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失敗の方程式

グラタン

第3作目です!!
よろしくお願いします。
教授・レミ・ルークがいよいよ登場!!
ラストにはデスコールも??(予定です)

グダグダな終わり方になりそうですが、頑張っていきたいと思います。

2011-04-08 17:53:57


グラタン

更新!


第6章   大団円と言う名の和解


ドアの前に来たとき、話し声が聞こえた。

私は、そっとドアに耳を当てた。(教授と調査をしていると、いつの間にやら変な癖を身につけてしまう。・・・「盗み聞き」も、その一つである。)

始めはボソボソとしか聞こえなかったけど、それらの雑音が少しずつ人の会話らしきものになっていった。





『本当に、・・・ありがとうございます。』

『いえ、私はあなたに感謝されるほどのことはしていませんよ。』

『え?しかし、・・・・』

『では、これで。』



『・・・待ってください!一つ訊いてもいいですか?』

『何でしょうか?』

『あなたは、・・・やはり、リチャード・トンプソンさんでは・・・?』

『ご名答。・・・もう分かりましたね。では、もうお帰りください。こちらの方は、ロンドン市民病院の方に・・・いえ、術後体調が安定なさったらお知らせしますので。その時、この病院に来てください。うちの婦長に対応してもらえるようにします。



・・・・・二度と、我々は顔を合わせてはいけない者同士ですのでね。こうやって語り合えただけで、十分です。』





嘘!?何この暗い雰囲気は??

