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レイトン教授と罪人の晩餐

KOKUA

初めまして、KOKUAです。
初めて小説を書くので、
変になるかもしれません。
よろしくお願いします。

2011-05-08 14:04:07


KOKUA

どうも、KOKUAです。
新章スタートの更新を始めます。

-第3章- 悲愴なる怪人
レイトン達は、急いで噴水広場に
やって来た。沢山の雪が積もっていて、
血が綺麗に滲んでいた。
『伯爵』の遺体は、ホテルの従業員が
慎重に引き抜き雪原に置いた。
人々は悲惨な死体を見て、
息を呑んでいた。クラリスは
顔一面真っ青に染まった。
「エルシャール、早く確認しようぜ。」
「ああ、ジャック。」
レイトンはそっと、『伯爵』の
仮面を剥いだ。中の人は、
頭からも口からも血を流している
篠原健吾だった。
「ええっ!?シノハラさん!!?」
「エルシャール、これは自殺か?」
「いや、他殺だ。」
ジャックは、意外そうに眼を見開いた。
「何でだ?」
「自殺ならば、頭まで殴りつける
必要がないだろう。」
「レイトンさん、シノハラさんが
『伯爵』の正体なのですか?」
「聴取によって、トッド社長には
恨みなど無かった。勿論、『ウィッチ』にも
全く縁が無かった。恐らく、犯人は
シノハラさんが邪魔になったかもしれない。」
無縁な男は、悲惨なる死によって
人生に終止符を打ってしまった。
「・・・!エルシャール・・・。」
「どうした、ジャック?」
「シノハラの部屋は、どうなってんだ?」
「!!部屋に向かおう!
ベンソンさん、篠原さんの部屋は
何号室なんですか?」
「502号室です!」
「有難うございます!」
レイトン達は、再び急いで
篠原の部屋に向かった。

ーーーー「レイトンさん、これです!」
502と書かれた部屋が見つかった。
篠原の部屋で、一体何が起きたのだろうか。
「あれ?開いたぞ、エルシャール。」
「入るぞ!」
部屋に入ると、玄関には血が滴っていた。
「部屋に『伯爵』を入れた瞬間に、
頭に致命傷を負わせたのでしょうか?」
「そう考えるべきだね、ルーク。」
「レイトンさん、窓が開いてます!」
クラリスが指差した方向には、
全開に開いた窓があった。
窓の方向に、血の道が出来ていた。
その途中には奇妙に血が、
大量に滲んでいた。
「多分、ここで『伯爵』の衣装に
すり替えたのだろうな。」
「そして、放り出したワケだ。」
窓に行くと、下には像があった。
「運悪く、あの像に刺さったんですね。」
「いや、計画的にあの像に刺さったんだ。」
ルークは、少し反感を抱いた。
「そういえばレイトンさん、
あの時 突風が吹きましたよね。」
「もしかしてエルシャール、
突風がシノハラの身体をズラしたのか!?」
「確かこの時間帯には、必ず
突風が吹くと聞きましたよ!」
「タイミングを合わせたのか・・・。」
「そんな簡単に行くんでしょうか?」
「でも簡単にいったんだな・・・。」

ーーーーレイトン達は、再び
噴水広場に戻って来た。
すると、ベンソンがやって来た。
「朗報です!」
「ど、どうしたんですか?」
「電話が、電話が繋がりました!!」
「本当ですか!」
「スコットランドヤード警察署に、
連絡しました。チェルミー警部って
いう人に繋がりました。」
「ルーク達、ここで待ってくれ。」
「はい、先生。」

ーーーー「もしもし、チェルミー警部?」
「フン、お前か。どうやら大変な事が
起きたみたいだな。」
「はい、二人殺されました。」
「すまないな、今もそっちに
行けない状態なのだ。除雪作業が
なかなか難航しているのだ。」
「そうですか、繋がったので
良かったです・・・。」
「そうだな。レイトン、何か
調べたい事はあるかね?」
「一つ目は、二人目の被害者の
ケンゴ・シノハラは親族がいるか、
経歴などを調べて欲しいのです。」
「分かった、ジャパンの警察と
連絡を取り合ってみる。」
「二つ目は、エリック・ウォーキンが
起こした六年前の事件の詳細と
被害者の名簿に(省略します。)の、
12名の名前があるか調べて下さい。」
「ん?何か関連があるのか?」
「はい、大いにあります。」
「分かった、調べとく。」
「最後に、トッド・バムフォードと
エリック・ウォーキンの関係を
調べて下さい、お願いします。」
「OK、任せとけ。除雪作業が
終わったら、向かうからな。」
「了解です。」
レイトンは、電話を切り噴水広場に戻った。

次回もお楽しみに!

2012-08-21 10:33:40


KOKUA

どうも、KOKUAです。
更新を始めます。

「皆さん、お集まりしましたか?」
レイトンは、小走りで噴水広場に来た。
「やっと警察に連絡が出来るように
なりました。現在 除雪作業が
行われているようです。」
ホッとする人もいれば、無表情な人もいた。
ルークがふと噴水広場を見てると、
像の後ろに妙な物が見えた。
周りには、水で血が滲んでいた。
「先生!噴水に何かあります!!」
「何だって?」
レイトンとジャックは、
すぐに噴水に駆けつけた。
噴水には、黒光りした尖った石が
血が滲む中 沈んでいた。
「黒曜石だ。」
「これで、頭に殴りつけたのか。」
ジャックは、沈んでいた黒曜石を
篠原の傍に置いた。
「先生、これで『伯爵』の殺人は
終わりでしょうか?」
「毒殺ぐらいは、まだ可能かもしれないよ。」
「まだ『伯爵』は、懲りてませんよ。」
後ろを振り向くと、ユウがいた。
「『伯爵』は、決めた人は
死んでも殺しにいきますよ。」
「そ、そうなんですか。」
「しかしレイトン教授、クラリスさんの
場合はもう殺されませんよ。」
「そういう設定なんですか?」
「ええ、標的を殺し損ねると
何故か殺しにこなくなるんです。」
「そうですか・・・。」
「まぁ、対抗手段ならありますけど。」
「対抗手段?」
「『伯爵』には倒せない唯一の敵がいます。
それが『悲愴なる怪人』です。」
「!」
『悲愴なる怪人』とは、『絢爛なる伯爵』の
悪事を止める事が出来る敵のことだ。
『伯爵』とは逆に、泣いた表情の仮面・
黒のマント・泪のようなネクタイが
特徴的な架空の人物だ。
「現れてくれたらいいですね。」
ユウは、不思議な言葉を残し
噴水広場を去って行った。
「流石に遅いので、明日の朝方に行います。
それでは解散して下さい。」
容疑者や人々は、それぞれ散って行った。

ーーーーエレベーターの中には、
9階に向かうレイトン、ルーク、
クラリス、ジャックがいた。
「はぁ、一日でこんなに疲れるなんて。」
「うん・・・。」
流石に4人は、元気が無かった。
エレベーターは、7階、8階と行き、
9階でベルが鳴った。
「ルーク、降りるよ。」
「はい。」
扉が開くと、泣いた仮面の怪人が現れた。
「先生、あれは!!」
「『悲愴なる』・・・『怪人』!?」
すると『怪人』は、消えるように
右側の方を走っていた。
「な、何だったんだ、今の・・・。」
ルークとクラリスは、腰が抜けて
動けなくなった。レイトンとジャックは、
突然すぎて開いた口が塞がらなかった。

次回もお楽しみに!

