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レイトン教授と創造の杖

U

初めましてUと申します。

レイトン教授で初めて小説を書きます。

超低速更新なので、気長にお読み下さいまし
          ・
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〜序章 創造の杖〜

『創造の杖は全てを生み出す
大地も海も、そして生ける物をも

創造の杖は持ち主を選ぶ
運命に従い、逆らわざる者を

創造の杖は侵されてはならない
杖侵されしとき、生み出されし全ては消えゆくだろう』

2011-02-27 09:40:08


U

島が狭いので、どこへ行くのも徒歩だ。飛び回る蚊が気になるが、健康的な移
動が僕は気に入っていた。デヴィッドさんは昨日のように僕の後ろをついてく
る。レイトン先生が言うには、デヴィッドさんは滅多に外に出ることがないの
だという。

役所は港から見えた高い塔の隣にあった。島の雰囲気に溶け込む、落ち着いた
薄茶色の壁を白い柱が支えていて、まるで要塞のような逞しい印象を生み出し
ている。中に入ると、島の建物を再現したミニチュアが飾られている。受付に
は人がおらず、『オルセイン氏は外出中です』と書かれた立て札が置いてある
だけだった。

「やっと着いたか・・・」
「先生、受付の人はどこへ行ってしまったんでしょうか?」
「ふむ・・・どうやらオルセイン氏を捜す手立てはここにはないようだ」

流石のレイトン先生も黙って考え込んでしまった。どこにいるかも分からない
、手がかりさえ手に入れられない。完全に行き詰まってしまった。ここまで僕
たちを困らせるなんて、オルセインとはどんな人物なのだろう?

「レイトン、僕が思うに、ここにいてもしょうがない」
「そうですね、でも・・・どうしましょう?」
「そうだな。オルセイン氏の情報を集める事から始めよう」

2011-04-14 16:50:26


U

僕たちは一旦ホテルに戻って、ロビーでオルセイン氏の情報を集める事にした
。どうやらこの島で最も人が集まるのは、ホテルと遺跡公園らしい。ホテルの
中は、まだお昼前だというのに人で溢れていた。

「先生、すごい人ですね」
「これはただ聞くだけでも一苦労だな、レイトン」
「とにかく、まずはフロントに行ってみよう」

フロントでは、沢山の旅行客を相手にたった一人の女の人が働いていた。様子
を見ている限りでは、全く忙しそうには見えず、てきぱきと仕事をこなしてい
るようだ。最初は入り口近くまで延びていた列も、ものの数分で消えてしまっ
た。

「いらっしゃいませ、ご用を承ります」
「すいません、私達はゴードン=オルセイン氏を捜しているのですが、彼につ
いて何かご存じですか?」
「オルセインさん?失礼ですが、お客様方は旅行者ですよね?なぜオルセイン
さんにお会いする必要があるのですか?」
「ん・・・それは・・・」

レイトン先生は言葉に詰まってしまった。確かに、ただの旅行者が島の責任者
に会いたがるなんて明らかに不自然だ。英国紳士として嘘をつくわけにもいか
ず、レイトン先生は困ってしまったのだ。すると、デヴィッドさんが急に前に
出て喋り始めた。

2011-04-15 17:56:03


U

「実は財布を盗まれてしまったんですが、警官さんは忙しくて取り合ってくれ
ないんですよ。仕方がないから責任者だというオルセイン氏に会いたいのです
。ご協力下さい」

そんな馬鹿な、僕はデヴィッドさんをにらみつけた。財布を盗まれて警察の責
任者に会うなんて、嘘にしたって出来が悪い。しかし女の人は得心したように
情報を提供してくれた。

「分かりました。私の知っていることがお役に立てるかどうか分かりませんが
・・・」
「いえ、どんな事でも構いませんよ」
「オルセイン氏はいつも役所の外に出かけていて、夕方頃に書類整理をしに役
所へ戻られます。その時からは帰るまで一切誰とも会おうとはせず、帰るとき
には車で島の一番奥のご自宅へ帰られます。会えるとすれば、出勤と帰宅の時
だけですね」
「なるほど、ありがとうございました」

僕は唖然とした。デヴィッドさんがこんな所で役に立つとは思わなかった。い
かにも口下手そうなのに、見事に情報を聞き出した。これでオルセイン氏に会
う手立てが得られた。

2011-04-18 15:59:40


U

「夕方まではまだ時間があるな。それまでどうしようか」
「では、ルークの言っていたゾンビの事を調べてみようか」
「えぇ!?本気ですか!?」
「何だルーク、怖いのかい?」
「こ、怖くなんかありません!調査しましょう!」

