主を選ぶ
運命に従い、逆らわざる者を
創造の杖は侵されてはならない
杖侵されしとき、生み出されし全ては消えゆくだろう』
2011/02/27 09:40
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夜に墓地の奥の森に入るなんてとんでもない。ただでさえ怖いのに、墓地には
ゾンビがいるのだ。宝の地図も気になるが、恐怖心に対抗できるほど興味をそ
そる物ではない。しかしこのままではレイトン先生とデヴィッドさんは夜に出
かけてしまう。
「なるほど、良い案だね。ではついでにゾンビの事も確かめようか」
「先生・・・本気ですか?」
「なんだルーク、怖いのかい?」
「先生がいれば怖くありません!」
僕はつい言い返してしまい、デヴィッドさんはしめしめと笑った。こうなった
ら僕も2人についていくしかない。僕は海に沈んでいく太陽を引き留めたい気
持ちに駆られた。
2011/05/04 15:07
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〜三章 墓地の奥の森〜
夜、ホテルで晩ご飯を済ませると、レイトン先生は夕方に調達した新しい虫除
けのリストバンドと、小さい懐中電灯を僕とデヴィッドさんに配った。それら
を手渡された僕の手は、微かに震えていた。またあの恐怖を体験するのか。
「では2人共、もし森の中で離れたら、懐中電灯を点滅させて目印にしてくれ
。くれぐれも下手に動かないようにしてくれ」
「はい、わかりました」
僕たちは遺跡公園の先の墓地へ行き、ゆっくりと辺りを見回して警官がいない
ことを確認してから前へ進んだ。ここからはいよいよ、ゾンビが現れる場所だ
。僕は無意識のうちにレイトン先生の服の裾を掴んでいた。
「レイトン、気を付けろよ」
「あぁ、昼間の内に訪れたとはいえ、確かに不気味ではあるね」
ゆっくりと進む内に、どんどん鉄門が近付いてきた。僕はこのまま何事もなく
その先へ行けるように願っていた。が、もう数歩という所で再びあの恐ろしい
音が鳴り響いた。僕は思わず声をあげてしまった。
「うわっ!」
「この音は!」
2011/05/05 09:19
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すると、次々に墓標の土が盛り上がり、あのゾンビ達が再び現れた。僕はこの
間と同じように今すぐ逃げ出したい気持ちになったが、レイトン先生のそばを
離れたくもなかった。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
「ルーク!落ち着きなさい!」
「レイトン、これは一体どういうことだ?」
「とにかく今は先へ進もう、説明するのはその後だ」
レイトン先生とデヴィッドさんは冷静に対処し、僕はなるべくゾンビを見ない
ように目を閉じていた。少し歩くと、あの不気味な音が止んで何かが落ちる音
がしたが、僕はそれを見ようとは思わなかった。
鉄門の先は街灯も舗装された道もない完全な森で、懐中電灯がないと自分の手
も見えないくらいだった。レイトン先生は通った場所の木に赤い布を巻いて目
印をつけていた。どうやらゾンビに全く動じてないようだ。
「先生、あの・・・ゾンビのナゾ解けたんですか?」
「あぁ。間違いないね」
「本当かレイトン!?教えてくれ!」
デヴィッドさんが言っても、レイトン先生はまた勿体振って話さない。懐中電
灯で足下を照らしながら、赤い布を木に巻き付けていく。この時間なら繁華街
には人が一杯いるはずだが、その声は全く聞こえない。まるでこの深い夜の森
が、僕らを暗闇に誘い込んでいるようだ。
2011/05/06 16:52
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レイトン先生の先導とは言え、真っ暗な森を歩いていると、ちゃんと前に進ん
でいるのか不安になってしまう。先生も少し自信が無いらしく、僕に道案内を
頼んできた。
「ルーク、君に道案内を頼んでもいいかい?」
「え?僕にですか?」
「これだけの森だ。小動物はたくさんいるだろう」
「あ、そうですね」
僕は辺りを見回した。すると、太い木の枝の上で、2匹のリスが食事をしてい