その時、・・・今回最後の頭痛が私を襲った。



意識が飛んだ私はドアに頭をぶちつけた。


~~~~~~~~~~~

私は、ふと目を覚ました。

「気がついたようだ。・・・全く、盗み聞きとは良い度胸だ、アルタワ嬢!」

盗み聞きしていることが知られてしまったようだ。

そして、私の顔を覗く二つの男性の顔。




曖昧だった私の思考回路が徐々にハッキリとしてきた。



「!」

2011-04-13 22:07:32


のなりい

レミさん、気絶しちゃった・・・。

頭痛のみならず、頭をぶつけるなんて・・・・痛そうですね^^;

盗み聞き・・・(笑)
レミさんのおもわぬ特技^^

2011-04-14 01:27:22


グラタン

>のなりいさん
レミさんの「気絶」と「盗み聞き」は、「幻影の森」でよくあるネタですね。
(4・5回は盗み聞きしてます。)



「頭痛」、「医療モノ」、「外科医」、「レイトン教授(タイムトリップ)」・・・・ア○ソニーの中の人主演の某ドラマを連想してしまっt(((
・・・絶対見るz(((

更新!(分かりにくい文でごめんなさい)





「では、お二人は以前一度お会いしたことが・・・」

「無い。」

とトンプソン氏。

「だから今言ったではないか。私は、セザンヌ・クリーパー嬢の手術を優先させたがために、夜勤明けの我が後輩に手術をさせたのだ。彼は、相当疲れていたのだろう。・・・失敗したよ。最悪な結果だった。で、損害賠償をめぐる裁判が起こったが、私にも後輩にも何の罪も問われることは無かった。(ちなみに我々は、ロンドンタイムズ紙上で「医師A」「医師B」としか載っていなかったから、この事件について知っている人はごく僅かなのさ!)結局勤務形態の悪化だの何だので院長が逮捕された。・・・・・・分かったかな?そして、その失敗した手術の結果がこれさ。」

と言ってトンプソン氏が顎でしゃくった先には、







見覚えのある「伝説の左足」があった。

「あ、言うのを忘れていたが、こちらのスターバック氏と、隣の部屋で休んでいらっしゃるレイドリー婦人、・・・結婚はまだしてらっしゃらないそうだ。そうですよね?」

初めてスターバック氏は口を開く。

「えぇ、交際はしていますが・・・。秘密にしておいてくださいよ!ちょうど別荘が近くにあったことなので、目立たないようにこっそり二人で行きました。そこで強盗に襲われましてね。車もパンクさせられて・・・。で、背負ってここまで来ました。」

これが真実。

2011-04-14 19:36:37


グラタン

こんなオチ考えた自分が情けないです、ホントに!

2011-04-14 19:40:13


グラタン

<つぶやき>
・「婦人」ではなくて「夫人」でした。
・「夫人は変装した」と書き忘れていました。
・「ナゾトキ×短編小説」の「ナゾトキ」は「結末を予想してみてください」というメッセージを込めました。
・ネタがかぶり過ぎているみたいですなぁ~。申し訳ありません!
・まだ続きます。

更新!




さて、朝になった。

朝日が山から顔を出し、ペニーサイドの町の隅から隅までを照らす。それに照らされる一台の赤い自動車・・・・・。





教授が迎えに来た。



「お世話になりました。」

と、教授はシルクハットのつばに手を添え挨拶をする。


「いえ、それほどでも。・・・ところで、これから遺跡探検と少年から聞きましたが?」

「はい。あそこのシンカー山の洞窟です。」

「その辺に詳しい案内人を紹介しましょうか?」

「あぁ、助かります。」

「こちらです。」

とトンプソン氏はトンプソン夫人を前に出した。


「え?お子さんに洞窟の案内とは、いささか危険では?」


「違いますっ!妻です!!助手さんに弟子さんも・・・。」

「・・・。」




小鳥のさえずりの中、私とルーク、そして教授は、トンプソン夫人を先頭にして、山道を歩いた。スモッグだらけのロンドンと違って、本当に空気が美味しい。思いっきり深呼吸をしたくなる。


洞窟の入り口に着いて、昼食をとった後、いよいよ洞窟探検が始まった。少し肌寒さを感じる。

「ここは、私とリチャードの思い出の場所なんです。」

と唐突に話し出すトンプソン夫人。おませさんなルークは興味津々だ。

「初めて会ったところなんですか?ここでデートしたんですか?告白したんですか?」




「ぜーんぶ外れ!!」

「え~~っ!」


ここで彼女が話し始めたのは、こんな話だ。

2011-04-15 19:47:18


グラタン

ここからは、シルビア目線でお送りします。

更新!