2012-08-22 12:27:38


KOKUA

どうも、KOKUAです。
新たに登場人物を紹介します。

悲愴なる怪人(?)
ユウの小説「豪華な狂気」のキャラ

次回もお楽しみに!

2012-08-22 12:34:25


KOKUA

どうも、KOKUAです。
更新を始めます。

一夜明けて、レイトンとルークの
荷物チェックは幕を開けた。
レイトンは予め調べたが、
勿論『伯爵』の衣装は無かった。
「最初は、ジャックの部屋に向かおう。」
「分かりました。」

ーーーー「あとは、ユウさんの部屋だけですね。」
今まで周って見た荷物の中には、
衣装どころか血痕すら見つからなかった。
「あっ、部屋が見えて来ましたよ。」
ユウの部屋の403号室が見えてきた。
すべての部屋が開く鍵を、鍵穴に差し込んだ。
扉を開けると、部屋にはユウの姿は無く
鞄だけが独り取り残されていた。
「あれ?ユウさん、いませんね。」
「そうだね。・・・おや?」
レイトンはテーブルの上の紙切れに注目した。
「こんな所に紙の破片があるね。
・・・何か書いてあるね。」
「何て書かれているんですか?」
「『どうぞ、お調べして下さい。』と
書かれているね。では、調べようか。」
「そうですね、先生。」
鞄を開くと、様々な荷物が入っていた。
メモ帳や原稿用紙など仕事道具や
服が入っていた。レイトンとルークは、
入念に調べたが衣装や血のシミは無かった。
調べていく内に、レイトンは
メモ帳の名前に目を付けた。
するとレイトンは、微笑した。
「どうしましたか、先生?」
「いや、何でもないよ。」
ルークは疑問を感じる顔になった。
「手がかりは無かったね。」
「そうですね。部屋を出ましょうか?」
「そうだね、そろそろ朝食の
時間だ。では、部屋に戻ろう。」
レイトンは、鞄をきっちり閉めて
部屋から出て行った。
「ルーク、実は『絢爛なる伯爵』ではなく
『悲愴なる怪人』の正体が分かったんだ。」
「えっ!?待ってくださいよ、先生!!
会ったのは一回だけですよ!?」
「あの一瞬の驚きであれば、
姿も覚えられる。恐らく目的は、
私達に対して警告するためじゃないかと思う。」
「誰なんですか、正体は?」
「まだ教えることは出来ない。
もう少し観察をさせてくれないか。」
「『怪人』の正体に、確定がつくまでですか?」
「その通りだ、ルーク。」
「じゃあ、これだけでも教えて下さい。
『怪人』は容疑者の中にいるんですか?」
「正解だ、ルーク。」「誰ですか?」
「秘密だ、ルーク。部屋に行くよ。」
「・・・。」

ーーーー部屋に戻ると、ちょうど
従業員の女性が朝食を持って来ていた。
「あっ、レイトン様ですか?」
「はい。」
「朝食を持って来ました。あっ、
それとスコットランドヤード警察署から
連絡が来ました。朝食後に、
ロビーに来て下さいませ。」
「了解しました。」
従業員の女性は、朝食を置いて
廊下の左に去って行った。
すると、グーッと腹が鳴った。
「うぅ、お腹が減りました~。
早く頂きましょう。」
「そうだね、ルーク。」
レイトンとルークは、朝食を
持って部屋に入って行った。

次回もお楽しみに!

2012-08-29 18:45:53


KOKUA

どうもKOKUAです。
更新を始めます。

朝食を食べ終わったレイトンは、
電話機のあるロビーに訪れて来た。
「あっ、レイトン様、
こちらの電話でございます。」
従業員の女性は、電話機を差し出した。
「有難うございます。」
レイトンはお礼を言うと、
女性は一礼をして去って行った。
「もしもし、チェルミー警部ですか?」
「レイトンか、報告の連絡だ。」
「協力してくれて有難うございます。
何か分かりましたか?」
「まず、シノハラという男についてだ。
ジャパンの警察によると、彼は
ルポライターではなく裏社会の
ネタを取材するジャーナリストだった。
コウチでは有名な''ドブネズミ''だとさ。」
「成る程、では親族の方は?」
「解決済みだが、通り魔事件で
両親は殺されてしまったそうだ。
だから、引き取り手がいない。」
「そうですか・・・。」
「遺体は、ジャパンに送る事にする。」
「分かりました、チェルミー警部。」
「あと、バムフォード氏と
被害者のエリックとの関連性は無かった。」
「本当ですか?」
「うむ、どうやら仕事で一緒に
なった事はあるらしい。」
「どういう事なんでしょうか?
関連性の無い2人が殺されるなんて・・・。」
「邪魔だったんじゃないか?」
「成る程、そうも捉えられますね。」
「最後の情報だ。ちゃんと聞けよ。」
「最後の情報が、鍵を握りますからね。
一語一句聞き逃したりはしませんよ。」
「フランソワ・シャルソン以外の
容疑者は、事件現場にいたそうだ。」
「有難うございます。申し訳ありませんが、
まだ調べて欲しい事があるんです。」
「何だ?」

ーーーー「これで『怪人』の正体が
分かるんでしょうか?」
「ああ、連絡が来るまでは様子を見るしかない。
そういえばショーは何時からだい、ルーク?」
「えっと・・・、午後19時からですね。」
「それまで現場検証をしよう。
何か重要な物が見つかるかもしれない。」
「そうですね。」

次回もお楽しみに‼

2012-12-01 18:10:00


KOKUA

どうもKOKUAです。
更新を始めます。

「黒曜石以外、何も見つからなかったですね。」
長時間の検証は何も得る事が出来なかった。
「大丈夫か、エルシャール?」
「!」
後ろを振り向くとベンソンが、
諦めたかのようにレイトンを
エルシャールと呼んだ。
『本当に同級生なんだ・・・。』
ルークは複雑な面持ちで見つめた。
「やっぱりミズリーと関係あるのか?」
ミズリー・ガブリエルとは、
エリック・ウォーキンに殺された
元人気モデルだ。
「・・・きっと、あるだろうな。」
「・・・俺たち、変わっちまったな・・・。
けど、みんな悲しみを負っている・・・。
それは、確かな事だよな。」
「ああ、そうだな、ベンソン。」
「解決したら・・・、俺たちの
傷は癒えるかなぁ・・・。
少なくとも、そう確信したいよ。」
「・・・絶対に解決する。だから、
もう少し待っててくれ。」
「ああ。」
ルークは少なからず、レイトンと
ベンソンの間にある蟠りは
少し溶けたような気がした。

