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【レイトン教授と創造の杖】
初めましてUと申します。
レイトン教授で初めて小説を書きます。
超低速更新なので、気長にお読み下さいまし
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〜序章 創造の杖〜
『創造の杖は全てを生み出す
大地も海も、そして生ける物をも
創造の杖は持ち主を選ぶ
運命に従い、逆らわざる者を
創造の杖は侵されてはならない
杖侵されしとき、生み出されし全ては消えゆくだろう』
2011/02/27 09:40
[63]U
「これは・・・」
「うわぁ・・・すごいですね先生・・・。まるでシャンデリアで照らされてる
ようですね」
「レイトン!すごいじゃないか!この島の地下にこんな空間があるなんてな!
やはり君を誘って正解だったよ!」
デヴィッドさんはレイトン先生の肩を叩いて、部屋の中を走り回っていた。レ
イトン先生も、流石にこの部屋の美しさに息をのんだようで、しばらくの間動
かなかった。一方オルセインは、辺りをキョロキョロと見回している。部屋に
入った瞬間から少し様子がおかしい。そういえば、この部屋の空気は外とは少
し違う。よくわからないが、違和感がある。
「先生、あの水晶から光が出てきているようですよ」
「ルーク君、この光は水晶からではなく、水晶の根本にあるヒカリゴケという
植物から発せられている物を反射して拡散しているのさ」
デヴィッドさんは流石に気持ちが高まったらしく、僕に向かって部屋の光につ
いて教えてくれた。レイトン先生は少し笑いながら、部屋の中央の水晶に歩い
て行った。そして、何かを見つけたらしく僕を呼んだ。
「ルーク、これを見てごらん。どうやらこれはナゾの鍵になっているようだ」
「え?ナゾですか?」
「何?見せてみろ!」
2011/06/27 17:26
[64]U
ナゾと聞いて僕も興味がわいたが、それ以上にオルセインもくいついた。ナゾ
で鍵がかけてあるってことは、中に大切な物がしまってある証拠だ。それなら
盗人には手に入れられないようにできる。
「『創造の杖は持ち主を選ぶ、運命に従い逆らわざる者を』。この謎を解くヒ
ントになっているんじゃないかな」
「うーん、難しそうですね」
水晶の箱には細い線が幾つも彫られていて、部屋の輝きを反射してきらきらと
輝いている。ナゾのロックは長い間解かれていないのだろうが、埃一つなくき
らめいていて、僕の答えを待ちわびているかのようだった。
僕は真剣に考えて、手帳にペンを走らせた。そして後ろでもどかしそうに見て
いるオルセインを尻目に、じっくり時間をかけて答えを出してみた。
出した答えが正しかったらしく、ナゾのロックがかかった箱はゆっくりと蓋を
開けた。レイトン先生のお褒め言葉を待たず、僕は飛び上がって喜んだ。
「うん!正解だ!」
「やったぁ!」
「よくやったルーク君!素晴らしい!」
デヴィッドさんは僕よりも喜んでいるようだ。流石のレイトン先生も箱の中身
に興味津々のようだ。
箱の中には、『創造の杖』と思われる物が、純白で清潔そうな布の上に優しく
置かれている。僕が本を読んで思い描いた、魔法使いや仙人が持っていそうな
いびつな木製の杖の姿は無く、鋭利で錆びどころかくもり一つ無い直線形で金
属製の棒があった。
2011/06/30 17:14
[65]U
「これは・・・?これが『創造の杖』か?」
僕より先にデヴィッドさんが口を開いた。確かに想像と違い、妙に近代的な雰
囲気がする。本当に『創造の杖』なんだろうか?既に誰かがこの箱を開けて、
偽物を置いといたんじゃなかろうか。
「先生、これが『創造の杖』なんでしょうか?」
「そのようだね、歴史的にも素晴らしい価値がある物だ。是非とも持ち帰りた
いが・・・諦めようか」
「レイトン、これのどこが『創造の杖』なんだ?」
デヴィッドさんに言われて、レイトン先生は手袋を丁寧にはめて、箱の中から
杖を取りだした。学生時代フェンシングをやっていた先生が持つと、どことな
く頼もしい印象を醸している。
「ふむ・・・確かにこれは『創造の杖』ようだ。ある程度は予想していたが、
当たっていたらしい」
「どういうことだ?」
デヴィッドさんは興味深そうに尋ねた。レイトン先生は杖の先を下に向けて、
いつものように僕たちに説明してくれた。
「よく見ててご覧2人共・・・」
「何だ?何が起こるんだレイトン?」
2011/07/01 17:33
[66]U
レイトン先生が杖に向かって何かをつぶやき、おおげさに手を振ってからしば
