[1]olive
【レイトン教授と呪縛の魔国(幻の王国3)】
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のつづきです。
約100年ほどむかし、最大の繁栄をみせた二つの王国が、理由も不明のまま破滅した。
それを知るは、その国の民の僅かな末裔のみだった。
王国の破滅はいかにおきたか、それを探るべく、レイトン達はタイムマシンにのって過去へと調査にむかう。
ネグリシャムラの呪縛はいかなるものか
どこかでひっそりとうごめく闇
砕け散る運命のハグルマに
レイトン達は真実を見るか
そして
誘惑の先の目的とは…?
お楽しみに………
2010/08/17 23:50
[120]Ewota
すっかり日がおち、アイズィーは髪を纏めていた灰色のリボンを外した。首元がさぶいのだ。
「なんか、風が冷たいな」
「地上は4月。まだ吹き込む風は冷え込みます。坊ちゃんもアイズィー嬢も、城に御戻りください。私は用があるので」
「まだ残るのか?」
「ええ。
おや、アイズィー嬢、肩が……。ずれていては寒いでしょう」
マードックは紳士的に、ずれていたアイズィーの肩掛けを直し、ブローチを固く固定した。
ザルシュはいい役目をとられて、悔しそうに頬を膨らませた。
「では言葉に甘えて、帰るとしよう。寒いし」
「ええ、では」
二人はマードックに見送られて、足早に森を出た。
途中、寒そうに手に息をふきかけたアイズィーに、ザルシュはぎゅっと手を握った。
さっきのがよほど悔しかったみたいで……。
城についてから、アイズィーはコック特製のシチューを口にした。これは頗る美味しかったが、舌の奥には昼に食べたヤマイチゴの味がつよく残っていた。
「そういえばザルシュは、いつの間に食事をすませてるんだろうか」
「王子は表では食わないですぜ。見れる人も僅かで、例えば庭師マードックとか」
「いつもはどうしてるんだ?」
「部屋まで持ってくんでさあ。知らない内に空になってる」
「……」
「ま、俺ら下っ端の推理によれば、多分行儀はよくないでしょうな」
マークは確信ありげな顔で、アイズィーをみた。
昼にみたが、そんなに悪かったか?アイズィーは首を傾げたまま、考え込んだ。
ザルシュの部屋に向かいながら、改めて謎めいたやつだ、と確信した。
2010/09/23 22:25
[121]Ewota
部屋にむかう途中、甘い香りと湯気が近くからたちこめていた。
「ここは……?」
「浴場ですわ。入りますか?」
お手伝いさんが小瓶片手に、アイズィーに聞いた。瓶の中は、お風呂でつかうオイルが入っていた。
「入りたい!」
「では」
お手伝いさんは目を細めると、タオルをテキパキと用意し、アイズィーを浴場の入口まで案内した。
「オイルはアイズィー嬢のためにつかいましょう」
お手伝いさんはバスに浸かってゆったりしているアイズィーに、優しく語りかける。そして、頷くのを確認し、小瓶を傾けた。
「病み付きになりそうだ…。
とても気持ち良かった」
アイズィーは髪を拭いて乾かし、ガウンを羽織った。あのオイル、どこのだろう。香りは自分の好みピッタリだ。
考えつつザルシュの部屋の扉をノックし、中に入った。
ザルシュも(いつの間にか)風呂に入ったのか、ガウン姿だった。ただ、
髪が「びしょびしょ」のまま、うとうとしていた。
「男って……、こうもだらし無いものなのか………?」
起きろ〜!風邪ひくぞ〜〜っ!!
てか、風呂あがったらすぐ髪をふけぃ!!
と、アイズィーがザルシュに叱咤したのは当然の事である。
[s:0426]お風呂にときめく可愛いアイズィーと、とにかくだらしないザルシュをかきたかっただけです。すいません。
2010/09/23 22:47
[122]Ewota
面倒げに髪にタオルをまき、ザルシュはまたうとうとし始めた。
アイズィーはなにか腹ただしくなり、まだベタベタのザルシュの髪を引っ張った。
「あいたたたたた」
「なんでこんなことも出来ないんだ!?そこの辺りのデリカシーはないのか」
「髪を拭くのって面倒じゃあねえか?