ーーーー「もうすぐでショーの時間だ。
今華やかに魅せる余裕なんてないのに・・・。」
すると黒電話が鳴り響いた。
「あれ?繋がりにくい状況なのに・・・。
誰だろう、こんな時に。」
電話に出ると若干雑音が聴こえた。
「?イタズラ電話かなぁ?」
すると、笑い声が高く聴こえた。
「やあ、クラリス・ジンジャー。
『伯爵』からの第3の殺人の報せだ。」
「『伯爵』だ!!」
クラリスの顔は直ぐに青くなった。
「・・・と言いたいところだが、
今日は教えまい。不自然を感じれば、
殺す標的は分かる。」
「犯人を明かさないの!?」
「流石に察しがつくのは、困る。
では、ショーに行ってらっしゃい。
お嬢さん(Frulein)」
黒電話は切れ切れと音を奏でた。
『洒落たドイツ語まで使ってくるのね、
・・・もう、・・・イヤだ。』
化粧を落とす勢いで、大粒の
涙が頬を伝って行った。

ーーーー「ショーまで、あと1時間半・・・。
では、誘い込まなくては。そう彼奴を。」

次回もお楽しみに‼

2012-12-01 18:52:57


KOKUA

どうもKOKUAです。
更新を始めます。

クラリスは扉を出て、急いで
メイク室へと駆け出して向かった。
メイク室の前には、レイトン達がいた。
「おっ、クラリス!」
ジャックが走って来るクラリスを呼びかけた。
「あっ、皆さん・・・。」
「あれからどうだ?
何かおかしな事は起きなかったか?」
「『伯爵』から電話が来たわ。」
『伯爵』の名前が聞こえたからか、
メイク室も若干騒がしくなった。
「そうですか。クラリス、『伯爵』は
誰を殺すか言ったかい?」
「それが、誰を殺すか言わなかったんです。
あの騒動があっては、もう予告できないと。」
「チッ、これじゃあ埒があかないぜ!」
「慎重に見たか・・・。」
「これでは、守る体勢になれない
じゃないですか!」
「そうだね・・・、ではショーを
見ながら警戒するしかないね。」
「しかしエルシャール、次は
どいつが殺られちまうんだ。」
「分からないが、エリックが起こした事件と
関係あるに違いはないね。とにかく
クラリス、私達が警備するから
安心してショーに出なさい。」
「今は気にするな、クラリス。
・・・とにかく、言って来い。」
「うん・・・。」
クラリスは、メイク室に入って行った。
すると副社長のブラッド・ブルーマンが、
苛立ちを見せながら現れた。
携帯電話を片手に会話をしているようだ。
「だから、今は・・・。えっ?
そうなのか?・・。うん、うん、
・・・そうか、分かった。すぐに行く。
・・・えっ?ショーは見ないのかって?
あぁ、大丈夫だ。じゃあ、待っていてくれ。」
急に落ち着いたので、ルークは疑った。
するとポケットから、鼠のトッピーが出て来た。
「どうしたの、トッピー?」
「チュー、チュチュ、チュチュー。
(見に行こうか、あの人の、部屋にー。)」
「チュチュ。チュッチュチュー。
(分かった。気をつけてね。)」
トッピーは気配を消しながら、
ブルーマンの跡を追いかけて行った。
『頼んだよ、トッピー。死なないでね・・・。』
そんなささやかな願いを胸にホールへ向かった。

次回もお楽しみに‼

2012-12-06 18:58:07


KOKUA

どうも、KOKUAです。
また登場人物を加えます。

トッピー(?)ルークの相棒

次回もお楽しみに‼

2012-12-06 19:02:05


KOKUA

どうもKOKUAです。
更新を始めます。

ホールに行くと、トッドの遺体の跡形もなく
煌びやかなライトとステージがある。
近くにベンソンがいたので、レイトンは
トッドについて聞いて見る事にした。
「ベンソン、トッド社長の遺体は?」
「遺体は安静室に置いてあるよ。
腐らないように、慎重に保存してある。」
「そうか・・・。」
ホールが何時もより、暗い印象が
少し際立った気がした。

ーーーーブルーマンは、客室の扉を叩いた。
トッピーは隙間が出来るのを、
小さな瞳で伺っている。
しかし扉の向こうから、反応はない。
「ん?いないのか?」
ドアノブを捻ると、開いた。
トッピーは隙間に駆けて行った。
「入るぞ。ん?いたいた。お前、何の用だ?」
よく見ると、人がいた。
ブルーマンは、扉を閉めた。

ーーーー「美味しいですね、料理。」
「ああ、だけど警戒もしていかなくては。」
「疲れますね、意外と。」
すると、会場は暗くなっていった。
「始まるぞ、エルシャール。」
すると黒いタキシードを着たスタッフが、
颯爽と現れて来た。
「では、これから創業30年記念のショーを
開催したいと思います。皆さん、
大きな拍手と歓声をお願いします!」
まるで殺人がなかったかのように、
大きな拍手と歓声が揚がった。
しかしブルーマンは、一向に帰ってこない。
『ブルーマン、何処へいったのかしら?』
社長は冷静に心配をした。

ーーーー「・・・ん?」
冷たい空気が張り詰めている部屋に、
ブルーマンは手足をガムテープで
硬く縛られていた。口も塞がれていた。
排気口には、トッピーがいた。
「んぐっ!!んーっ、んーっ!!
うぐ・・・。フーフーフー」
ブルーマンは、『伯爵』の後ろ姿に
気付き、必死に藻掻き足掻いている。
『伯爵』の衣装は、血に塗れている。
しかも、仮面にも血が付着している。
すると、『伯爵』はブルーマンに近づき、
口を塞いでいたガムテープを剥がした。
「ぷはっ!!・・・ハー、ハー、ハー・・・」
彼の口だけは、自由になった。
「お前、いきなり襲いかかるとは
どういう事だ!?」
「あまり大声を出さないでくれるか?」
「くっ・・・。」
「私はあの事件の復讐を、したいだけだ。」
「あの事件?」
「だから、消えてもらう。
ただそれだけど話だ。」
マントから拳銃の輪郭が見えた。
ブルーマンの顔色は、すぐに蒼くなった。
「嘘だ・・・。や、やめろ・・・。」
「最期に何か言いたいだろ?
聞いてやる、何か言いたまえ。」
「お前は、誤解してる!!頼むから、
これ以上社長を悲しませるな!!!」
『伯爵』は、ブルーマンの口に
銃口を突っ込み、呟いた。
「・・・戯け」
バンッ
零距離射殺だった
トッピーは驚愕し震えた
『伯爵』は笑っていた
ブルーマンは無惨だった
しかし部屋は冷たかった

次回もお楽しみに!