らく杖の先を見ていると、ゆっくりと水が現れて先に溜まり、自分の重さに耐
えきれず地面に落ちた。
「あ!み、水だ!」
「なぜ杖から水が・・・?すごいじゃないかレイトン!本当に『創造の杖』だ
な!」
僕とデヴィッドさんが驚くと、今まで閉じていたオルセインの口が僕たちに向
かって開いた。
「なるほど、確かに水を生み出しているようにも見えるな。この部屋に入った
ときから少しおかしな感じはしたんだが・・・凝縮か」
「流石ですねオルセインさん、ご明察の通り、これは凝縮という現象です」
「凝縮?」
確かこの前の夏に、レイトン先生に教えてもらったっけ。冷たい水をカップに
入れておくと、いつのまにかカップが水滴だらけになる現象だったかな。部屋
に入ったときの違和感は、遺跡の通路より湿度が高かったんだ。
「凝縮を知らない昔の人間なら、まるで杖から水が生み出されているように思
い込むわけだね。杖を冷やせばいくらでも水蒸気を凝縮させることができるか
ら、誰も疑いようがない」
2011/07/28 15:40
[67]U
なぁんだ、伝説だとか幻だとか言われてる『創造の杖』の正体は、そんなもの
なのか。いつもレイトン先生とナゾを解き明かす度に思うことだが、意外と伝
説なんて物は、後からついた尾ヒレの方が大きかったりするのだ。しかし僕は
このままでは引き下がらない。水を出しただけでは、『創造の杖』なんて大層
な名前はつかないだろう。
「先生、この杖が生み出せるのは、水だけなんですか?」
「いや、そんなことはない。もっと色々な物を『創造』することもできるさ。
例えば・・・」
そういうとレイトン先生は、杖を強くこすって剥き出しの地面に杖を向けた。
今度は何が起こるのか、デヴィッドさんもオルセインも興味津々のようだ。レ
イトン先生が向けた地面がみるみる盛り上がり、今度は土山が生み出された。
「うわわっ・・・土だ!」
「ん?待てよレイトン・・・これはもしかして・・・」
「なんと・・・」
「分かったかいデヴィッド?オルセインさんには心当たりがおありでしょう。
まさか自分が『創造の杖』の力の一つを解き明かしていたとは思わなかったで
しょう」
「先生、それって・・・あぁ!」
ひらめいた!この土がゆっくりと盛り上がる現象には見覚えがある。2回もあ
んなに怖い思いをさせられたら、嫌でも頭にこびりつく。オルセインが仕掛け
たあのゾンビのトリックとよく似てる。
2011/07/29 20:06
[68]U
「みんな気付いたようだね。この杖は島の鉱物から作られている。例の、奇妙
な磁場を生み出す磁力を持った鉱物さ。この磁力で島の土は盛り上がって、山
を作るのさ」
「山・・・ですか?」
「といっても、極小さな盛り上がり程度だけどね」
じゃあ、伝説にある生きた物はどうやって生み出すんだろう?いくら『創造の
杖』とはいえ、命をそう簡単に生み出せるのかな?僕は先生に聞いてみた。
「先生、その杖で生き物を創ることはできるんですか?」
「まさか、生きた物を生み出せるのは生きている物だけさ。この杖はただの磁
力の強い金属の棒だ。だけど、熱すれば火を点けることも、高い場所に固定す
れば雷を呼ぶこともできる。何も知らない古代の人々がそんな光景を見たら、
まさしく万能の杖、『創造の杖』と見まがうわけだ」
なるほど、やはり伝説なんてのはほんの少しの事実と沢山の噂からできている
んだ。偶然とは言え、オルセインはその能力の一部を再現してしまったんだか
ら、すごそうなのは名前だけか。
「それにしても、古代にコレを発見した人はきっと素晴らしい頭脳を持ってい
たに違いないなぁ。遺跡を調査したら何か見つかるかも知れないな」
「もしそうだったら、これは歴史的な大発見になるだろうね」
2011/08/01 16:41
[69]U
レイトン先生とデヴィッドさんが杖を持って談笑していると、急にオルセイン
が二人に歩み寄っていった。無表情だが、何か様子がおかしい。すると突然オ
ルセインが杖を引ったくった。
「よこせ!!」
「うわぁ!」
驚いたのと、オルセインにぶつかられたせいでデヴィッドさんはまた尻餅をつ
いてしまった。レイトン先生は身構えたが、持っているのは小さな懐中電灯だ
けだ。オルセインは部屋の端まで走っていき、壁に手をかけた。すると、壁に
小さな穴が開いた。丁度、『創造の杖』ぐらいの太さの棒が入りそうな穴だ。
「感謝しようレイトン君、よくぞ私をここまで導いてくれた。だが君達はもう
用済みだ、残念だよレイトン君。君のような素晴らしい頭脳がこんな遺跡の下
で失われてしまうのは!!」