正直に言うと昼間とは言え、ゾンビが現れた墓場に行くのは気が引ける。でも
レイトン先生ならゾンビのナゾが解けるかも知れない。そうすれば、この恐怖
心も少しは紛れるかもと、僕は淡い期待をしていた。

遺跡公園は昨日と同じように人がたくさんいて、島のメインストリートよりも
賑わっていた。普通の観光客なら遺跡を見に行くだろうが、僕たちは遺跡を素
通りして共同墓地に向かった。まだ2人の警官が鉄の門の前で警備をしている
のが見える。

「ここだ。やはり何もおかしいところは見当たらないね」
「確かにゾンビが現れたんですけど・・・やっぱり僕たちの見間違いなんでし
ょうか?」
「そんなはずはない、ルーク君はともかく、僕は冷静だった。あんな見間違い
をするワケがない」

デヴィッドさんは一言多い。僕は今だって怖いけど、あの時デヴィッドさんは
全く平常心だった。確かに昨日の夜、ここでは何かが起こった。レイトン先生
は墓場を歩きながら考えていた。しかしそこにあるのは普通の共同墓地だ。

2011-04-19 16:21:45


U

「おや?これは・・・」
「どうしたんですか先生?」
「何か見つけたのか?」

レイトン先生は足下の、何の変哲もない土を見つめている。僕とデヴィッドさ
んも同じ場所をよく見たが、特におかしな物は見当たらない。

「何があったんだレイトン?」
「ふむ・・・もしかしたら、これがゾンビの秘密かもね」
「えぇ!!?分かったんですか!?」
「まだ可能性の段階だよ。一度実物を見てみないと、確信は持てないね」

つまりレイトン先生は、夜中にもう一度ここへ来ると言うのか。あの状況にい
なかったからそんなことが言えるんだ。でも、それでゾンビのナゾが解けるの
なら仕方ないとも思う。

「どんな可能性なんだよレイトン、教えてくれ」
「いや、確信を持ってから話すよ」

まただ。ナゾが解けても、最後までもったいぶるのがレイトン先生の常套手段
だ。レイトン先生は、僕とデヴィッドさんにはナゾの種を明かさないまま、昼
食を食べに島の繁華街に向かった。

名前は繁華街だが、客のほとんどは遺跡公園に持って行かれているため、ロン
ドンほど賑わってはいない。建物のほとんどがコンクリートでできていて、鉄
製の街灯が一直線に並んでいる。なんとなく暗く重苦しい雰囲気だ。

2011-04-21 16:56:16


U

「先生、この繁華街、あんまり賑わってませんね」
「もともとポワール島は、貴重な鉱山資源が豊富な事で有名だったんだ。だか
らその鉱物を売って多くの資産家が儲けていたんだが、あるときこの島の西部
で遺跡が発見されたんだ。それらは今までイングランドで見つかった遺跡のど
れとも共通点を持たない、全く新しい遺跡だったんだ。イングランド政府は、
この遺跡の調査をするために鉱山の開発を全面的に禁止し、それまで賑わって
いた街もかつての華やかさを失ってしまったんだ」

確かに街の至る所に、以前の栄華を象徴するようなオブジェや記念碑がある。
遺跡が見つかった事が、この島には良い影響と悪い影響を同時にもたらしたよ
うだ。

「レイトン、そこのレストランに入らないかい?」
「ほぅ、中華料理店か。いい匂いがしてくるね」
「先生、ここにしましょう!」

僕はお腹が減っていた。店の中から漂ってくる料理の匂いが、僕の食欲をより
かき立てる。中には4つの回転テーブルが並べられていて、お客さんはそれほ
ど多くない。

中華料理は嫌いではないが、味付けがやたら濃いのが気になる。デヴィッドさ
んは、辛い麺を音を立てて食べていて、周りの人から変な目で見られている。
一緒に食べているこっちまで恥ずかしい。僕はそれを紛らわせるためにも、レ
イトン先生に創造の杖について聞いてみた。

2011-04-22 15:25:31


U

「先生、以前デヴィッドさんと話したんですけど、創造の杖なんて物あり得る
んでしょうか?」
「創造の杖か。私もあの本で読んだことがあるが、確かに一際興味深い内容だ
ね。この島はあの伝説の発祥地らしい」