2012-12-09 23:11:27


KOKUA

どうもKOKUAです。
更新を始めます。

「『ウィッチ』『セピア・ピアノ』の
新たなるブランドの精鋭の鮮やかな
共演と対決をご覧ください。」
MCは、甲高い一声を揚げて紹介した。
「始まるな、エルシャール。」
「そうだね。」
「クラリスさんの衣装、楽しみですね。」
「ああ、何も起きなければいいけどね。」
様々な人々が見守る中、
照明は少し落とされた。
「まずは、『セピア・ピアノ』、
テーマは『咲き誇る花々』です。
まるでそれは彩りの世界。」
充血していたシャルソンの瞳は、
何時の間にか普通に戻っていた。
泣き顔もいつしかモデルらしい、
美しい顔立ちに変貌していた。
鮮やかな花がシャルソンを飾っていた。
「凄いですね、シャルソンさん。」
「見違えるほどだね。」
会場は感嘆に包まれていた。
「はぁ!?本当か?」
「嘘でしょう!?どうするのよ!」
「?」
血相を変えて、楽屋に向かう
クルーザーとスーザンが見えた。
「何かあったのでしょうか?」
「おいおい、何か遭ったんじゃねぇのか!?」
「楽屋に行ってみよう!」

ーーーー「あっ!い、衣装がっ!!」
知らないうちに衣装が八つ裂きにされていた。
「あっ、皆さん・・・!」
「これ、一体何があったんだ?」
「多分、シャルソンさんがやったんだと思う。」
「逆恨みですか、何て酷い事を!!」
スーザンとクルーザーは
深刻な顔で話し合っていた。
「ねぇ、テーブルクロスを使う?」
「なるほど・・・、ドレスにするか。」
「うん、汚れてないのを優先しよう。
まだ出番まで間に合うから急ごう!」
「おい!テーブルクロスを集めろ!」
「あの、ベットのシーツも使いますか?
これしかありませんが・・・。」
「悪ぃな!あと、何枚必要になるか?」
「あと一枚でイケるわ!」
「でもスパンコールは、どうする?」
「頭の飾りの予備はあるけど・・・。」
クラリスの顔からは、焦りが滲んでいた。
ジャックはいきなり閃いた。
「スパンコールじゃなくても、
輝くモンがあるじゃねぇのか?」
「どういう事?ジャック。」
「これだよ、これを砕こう!」
「なるほど!ベンソンさん、
使わないグラスを持って来てくれませんか?」
「か、畏まりました!」

ーーーー「劉さん!」
「ん?どうかしたか、レイトンさん。」
「テーブルクロスを引けますか?」
「大丈夫だけど・・・。」
「一枚必要なんです!」
「何か遭ったんだな?よし!任せろ!」
客のいるテーブルに駆け寄った劉は、
和やかな顔をしてクロスをつまんだ。
「I am sorry, I would like you to enjoy little entertainment from now on. It goes. 3, 2, 1 ...
(失礼します、これからちょっとした
余興を楽しんで頂きたい。
では、行きますよ。3、2、1・・・)」
一気にテーブルクロスが下へ流れていった。
客達は、目玉が飛び出るほど驚いた。
そして拍手が少し起きた。
「ホラ!速く持っていきな!!」
「有難うございます、劉さん。」

ーーーー「スーザンさん、これを!」
「有難う、紳士さん!よし、これで
何とか一つの作品は出来るわ!!」
スーザンの手は、クラリスの些細な
動きさえ許しはしなかった。

次回もお楽しみに!

2012-12-13 22:35:42


KOKUA

どうもKOKUAです。
更新を始めます。

「続いては、『ウィッチ』、テーマは・・・。」
するとスタッフが現れて耳打ちをした。
「申し訳ありません。テーマは、
『夜空の星々』でしたが
急遽、『純白の煌めき』に変更されました。」
『えっ?』
カーテンから少し覗いていたのは、
ドレスを引き裂いた真犯人のシャルソンだった。
『嘘でしょう?あんなにビリビリに
引き裂いたのに、作り直したっていうの!?
こんな短時間に、出来るっていうの!?』
すると照明が完全に消え失せた。
会場は突然消えたので停電騒ぎになった。
その時、ステージライトが光った。
現れたのは、眩い純白のドレスを
包んだクラリスだった。
割れたグラスの破片は、まるで
夜空の星々を彷彿させた。
『そんな・・・、馬鹿な・・・。』
「うわぁ、ロマンチックなドレスね。」
「テーマにピッタリな眩さね、素晴らしいわぁ。」
「美しいなぁ。」
会場は賞賛の声でいっぱいだった。
「うわぁ、綺麗ですね!」
「すげぇな。テーブルクロスとシーツ、
グラスの破片であんなドレスが出来んのか?」
「ああ、信じられないね。」
兎に角、無事に弔い合戦は終わった。
「これで創業30年記念ショーは、
終了致します。結果は明日発表します。」

ーーーーレイトン達は、楽屋に向かった。
クラリスは、紅のグロスを落としていた所だった。
「おーい、クラリス!」
「あっ、ジャック。助かったわ、
レイトンさんもルーク君も有難う。」
「礼には及びませんよ。」
「しかしスーザンさんとクルーザーさん、
凄いですね。あんな短時間にドレスを
完璧に作り上げるなんて・・・。」
「そりゃあそうだよ、ルーク君。」
ベンソンがぶらっと楽屋に現れた。
「2人共、チーフデザイナーだからな。
昔から凄い素質を持っていたんだよ。」
「へぇ、凄いですね。」
「だから彗星の如くって感じなんだ。
『The double of Mr. Wilson
(ウィルソンの影武者)』って謳われていたほどさ。」
「『The double of Mr. Wilson』・・・。」
すると、遠くから悲鳴が上がった。
「きゃーっ‼ね、鼠よーっ!」
『トッピー?』
「チュー!チュー!チュー!」
トッピーがやっと帰還してきた。
しかし、よく見ると血が付着していた。
「チュー!チュチュ?チュッチュチュー!
(トッピー!どうしたの?血がついてるよ!)」
「チュ、チュー、チューチュー・・・。
(ひ、人が、撃たれた・・・。)」
「チュー!?チュッチューッ!!?
(えぇ!?ブルーマンさんが死んだの!!?)」
「チュー・・・。(うん・・・。)」
トッピーの円な瞳から小さな涙が浮かんだ。
「先生、また犠牲者が・・・。」
「何だって!?」
「!!」
楽屋が一気に凍りついた。

ーーーートッピーの案内で辿り着いたのは、
トッド社長と篠原健吾の遺体が
置いている、地下室だった。
レイトンとルークと容疑者は、息を呑んだ。
「では、開けますよ。」
鉄の扉が重苦しく開いた。
そして灯が真っ青に灯された。
「きゃーっ‼!」
女性の容疑者は悲鳴を上げながら、
後退りをした。男性の容疑者は
震えながら血塗れの遺体を黙って見ていた。
しかし冷や汗は誰も止まらなかった。
ブラッド・ブルーマン、
3人目の死亡者になり、
無惨な姿で地獄へ堕ちてしまった。

次回もお楽しみに!

