[1]バートン
【レイトン教授と悪辣な島】
「痛…っ」
座礁した小舟には穴が空き、これで島を出ることは不可能なようだ。
「大丈夫かい、ルーク?」
「はい…なんとか…」
投げ出された場所が、砂浜で良かった。
多少のかすり傷はあるが、僕も先生も大怪我はしていない。
帽子を深くかぶり直し顔を上げると、ロンドンでは決して見ることのない木々が…ジャングルがそこにはあった。
(タイトルのとおり、リレー小説を書いていって下さい。続きお願いします。決まりは特にありません。)
2009/02/04 21:02
[109]ビビ
意識が徐々に戻ってきた。薄く目を開けると、みんなが心配そうに僕の顔を覗き込んでいた。
「ル、ルーク?」
アトラが怯えた声できいてきた。
あれ?さっきまでの苦しい感覚が嘘のように消えている。
「大丈夫かい?」
「はい。たぶん…。何が起きたんですか?」
「ルーク様が秘宝の光に包まれて…そういえば秘宝は!?」
言われて周りを見回したが、どこにも見当たらない。
だんだん激しい眠気が襲ってきた。
なされるがままに僕は深い眠りについた。
「ルーク!!?」
アトラが眠りについたルークに触ろうとした瞬間、
「そいつに気安く触るな!!」
洞窟の出入りから声が響いた。みんながさっと振り向くと、そこには紫が薄くかかった一匹の狼がいた。
「そいつは今新しい感覚に慣れようとしてるんだ。そっとしといてやれ。」
「トールス!これはどういう事なの!?」
「秘宝の力がそいつに宿ったのさ。」
「どうして!?ルークは普通の人間のはず……」
「確かにそいつは人間だ。だが、それだけじゃあないかも知れない。」
「!!!」
「そいつは"サークリスの生まれ変わり"だ。」
2009/03/22 18:26
[110]たくみん
「サークリス!どういうこと!」
アトラが厳しい口調で問いかけた。
「アトラ、まさか、お前は・・・サークリス様を忘れたのか・・・」
「トールス・・・?」
「サークリス様は、お前の、真の父、そして・・・」
「ど、どういうことなの!それに、サークリスだなんて初耳よ!」
アトラは叫んだ。トールスは冷静に話を続ける。しかし、アトラには何を言っているのか聞くことすらままならなかった。
「・・・コルダ」
しばらくして、アトラは口を開いた。
「サークリスがあたいの父って、一体・・・」
「すべてを話すときが、来てしまったのね」
2009/03/22 20:45
[111]たくみん
「サークリス様は、先代の王様だったの。でも、あなたが生まれる前、あの火山の中であの宝を残し、救いの神となった・・・。」
「じ、じゃあ、ドルトン様は?」
アトラの動揺は今だ続く。
「ドルトン様は、王座を引き継ぎ、仮の父となったの。生まれたときからよく知っていたアトラ様を非常に可愛がり、本当の父親のようでしたわ。」
「ど、どういうこと・・・」
「実はこの島は、私が生まれたと同時にこの国のものになったの。そしてその伝説は、あなたが生まれたと同時に生まれた。でも、実は、サークリス様は、20年ほど前に王座を退き、ドルトン様の王権に変わったの。」
「なんで、なんでコルダはそんなことを知っているの・・・早く言ってよ・・・」
アトラは涙を流した。
「このことは秘密にしておけって父上に言われていたの。王族でなければ知らないことの一つ、でも、それはアトラ様が生まれる前に言ったこと。それからこのことは誰も言わない。いえ、言ってはならなかったことなの。」
「トールスとかも、一応、王族だろ?なぜあいつらには・・・」
「さあ、信頼できる人にしか言わなかったのかしら。実は、言っておかなければならないことがまだあるの。ルーク様も、レイトン様もよく聞いていて。私のことと、ここでの時間のこと。」
2009/03/23 16:44
[112]バートン
「…いや…話してる暇なんてないと思うがな…」
どこからか怪しげな声が響く。
「貴様らはこの私に殺されるのだから。まぁ…サークリスだけは
残しておくけどなァ?」
そう言うと奥から朱い髪の男が出てきた。かなりの長身である。
不敵な笑みを浮かべ、謎の男はいきなり叫ぶ。
「野郎共!!皆殺しだ!!ここにいる奴らを全員血祭りに上げろ!!」
すると、物陰から待っていましたとでも言わんばかりに、手下であろう狼がぞろぞろと出てくる。
出てくるのはもちろん皆狂った狼だ。
正気な者なんていない。
しかも全員刃物を口にくわえている。どうやら本気のようだ。
「レイトン様。アトラ様とルーク様を連れてここからお逃げ下さい。奴らはトールスと私でなんとかします。だから…早く!!」
先生が力強く頷く。
「アトラさん、少しの間我慢して下さい」
「!?」
レイトンはアトラを優しく抱え、ルークの手を引き出口へ走る。
「先生っ!!コルダさんは!?」
「ここは彼らに任せよう!!今はとにかく脱出しよう!!」
アトラは激しく暴れている。
「離せレイトン!!私も戦う!!じゃないと…コルダが…コルダが…」「あの中に行ってあなたまで死ぬつもりですか。あなたが死んでしまったら、誰か王国を守るのですか!」
現状を把握した彼女の顔は次第に歪み、たちまち涙が溢れだした。
「コルダあぁァぁぁあぁあアぁァ!!!!」
叫び声は哀しくも狼達の雄叫びにかき消されてしまった。
男が舌打ちし、叫ぶ。
「野郎共!先にその二匹を始末しろ!かかれぇい!!」
その声と共に数十匹の狼が一斉にとびだす。
―…ああは言ったものの、私とトールスだけの力では太刀打ちできそうにない。自分の中途半端な力に、不甲斐なさを感じる。
そんな事を考えていたからだろう。相手に隙を取られたようだ。
ナイフが凄い勢いで自分の首筋に迫る。かわすほど時間はない。
もうダメか…?