僕たちが話していると、昼日中だと言うのに酔っ払ったおじいさんが近付いて
来た。どうやらこの島の人のようだ。

「おぅい、あんた達ぃ。今創造の杖がどうのって喋ってなかったか?」
「え?あ・・・はい」
「創造の杖はなぁ、架空の物じゃないんだぁ」
「と言いますと?」
「大昔からこの島に住んでたわしの一族はなぁ、創造の杖の在処を知ってるん
だぁ」
「なるほど。その在処とは?」
「この島の西の森の中だぁ。地図があればわかりやすいんだがぁ」

すると、食べ終わって口の周りが辛口ソースまみれになったデヴィッドさんが
、バッグから木の板の地図を取り出してきた。

「これですか?」
「おぉ!おぉ!これだぁ!この丸で記してある場所だぁ」
「えぇ!?これって創造の杖の地図なんですか?」
「間違いない!」

2011-04-25 16:31:26


U

酔っ払ったおじいさんは、そのまま店の主人になだめられて店を出た。僕は唖
然としていた。デヴィッドさんの持っていたいかがわしい地図が、創造の杖の
在処を示す地図だったのか。酔っ払いからの情報とはいえ、僕は心が弾んだ。

昼食を済ませても、オルセイン氏が役所に帰ってくるという夕方にはまだ時間
がある。それまで僕たちは、街の中を観光した。そして日が陰ってきて、僕た
ちは役所の前でオルセイン氏を待ち伏せすることにした。

「先生、オルセイン氏ってどんな人なんでしょうね?」
「この島の行政を任せられる事を考えると、政府内では大きな影響力を持って
いるようだ。おそらく、とても有能なのだろうね」
「おい、誰か来たぞ」

デヴィッドさんが指さした先には、青がかった灰色のスーツに、似た色のネク
タイを締めた背の高い男の人がいた。軽くパーマのかかった金髪とエメラルド
色の瞳が、いかにも仕事ができそうな印象を与えている。その人は僕たちを見
ると、少し立ち止まってから僕たちに近付いてきた。

2011-04-26 16:46:46


U

「君達、こんな時間に子供を連れて役所の前にいるなんて、一体何の用だ?そ
っちの男は見るからに怪しいが・・・」
「な、何!?」
「先生、何だかこの人、偉そうですね」
「しっ、ルーク、陰口はよくないよ」
「う・・・すみません先生」

レイトン先生に注意されて、僕は口を閉じた。それにしても、この人の偉そう
な態度には思わず嫌な気分になる。しかも背が高いだけに、人を見下している
ようにも見える。

「失礼します、私達はこの役所に勤めておられる、オルセイン氏に会いたいの
ですが、あなたは?」
「何・・・?オルセインというのは私だが?」
「この人がか・・・何だかイメージと違うなぁ」

デヴィッドさんは小さく、僕に囁いた。確かに、島一つの行政を任されるにし
ては若すぎるように見える。おそらく、まだ二十代後半ぐらいだろう。

「君達、見たところこの島の人間ではないが、旅行客が私に何用だ?」
「遺跡公園の先にある共同墓地に、古い鉄門がありますね。私達はあの先へ行
きたいのですが、あなたの指示で警官が通してくれないのです。通るにはあな
たの許可が必要と聞いたので、通行許可を頂きたいのです」

2011-04-28 16:27:26


U

オルセイン氏はつまらなそうな顔をしながらレイトン先生の話を聞いていた。
今まで同じような事を何度も聞いて、飽き飽きしているようだ。だとしても、
人の話をそんな風に聞くなんて、紳士的じゃない。

「なぜ私が見知らぬ旅行客に、通行許可状を発行しなければならないのだ。そ
もそもあの鉄門の先には汚い森しかない。行く価値はないと思うが?」
「それでも構いません」
「私は君達のように暇ではないのだ。どきたまえ」
「あっ!」

オルセイン氏は、僕を無理矢理どかして役所の中に入っていった。僕はよろけ
てその場に倒れてしまった。

「大丈夫かいルーク君?まったくいけ好かない奴だな」
「ふむ、オルセイン氏は私達が島を詮索するのが気に入らないようだね」
「どうするんですか先生?これじゃあの門の先に行けません」
「う〜ん・・・」

すると、デヴィッドさんが急にはきはきと僕たちに言った。

「レイトン、あいつの許可が無くてもあの門の先に行けるぞ」
「本当かいデヴィッド?どうするんだ?」
「昨日の夜には警官がいなかったんだ。おそらく夜には見張りをしていないん
だ。行くなら今日の夜だ」
「よ、夜ですか!?僕は反対です!」