2012-12-15 18:00:03


KOKUA

どうもKOKUAです。
更新を始めます。

「なぁ、エルシャール。」
「何だい、ジャック?」
「ファッションショーが始まって
終わるまで、ブルーマンとかいう男だけ
外に居たんだよな?しかも銃殺・・・。
どうやって殺せたんだよ!?」
「兎に角、現場を見てみよう。」
冷たい灰色の部屋には、死体と血痕が
山ほど残っていた。するとルークは、
白い物を見つけたので近づいて見た。
「先生、来てくれませんか?
こんな所に羽毛がありますよ。」
「・・・!成る程、クッションか枕を使って
犯行に及んだのか。もしかしたら、客室を
徹底的に調べれば炙り出せるかもしれない。」
「銃声を消音する為に持ち込んだのですね。」
「とりあえず、ルーク。君は
チェルミー警部にこれを報告してくれ。」
レイトンは、ポケットからメモを出した。
「分かりました。」
「皆さんは、一旦部屋から出ましょう。」

ーーーー「もしもし、チェルミー警部ですか?」
「ん?その声は、ルークか?」
「はい、実はまた被害者が出ました。
被害者の名前は、ブラッド・ブルーマン。
『ウィッチ』の副社長です。」
「くっ・・・。このままでは、
犯罪係数がまた拡大してしまうじゃないか!?」
「チェルミー警部・・・。」
「ルーク、もう暫し待て。
除雪がなかなか進まなくてな。
終わったら絶対に現場に向かう、
約束は必ず護ってみせるからな。」
「はい、チェルミー警部!」
二人の会話からは、結束が垣間見えてる。
「ところで、例の件は?」
「あぁ、調べ終わったぞ。実はな・・・。」
「・・・分かりました。
またまた調べて欲しいのですが、
容疑者の経歴を調べて欲しいのです。
ん?ただし・・・。・・・お願いします。」
「だいぶ絞られたか。分かった、
ルーク、健闘祈るぞ。」

次回もお楽しみに!

2012-12-23 21:16:03


KOKUA

どうもKOKUAです。
更新を始めます。

レイトン達は、ホールに戻った。
しかし冷やかな空気は、変わらずに
漂っている。誰もこれほどの被害者が
出てくる事自体、想定しなかったのだ。
するとルークが、ホールに戻ってきた。
「先生、メモの事を伝えに行きました。」
「有難う、ルーク。あ、そうだ。
ルーク、皆さんに待つように言っといてくれ。」
「はい、分かりました。」

ーーーーレイトンは、ホールを出て
廊下を歩いているとラストが現れた。
「おや、どうかされましたか?」
「トイレに行っていました。」
「・・・そろそろ、本当の事を
話して貰うよ。君の正体をね。」
「!!」

ーーーー「あっ、先生。」
ルークは、ホールに戻ってきた
レイトンの所に走っていった。
「ルーク、案内したい所がある。
容疑者全員を呼んでくれないか?」
「えっ、何かするのですか?」
「ああ、『怪人』の正体を明かすよ。」
「『悲壮なる怪人』の正体ですか!?」
「その通りだ。」

ーーーー「なぁ、エルシャール。
こんな薄暗い廊下で何をする気だ?」
「ジャック、クラリス。覚えているかい?
昨日の出来事を・・・。」
「『悲壮なる怪人』が現れた事?」
廊下が少しざわめいた。
「What is it as "a tragic mystery man"?
(『悲壮なる怪人』って何ですか?)」
劉は、流暢な英語で疑問を呈した。
「Characters of "the gorgeous insanity" of
a novel which You Last wrote.
"a gorgeous earl" an enemy,Mr. Ryu.
(ユウ・ラストが書いた小説の
「豪華な狂気」の登場人物。
『絢爛なる伯爵』の敵よ、劉さん。)」
レイトンが流暢に回答した。
「その『怪人』が、何か事件と
関連しているのかしら?」
ウィルソン社長は、饒舌に疑問を呈した。
「いえ、全くもってございません。」
レイトンは饒舌に回答した。
「えっ!?じゃあ、何であたし達を
呼んだのよ、紳士さん!!」
「これじゃあ、何の埒もあかないんじゃあ
ないのか?何が言いたいんだ!?」
スーザンとロビンは苦言を呈した。
「容疑者の一人が『怪人』なんですよ。
それと、ルーク。話していなかったんだが、
このホテルに来たのはファッションショーを
見る為と、もう一つ理由があったんだ。」
「えぇっ!?」
「どういう事なのですか!?レイトンさん!」
クラリスが力強く疑問を呈した。
するとベンソンがある事に気付いた。
「あれ?エルシャール、何か
一人足りなくないか?・・・あっ!」
「先生、・・・まさか・・・。」
するとレイトンは、ニヤリと微笑んだ。
「そう・・・。」
廊下が靴の音で、いっぱいに響いた。
黒いマントが風で靡いていた。
ルークと容疑者は、青褪めた。
「その、まさか、だよ。ルーク」
『悲壮なる怪人』が哀しい顔で現れた。
「さあ、仮面を剥いで貰うよ。
ユウ・ラスト、いや、
ライラ・エヴァンス。
・・・いや・・・。」
パカッ・・・
「レミ・アルタワ」

次回もお楽しみに!