私は、この町で生まれました。でも、生まれてすぐに両親は離婚、母が引き取りましたが新たな恋人が出来ました。そこで結婚に不利だったのですぐに捨てられ、母の実家で祖父母に育てられました。

私が結婚する2年前に祖父が、それを追うようにして半年後に祖母が亡くなりました。


そんなある日のことです。私はその日も洞窟を探索していました。児童立ち入り禁止ゾーンでの出来事です。






「児童立ち入り禁止」という位だから、落差何十メートルもする崖が続いています。そこのつり橋から、・・・落ちました。

2011-04-15 20:00:49


グラタン

更新!



「・・・う、ううん?」

「あ、目が覚めた!大丈夫ですか?」

と顔を覗き込む日焼けした青年(以後A君)。辺りを見渡すと、崖の途中にある岩棚でした。



助かった・・・・・・!と思った瞬間、肩の力が抜けて、私はまた気を失いました。

「おい!おーい!」・・・・・・・




次に目が覚めたのは、リチャードが勤務していた病院のベッドでした。

「グリーンウッド嬢!(私のファミリーネームです)体の具合はどうだ?」

えっと・・・・・・一目ぼれです、はい。

「まぁ大丈夫なようだ。・・・あちらの方が助けてくださったそうだ。お礼を言った方がいい。そうしなさい。」

「そんな!ただ俺は出来ることをしただけですよ!」

と慌てて手を振るさっきのA君。

「あの時は、本当にありがとうございます。・・・お礼をしたいのですが。」

「そんな・・・照れるなぁ。俺は偶然通りがかった、ただの旅行者だし・・・。」

と、A君はボサボサの頭をボリボリ掻くだけでした。


A君が帰ったその日から2日後、

「痛みも和らいだようだ。さぁ、支度をして帰るように。」


「・・・あのう、」

「ん?」

「また会いに行ってもいいですか?」

「つまり、また怪我をするのか、それとも今度は病気にでもなるのか?」






「あなたと結婚します!!」

「何ィ!?」

2011-04-16 18:35:12


グラタン

「4月15日 19時47分」のレスから別の章に入ってました。

第7章   偽りの町

でいきます!

2011-04-16 22:41:53


グラタン

更新!


「・・・と、まぁそういう訳で、ここが私が落ちたつり橋です!急いで渡りましょう!!もうすぐです。」

と、トンプソン夫人はスタスタ渡り始めた。ルークは谷底を覗き込みながら、教授に呼びかける。

「先生!高いですねぇ~!」

タカイデスネェ~~

タカイデスネェ~~~~


タカイデスネェ~~~~~~・・・・・・

「うわぁ!」

「あ、ルーク。もしかして怖いの?だったら私と教授だけでついていくけど?」

「ぼ・・・ボクは平気です!平気ですったら!!」

「ハハハ・・・・・二人とも、退院しても相変わらずだね。」



つり橋を渡ろうとすると、そこに見張り番の男が一人駆けつけてきた。

「おや、トンプソンさーん!こちらの方々は・・・?」


戻ってきたトンプソン夫人は答えた。

「私の友人・・・といったとこです!」


ルークがとっさに口を挟む。

「あの~・・・見張り番さん、何でボクの襟口を引っ張るんですか?先に行かせてください。」

「ここから先は、『児童立ち入り禁止ゾーン』なんだよ。『10歳以下の児童は立ち入りを禁ずる』・・・って。ほら、このガイドブックに書いてあるぞ。」

と言って、そこの箇所をポンポンと手で叩いた。



そこで合いの手を差し伸べてくれたのは、トンプソン夫人だった。

「まぁまぁ、私と他二人も保護者がいるんですから大丈夫ですよ。」

この言葉で納得した男はルークを放しながら、

「では、・・・離れ離れなんかに絶対ならない、と御約束して下さいますか?」

教授は

「勿論です。」

と答え、私たちはつり橋を渡り始めた。

2011-04-16 23:28:19


グラタン

更新!



「さぁ、ここがシンカー遺跡の最深部です!!」

とトンプソン夫人は高らかに叫んだ。



ここで、遺跡の様子を少しばかり書き残してみることにした。(写真を撮ろうとしたら、トンプソン夫人に「撮影禁止!」と叱られた為・・・残念!)

目の前に、やや風化した円状の石版が壁に接触している。石版の周囲には、星座をかたどった模様が彫られている。石版の中央には、右手に光を放つ杖を、そして左手に鏡を持ち、太陽を背負った神官らしき人物が描かれている。神官の杖の光に照らされたところから、人々が列を成して太陽に向かってひれ伏している。その列は、ぐるぐるぐるぐる、太陽の周りを取り囲み、やや蛇行しながら最後は鏡の前で終わっている。

