[1]バートン
【レイトン教授と悪辣な島】
「痛…っ」
座礁した小舟には穴が空き、これで島を出ることは不可能なようだ。
「大丈夫かい、ルーク?」
「はい…なんとか…」
投げ出された場所が、砂浜で良かった。
多少のかすり傷はあるが、僕も先生も大怪我はしていない。
帽子を深くかぶり直し顔を上げると、ロンドンでは決して見ることのない木々が…ジャングルがそこにはあった。
(タイトルのとおり、リレー小説を書いていって下さい。続きお願いします。決まりは特にありません。)
2009/02/04 21:02
[99]リク
その頃、ある島に、薄く紫色がかかった狼が到着していた。
口から舌をだらんと垂れ、息づかいが荒く、どうやら疲れ果てているようだ。
思い足取りで向かうその先は、島の中心部にある、巨大な要塞だった。
鉄の壁に囲まれたその要塞のゆういつの門の前に立った狼は、門番と軽く目配せしてから、ふらふらと吸い込まれるように中に入って行った。
ろうそくだけが照らす薄暗い廊下を進んで行くと、大きな広間に出た。天井は高く、明かりは一切無かったが、狼が足を踏み入れると、パッと一番奥のろうそくがついた。
狼は恐る恐るろうそくに前進して行った。
よく見ると、ろうそくの近くに誰かが座っている。ほのかに照らされているその顔は、ちゃんとした人間だった。
狼は人間の前に立ち止まって、深くお辞儀をした。
「用件はなんだ。」
人間が低く、不気味な声できいた。
「悪辣な島に向かった探索部隊がやられたもようです。」
狼は人間の言葉で言った。落ち着いた口調だったが、内心は恐怖で怯えていた。
「まさかあの大人数がたったの二人にやられたというのか!?」
「いえ、あちら側にラクーアが四匹混じっていたようで。しかし、四匹の内の一匹は戦死したようです。」
「ドルトン。か?」
「!」
「生きていたのか。まぁ、あっちに閉じ込める前にたっぷり痛めつけてやってたからなぁ。
そうか、そうか。死んだか。アハハハハハ!」
狼は下を向きながら震えていた。怖い。この場から、この場所から早く立ち去りたい。
「次の手を考えなくちゃあな。なぁに。もうすぐ私の本来の力は戻るのだから。さぁ、行け。もう用は無いのだろう?」
狼はお辞儀をしながら一歩下がると、逃げるようにして部屋から出て行った。後ろからは不気味な笑い声が響いていた。
2009/03/22 04:24
[100]ビビ
狼は廊下を駆け下りると、真っ先に要塞の外れにある森に入って行った。薄暗い森の中を全速力で突っ走る。いつお化けが出てもおかしくないぐらいに暗いこの森には、あのアンディでさえもめったに立ち入らない。
しかし、それが彼らにとって最高に嬉しい事だった。
一本の巨木の前に立つと、周りの臭いを嗅いでから、根元の方に近づいて行った。細くても大人の腕ぐらいある大きな根を、注意深く飛び越す。
巨木な根と根の間に、人一人分くらいの穴を見つけ、もう一度周りの臭いを嗅いでから、穴に飛び込んだ。
中は一つの部屋のようになっていて、壁は樹皮でできている。
部屋を照らすのは出入り口と天井に点々とあいた小さな穴から入ってくる月の光だけだ。
不意に暗がりから足音が響いた。体は暗くて全く見えないが、闇で光るブルーアイと臭いで誰だか分かった。
「レイン様。探索部隊が全滅したようです。」
「トールス。ごくろうだったな。奴の前に出るのはよっぽど体力を使うだろう?」
ブルーアイの狼は声からしてまだ18歳頃の青年であろう。
「えぇ。まったくです。あの時は生きた心地がしませんでしたよ。
しかし、報告はそれだけではないのです。」
「!。それは悪い知らせか?」
「はい。とてつもなく悪い知らせです。
国王が、部隊に殺されてしまいました。」
「!!!。トールス!それは本当か!?