2012-12-29 13:49:43


KOKUA

どうもKOKUAです。
更新を始めます。

「えぇっ!!?レ、レミさん!?」
「あらら、バレちゃったわね。」
笑顔でルークに話しかけたのは、
レイトンの助手のレミ・アルタワだった。
「エルシャール、どういう事なんだ?」
いきなり知らない人が現れて、
ジャックはよく状況を飲み込めなかった。
「まずレミの事を話しましょう。」
「レミっていう名前なのですか?」
「ええ、私はレミ・アルタワと言います。」
「へ、へぇ・・・。」
やはり飲み込むには時間がかかりそうだ。
「レミ、何で来たのかい?
留守番を頼んでいたのに・・・。」
「ズルいなぁと思って、本物の
ユウ・ラストに頼んだのですよ。
そうしたら、笑ってましたけど
許可をもらう事が出来たんですよ。」
「あんた、本物と友達なの!?」
「大学時代の友人ですよ。」
「それでわざわざ変装したのか・・・。」
「そうですよ!だけど何故私だと
分かったのですか?」
「部屋の捜索が功を奏したんだよ。
衣装を隠したつもりだったろうけど、
君の愛用してるノートとカメラがあったんだ。
その後、ユウ・ラストが何処にいるか確かめたよ。」
「そうですよ。ノートとカメラを
隠すのを忘れたんですよ。その時点で、
マズイなぁと思ったんですよ。」
「ハハハ、まぁいいさ。
ところで部屋を去る時に置いたメモに
書かれた事は、やってきたかい?」
「して来ましたよ。」
廊下は再びざわめいた。
どういう事なのか分からず、
複雑な空気が流れて来た。
「ここからが、本題です。
実はファッションショーの招待券と共に
差出人不明の手紙が来たのです。」
「あっ!そういえば来ていましたね。」
ルークは思い出したようだ。
レイトン宛に届いた謎の手紙の内容を・・・。
「ルーク、私達はこのホテルの謎を
解く為にやって来たんだよ。」
先程よりも大きなざわめきが起きた。
「手紙にはこんな事が書かれていました。」

『レイトン教授へ
私はある過去があります。
私はとても悲しい傷を負っています。
私は復讐を企てています。
死んだあの人に、八つ裂きにされた
心を治して欲しいんです。
遺言にホテル『クリミナル』の
名前がありました。
其処に私が探し求める物があるのです。
どうか探して欲しい。
あの人の真意を見つけてください。
その間に邪魔者を排除してきます。
ファッションショーを
『罪人の晩餐』に・・・
絢爛なる伯爵』

「私は復讐を止めに、遺された物を
探しに来たのです。」
ざわめきが止まった。いや、むしろ
悲しみのざわめきが起きた。
「・・・。」
クラリスは、胸が苦しくなった。
ジャックは、過去を思い出した。
ウィルソンは、眼が見開いた。
クルーザーは、至って冷静だった。
スーザンは、理解出来ずに頭を掻きむしった。
セットンは、パイプをふかしていた。
劉は、若干青褪めていた。
ベンソンも、過去を思い出した。
「それによって、容疑者も絞れました。
それは、ウィルソン社長、クルーザーさん、
スーザンさん、クルーザーさん、セットンさん、
劉さん、ベンソン、ジャックの八人です。」
クラリスが容疑者から外れた。
彼女は元々脅されている身である。
「あの人の検討もついています。」
「・・・ミズリーか・・・?
・・・ミズリー・ガブリエルか・・・?」
「・・・ああ・・・。」
「・・・ミズリー・・・か・・・。」
同級生の間には哀しみしか広がらなかった。
「絶対に解決する。」
それは強い決意だった。

次回もお楽しみに!

2012-12-31 13:28:32


KOKUA

どうも、KOKUAです。
新章スタートの更新を始めます。

-第4章- 奈落の底に
あまりにも目覚めの悪い夜だった。
レイトンは、洗面台に赴いた。
顔を見ると、腫れていたのが一目で分かった。
『珍しく泣いてしまったか・・・。』
小さな瞳は、一面充血していた。
するとノックの音が聞こえて来た。
『誰だろう?』
扉を開けるとベンソンが現れた。
「エルシャール、ちょっといいか?」

ーーーー「ここは?」
「ホテルの秘密を暴くんだろう?
俺がワイン蔵にいった時に扉を見つけたんだ。」
樽を退けると、地下に繋がる扉があった。
ベンソンは力一杯に、扉を開けた。
「入れ、ここに何かあるかもしれないからさ。」
「有難う、ベンソン。」
レイトンは、ホテルの奈落に踏み入れていった。

ーーーー暫く経ってレイトンが帰ってきた。
「あったか?」
「あったよ。ミズリーのメッセージが・・・。」
「そうか・・・。何て書いてあったか?」
「今は伝えられない・・・。
今までの事件を解決したら伝える。」
「分かった・・・。」
レイトンは先に出て行った。
ベンソンは見てしまった、
レイトンから一筋の涙が流れた。
ミズリーのメッセージは、
一体なんだったのだろうか?

次回もお楽しみに!

2012-12-31 13:53:10


KOKUA

どうもKOKUAです。
更新を始めます。

部屋に戻ると、レイトンは
トレードマークであるシルクハットを
脱ぎ、紅茶を淹れた。
腫れた顔を隠しながら飲んだ。
ふとレイトンは、ミズリーを思い出した。
『ミズリー・・・、君は何が遭ったんだ。
暫く会わない内にこんな事が・・・。』

ーーーー15年前のグレッセンへラーカレッジにて
「ミズリー!」
「あっ、エルシャール!ジャック!クレア!」
広場に若かりし頃の4人が集まっていた。
遅れてエリックとベンソンがやって来た。
「あー、講義、長かったなぁ。」
「エリック、途中で寝ていたでしょう?」
「ね、寝ていねぇし!」
「ハハハ、怒られても知らないよ。」
「そうね、あの先生、怖いからね~。」
「そういえば昼飯は何処で食べるか?」
「最近、とても美味しいレストランを
見つけたんだよ。そこに行くかい?」
「本当!?行こう行こう!」

ーーーーベンソンが紹介したレストランに
到着したレイトン達は、早速、
空いている席に急ぎめに着席した。
皆は飲み物と食べ物を頼み、寛いでいる。
すると、ミズリーが
「そういえば、皆はどんな将来を持ってるの?」
と聞いてきた。レイトン達は、キョトンとした。
「珍しいわね、ミズリーが質問するなんて。」
「えっ、そう?・・・じゃあ、
クレアは何になりたいの?」
「私は、科学者。未来に役立つ物を創りたいの。」
「へぇ、壮大だねぇ。じゃあ、ジャックは?」
「俺は、心理に興味があるから
大学に入ったから、心理学者になる。」
「僕は、エリックとデザイナーに
なるって決めてるんだ。」
「そうだよな。だって親友だもんなぁー!」
するとエリックが肩を組んできた。
ベンソンは苦笑いしているが、
皆は爆笑していた。
「エルシャールは、何だよ?」
「僕は、教授になって考古学を教えるよ。
ミズリーは何になるんだい?」
「私はねぇ・・・、モデル!
モデルがとてもなりたい職業なのよ!」
「ふふふ、子供みたーい。」
バーン!
すると、銃声が聞こえてきた。
「!!」
「な、何だ!?」
「おい、動くなよ!!」
涙目になっている男が、拳銃を乱射していた。
「ハァハァ、・・・よし。
こ、これで全員だな?絶対に動くなよ。」
何故かレイトン達の存在は気付かれなかった。
「トイレしたかったら、俺に言え。
あと、絶対に警察を呼ぶんじゃねぇぞ!
もし呼んだら・・・。」
男は拳銃を床に置き、コートを開けた。
腹回りにダイナマイトが巻かれていた。
『だ、ダイナマイト!?』
「こうだからな!分かるだろ!?」
子供の泣き声が聞こえてきた。
男は、拳銃を拾い上げた。
すると一筋の涙が零れ、溢れ出した。
「すまねぇな、嬢ちゃん・・・。
もう俺は、生きていけないんだ・・・。」
『皆を巻き込んで、自殺する気か?』
『そうみたい・・・。』
『気付かれてないし、呼ぶか?』
『いや、辞めとけ。気付かれたらどうすんだ!?』
すると、スーツを着た男が手を挙げた。
「トイレか?」
「いや、刑事です。」
『!』
『お、お父さん!』
『ミズリーの親父さんじゃねぇか!?』
そこには、ミズリーの父親で
スコットランドヤードの警察署の
刑事であるステイル・ガブリエルがいた。

次回もお楽しみに!