地面を見てみると、地面に石版の模様と同じものが刻まれている。もうこれで十分かな・・・いや違う。古代文字で何か書いてある。



「教授!これらの文字は、一体何を表しているのでしょうか?」

「うーん。この文字は、今までに見たことが無い。あれでもないし、これでもない。かといって・・・。」





「先生、じゃあ新たな文明の発見ですね!!」

「そのようだね、ルーク。ここは2年ほど前に発見されたばかりだそうだ。さて、どうしたものか・・・。」

2011-04-16 23:48:38


グラタン

「石版」→「石碑」でした!
訂正ばかりで申し訳ありません。

更新!



「教授さん、分からないんですか?」

「トンプソン夫人!・・・ということは、このナゾの答えをご存知なのですか?」






「ウフフ・・・鏡文字ですよ!」

「そうか!」

誰も鏡を持っていなかったので、教授はいかにも真剣な顔で、じっと地面を睨み続けること10分・・・。



辺りをほの明るく照らすライトの光の中の教授の顔が、パッと明るくなった。

「分かったよ。大体はこうだ。」

『天の神を崇めよ
 崇めば希望が
 我らを照らす
 希望は幸福
 何人(なんびと)もその光を体に受ける
 幸福は次第に伝わって
 最後に真実を突き出される
 ‘お前こそが太陽神だ’と・・・』



「先生、これこそがナゾでしょうか?」

「違うわよ、ルーク君。」

「トンプソンさん!・・・じゃあ、これは?」

「この前ここにきた考古学者の方が、『これは祭事のときに歌われていた聖歌であろう』って仰っていたんです。教授さん、石碑と地面の模様の周囲を取り囲む星座・・・これ、実は楽譜なんです。」

「あ!・・・先生、『永遠の歌姫』事件のと同じですね!!」

「そのようだね、ルーク。・・・だとすると・・・。」

突然トンプソン夫人は、鼻歌で何か歌いだした。

フ~ンフンフンフ~~ン♪・・・(以下略)


教授は驚きを隠せない。

「その通りです。しかし、歌がお上手ですね。この歌のメロディーはそのような感じです。

複雑で繊細、且つ美しい・・・。これをそこまで完璧にお歌いになられるとは・・・。」

トンプソン夫人は照れ笑いしながら、

「これでも練習したんです。」




私には、一つの疑問があった。

「教授、この石版、・・・絵が少し不自然では?」

「何だって!・・・そうか、そういうことだったのか!・・・・・・ありがとう、レミ。これで遺跡のナゾは解けたよ。」

「さすが先生!・・・で、答えは一体?」

「ルーク、この石碑をよく見てごらん。」

2011-04-17 10:03:15


グラタン

更新!



石版を覗き込むルーク。


「・・・・・先生!V字型のブロック4つが、バラバラに入れ替えられています!!」

「その通り。数ミリも狂わないブロックだったのと、石碑に関係の無いヒビが入っていたのもあって、気が付きにくかったんだろう・・・。」


ここが助手の腕の見せ所。私は腕まくりしながら、

「教授、私やってみます!!」

「任せたよ、レミ。」




20分後。パズルは完成した!

私たちは息を飲んで、『その時』を待った。



『その時』が来た!

突然、ゴゴゴゴゴゴ・・・・と地響きがしたかと思うと、谷底からシンカー山遺跡の真の姿が現れ・・・・・・・・・・・











ない!!!


「教授!何も起こりませんっ!」

「うーん。絵柄的には合っているはずだが・・・。」


ルークはションボリとうな垂れる。

「先生、無駄骨でしたね。」

「・・・認めざるを得ないね。・・・トンプソン夫人、お忙しい中、本当にありがとうございました。我々はこれでロンドンへ帰りますので。」

トンプソン夫人は、「いいえ」とかぶりを振る。

「全然平気ですよ。私も同行できて、楽しかったです!」






ホテルの入り口まで、トンプソン夫人は見送りに来てくれた。

教授、ルーク、私・・・の順で挨拶をした。


「トンプソン夫人、これからもお元気で。」

 「はい!勿論!!」


「また来てもいいですか?」

 「えぇ、今度はうちに遊びに来てね!・・・時間があったら、の話だけど。」


「お世話になりました。・・・旦那さんにも、よろしく伝えてください。」

 「リチャードですね!はい、そうします!!」




こうして、私たちは別れた。

車の窓から見える景色は、最高だった。夕日に照らされた山々、雲の間を縫うように飛ぶ鳥の群れ、きらきら光る湖の水面・・・・・

さぁ、ロンドンに着いたら、今度はどんな事件が待っているんだろう?

そう考えるだけで、何だか胸がわくわくしてきた。