国王は…我が"父上"はいってしまったのか!?」
「残念ながら、本当でございます。」
「そうか。…父上…。
アトラは無事なのか?」
「はい。アトラ姫とコルダ一行は無事なようです。"国王"。」
「トールス…。俺はまだ国王などではない。この一件を早く片付けなくてはならないのだから…。」
「奴の目を盗んでここに隠れ住んでいる事自体、国王のなさる事ではありません!一刻も早く敵陣に攻め込みましょう!!」
「待て。こちらの生き残りを集める方がまだ先だ。本戦に入る前に少しでも味方を増やしておくんだ。」
奥で熟睡している仲間の一匹がもぞもぞと動いた。
「それもそうでございますね。」
「それに、あちらには頼もしい"戦士"がいるそうじゃないか。そいつらにかけるのも悪くないかもしれないぜ?」
「あの人間の二人組ですか?」
「あぁ。特にその中のチビには、何かある気がする。」
と言うと、すくっと立ち上がり、今まで暗がりで見えなかった体が月光に照らされた。
知性を秘めた青い目に、濃い緑色をした狼。
『レイン・カーチェス』が……………。
2009/03/22 05:10
[101]Professor
「ハックション!」
僕のくしゃみが洞窟内に響き渡った。
…誰かが僕の事を話しているのだろうか。
「ルーク、大丈夫か?すごいくしゃみだったな!」
アトラは笑っていた。彼女の笑顔を見るのは、ものすごく久しぶりなような気がして、僕は安心というか良かったというか…
とにかく嬉しかった。
この洞窟に入ってから何分…いや、何時間経ったのだろうか、まったく先が見えない。
ゴールはあるのだろうか。そんな事も考えてしまったが、首を振ったり、頬を手で叩いたりとかしてそんな考えを振り払った。
進んで行くと、そこには最大の難関が待ち受けていたのだった。
それは…
2009/03/22 06:37
[102]たくみん
「ア、アトラ・・・前を見てください。」
目の前は、行き止まりだった。
「本当だ。でも、この地図には先がある。」
「ええっ!」
ルークはもはや気がくるっていた。
アトラは冷静にその行き止まりを見る。
急に風が吹いてきた。
「ルーク、この風、どっちから吹いているかわかるよね?」
「当然、その行き止まりから・・・え!」
風がやんだ後、二人は懸命にその行き止まりを隅々まで調べた。
そうしたら・・・
2009/03/22 07:57
[103]Professor
「ルーク!ちょっとこっちに来てみろよ!!」
アトラが興奮して僕を呼んでいる。この行き止まりの謎を解明したというのだろうか…。
僕が急いでアトラのいる方へ駆けると、彼女は僕の事を頼りにしているような顔でこっちを見ていた。
「どうしたんですか?」
僕がそうやって尋ねると、アトラは口を開いた。
「ルークって、謎解きは得意だったっけ?」
「もちろんですよ、僕だって先生の弟子ですからね!」
すると、アトラはニッと笑って、
「じゃあ、この謎も解けるか?」と、壁に向かって指をさしていて、そこには謎が書かれていた。
「任せて下さい!これぐらい、すぐに解いてみせますよ」
『家族はどこに?』
あなたの家族は、姿を隠す為にある場所に身を潜めている。
その場所とは何処か、答えてほしい。
[MかIのどちらか]の中。
答えは↓に
答えは『森の中』
〜か〜のどちらか=or
すなわち、[MorI]の中になるから。
2009/03/22 09:46
[104]バートン
「森…?」
「ここは洞窟だぞ?森なんて…」
完全に行き詰まってしまった。何なんだこのナゾは…。
その時、背後で救世主の声がした。
「ルーク!」
「先生!」
先生の後をコルダさんが追ってくる。
「やっぱりここにいたんだね」
「すみません…勝手に…」
「いやいいさ。2人とも無事で良かった」
そう言う先生は肩を揺らし息を切らしている。僕らを必死に探してくれたのだろう。僕はつくづく、この人に迷惑をかけてばかりだ。
「それよりもレイトン。このナゾは…」
アトラ…君ごときに先生を呼び捨てる資格はないと思うよ。
そう言おうと思ったが、先生が笑顔で話を聞いていたので黙っておいた。
「ああ、恐らくこのナゾは関係ないだろう」
「「えええーっ!!!!」」
僕とアトラはお互いを睨んだ。
先生が小さく笑ってそれを制する。
すると先生は何やら、洞窟の壁をコンコンと叩き始めた。