2013-01-02 15:45:41


KOKUA

どうも、KOKUAです。
新たに登場人物を紹介します。

クレア・フォーリー
ステイル・ガブリエル(53) 警部補
ジョン・ウォーキン(24) 自殺しようとする男
マシュー・クラストン(61) 医者
アラン・ディミトリー
ライザ・ジュード(45) 教授

次回もお楽しみに!

2013-01-02 16:01:03


KOKUA

どうもKOKUAです。
更新を始めます。

「け、刑事!?」
「そうです、お願いがあるんです。」
すると手を差し伸べた。
「スイッチを渡しなさい。」
「い、嫌だ!!嫌に決まってんだろう!」
「嫌でも、銃とスイッチを渡しなさい。
あなたの自殺は、誰も望んでいません!」
「俺の事、知らないくせに!
な、生意気な事を言うな!!
り、リストラ・・・され、た俺に・・・、
生きる価値なんて無いよ!!」
「だからと言って、人を巻き込むとは
どういう事なんだ!!スイッチを渡せ!!」
するとステイル刑事は、歩み寄った。
「おい!動くなって言ってんだろ!!」
ステイル刑事は、後ろを振り向いた。
ミズリーと目が合った。
『お父さん!』
「あっ!そこにもいたのか!?」
「ミズリー!レイトン君達!生きろ!!」
すると犯人に飛びかかった!
ダイナマイトを引き千切ると、男は、
スイッチを押した。パッと振り返ると
エリックと目が合った。
その瞬間、青褪めた二人はこう言った。
「兄貴・・・!」
「・・・エリック・・・」
ドガーン!!!!

ーーーーレストランは燃えている。
群衆は、焦げ果てていた。
「酷い事になっているな・・・。」
ゴードン刑事と若かりし頃のチェルミーが、
火災現場であるレストランに到着した。
「チェルミー、手分けして
生存者を探すぞ。ステイルさんが、
現場にいたそうなんだ。俺は、
ステイルさんを探しに行く。」
「分かりました!」

ーーーー「・・・うっ・・・。」
レイトンが頭から流血しながら目覚めた。
同時にクレアも眼を開けた。
「エルシャール、大丈夫!?
あっ・・・、血が流れているわよ!!」
「大丈夫ではないな・・・。」
「ジッとしていて!皆を探すわ!」
「う・・・」
レイトンは苦しそうに、倒れこんだ。
クレアは身体を見たが、無傷だった。
『エルシャールが、護ってくれたんだわ。』
そう思っていると、他の4人を発見した。
「ミズリー達!だ、大丈夫!?」
レイトンは匍匐前進しながら、やって来た。
「エルシャール!ジッとしていてって、
言ったのに・・・。」
「放っておけないだろう?」
「エルシャール?クレア?」
ミズリーが目覚めた。無傷だった。
「クレアは無事だったのね!
エルシャールは大丈夫なの?」
「頭がグラグラするよ・・・。」
その内に、ジャックとベンソン、エリックが
目覚めた。エルシャールは再び伏せた。
「クレア・・・、ミズリー・・・。」
エリックが目を移ろわせながら言った。
「・・・からだが・・・うごかない・・・。」
「本当に!?」
レイトンもジャックもベンソンもエリックも、
皆骨折をしてしまい、動けなくなった。
「・・・あと、だいなまいとを・・・
くくっていたひと・・・、おれのあにだった。」
「そんな!!」
ミズリーは涙が溢れ出た。
クレアは優しく包み込んだ。
「お父さぁん・・・。うわあぁぁ!!!」
「ごめんな・・・、みずりー。」
エリックも涙が溢れ出た。
「どうすんだ・・・?」
「助けも・・・来ないし・・・。」
「待つしか無いだろうな・・・。」
「おーい!!君達!!」
すると、チェルミーが現れた。
「大丈夫か!?」
「助けてください!!私とクレアが
無事なんですけど!他の皆が骨折して、
骨折して動けないんです!!あぁぁ・・・。」
「分かった。こちらチェルミーです!
こちらに負傷者4人!救急車を要請します!!」
「お父さんは?」
「えっ?」
「ステイル・ガブリエルは!
無事なんですか!?」
「いや、まだ連絡が・・・。」
『もしもし、チェルミー?
こちらゴードンだ。ステイルさんが、
爆死をしていた・・・。』
「・・・こちらに、娘さんが・・・。」
『・・・死んだ事を伝えてくれるか?』
「分かりました。」
連絡を切ったあと、深刻な顔持ちで
ミズリーの顔を見つめた。
「お嬢さん、残念ながら・・・、
ステイル刑事は・・・。」
「!!」
暫く静かな空気が流れていった。
虚空を切り裂くように金切り声があがった。
そして倒れ込んで、溢れんばかりの涙が零れた。
「ミズリー・・・」
救急車の赤いサイレンが、
全てを掻き消してしまった・・・。

次回もお楽しみに!

2013-01-02 22:08:37


KOKUA

どうもKOKUAです。
更新を始めます。

病院に搬送されたレイトン達は、
酷い骨折と出血をしている事が判明した。
レイトンとジャックは比較的軽かった為、
病室に移された。しかし、ベンソンと
エリックは今も集中治療室で安静にしている。