~~~~~~~~~~~~

つまらない文章に目を通してくださったことに感謝したい。

これで、レミ・アルタワの物語は終わる。

いよいよ私、「クラタニ」の話に移ろう。

~~~~~~~~~~~~

2011-04-17 10:26:37


グラタン

更新!



第8章   仮面科学者と甘いキス


私が目を覚ましたとき、まだコンサートは始まっていなかった。

・・・全く、チケット販売員のクソ女!!「J-POP歌手のコンサートチケット」を、どこをどうしたら「クラシック音楽のコンサートチケット」になるんだ!!教えろ!!!


・・・・・・と、グダグダどうしようもないことを愚痴っていても仕方が無い。さ、落ち着いた心で、洗練された音楽で心を休め・・・・






んんっ!?

2011-04-17 17:10:30


グラタン

更新!



観客が開演前に、次々と帰っていくではないか!!

いや待てよ。・・・・・逆だ!もう終わってしまった!!!




人ごみの中、フラフラフラフラ放心しながらさ迷うように歩いていた私は、誰かにぶつかったのに気が付かなかった。

その男は、私のポケットから落ちた手紙を拾い、差出人の名前をチラと見た瞬間、ピクリとも動かなくなった。金髪碧眼のヨーロッパの王子さながらのツラには、いささか驚いた。

私はその男に呼びかけた。






「Hey! Give me the letter!! It's mine!!」・・・



・・・・失礼。日本語で訳すとこうだ。

「おい!その手紙をくれよ!!それ、私のものなんだ!!」(以後日本語表記)


「・・・あぁ失礼。『レミ・アルタワ』という人間に、一度会ったことがあるのでね。」

「・・・へぇ、いつか教えてもらえるかい?」




「つい最近のことだが、私が勤務している病院に運ばれてきたんだ。小さくて青い少年と一緒にね。」

「・・・!」

「・・・どうかされましたか?」

「き、・・・まさか君はリチャード・トンプソンか!?」

彼は怪訝そうな顔をして頷く。

「いかにも、私はリチャード・トンプソンだが・・・なぜ知ってる。」




こうして、奇妙な出会いを果たした我々であった。

2011-04-17 17:42:24


グラタン

更新!



2時間後、我々は互いを「リチャード」「クラタニ」と呼び捨てで呼ぶほど打ち解けてしまった。

「リチャード、ここら辺に美味しい料理を出す居酒屋があるんだけど、一緒に来ない?」

「酒か・・・あまり飲めないんだ。」


本当は、飲みたかったのは私だ。チェッ!こうなったら強硬手段・・・・



「・・・いいから来い!!」

と私は嫌がるリチャードを連れて(引っ張って)、隠れ家の様に目立たない、一軒の居酒屋に入った。


~~~~~~~~~~~~
(これから、私とリチャードの会話は英語、客同士の会話は日本語での会話である)



「いらっしゃい。」

と太った親父(以後 マスター)の声がする。奥のカウンター席のお爺さんが呼びかける。

「おお!クラタニさんじゃありませんか!・・・それに、お隣のお顔立ちの良い方は?」

「私の知り合い(=馬鹿→序章参照)の知り合い(レミ)の知り合いです。」

「???・・・でも、ほんに『イケメン』さんじゃあ。わしも数十年前は、あんな感じの・・・。」

「(無視)では、マスター。彼に度の弱ーいものを。」

と私とリチャードは、入り口すぐ近くの席に腰掛けた。

「まぁ、試すだけでいいからさ。」

私は、そう言いながらグイッと大ジョッキの生ビールを飲み干す。

「では、一杯だけだぞ。」

と、彼は念を押す。

「うぐっ!・・・し、ししし、知ってるさ、それ位。」

「まさか、その後にさらに飲ませる、と言う魂胆か!」

「さぁ~て、マスター!なまこ!!」

「話を聞け!!」







チリン、チリーン

誰かが店に入ってきたようだ。

「クラタニさぁーん!」

と、若い女の子が呼びかける。隣にいる控えめな感じの青年は、彼女が3年付き合っている彼氏だ。

「この前教えてもらったイタリアンレストラン、超美味しかった!!」

「おや、デートですか?」

「うん!マジ安くてビックリしたよぉ~。」

「そりゃあ、良かった。」

「で、そっちのイケメン外人は誰?」

「『外国人』と言うべきだね。こちらはリチャード・トンプソン。」



「ゲホッ!」

と、店の端っこでこちらに背を向けていた客がむせてしまった。

テーブル席に着いた彼女は首をかしげ、私にそっと耳打ちする。

「初めてっぽくない?」

「だろうね。」

と、私はもう一度、その客のほうを見た。縮れた黒髪の若者だ。私は心配して話しかける。

「大丈夫ですか?」

「い、いえ、何でもないです。・・・あ、マスターさん、お勘定を。」

と、そいつは店を出て行った。(変な奴)