2011-04-29 15:29:09


U

夜に墓地の奥の森に入るなんてとんでもない。ただでさえ怖いのに、墓地には
ゾンビがいるのだ。宝の地図も気になるが、恐怖心に対抗できるほど興味をそ
そる物ではない。しかしこのままではレイトン先生とデヴィッドさんは夜に出
かけてしまう。

「なるほど、良い案だね。ではついでにゾンビの事も確かめようか」
「先生・・・本気ですか?」
「なんだルーク、怖いのかい?」
「先生がいれば怖くありません!」

僕はつい言い返してしまい、デヴィッドさんはしめしめと笑った。こうなった
ら僕も2人についていくしかない。僕は海に沈んでいく太陽を引き留めたい気
持ちに駆られた。

2011-05-04 15:07:02


U

〜三章 墓地の奥の森〜

夜、ホテルで晩ご飯を済ませると、レイトン先生は夕方に調達した新しい虫除
けのリストバンドと、小さい懐中電灯を僕とデヴィッドさんに配った。それら
を手渡された僕の手は、微かに震えていた。またあの恐怖を体験するのか。

「では2人共、もし森の中で離れたら、懐中電灯を点滅させて目印にしてくれ
。くれぐれも下手に動かないようにしてくれ」
「はい、わかりました」

僕たちは遺跡公園の先の墓地へ行き、ゆっくりと辺りを見回して警官がいない
ことを確認してから前へ進んだ。ここからはいよいよ、ゾンビが現れる場所だ
。僕は無意識のうちにレイトン先生の服の裾を掴んでいた。

「レイトン、気を付けろよ」
「あぁ、昼間の内に訪れたとはいえ、確かに不気味ではあるね」

ゆっくりと進む内に、どんどん鉄門が近付いてきた。僕はこのまま何事もなく
その先へ行けるように願っていた。が、もう数歩という所で再びあの恐ろしい
音が鳴り響いた。僕は思わず声をあげてしまった。

「うわっ!」
「この音は!」

2011-05-05 09:19:17


U

すると、次々に墓標の土が盛り上がり、あのゾンビ達が再び現れた。僕はこの
間と同じように今すぐ逃げ出したい気持ちになったが、レイトン先生のそばを
離れたくもなかった。

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
「ルーク!落ち着きなさい!」
「レイトン、これは一体どういうことだ?」
「とにかく今は先へ進もう、説明するのはその後だ」

レイトン先生とデヴィッドさんは冷静に対処し、僕はなるべくゾンビを見ない
ように目を閉じていた。少し歩くと、あの不気味な音が止んで何かが落ちる音
がしたが、僕はそれを見ようとは思わなかった。

鉄門の先は街灯も舗装された道もない完全な森で、懐中電灯がないと自分の手
も見えないくらいだった。レイトン先生は通った場所の木に赤い布を巻いて目
印をつけていた。どうやらゾンビに全く動じてないようだ。

「先生、あの・・・ゾンビのナゾ解けたんですか?」
「あぁ。間違いないね」
「本当かレイトン!?教えてくれ!」

デヴィッドさんが言っても、レイトン先生はまた勿体振って話さない。懐中電
灯で足下を照らしながら、赤い布を木に巻き付けていく。この時間なら繁華街
には人が一杯いるはずだが、その声は全く聞こえない。まるでこの深い夜の森
が、僕らを暗闇に誘い込んでいるようだ。

2011-05-06 16:52:53


U

レイトン先生の先導とは言え、真っ暗な森を歩いていると、ちゃんと前に進ん
でいるのか不安になってしまう。先生も少し自信が無いらしく、僕に道案内を
頼んできた。

「ルーク、君に道案内を頼んでもいいかい?」
「え?僕にですか?」
「これだけの森だ。小動物はたくさんいるだろう」
「あ、そうですね」

僕は辺りを見回した。すると、太い木の枝の上で、2匹のリスが食事をしてい
た。

「リスさん達、この森の中に大きな窪地がある所を知らないかい?」
「レイトン、ルーク君は一体何をしているんだ?」
「ルークは動物と話ができるんだ。私にも解明できないナゾの一つさ」
「先生、デヴィッドさん。リスさん達が窪地まで案内してくれるそうです」
「うーむ不思議だ」

リスさん達の案内のお陰で、少しだけ不安が和らいだ。案内されている最中、
デヴィッドさんは僕の不思議な力について色々と質問してきた。レイトン先生
はまた、木に赤い布を巻き付けている。