ーーーーレイトンが窓を見つめていると、
クレアが病室に入室して来た。
「大丈夫?エルシャール、ジャック。」
「ああ、大丈夫だよ。」
「まぁ、折れちまったけどさ。」
クレアは周りを見渡した。
「そういえば、ベンソンとエリックは?」
「集中治療室にいる。彼奴らが
一番 骨折の程度が酷いんだってさ。」
「そう・・・。」
「あれ?クレア、ミズリーは?」
「慰安室にいる。刑事さんと一緒に
ミズリーのお父様の遺体を見ている。」
「そうか・・・。」
病室に再び静けさが戻った。
すると病室のドアが開いた。
やって来たのは、主治医のマシュー・クラストンだ。
「おや、お客さんか。」
「あっ、はい!二人の友人の者です。」
「そうか。私はマシュー・クラストンだ。
今回の手術を行いました。」
「二人の容体はいかがなのでしょうか?」
「えっと・・・、エルシャール・レイトンは
脚や頭からの出血と右脚の骨折、
ジャック・レノンは痣が多数と左腕の骨折。
脚や頭からの出血。傷も両方 沢山あったよ。」
マシューは、淡々と回答していった。
「先生、二人を入れますので・・・。」
「ん?そうかい。じゃあ、退くよ。」
担架に寝ていたのは、集中治療室に居た
ベンソンとエリックだった。
「もしかして、この二人も?」
「ええ、友人です。」
二人は看護婦の手助け無しでは、
ベッドに移る事も出来ない状況だった。
「痛ててて・・・。」
「あっ、エルシャール達。」
どうやら三人に気付いた模様だ。
「二人は、どうなっていますか?」
「えっと、ジョニー・ベンソンは
左腕に骨折、複雑骨折も多数、
腹部あたりの出血が多量。
エリック・ウォーキンは両腕を骨折。
頭と腹部の多量出血と痣が多数。
臀部も少し歪んでいるねぇ。」
二人の容体は、深刻なものだった。
すると、病室の扉がゆっくり開いた。
現れたのは、髪がボサボサになり
眼が血のように赤くなったミズリーだった。
「み、ミズリー・・・。」
「お父さんが、お父さんが・・・。」
俯きがちにブツブツと言っていた。
「お父さんが、お父さんが・・・。」
身体をよろめかせながら、歩いた。
「お父さんが、お父さんが・・・。」
エリックの肩を握った。
「痛ってぇ!」
頑なに肩を離れなかった。
「よしな、嬢ちゃん。」
ミズリーは、ハッとした。
「恨みをぶつけたって、帰って来ねぇさ。」
涙が、エリックの身体の至る所に落ちた。
「お父さん、お父さん・・・、お父さん、
お父さん!お父さん!!お父さん!!!
お父さああああああああぁぁん!!!!」

「あああああああああああああああ!!!!!!!」

病室に金切り声が、再び帰ってきた。
「兄貴・・・、何でだよ。」
エリックも悔し涙、いや憎しみが墜落した。
腕を摩ると、強く握り締めた。
「兄貴のせいで!
ミズリーの父親を!!
失っちまったじゃあねぇかよ!!!」

「ちっくしょおおおおおおおおおおぉぉう!!!!」

「許さねぇ!許さねぇ!!許さねぇ!!!
兄貴を許せねぇよ・・・。」

エリックも同じ気持ちだった。
マシューは、無表情だった。
クレアは、虚しくなって来た。
ベンソンは、ただ俯いていた。
ジャックは、静かに憤っていた。


ーーーーエルシャール・レイトンは、思い出した。
胸の奥に閉まっていた、
奈落に潜んでいた悪しき思い出を。

『もしもし?クレアか。』
「アランなの?」
声を主は、アラン・ディミトリーだった。
『今からタイムマシンの実験を行うぞ。』
「分かりました。直ぐに行きます。」
結局 クレアは、そのまま消えてしまった。
ステイル刑事の命を奪った爆発と共に。

「これから支え合うよ。」
「大丈夫だからな。
もし何かあったら、連絡するからよ!」
ベンソンとエリックは、
互いにデザイナーになった。
悲しみが再び起こる事も知らずに・・・。

「優勝は、ミズリー・ガブリエルさんです!」
「ありがとう!皆様のお陰です!!」
ミズリーは栄光のモデルに就いた。
ミズリーの一寸先は、暗闇だとは知らずに。
ミズリーの命は、互いに同じ
気持ちを抱いていた"友人''に閉ざされるとは、
全く知らずに・・・。

「二人共、仲が良いのに凄いねぇ。」
妙齢の美人教授であるライザ・ジュードに、
褒められていた。
「学者として、歩めるね。」
「凄いだろう?ライザ先生!」
「僕は、教授の勉強をしていますがね。」
二人は、学者に立派に成長していた。
「リハビリも頑張ったけど、
失う物があり過ぎたわね・・・。」
「はい・・・。」
ーーーー『お前!クレアと付き合ってたのか!?』
『いや、違う!これには訳があるんだ!』
『うるせぇ!!クレアは俺の彼女だ!!!』
『やめろ、ジャック!!』
『クレア、どうしてなんだよ!?』
『あなたが・・・、怖かったの・・・。』
『だから、エルシャールに?』
『ごめんなさい!!けど・・・。』
『くそぉ!どうしてなんだよぉ!!!??』
ーーーー「過去の事は、忘れないで。
クレアの死も、ミズリーとエリックの心の傷も。
だけど、それも引きずらないで!
あなた達には、明るく生きて欲しいから。」
ライザは、悲しい笑顔を魅せた。
「はい、ライザ先生。」
二人は、悲しい笑顔で答えた。

そしてレイトンは、意識を失い、
生死を彷徨い、記憶の所々を消されて
しまい、眼を醒ました。

教授になった今、思い出してしまった。
すると、レイトンは窓を見つめた。
歯を喰い縛り、涙を零した。
「何故なんだ。何故、今になって
こんなに悲しい記憶を思い出したんだ・・・。」
そして崩れ落ちた。
「ぐすっ・・・、くっ・・・。」
涙が、床の至る所を濡らしていった。
『先生・・・。』
ルークは聞いてしまった。
先生の悲痛な嗚咽を・・・。

次章もお楽しみに!

2013-01-07 17:44:52


KOKUA

どうもKOKUAです。
更新を始めます。

ジリジリと、目覚まし時計が鳴り響いた。
ルークもそれに伴って布団から
顔を出し、ベルの音を止めた。
『うーん・・・、眠いなぁ。』
眼を擦ると、レイトンの姿を捉えた。
小さなソファーに、横になっていた。
しかしルークが驚いたのは、
目覚まし時計の音に反応しない事だった。
『先生、昨日泣いていたもんなぁ・・・。
何があったんだろう?』
ルークは、疑問に思いながら服に着替えた。
そしてテーブルに小さな紙切れを残し、
部屋から出て行った。

ーーーー暫くすると、レイトンが眼を覚ました。
「・・・朝か。」
小さく呟くと、ルークがいない事に気付いた。
「おや?ルークがいない・・・。」
レイトンは、机にある紙切れに気付いた。
紙切れを拾い、開いた。
『レイトン先生へ
昨晩 嗚咽が聞こえました。大丈夫ですか?
今日は、少し休んで居て下さい。
僕一人でも情報を収集します!
疲れが取れたら、また調査を再開しましょう!
ルーク』
「ルーク・・・」
またレイトンは、瞳に涙を溜めた。
「少し言葉に甘えてみようかな。」

次回もお楽しみに!

2013-03-14 18:16:39


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