なんかもう、自然乾燥だけで十分な気がするんだけど……」
「ありえないな。
せっかく伸ばしてるのに、傷んでは悲しかろ?広がるし」
「平気だって。そんな女みたいなこと」
アイズィーはなにか腹が立って、彼の髪を束ねていたタオルを引ったくるようにとった。そして、無理矢理ふいた。
「うわあああやめろってばあ!」
そう嫌がっていたザルシュも、なにがあったか大人しげになった。そして、ぼけーとしたまま、されるがままになる。
すっかり乾いた髪を撫でながら、ザルシュはぼんやりと見つめていた。流石にアイズィーは恥ずかしくなったのか、ソファーに腰掛けたまま俯いていた。
「サンキューな、アイズィー」
頭の上、遠くから、甘い声(勿論アイズィーの幻想の入り混じる声)が響いた。
「……?」
ザルシュはそれ以上は言わず、金刺繍の施されたリボンをつまんだ。そして、無造作に髪をひっつめ、ぎゅっと駒結びをした。
2010/09/24 23:11
[123]Ewota
アイズィーは淋しくなった。ザルシュは母親がいないとはいえ、あまりの無造作さに寂しさが生まれた。
ザルシュは、髪を梳いて、服を羽織り、手作りの料理をつつき、掃除をしたり、リボンを結び、濡れた髪を拭いてもらった事もないのだろうか。
アイズィーはザルシュのガウンの裾を掴み、むりやりソファーに引き寄せた。
そして、ひっつめられた髪を解き、使われたこともないような、真新しい(かなり高級な)櫛をとった。
ザルシュの髪は浅黒い赤茶をしていて、でも艶(つや)の美しい、艶(あで)やかで妖艶(ようえん)なさまだった。
梳かす度、髪はさらさらとゆれた。
アイズィーは裏を編みこみ、ゆったりと束ねてリボン結びにした。
「この方が綺麗だ」
ザルシュは違和感があるのか、頻りに髪を撫でた。
「…どう?」
「…ん」
「ザルシュはこういうこと、してもらったことがないのか?」
アイズィーは髪を撫でながら、はっきりときいた。
「…母親みたいな?」
「ああ」
「……あははは、俺あそんなのいないからなあ。
…いたけど、あまりに小さい頃の話だもんだから…」
ザルシュの瞳は、一気に暗くなった。アイズィーにも察せた。
「優しくて、きりっとした母親だったらしいけどね」
2010/09/25 00:30
[124]Ewota
「ふうん」
アイズィーは話をごまかそうと、ただそれだけをつぶやいた。
ザルシュも察したか、にかっとわらいながらこう囁いた。
「今度はいつこれる?」
「え?」
「三泊してくだろ。で、その後だよ」
「分からぬ。でも、また当分会えないだろうなあ…」
「…当分かあ」
ザルシュは名残惜しげに呟くと、アイズィーの髪にそっと触れた。
「…?どうした?」
「いや、何となくだよ。こうして気楽に話せるのも数少ないし」
確かに、ザルシュはマーク隊長にも命令形だった。こうした砕けた会話は、貴重なんだ。
今度いくときは、密かに土産に焼鳥でも持って行ってやろうか。庶民の味も恋しかろうな。それから話も沢山こさえて……
途端に、髪を撫でていたザルシュの髪が離れた。
不思議に思っていると、彼は隣の部屋に駆け込み、気付けば正装に変わっていた。
「ザルシュ?」
「……しー…」
ザルシュは唇に指をあてた。その仕草とは裏腹に、顔は氷でできた能面のように暗く、ぎらりと冷えていた。
騒ぎがおきたのだ。その騒音は、近付いていた。
2010/09/25 12:07
[125]Ewota
第6章
危険すぎな師弟
ネグリシャムラと英雄の因縁
2010/09/26 21:39
[126]Ewota
ザルシュはアイズィーの肩を叩き、物陰で着替えるようにと手振りで伝える。