5、6分ほどリスさん達についていくと、1本も木が立ってない巨大な窪地が
二つ現れた。その様子を一目見て、僕の恐怖心はかき消され。代わりに好奇心
と探求心がわきあがった。

2011-05-09 17:01:29


U

森の中の窪地に、巨大な掘削機が2、3台停まっていて、多くの人が作業をし
ていた痕跡が残っている。明らかに不自然だ。

「先生!これは!」
「地面を掘り起こす機械だ。しかしなぜこんな所に?」
「・・・おそらく、この辺りに何かがある事に気付いた人が、我々の他にもい
るようだ」
「え・・・それって・・・」
「オルセイン氏だろう。昼間の警察官やこれほどの機械を手配できるのは、オ
ルセイン氏のように経済的に力のある人物なのだろうね」

僕の脳裏に、あの憎たらしい顔がよぎる。でもあんな人が、創造の杖なんて物
信じるのだろうか?いずれにせよ、この地図の示している場所には何かがある
。僕はこのナゾを何が何でも解明したくなってきた。

「レイトン、もしかしたらこれは本当に大発見なんじゃないか?」
「それは分からないが・・・実に興味深いね。そこの穴から奥へ行けそうだ」
「行きましょう!先生!デヴィッドさん!」
「そこの君達、待ちたまえ!」

先陣を切っていた僕は、不意に後ろから声を掛けられてびっくりし、危うく転
びかけた。レイトン先生のでも、デヴィッドさんのでもない声だったが、この
突っかかるような口調と声は聞き覚えがある。

2011-05-10 17:13:32


U

そこには、沢山の警官を引き連れた、背の高いスーツ姿の男が偉そうに立って
いた。昼間とは違い、全身上から下まで真っ黒な服に身を包み、後ろの警官の
懐中電灯に照らされて影が長く伸びている。

「こんな時間に墓地の奥の森にいるとは・・・怪しい奴らだ」
「こんばんは、オルセインさん」

レイトン先生は少しも動じることなく、英国紳士らしく礼儀正しい夜の挨拶を
した。デヴィッドさんはびっくりし過ぎたのか、しりもちをついていた。オル
セインは、今にも襲いかかろうとする警官達を片手で制しながら、レイトン先
生に近付いていった。

「君は・・・夕方に役所の前で会ったね。一体何をしているのだ?」
「あなたが考えていることと同じですよ、オルセインさん」
「・・・!」

レイトン先生の言葉に、オルセインは少し動揺した。しかしすぐに表情を元に
戻し、デヴィッドさんと僕を順番に見た。その眼差しは鋭く、何かを心配して
いるようにも見える。

「なるほど。子供を連れて、夜の森で肝試しでもしていたのだろう。ここは立
ち入り禁止になっているはずだが?」
「えぇ、確かに昼間の内は警察の方が見張っていて、入れるような場所ではあ
りませんでした」
「立ち入り禁止?鍵も掛かってない、見張りもいない門の先が立ち入り禁止と
言えるのか?」

2011-05-12 17:08:42


U

すかさず、デヴィッドさんが反論した。確かに、昼間の内は入れる雰囲気では
なかった。しかし、先ほど僕たちはその門を通ってここに来たのだ。そこで僕
はあることに気付いた。

「そうだ!オルセインさん達は、ゾンビは見なかったんですか?」
「ゾンビだと?・・・全く、最近の子供は悪い本の読み過ぎだな。私に下らな
いことを聞かないでくれたまえ」
「むっ!」
「オルセインさん、空想というのは決して下らない物ではありませんよ。現に
空想のお陰で、この現場は誰にも発見されずに済んだじゃありませんか」

僕とデヴィッドさんの頭には、?マークが浮かび上がった。誰にも発見されず
に済んだ?空想のお陰?一体どういうことなのだろう?

「ルーク、彼らはもちろん、私達もゾンビなど見てはいないよ」
「何?レイトン!君はまだ信じないのか?」
「私はゾンビやモンスターを否定しているわけではないさ。だが、少なくとも
私達が見たのはゾンビなんかじゃない。あれは、夜中の警備員とでも言うべき
トリックだったのさ」
「夜中の警備員?何を言うのかねレイトン君」
「ではお聞きしますが、何故夜中はあの門の前に人の姿がないのですか?立ち
入り禁止なら、一日中誰かを配置しておかなければいけないにもかかわらず」
「・・・・」