僕の呼びかけにも応じずあらゆる箇所を叩く。ある箇所を叩いた時、その表情が変わった。丁度ナゾの彫られている場所に当たる。
「先生、何かわかったんですか?」
「恐らくはね。皆さん、少し手を貸してください」
そう言うと突然、先生は壁に向かって体当たりを始めた。
「せせせ先生っ?」
一瞬長期間に渡る過度のストレスか何かで頭がおかしくなってしまったのかとも思った。しかしコルダさんやアトラも同様にして体当たりを始める。
「ほら、ルークもやるぞ!」
アトラのその表情は心なしか楽しげだった。
しばらく続けると、小さな瓦礫が僕らを襲い始めた。やがて壁にもヒビが入る。
そして…―
「うわああぁっ」
壁に穴が空いた。体当たりをするのと同じ勢いで地面に体を打ち付けてしまったため、あちこち痛む。
先生とコルダさんは素早い身のこなしで立ち上がったも、アトラは僕に続いて倒れてきた。丁度僕と重なるようにして。
「わ!」
どういう状態か把握すると、瞬時に彼女は僕から離れた。
顔が熱い。赤くなっているのが自分でもわかる。それはどうやら彼女も同じなようだ。
これは疲労と痛みによるものだと言い聞かせ、立ち上がる。
改めて周りを見回すも、そこはまた岩でできた洞窟だった。
ただ、今までと1つ違うことがある。
それは空間の中央に鎖でぐるぐる巻きになっている鉄の箱があることだ。
2009/03/22 12:36
[105]L
そのころサザンは―
「おい!!ちびっ」
藍色の狼、サザンが声を上げる。
「なんですか師匠。
というかいつ名前を
覚えてくれるんですか。僕はちびじゃなくて…」
空色の毛を持った小さな狼がサザンに問う。
「知らん。それより
どれくらい見つけた?オレが探しに行く所は誰もいないんだが……」
空色の狼は溜息をつく。
本当にこの方は国王の次に強いと唄われたサザンなんだろうか。
そんなサザンに弟子入りした自分も自分だが。
少々疑問を抱きつつ言う。
「まだ10匹程度しか見つかっていません。あなたが言う人間達のタイムリミットも近いですし、そろそろ悪辣な島に向かったほうがいいかもしれませんね」
サザンは低く唸った。
「ああ…あと5分だ。あと5分待って集まらないようなら、坊や達の待つ悪辣に向けて発とう」
「御意。それよりあなたが気に入っている"坊や"に私は会いたいですね」
サザンは微笑し
あと5分走ってくる。と空色の狼に告げ街中に足を進めた。
まあ、良い人であることは間違いないだろう。
さて…自分も仲間捜しを再開しようか…―
一方レイトン達は―
「この鍵…は…」
「ナゾだね。ルーク、解いてみるかい?」
「はい!」
僕は箱の下に挟まれた手紙の封を切った。
#ナゾ006 OPEN!#
ここまでくるとは見事。レイトン、やはり君の腕は確かだったね。君達は既に鍵を持っているはずだ。それを使うといい。
但し、相応の血筋は必要だがな。
かばんのなかをまさぐり、ビッグバンの前でアンディが落としていった鍵を取り出す。それを恐る恐る鍵穴に挿す。
「あれ…開きません」
「もう…どいたどいたっ」
アトラが僕を押し退け、鍵に手を掛ける。すると鍵は難なく開いた。
彼女は自慢気に笑ってみせる。その顔には期待も含まれていた。
相応の血筋とは、そういうことか。
アトラはプレゼントを開ける子供の様に、鎖を取り除いている。
そして…
「やった!!!!見て!!!!」
箱の中には、白濁色の丸い石があった。それは仄かに光を発している。皆が箱の中に釘付けだった。
アトラがそれに手を伸ばす。すると突然、先生が突然声を荒げた。
「触らないで!」
「え?」そう言った時にはもう、遅かった。
地面が抜ける。次の瞬間、僕らは真っ逆さまに暗闇に吸い込まれていった。
悲鳴とも叫びとも言えない声が、闇に虚しく響く。
あと、一歩だったのに。
箱は小さくなっていく一方だった。
2009/03/22 13:32
[106]リク
不意に穴の奥が赤く輝いた恐る恐る下を見ると、なんとそこにはマグマが溜まっていたのだ!
「うわぁぁぁ!!」
僕達はそのまま無念にもマグマに飛び込まなくちゃいけないのか!?
そういえば生前、ドルトンさんが、
『火山の中に祭られてある』って言っていた。
と、いう事は、ここは火山の中なんだ!!
僕達は長い間歩いている間に、島の火山の中に入って行ってしまったのだ!
