レイトン教授シリーズの攻略
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U
初めましてUと申します。
レイトン教授で初めて小説を書きます。
超低速更新なので、気長にお読み下さいまし
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〜序章 創造の杖〜
『創造の杖は全てを生み出す
大地も海も、そして生ける物をも
創造の杖は持ち主を選ぶ
運命に従い、逆らわざる者を
創造の杖は侵されてはならない
杖侵されしとき、生み出されし全ては消えゆくだろう』
2011-02-27 09:40:08
U
デヴィッドさんは困ってしまい、オルセインを睨んでから、仕方ないとばかり
に、無理矢理手を掴んで乱暴に握手した。どっちが嫌われ者か分からない。し
かしオルセインの方も、握られた手をハンカチで丁寧に拭いて、さっさと窪地
の穴まで歩いて行ってしまった。
「先生、この2人と一緒で大丈夫なんでしょうか?」
「どうも彼らは水と油のようだね」
レイトン先生は笑いながら、デヴィッドさんを連れて穴に入っていった。僕も
遅れないように、続けて穴に入り、最後にオルセインが続いた。
中はとても広く、明るくするための豆電球と、土を運び出すトロッコの線路が
奥まで続いている。穴というよりは洞窟だ。中に入ると、突然不思議な感覚に
襲われた。しかしこの感覚には覚えがある。
「レイトン・・・どうも僕はこの場所に合わないようだ。入った途端に頭が痛
くなってきた。君は何ともないかい?」
「デヴィッドさんもですか?実は僕も急に・・・どうなっているんでしょう」
「大丈夫、すぐに慣れる。この穴は島の地下にあり、周囲の土は磁気を帯びた
金属を多く含んでいる。ここで小さな磁気嵐のような現象が起こっているのだ
ろう」
「なるほど、初めてこの島に来た時に感じた物と同じようですね」
そうだ、フェリーに乗っていた時に感じた頭痛だ。どうやらこの島の周りには
大きくて弱い磁気嵐が起こっていて、奥に行くほど強くなっていくらしい。僕
は我慢できずに腰を抜かしてしまったが、オルセインが後ろから優しく支えて
くれた。
2011-05-23 16:54:16
U
「大丈夫か。君にはちょっとキツ過ぎるんじゃないか?」
「すみません、もう大丈夫です。先に進みましょう」
「ルーク君、気を遣うことはない。僕だってまだ痛いのだから、もう少し慣れ
てから行こうじゃないか」
フラフラしながら、デヴィッドさんは僕の隣に座った。正直に言うともうほと
んど慣れているのだが、僕は気を遣って頭が痛いフリをした。それを見てオル
セインは、僕とデヴィッドさんに飴をくれた。
「食べなさい、これで少しは気分が良くなるだろう」
「おや、よかったねルーク」
「ありがとうございます・・・うん!美味しいです!」
赤い包みに入っていたのは、ストロベリー味の飴だ。どうやらまだポケットに
いくつかあるようだが、それよりもこの人が飴を持ち歩いていることの方が驚
きだ。デヴィッドさんは緑色の包みの飴を口に放り込むと、よく味わいもせず
に吐き出してしまった。
「うえぇ!マスカット味じゃないか!」
「デヴィッドさん!何をしてるんですか!せっかくの飴なのに・・・」
「確かデヴィッドはマスカットやブルーベリーが苦手だったね。もったいない
が、これはもう食べられないね」
せっかくオルセインとデヴィッドさんが仲良くなるチャンスだったのに、自ら
台無しにしてしまうなんて。好き嫌いぐらい我慢すればいいのに。しかし、お
陰で頭痛が消えたらしく、すっかり元気になったみたいだ。
2011-05-24 16:39:09
U
〜四章 ポワール島の地下遺跡〜
懐中電灯で足下を照らし、線路に躓かないように気を付けながらゆっくり洞窟
を進んでいく。3年かけて掘り進んでいるため、かなり奥まで整備が行き届い
ている。しかし、歩いて30分程度の所で、急に大きな岩の壁が僕たちの道を
ふさいだ。
「これは・・・!?」
「どうやら行き止まりのようだね。どうにかして先へ進めないだろうか?」
「3ヶ月ほど前からこの岩の先に進めないんだ。爆薬ならいくつかそこの箱に
保管してある。君ならこの壁を壊せるんじゃないか、レイトン君?」
「ふむ・・・」
レイトン先生は壁を叩いたり、近くに散らばった爆薬の破片を調べたりしなが
らしばらく考えてから、何かを察したように爆薬を取り出し、薄くしてから壁
にいくつか貼り付けた。
「先生、何をしているんですか?」
「この壁を爆破するのさ。これだけ爆薬があれば十分だ」
「でも先生、既に爆破の後があるのに岩があるって事は、今まで壊せなかった
ってことじゃないでしょうか?」
「そうだね、このやり方を試した事がないことを祈ろうか」
2011-05-26 17:21:16
U
爆薬のセットが終わると、僕らは離れた岩陰に隠れて、レイトン先生が点火し