2011-05-13 13:59:30


U

オルセインはそのまま黙ってしまった。レイトン先生は、その場にいる全員に
聞こえるように、ゾンビのナゾを解き明かしていった。

「先日、共同墓地を調査しているとある物を見つけました。墓地には似つかわ
しくないある物をね」
「ある物?」
「ほとんどの墓標の根本に、コードが巻き付けられていました。この島の古く
からの特産品である鉄によって作られた墓標は、よく電気を通します。そして
、周りの土は鉄分を多く含む・・・これらから導き出される答えは一つです」
「どういうことだ?」
「あの墓地の地下には、人が立ち入ると電気が流れる仕掛けがしてあり、コー
ドの巻き付いた墓標は電流によって電磁石となる。鉄分を含む土は磁石に引き
寄せられて、墓標の周りで盛り上がり、まるでゾンビが土の中から現れるよう
に見えるのさ。昼間はスイッチを切っておけば電気は流れないし、何より昼間
ではその仕掛けがばれてしまう。しかし夜中にこれを見れば、すぐに誰でも逃
げ出してしまう完璧な警備員となるというわけさ」

なるほど、あの不気味な音は電流が流れる時の音だったのか。あの雰囲気では
誰だってゾンビと見間違えるに決まってるし、普通はそんな場所近付きたくも
なくなる。確かに、少なくともゾンビを信じる人に対しては鉄壁の守りだ。

「そして、この島であんな物を仕掛けることができるのは、余程の経済力を持
った人物・・・オルセインさん、あなたしかいないのですよ」
「・・・」

2011-05-16 16:38:40


U

レイトン先生の推理を聞くと、オルセインは少しも動じずに、やれやれという
風に溜息をついた。そして、また先生のことを馬鹿にするのかと思いきや、あ
っさりと自白してしまった。

「フフフ・・・流石はレイトン君だ。君ならあんなちゃちな仕掛け、すぐに見
抜いてしまうと思っていたよ。これは心強い」
「心強い?何を言っているんだオルセイン!!」
「君達はここへ何をしに来たのだ?まさか偶然ゾンビのナゾを解き明かし、偶
然この広い森のこの場所へ辿り着いたわけではあるまい」
「えぇ、私達はここへ、『創造の杖』を探しに来ました。あなたと同じように
ね」

レイトン先生はさらりとオルセインの核心を突くと、自慢のシルクハットを直
した。オルセインは、待ってましたとばかりに警官を引き替えさせ、1人残っ
てレイトン先生に握手を求めた。

「全て気付いていたのだなレイトン君。いかにも私は、ここで『創造の杖』を
探し続けている。かれこれ3年は経つだろう」
「えぇ!そんな馬鹿な!」

思わず僕は声をあげてしまった。さっきまで、空想が下らないと言っていた男
が、実は3年も『創造の杖』などというゾンビよりも信じがたい伝説を追いか
けていたなんて!この男に、馬鹿にされるいわれはないじゃないか。

2011-05-17 16:48:52


U

「私が作った地図といい、ゾンビのナゾといい、全ては君達の頭脳を試す試練
と言ったところだ。レイトン君以外はついでのようなものだが、ここまで来た
ら最後まで付き合ってもらおう」
「地図?あの地図か!」
「しかしオルセインさん、あなたは伝説などと言ったものに興味が無いのでは
?ここまで手を尽くす理由が分からない」

確かに、本当かどうかも分からない伝説にここまで執着のに、単なる好奇心で
は不十分だ。

「何を言っているんだレイトン君。かのシュリーマンだって、幼き日の思いを
忘れなかったからこそ、トロイアの遺跡を発見できたのだ!必ず『創造の杖』
もあるはずだ!」
「なるほど、素晴らしい探求心ですね。もしあなたが考古学者だったら、私も
快く協力できたのですが」
「何?君は私に協力しないというのか」

オルセインの表情が豹変し、僕の背中に悪寒が走った。しかし、その眼差しは
以前デヴィッドさんの部屋で見たものと同じ、好奇心に満ちあふれて純粋だっ
た。やり方や態度はともかく、僕らと似た人であることは間違いない。

「オルセインさん、この先には何があるかはわからない。もし何かあっても安
心できるように、島の責任者であるあなたの同行をお願いしたいのですが、よ
ろしいですか?」
「待てレイトン、僕はこいつが気に入らない。一緒に行くのはゴメンだ」
「でもデヴィッドさん、この人をここに置いてけぼりにするのは可哀想ですよ
。連れて行ってあげましょう」
「ルーク君、君まで・・・」

2011-05-19 16:45:10


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