た。
「リスさん達、この森の中に大きな窪地がある所を知らないかい?」
「レイトン、ルーク君は一体何をしているんだ?」
「ルークは動物と話ができるんだ。私にも解明できないナゾの一つさ」
「先生、デヴィッドさん。リスさん達が窪地まで案内してくれるそうです」
「うーむ不思議だ」
リスさん達の案内のお陰で、少しだけ不安が和らいだ。案内されている最中、
デヴィッドさんは僕の不思議な力について色々と質問してきた。レイトン先生
はまた、木に赤い布を巻き付けている。
5、6分ほどリスさん達についていくと、1本も木が立ってない巨大な窪地が
二つ現れた。その様子を一目見て、僕の恐怖心はかき消され。代わりに好奇心
と探求心がわきあがった。
2011/05/09 17:01
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森の中の窪地に、巨大な掘削機が2、3台停まっていて、多くの人が作業をし
ていた痕跡が残っている。明らかに不自然だ。
「先生!これは!」
「地面を掘り起こす機械だ。しかしなぜこんな所に?」
「・・・おそらく、この辺りに何かがある事に気付いた人が、我々の他にもい
るようだ」
「え・・・それって・・・」
「オルセイン氏だろう。昼間の警察官やこれほどの機械を手配できるのは、オ
ルセイン氏のように経済的に力のある人物なのだろうね」
僕の脳裏に、あの憎たらしい顔がよぎる。でもあんな人が、創造の杖なんて物
信じるのだろうか?いずれにせよ、この地図の示している場所には何かがある
。僕はこのナゾを何が何でも解明したくなってきた。
「レイトン、もしかしたらこれは本当に大発見なんじゃないか?」
「それは分からないが・・・実に興味深いね。そこの穴から奥へ行けそうだ」
「行きましょう!先生!デヴィッドさん!」
「そこの君達、待ちたまえ!」
先陣を切っていた僕は、不意に後ろから声を掛けられてびっくりし、危うく転
びかけた。レイトン先生のでも、デヴィッドさんのでもない声だったが、この
突っかかるような口調と声は聞き覚えがある。
2011/05/10 17:13
[48]U
そこには、沢山の警官を引き連れた、背の高いスーツ姿の男が偉そうに立って
いた。昼間とは違い、全身上から下まで真っ黒な服に身を包み、後ろの警官の
懐中電灯に照らされて影が長く伸びている。
「こんな時間に墓地の奥の森にいるとは・・・怪しい奴らだ」
「こんばんは、オルセインさん」
レイトン先生は少しも動じることなく、英国紳士らしく礼儀正しい夜の挨拶を
した。デヴィッドさんはびっくりし過ぎたのか、しりもちをついていた。オル
セインは、今にも襲いかかろうとする警官達を片手で制しながら、レイトン先
生に近付いていった。
「君は・・・夕方に役所の前で会ったね。一体何をしているのだ?」
「あなたが考えていることと同じですよ、オルセインさん」
「・・・!」
レイトン先生の言葉に、オルセインは少し動揺した。しかしすぐに表情を元に
戻し、デヴィッドさんと僕を順番に見た。その眼差しは鋭く、何かを心配して
いるようにも見える。
「なるほど。子供を連れて、夜の森で肝試しでもしていたのだろう。ここは立
ち入り禁止になっているはずだが?」
「えぇ、確かに昼間の内は警察の方が見張っていて、入れるような場所ではあ
りませんでした」
「立ち入り禁止?鍵も掛かってない、見張りもいない門の先が立ち入り禁止と
言えるのか?」
2011/05/12 17:08
[49]U
すかさず、デヴィッドさんが反論した。確かに、昼間の内は入れる雰囲気では
なかった。しかし、先ほど僕たちはその門を通ってここに来たのだ。そこで僕
はあることに気付いた。
「そうだ!オルセインさん達は、ゾンビは見なかったんですか?」
「ゾンビだと?・・・全く、最近の子供は悪い本の読み過ぎだな。私に下らな
いことを聞かないでくれたまえ」
「むっ!」
「オルセインさん、空想というのは決して下らない物ではありませんよ。現に
空想のお陰で、この現場は誰にも発見されずに済んだじゃありませんか」
僕とデヴィッドさんの頭には、?マークが浮かび上がった。誰にも発見されず
に済んだ?空想のお陰?一体どういうことなのだろう?