た。小さな爆薬とは言え沢山セットしているせいで衝撃は凄まじい。狭い洞窟
に大きな爆発音と衝撃波が響き渡り、洞窟が丸ごと震えた。天井から細かい石
が降ってきて、デヴィッドさんの頭に当たった。
舞い上がった土煙がおさまって、おそるおそる岩陰から出てみると、サッキま
で丈夫そうな顔を見せていた岩の壁は跡形も無く崩れ去っていて、奥に暗い通
路のような物がうっすらと見えていた。
「これは・・・どういうことだ?」
「すごいです先生!あの固そうな壁がなくなりました!」
「どうやら上手くいったようだね。それにしても凄まじい爆発音だったが、大
丈夫かいルーク?」
「・・・少し耳が痛いです」
僕が耳を押さえて言うと、レイトン先生は帽子の位置を直して軽く笑った。オ
ルセインが不思議そうに崩れた壁を眺めていると、デヴィッドさんが洞窟内に
響き渡る声で説明し始めた。
「なるほど!爆弾のプレート効果を利用したわけだな!」
「プレート効果・・・って何ですか?デヴィッドさん」
「普通爆弾は、爆発すると全方向に均等に力を発するが、ある程度薄いプレー
ト状の爆弾は、力を面に垂直に伝える。だから、ある方向へ普通の爆弾よりも
強い力を与えることができるのさ。これを沢山つければ、あんな壁など簡単に
破壊できるさ」
2011-05-27 16:56:25
U
「流石はレイトン君・・・というところか」
どうにもこの2人は仲が悪い。自慢げに喋るデヴィッドさんもだが、オルセイ
ンもわざわざ棘のある言い方をしなくて良いのに。新しく見えた道を前に、僕
とレイトン先生はやれやれと肩をすくめた。
新しい道は、今までのような洞窟とは違い、明らかに人の手が加えられた通路
・・・遺跡の様な雰囲気を漂わせていた。洞窟よりは狭いが、レイトン先生の
帽子が十分に収まるほど高い天井と、キレイに敷き詰められた石に凹凸や段差
は全く無い。
「これは・・・一体何の遺跡なんだ?」
「この壁に書かれた象形文字は、昔この島で暮らしていたポワール族の使って
いた物に似ているな・・・。もしかしたら彼らの遺跡かもな」
「ポワール族の遺跡なら、『創造の杖』の可能性もぐんと上がりますね!」
オルセインは、そう言った僕の顔を見てはにかんだ。今やすっかり、デヴィッ
ドさんよりオルセインの方がいい人に見える。嫌みな口調は相変わらずだが、
利用しているとはいえ僕らを気遣い、子供の様に好奇心の赴くまま進んでいる
姿は、嫌いになれるものじゃない。
この遺跡の中は、先ほどの洞窟とは違いおかしな磁気嵐は起こってないようで
、頭痛も目まいもすっかり消え去った。しかし人の気配がなく、何が待ってい
るか分からない不安は奥に進むに連れてますます増えていく。僕以外の3人は
やはり、好奇心と探求心で息が荒くなり、無意識のうちに歩みを速めている。
2011-05-30 14:33:55
U
「先生、もう少しゆっくり歩いて下さい。ついて行けません」
「おっと気が付かなかった。こういう所に来るとつい心が沸き立ってしまうね
。おや、何か見えてきたよ、ルーク」
先生の指さす先には、弱々しい懐中電灯の明かりに照らされてうっすらと暗闇
に浮かび上がる扉があった。その手前には、レイトン先生の研究室より少しだ
け広い小部屋があり、床には小さな穴が無数に開いている。部屋に入ったとき
、カチッという音が聞こえた気がした。
「なんだこの部屋は?何か意味があるようだが」
「見たところ部屋のようだな。扉は・・・開かないようだ」
「行き止まりでしょうか?」
「そんなことはないさ。扉があるならその先には必ず空間がある。しかしどう
やって開ければ良いんだろうね?」
デヴィッドさんは壁により掛かって一休みしている。僕も休もうと思ったが、
英国少年としては地面に座ってお気に入りのズボンを汚すなんて事はしない。
「先生、どうですか?」
「どうやら何か仕掛けがしてあるようだ。この遺跡はおそらく『創造の杖』に
続いているだろうから、こういう障害や罠はあって当然だね」
「じゃあやっぱり、この奥に『創造の杖』が・・・」
「うわあああぁぁぁぁぁ!!」
2011-05-31 16:23:52
U
急に座り込んでいたデヴィッドさんが奇っ怪な悲鳴をあげて飛び上がった。見
ると、座っていた場所に小さな黒いうごめくものが密集していた。ロンドンじ
ゃあまり見られないけれど、それが何なのかはすぐにわかる。
「どうしたんですかデヴィッドさん?あ、アリですね!」
「こんな所に巣を作るなんて・・・意外とたくましい生き物だな」
オルセインは感心しているが、その様子を見たレイトン先生の表情は難しくな
り、急に僕を肩車して叫んだ。
「うわぁ!どうしたんですか先生!?」
「まずい!これは猛毒を持つアリだ!2人共なるべく刺激しないように静かに
したほうがいい!」
デヴィッドさんとオルセインの動きがピタッと止まった。デヴィッドさんはゆ
っくりと壁により掛かり、オルセインは部屋の端で直立不動だ。僕はレイトン