オルセインはスーツの胸ポケットから拳銃を取り出してレイトン先生に向けた
。今にも引き金を引きそうな様子に、流石のレイトン先生も少し困惑している
が、すぐに冷静にオルセインを諭そうと試みた。
「一体どうしたのですか、オルセインさん。紳士的とは言えませんね」
「どういうつもりだ!」
2011/08/02 14:00
[70]U
僕も怖かったけど、必死に声を絞り出して言い放った。デヴィッドさんは尻餅
をついたまま両手を挙げて震えていて、なんとも頼りない。
「君達は知らないだろうが、『創造の杖』の伝説には続きがあるんだ。『創造
の杖は道を開く 至宝の眠る園への道を』というな。おそらく、コレを使って
集落を支配していた者の宝でも保管してあるのだろう」
「至宝ですか?初めて聞きますね」
「そうか!『創造の杖』がその宝物庫の扉を開けるカギになってるんだ!」
「その通りだよ坊や。だが実に残念なことに、宝は全て私が頂く予定なのだ。
つまりここに他の人間がいてもらっては困る、私が君達に手伝ってもらったこ
とを喋られても都合が悪い。すまないね」
そういうとオルセインは杖を壁の穴に突っ込んだ。カチッという音と共に壁が
窪み、大きな音を立てながら奥へと滑っていった。オルセインは僕たちを警戒
しながらゆっくりと中に入っていった。
「先生、今がチャンスです!今のうちにここを出ましょう!」
「そうだレイトン、あいつはおかしくなってる!しかし・・・宝というのも見
てみたい気もするな」
「そんな!」
デヴィッドさんは興味と恐怖の間で揺れ動いているようだ。そりゃ僕だって宝
に興味はあるが、こっちは丸腰で向こうは銃を持っている。もしオルセインが
襲ってきたら、僕たちには対抗する手段がない。
「ルーク、あの水晶はなかなか硬そうだよ。防げないにせよ、銃弾の勢いを弱
めることくらいはできそうじゃないか?」
「本気ですか先生!?もしも撃たれたらどうするんですか!?」
「そうだな、『創造の杖』で傷薬でも生み出してもらおうか」
2011/08/03 18:37
[71]U
〜六章 至宝の園〜
どうしてレイトン先生はあんなに落ち着いていられるんだろう?相手が銃なん
か持ってたら普通僕やデヴィッドさんみたいに震え上がるんじゃないか?落ち
ていた水晶を寄せ集めて作った盾と剣を持ったレイトン先生は映画に出てくる
ヒーローのようだ。僕とデヴィッドさんはレイトン先生の後ろに付いて奥へと
進んでいった。今にも暗闇の向こうから銃弾が飛んできそうだ。
「2人共気を緩めないようにね、私の後ろについていなさい」
「はい・・・先生・・・」
デヴィッドさんはまだ好奇心と恐れで葛藤しているようだ。レイトン先生の後
ろに隠れながらゆっくり進んでいると、道の奥にオルセインがいた。壁を前に
何か考えているようだ。僕たちに気付いたらしく、急に振り返って銃を向けて
きた。
「お前達!帰れと言っただろう!!」
「先生!危ない!」
「落ち着きなさいルーク、どうしたんですかオルセインさん?」
「お前達には関係無いだろう!」
「行き止まりで先に進めないんだろう?」
デヴィッドさんがレイトン先生の後ろから意地悪く言った。どうやら図星らし
い。杖だけでは宝に行き着くことはできないようだ。思ったよりもずっと厳重
なセキュリティが敷かれているようだ。
2011/08/09 11:18
[72]U
「ルーク、またナゾの鍵のようだよ。オルセインさんは挑まれたのですか?」
「当たり前だ!そんな子供に解けるようなナゾではないぞ!」
オルセインのその言葉を聞いて、僕のナゾ好きの血が少し騒いだ。そんなこと
を言われたら、挑戦しないわけにはいかない。僕はオルセインが銃を持ってい
ることも忘れて、行き止まりの壁に歩いて行った。
「どうだいルーク君?解けたかい?」
「う〜ん・・・」
確かに難しい、しかしナゾを解くのに必要なのは知識ではなく根気だ。一生懸
命考えていれば、何か閃くはずだ。そうレイトン先生に教わった。デヴィッド
さんがしきりに声をかけてくるからいちいち集中が乱れる。すると、ずっと横
でもどかしそうにしていたオルセインがしびれを切らした。
「レイトン君!いい加減に君が解いたらどうだ!!もう答えは分かっているん
だろう!?」
「落ち着いて下さいオルセインさん。今はまだ彼が解いてる途中ですよ」
その時、僕の頭の中でぱっと閃いた。答えのピースをはめ込むと、壁はゆっく
りと開いて奥に新しい道が開いた。どうやら正解のようだ。
「やりました先生!奥に道が!」
「おぉ!すごいじゃないかルーク君!」
「よくやったねルーク。先をどうぞ、オルセインさん」
「・・・」
2011/08/12 16:50