その時、「コルダ!!」とアトラが叫んだ。
コルダは頷くと、天に向かって遠吠えをした。それは今まで聴いた事の無い、柔らかくて、澄んだ鳴き声だった。
その瞬間、信じられない事が起きた!
どこからともなく大量の水が頭上から降ってきたのだ!その水は不思議な事に、僕達をすり抜けて、下のマグマに衝突した。マグマはジュージューと音をたててみるみる内に無くなってしまった。
アトラはその状態を確認すると、人差し指を思いっ切り上に突き上げた。
すると、下に溜まっていた水が逆流し始め、僕達を上へと押し上げた。
その時、不意に口の中に塩の味がした。
そうか。この水はきっと海水なんだ。
気がつくと、僕達はさっきの宝箱の前にうずくまっていた。
いつの間にか巨大な穴はすっかり消え、水に押し上げられたのにも関わらず、服は濡れていなかった。
2009/03/22 15:46
[107]ビビ
「アトラ、これは…。」
僕が尋ねる前にレイトン先生が口に出した。
僕も先生も信じられない光景を目の当たりにして、驚いていた。
アトラは後ろめたそうに「これがあたいらの力なのさ。」
と呟いた。
「力?」
「人間の前では決してやっちゃいけなかったんだけどな…。いいよ。説明してあげる。
あたいらはずっとカシスで過ごしてきて、高い文明を築いた。これはその中の一つなんだ。
海水を移動させるのは一か八かのかけなんけど、成功して良かったよ。
一部の民はこの事を『海と共に生きている』なんて言うけどさ。」
そうか。サザンさんが言っていたのはこの事だったのか。
「皆さん、早く行きましょう!もうあまり時間がありません!!」
「ルーク。宝を持って行くのはあんただ。」
「え!なんで僕が!?」
「何となく…なんて言ったら怒るだろうけど、それしか言いようが無いんだ。何か、本能がそう言ってるっていうかさ。」
「本能…」
「うん。これはあんたにしか託せない感じがするんだ。もともと、ここに置いとく訳にもいかないだろ?」
「まぁ、そうだけど…。………分かった。いいよ。」
そう言って秘宝に手を伸ばした瞬間…
2009/03/22 16:30
[108]ルナ
秘宝からまばゆい光がいくつもの線となって輝き始めたのだ。
目を開けてられない。
ルークは瞬間的に目を閉じた。
しばらくして、ようやく目を開いた。そこにはさっきまでの洞窟の風景が全く無かった。
周りは乳白色の光に包まれていて、宙に浮いてる感じがする。
手を動かそうにも力が入らないし、何も聞こえない。
不意に頭の中に声が響いた。
『ヒト族、ルーク・トライトンよ…。』
その声は女の人の声のようだったが、全然聞き覚えが無い。
でも、どこか懐かしい。「誰…?」
心の中できいてみたけど、返事は全く違うものだった。
『私はそなたを、秘宝の使いとして認めよう。』秘宝?使い?何の事だかさっぱりわからない。
『私は、そなたの中にある途方もない力を目覚めさせる…。』
気持ちいい風が通り抜けていった気がした。
『それは、ヒトが捨ててしまった感覚なり。』
ヒトが………?
『敏感に見て………』
そう言われた瞬間、目の奥がピリピリと痛み始めた。視界に変なチカチカする物が見える。
『明瞭に聞き………』
その瞬間ルークは、まるで耳から脱脂綿を抜かれたように、はっきりと聞こえるようになった。
遠くで誰かが自分の名前を呼んでいる………。
『純粋に味わい……』
舌がピリピリし始めた。空気の味までわかる。
柔らかい、土の味だ。
空気中の水滴ひとつひとつの味まで区別できる。
『敏感に触れ……』
肌の感覚がいきなり鋭くなった。柔らかいシャツ、暖かい綿の靴下。肌に触れる物それぞれに、他とは違う独特の感触がある。
『強烈に嗅ぎ……』
突然、目が涙で滲むほど、一気に臭いが押し寄せてきた。湿った洞窟の臭い、狼の獣の臭い。
ルークは一気に耐え難い感覚に襲われた。色…臭い…音…。すさまじい勢いで押し寄せてくる。今まで経験した事の無い明るい色、きつい臭い、大きな音。
研ぎ澄まされた感覚がもたらす効果は、痛いほど嫌だ。
いや、本当に痛い。苦しい。頭がズキズキする。骨がうずく。肌がむずむずする。
なにもかもが耐え難い。
その内ふっと意識を失った。
2009/03/22 17:41