先生に肩車されて開かないドアの前にいる。
「レ、レ、レイトン・・・どうにかならないのか・・・?」
「2人共できるだけ刺激しないように、持っている物を見せてくれ」
「え、え〜と・・・」
デヴィッドさんのポケットには、さっきの爆発で降ってきた小石しか入ってな
かった。しかしオルセインは、コンパスやミニナイフやルーペなど、様々な道
具が入っていたが、特にアリを追い払えるような物は無かった。レイトン先生
も色々な小道具は持っていたが、やはり今は役に立たない。
2011-06-02 15:13:13
U
「どうしたものか・・・このままではいずれアリに襲われてしまうぞ」
「先生、大丈夫ですか?」
「ふむ・・・」
その時、デヴィッドさんが胸のポケットを探って何かひらめいたようにそっと
手を叩いた。デヴィッドさんの手には、さっき吐き出したマスカット味のアメ
の包み紙が握られていた。
「オルセイン!まだアメがあるだろう!出してくれ!」
「なるほど、それでアリを誘導できそうだ。オルセインさん、こっちへ渡して
下さい」
「わかった。君達に任せよう」
オルセインはレイトン先生にアメを3,4粒投げ渡して、レイトン先生はその
包みを剥がして僕に渡した。
「それを向こうの通路まで投げてアリを誘導してくれ。落ちないように気を付
けてね」
「は、はい!」
僕は通路の奥めがけてアメを投げた。すると、足下で動き回っていたアリが通
路に向かって行進し始め、全てのアリが部屋を出て行った。緊張が解けたデヴ
ィッドさんはその場で腰が抜けたように尻餅をついた。
「た、助かったなぁ・・・」
「生きていて初めてアメに感謝したよ」
「よくやったねルーク。おや、扉が開いているようだ」
「先生、もう下ろして欲しいんですが・・・」
2011-06-06 16:39:34
U
〜五章 創造の杖の真実〜
無事ピンチを切り抜けた僕たちは、狭い遺跡の通路を一列に進んだ。そこから
しばらくは、デヴィッドさんが躓いて危うく眼鏡を割りかけるくらいの事しか
起こらず、何だか拍子抜けだった。もっと沢山、もっと危険な罠が待ち受けて
いるかと思ったら、どうもあれでおしまいらしい。
「先生、なんだかあっけないですね。罠はあれだけなんでしょうか?」
「油断はしないほうがいいが、確かに思ったよりも警戒心が薄いようだ」
「昔、ポワール人達がこの島で独自の文化を発展させていた時代、ポワール人
達にはある首長がいたらしい」
急にオルセインが話し出した。
「首長は、ポワール人達に対して絶対的な権限を持っていて、広く崇拝されて
いたようだ。おそらく、首長としての証が『創造の杖』。それを盗もうとする
者も当然現れるはずだ」
「ならもっと厳重な罠を張り巡らすんじゃないのか?」
デヴィッドさんがすかさず口を挟む。
「今でなら特定の人物のみを罠にかけることができるが、この先に『創造の杖
』があるとすれば、首長は必要に応じてそれを取りに来る。その時に、さっき
のように相手を選ばない罠をいくつも仕掛けては、自分が罠で死んでしまうこ
ともあるかもしれない。だから、あれだけしかなかったんだろう」
2011-06-09 18:01:55
U
なるほど、確かに自分の仕掛けた罠に引っ掛かるなんてマヌケな事は無い。で
もこれでは、盗人にとっても同じではないか。罠を知っているとはいえ、首長
がここに入りやすいように盗人もここに入るのはそう難しくはない。
「じゃあもしかしたら、ここが本当に『創造の杖』の遺跡だったとしても、既
に盗み出されてるかも知れないんじゃないですか、先生?」
「そうかもしれない。だが伝説には、『創造の杖は持ち主を選ぶ 運命に従い
逆らわざる者を』とあったはずだ。簡単には持ち出せない仕掛けがあるに違い
ない」
「その通りだ。そもそも、運命に従う人間は盗みなどしないだろう」
デヴィッドさんが無理矢理話に入ってきた。運命に従うという事がどういうこ
となのかはよくわからないが、もし『創造の杖』が本物なら、誰だって盗もう
と魔が差すことぐらいあると思う。その時、僕らの目の前に大きな扉が現れた
。いかにも、この先に重要な物を隠しているような怪しげな雰囲気を漂わせて
いる。
「これは・・・なるほど、ここが『創造の杖』の部屋というわけだな」
「鍵が掛かっていないな・・・いや、風化して意味が無くなっただけか」
オルセインとデヴィッドさんは扉を調べて、片方ずつを押して扉を開けた。金
属が地面を引っ掻く嫌な音と、崩れてくる周りの岩の鈍い音が響き渡る。小さ
な懐中電灯の明かりに照らされた洞窟内が、扉の向こうから漏れてくる光で溢
れた。時刻はまだ真夜中だというのに、部屋の中は青白い光で一杯だった。
2011-06-10 17:11:54
U
「これは・・・」
「うわぁ・・・すごいですね先生・・・。まるでシャンデリアで照らされてる
ようですね」
「レイトン!すごいじゃないか!この島の地下にこんな空間があるなんてな!