「ルーク、彼らはもちろん、私達もゾンビなど見てはいないよ」
「何?レイトン!君はまだ信じないのか?」
「私はゾンビやモンスターを否定しているわけではないさ。だが、少なくとも
私達が見たのはゾンビなんかじゃない。あれは、夜中の警備員とでも言うべき
トリックだったのさ」
「夜中の警備員?何を言うのかねレイトン君」
「ではお聞きしますが、何故夜中はあの門の前に人の姿がないのですか?立ち
入り禁止なら、一日中誰かを配置しておかなければいけないにもかかわらず」
「・・・・」
2011/05/13 13:59
[50]U
オルセインはそのまま黙ってしまった。レイトン先生は、その場にいる全員に
聞こえるように、ゾンビのナゾを解き明かしていった。
「先日、共同墓地を調査しているとある物を見つけました。墓地には似つかわ
しくないある物をね」
「ある物?」
「ほとんどの墓標の根本に、コードが巻き付けられていました。この島の古く
からの特産品である鉄によって作られた墓標は、よく電気を通します。そして
、周りの土は鉄分を多く含む・・・これらから導き出される答えは一つです」
「どういうことだ?」
「あの墓地の地下には、人が立ち入ると電気が流れる仕掛けがしてあり、コー
ドの巻き付いた墓標は電流によって電磁石となる。鉄分を含む土は磁石に引き
寄せられて、墓標の周りで盛り上がり、まるでゾンビが土の中から現れるよう
に見えるのさ。昼間はスイッチを切っておけば電気は流れないし、何より昼間
ではその仕掛けがばれてしまう。しかし夜中にこれを見れば、すぐに誰でも逃
げ出してしまう完璧な警備員となるというわけさ」
なるほど、あの不気味な音は電流が流れる時の音だったのか。あの雰囲気では
誰だってゾンビと見間違えるに決まってるし、普通はそんな場所近付きたくも
なくなる。確かに、少なくともゾンビを信じる人に対しては鉄壁の守りだ。
「そして、この島であんな物を仕掛けることができるのは、余程の経済力を持
った人物・・・オルセインさん、あなたしかいないのですよ」
「・・・」
2011/05/16 16:38
[51]U
レイトン先生の推理を聞くと、オルセインは少しも動じずに、やれやれという
風に溜息をついた。そして、また先生のことを馬鹿にするのかと思いきや、あ
っさりと自白してしまった。
「フフフ・・・流石はレイトン君だ。君ならあんなちゃちな仕掛け、すぐに見
抜いてしまうと思っていたよ。これは心強い」
「心強い?何を言っているんだオルセイン!!」
「君達はここへ何をしに来たのだ?まさか偶然ゾンビのナゾを解き明かし、偶
然この広い森のこの場所へ辿り着いたわけではあるまい」
「えぇ、私達はここへ、『創造の杖』を探しに来ました。あなたと同じように
ね」
レイトン先生はさらりとオルセインの核心を突くと、自慢のシルクハットを直
した。オルセインは、待ってましたとばかりに警官を引き替えさせ、1人残っ
てレイトン先生に握手を求めた。
「全て気付いていたのだなレイトン君。いかにも私は、ここで『創造の杖』を
探し続けている。かれこれ3年は経つだろう」
「えぇ!そんな馬鹿な!」
思わず僕は声をあげてしまった。さっきまで、空想が下らないと言っていた男
が、実は3年も『創造の杖』などというゾンビよりも信じがたい伝説を追いか
けていたなんて!この男に、馬鹿にされるいわれはないじゃないか。
2011/05/17 16:48
[52]U
「私が作った地図といい、ゾンビのナゾといい、全ては君達の頭脳を試す試練
と言ったところだ。レイトン君以外はついでのようなものだが、ここまで来た
ら最後まで付き合ってもらおう」
「地図?あの地図か!」
「しかしオルセインさん、あなたは伝説などと言ったものに興味が無いのでは
?ここまで手を尽くす理由が分からない」
確かに、本当かどうかも分からない伝説にここまで執着のに、単なる好奇心で
は不十分だ。
「何を言っているんだレイトン君。かのシュリーマンだって、幼き日の思いを
忘れなかったからこそ、トロイアの遺跡を発見できたのだ!必ず『創造の杖』
もあるはずだ!」
「なるほど、素晴らしい探求心ですね。もしあなたが考古学者だったら、私も
快く協力できたのですが」
「何?君は私に協力しないというのか」
オルセインの表情が豹変し、僕の背中に悪寒が走った。しかし、その眼差しは
以前デヴィッドさんの部屋で見たものと同じ、好奇心に満ちあふれて純粋だっ
た。やり方や態度はともかく、僕らと似た人であることは間違いない。
「オルセインさん、この先には何があるかはわからない。もし何かあっても安
心できるように、島の責任者であるあなたの同行をお願いしたいのですが、よ
ろしいですか?」
「待てレイトン、僕はこいつが気に入らない。一緒に行くのはゴメンだ」
「でもデヴィッドさん、この人をここに置いてけぼりにするのは可哀想ですよ
。連れて行ってあげましょう」
「ルーク君、君まで・・・」
2011/05/19 16:45