思わず目をつぶった時だ。
……キイィイイン…――
金属と金属がぶつかる音が耳に響く。
「まったく…世話ばっかりやかせやがって。誰だ?もう俺の弟子じゃないだのなんだの言ってたのは。てっきり大口を叩けるくらいに強くなったのかと思っていたんだがな…」
ゆっくりと目を開く。ナイフの動きは寸前で止まっている。
「これしきに俺の手を借りるとは、まだまだだな」
藍色の狼がくわえた刀で相手のナイフを弾き飛ばす。
戻ってきた。あの『瞬殺のサザン』が…―。
2009/03/23 22:13
[113]姫御子
「なっ…なぜ、サザンがここにっ…」
「頼りない弟子がピンチのようだったからな…ずいぶんひどいザマだ」
「余計なお世話だ!どけ!邪魔だ!」
「これだけやられてまだそんなことを言うのか?」
「うっ…」
確かに、この状況では、サザンの手を借りなければ…死ぬ!だが、こいつは…
ガキイイイン!
私が考え終わらない内にもうサザンは戦っていた。
「何をしている!サザン!」
「いいからお前も戦え!役立たず!」
「!…言われなくとも!」
うおおおおおお…
「!レイトン!今、サザンの声がした!」
「ふむ。どうやらコルダさんと一緒に戦っているようだね。」
「コルダ…サザン…生きて帰ってこいよ…」
アトラが小声で呟いたが、今の僕は超聴力をもっているのでよく聞こえた。
その声色は、仲間を思う、優しさ、願いに満ち溢れていた。
2009/03/23 22:42
[114]レナ
そして、その後ろから小柄な狼が飛び出した。
「ルキウス!?」
どうしてここにルキウスが!?
子狼はコルダの近くに走って行くと、周りで攻撃の準備をしていた敵に思いっきり腕を振り下ろした。不意をつかれた敵はよろめき、口から刃物を離した。
その瞬間を見計らって、ルキウスは強烈なアタックをくらわした。
敵はそのまま藪の中に消えていった。
「兄さん!!何を呆然としてるんですか!?」
空色の狼はコルダに向き直って叫んだ。
「ルキウス!どうしてお前がここに…?」
「お師匠様の後をつけてきただけです!ここは僕達だけで十分です!兄様は早く姫様の護衛に!!!」
コルダは力強く頷くと、その場を三匹に託して走り去った。
途中、適に何度も遭遇したが、トールスさんらが駆けつけてきて、追い払ってくれた。
ありがとう。皆さん。
コルダはそう心の中で呟くと、全速力で走った。
いくらラクーアのアトラ様がいても、今の状態じゃあ戦えないかもしれない。
その前に、ルーク様が危ない!!
一刻も早く儀式を行わなくては!!!