「ところでリチャード。ここに来るまで、一回私と別行動していただろう?一体全体、どこで何を・・・?」

「あぁ、友人と連絡を取っていたのさ。もうすぐ、ここに来るはずだが・・・。」

「へぇ、君にも友人がいたのか。」

「私を何だと思っているんだ。」








5分後


チリン、チリーン

「あ、来たようだ。」

とリチャード。


私はその客を見た瞬間絶句した。

若いカップルも、お爺さんも、マスターも・・・・・・リチャードも。












そこにいたのは、ジャン・デスコール。

もしあなたが、道端でバッタリデスコールと会ったら(そんなシチュエーションは、絶対に考えられないが)、どうするか考えて欲しい。

握手?サイン?とっさに逃げる?「デスコだデスコだ!」と指差して騒ぐ?・・・色々あるだろう。

私の場合は、こうである。

「ただその場で呆然とする。」


それだけじゃあない。

・・・どこからか、パイプオルガンの重厚な音色が聞こえてくるのだ。




♪パラリラパラリラパラリラパラリラ

 パラリラパラリラパラリラパラリラ
  
  タラリララーーンラララーーン

   ラーラーーラーレーラーー・・・♪

クラタニの脳内で、「デスコールのテーマ」がフル演奏されるのだ!

2011-04-17 18:43:29


江戸川 アラン

おひさ!!こっちもなかなか来れなくてごめん!

おおっついにデスコ(以下略)がぁぁぁ!!

私だったら「デスコだデスコだ!」って叫びそう・・・・

2011-04-17 19:49:25


グラタン

>江戸川 アラン
やっと、デスコール様出せましたよぉ~☆
・・・そうか、叫ぶのか。デスコールも、徐々にアイドル化してきたなぁ。

余談ですが、「クラタニ」は、30%グラタン70%想像で出来てます!(私は酒が飲めないし、なまこも駄目。さらにコンサートには行かないし、英語も×!)

ま、デスコール様への対応は100%私だ!(笑)
ついでに、一気に物陰に隠れてそっと見守る・・・のもいいなぁ、と思ってます。

これから「グダグダ☆クライマックス」の予定なので、・・・よろしく!!!

2011-04-17 20:35:48


グラタン

えーっと・・・、次の小説にあの青年を出そうかな。

<ヒント>
・第2作目では、ある意味で悪役の立場だった「あの人」です!!(本当に申し訳なかったよ・・・。)


さ・ら・に、次の小説でコメントして下さった方のために、一人に付き1回、ちょっとした(=つまらない)仕掛けも用意しようかな・・・、とも考えています!(詳細は次回作にて)

2011-04-17 22:19:19


グラタン

<訂正>
「タラリラ×4」多かった・・・。
本当に申し訳ないです。
「デスコールのテーマ」聴いたテンションでの更新だったので・・・。(汗)

2011-04-18 21:49:58


グラタン

更新!



(続き)
♪ターラーーラーレー ラーララー

ラーーレララーーー・・・♪(強制終了)




日本の居酒屋にデスコール。

どこをどう見たってデスコール。




私が頭を抱えている間に、リチャードは隣の席に移り、私と自分の間の席を、彼に勧めた。

デスコールは無言でそこに座る。

リチャードは、さらに使っていないコップに日本酒を注ぎ、デスコールの前においた。さらに、私のなまこを引っ手繰ってコップの隣に据えるというもてなしぶり。

私は、この場から逃げ出したくなってきた。




隣でデスコールが日本酒をおいしそうに飲んでいるのを、・・・普通は見たくない!そうだろう!?



一気に酒が不味く感じたような気がした。

2011-04-18 23:19:30


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