アイズィーは震える足を持ち上げ、何とか物陰で着替える。そして、終わると一目散にザルシュに駆け寄り、騒音と地響きに怯えながら彼の腕を掴んだ。
この洞窟一つ崩れるような、響くような音をたてて、ついに野蛮王子の部屋は開かれた。ザルシュは仮面を取り付け、逆光で陰る敵をみた。
「てめえ!アイズィー嬢になにするつもりか!!彼女を渡せ!」
そんな敵の長の声は、周りにいた彼の部下を動かした。
ザルシュはそんなアイズィーに近付く部下をみて、はっとした。
もう一度長をみた。光に目が慣れ、顔がみえた。
「ショー!それに町の子供達…」
アイズィーの声は、ザルシュの脳内に『負』の字を浮かび上がらせた。
「あんたたち、ロッパの刺客なのか?」
2010/09/26 22:01
[127]Ewota
「まあ、確かに俺の師匠はロッパだが。
俺はまた別、単独できてやったんだよ。
てめぇがアイズィー嬢を引き込んで、話してるとかきくからよ。どうせ結婚を無理矢理承諾させようと、いろいろ糸からめてんだろ」
「なんの話だ」
兵士は役立たずだ。子供達を見くびったあまり、その予想外の強さに腰抜けしている。
こんな時、マークがいれば……。
「ちょいと表でろや」
「……?」
「いろいろしこりがあったんだよ。この際、全てとりたくてなあ」
ショーはにたついた。
アイズィーはザルシュの知らぬ間に子供達に奪われ、泣き叫んでいた。引きずり出されていたのだ。
さっきまで彼女の手があったのに。
「全て、決着をつけてえんだ!」
ショーは短剣をぬき、ザルシュに向けた。
兵士はうろたえ、なんの護衛にもならない。
「まて」
懐かしい、頼りになる声が響く。マークだ。
2010/09/26 22:10
[128]のなりい
ぬぅぅぅ・・・・。
なんか悔しいなぁ。
おもいっきり誤解してるよね?この子達。
にしても・・・うふふ。
アイズィーちゃん、可愛いなぁ・・・。
マークさんはかっこいいな。
結構、好みかも(なんか好みが多いな・笑)
2010/09/27 16:28
[129]Ewota
のなりい
アイズィーはさりげなくザルシュに甘えてます←
しかも、マーク隊長のいいとこどり!作者の私もああ、鼻から血…
ショーの勘違いぶりは、お話のキーなんだよ。お楽しみに!
マーク「更新でさあ」
ロッパさんがパニックに陥った。
さっきまで外で練習していたショーが消えている。実は、町の子供達もいないのだ。
「誘拐魔」とまで騒ぐロッパさんを落ち着かせ、糸を手繰りながら、ショーの居場所を突き詰める。
「場所がわかった。そこは危険だ。私とカルロで十分だ。みんなはまっていなさい」
「先生、僕もいきます!」
「今回ばかりは生死に関わる。だめだよ、ルーク」
「僕からも同意見だ」
「カルロさん!」
「いきますか、先生、ロッパさん」
「ああ」
三人は漆黒の闇を、小さな明かり一つで入り込んでいってしまった。
「まて」
一人の声に、ショーは敏感に反応した。
「あんたはだれだ!」
「第三番隊隊長のマークという」
「マークか。つまり、この」
ショーは横目でザルシュをみた。ザルシュはゆっくりと部屋からでてきた。
「野蛮王子の護衛か」
「そういうことさ。はやく立ち退き願いたいね。あんたみたいなひよっこと」
「剣をぶつけ合う勇気もないのか。
上等だぜ」
「馬鹿だな。倒したくないんだよ。子供という特権を傘に好き勝手暴れよって」
「なにい!?」
「…きたねえやつも来ちまった…」
マークはそうつぶやき、窓をみた。
そこには、裏ではりこんでいるロッパの姿がある。
しかし、それは
「俺の応援にきたに違いない!
覚悟おぉーーーーっ、ザルシュエル!」
ショーを勇気づけてしまった。
同時に、ザルシュに憎悪を植え付けた。
2010/09/27 20:35