2009/03/23 22:59
[115]バートン
「ところで先生!これからどうしますか!?」
「とり…」
「まず先にあたいを降ろせ!!」
アトラが先生の言葉を遮る。彼女の切り替えの速さには、つくづく驚かされる。
というか、偉大なるレイトン教授に対して、少しは口を謹むべきではないのかといつも思う。
それを聞いた先生は無言で腕の力を緩める。彼女は自分の力で腕を抜け、華麗に着地すると、走り出した。
「それで…これから…っ」
息が切れてきた。喉が渇き、声を出すのが辛くなってくる。
「とりあえず、浜へ向かおう。ここは危険過ぎる。なんとかしてここを脱出しよう」
そのうちに、生い茂る木々が遮っていた視界が拓けてきた。遠くの波の音がいつもより鮮明に、細かく聞こえる。
がしかし、だ。
前方を走るアトラが急にスピードを落とし、短剣を引き抜く。
彼女の向こう側には、木でも砂でもない何かがあった。
「何者だ!」
近づいてようやく、それが狼の集団だとわかる。
「アトラ…様?」
男の子の声がする。先頭の水色の狼だ。警戒し続けるアトラを見かねてか、彼は人間へと姿を変えた。
「皆さんは先に行って下さい」
20くらいだろうか。狼達が木々の間を、僕らの横を風のように去る。
突然のことにアトラスさえも驚いているようだ。
「僕はダリル!サザン氏の2番弟子です!彼らはカシスにいた生き残り!応援軍です!」
軽くウェーブした髪にそばかす、襟の立てられたシャツ。サザンさんなら、この子を弟子にとるだろうと思った。明確な根拠はないが。
張り上げられた声はジャングルに響く。アトラがダリルに歩み寄った。そして、ひっしと抱き合う。
「…頼んだぞ…っ」
「はい!」
その目付きは真剣そのもので、戦いへの覚悟が決まっているようだった。
そして彼はアトラに何かを耳打ちする。上げた彼女の顔には信じられないと書いてあった。しかし、それは期待と喜びに変わる。
それから彼女は確かに、ダリルに礼を言った。
「レイトン!ルーク!行こう!」
ダリルが凄い勢いで、僕らはの来た道をゆく。
心はこんなに疲れているのに、無意識のうちに走り出していた。
やっとの思いで海岸へ出る。急に足場が悪くなって一瞬よろめいたが、すぐに態勢を立て直した。
「船…」
「え?」
信じられない…さっきの彼女の顔にも頷ける。
そこには準備万端な船が一艘あった。
そこから顔を覗かせたのは…
「アンディ!!」
「ドレークさん!!」
2009/03/23 23:09
[116]ビビ
一方その頃、ルーク一行は森の中を逃げていた。
幸い、後ろに敵の気配は感じない。
アトラは頭が整理できずに、呆然としていた。
そんなアトラを僕は心配そうに見つめる。
いったい、僕が眠っている間に何が起きたんだ?
あの不思議な夢を見た後、もう一度意識を失って、気がついたら敵らしき狼達に囲まれていた。
先生は無言で姫を抱えて走っている。
ズキッ!不意に頭に亀裂が入ったように痛み出した。
僕は頭を抱えて立ち止まってしまった。
先生も僕の異変に気づいて止まった。
「どうしたんだいルーク!!」
でも、もう先生の問いかけに答えられない。
ついに頭を抱えたまましゃがみこんだ。
ズキン!ズキン!
何かが頭の中を思いっきり叩いているようだ。
心臓の音がいつもよりハッキリきこえる。
するとまたあの苦しみが蘇ってきた。
いきなり、五感が鋭くなった。吐き気がする血の臭い、狼達の叫び声、近くに生えているキノコのほうしの一粒一粒がハッキリと見える。
何もかもがどっと流れこんできた。
苦しい。
頭が破裂しそうだ!!!
2009/03/23 23:20
[117]バートン
ラクーアとは
古くにカシスに栄えた民族(?)。人間と狼の2つの姿を持つ、いわゆる狼人間である。ラクーアと人間の間の恋は絶対禁物となっている。また、築き上げた文明の中に『海と共に生きる』があり、海水が自由に操れるが、簡単なことではない。王族やその側近ですら、いつでもできるわけではないらしい。ある時からラクーアの秘宝を狙った集団がカシスを襲いに来るようになり、その多くはカシスを去り、世界中に分布しているというが、人間さながらの生活をしているため、よほどのことがない限り見破られない…らしい。
2009/03/24 23:01
[118]姫御子
「う…うあああああああああああああああああ!!!」
「ルーク!?」
レイトン先生とアトラが同時に叫んだ。その瞬間だった。
ドクン
「!?」
なんだ!この感じ…僕の中で、僕の中で何かが…目覚める!?
だめだ!目覚めさせちゃいけない!
そう思った。なぜか。だか、この力は…この感じ…
狼?
いや、そんなわけはない!僕は人間だ!
そんなことを思いながら、僕は自分を力いっぱい押さえた。芽生えそうな何かを。全力で。
「ルーク!?ルーク!」
そして、そのまま…
どさっ
2009/03/26 18:29