やはり君を誘って正解だったよ!」
デヴィッドさんはレイトン先生の肩を叩いて、部屋の中を走り回っていた。レ
イトン先生も、流石にこの部屋の美しさに息をのんだようで、しばらくの間動
かなかった。一方オルセインは、辺りをキョロキョロと見回している。部屋に
入った瞬間から少し様子がおかしい。そういえば、この部屋の空気は外とは少
し違う。よくわからないが、違和感がある。
「先生、あの水晶から光が出てきているようですよ」
「ルーク君、この光は水晶からではなく、水晶の根本にあるヒカリゴケという
植物から発せられている物を反射して拡散しているのさ」
デヴィッドさんは流石に気持ちが高まったらしく、僕に向かって部屋の光につ
いて教えてくれた。レイトン先生は少し笑いながら、部屋の中央の水晶に歩い
て行った。そして、何かを見つけたらしく僕を呼んだ。
「ルーク、これを見てごらん。どうやらこれはナゾの鍵になっているようだ」
「え?ナゾですか?」
「何?見せてみろ!」
2011-06-27 17:26:33
U
ナゾと聞いて僕も興味がわいたが、それ以上にオルセインもくいついた。ナゾ
で鍵がかけてあるってことは、中に大切な物がしまってある証拠だ。それなら
盗人には手に入れられないようにできる。
「『創造の杖は持ち主を選ぶ、運命に従い逆らわざる者を』。この謎を解くヒ
ントになっているんじゃないかな」
「うーん、難しそうですね」
水晶の箱には細い線が幾つも彫られていて、部屋の輝きを反射してきらきらと
輝いている。ナゾのロックは長い間解かれていないのだろうが、埃一つなくき
らめいていて、僕の答えを待ちわびているかのようだった。
僕は真剣に考えて、手帳にペンを走らせた。そして後ろでもどかしそうに見て
いるオルセインを尻目に、じっくり時間をかけて答えを出してみた。
出した答えが正しかったらしく、ナゾのロックがかかった箱はゆっくりと蓋を
開けた。レイトン先生のお褒め言葉を待たず、僕は飛び上がって喜んだ。
「うん!正解だ!」
「やったぁ!」
「よくやったルーク君!素晴らしい!」
デヴィッドさんは僕よりも喜んでいるようだ。流石のレイトン先生も箱の中身
に興味津々のようだ。
箱の中には、『創造の杖』と思われる物が、純白で清潔そうな布の上に優しく
置かれている。僕が本を読んで思い描いた、魔法使いや仙人が持っていそうな
いびつな木製の杖の姿は無く、鋭利で錆びどころかくもり一つ無い直線形で金
属製の棒があった。
2011-06-30 17:14:21
U
「これは・・・?これが『創造の杖』か?」
僕より先にデヴィッドさんが口を開いた。確かに想像と違い、妙に近代的な雰
囲気がする。本当に『創造の杖』なんだろうか?既に誰かがこの箱を開けて、
偽物を置いといたんじゃなかろうか。
「先生、これが『創造の杖』なんでしょうか?」
「そのようだね、歴史的にも素晴らしい価値がある物だ。是非とも持ち帰りた
いが・・・諦めようか」
「レイトン、これのどこが『創造の杖』なんだ?」
デヴィッドさんに言われて、レイトン先生は手袋を丁寧にはめて、箱の中から
杖を取りだした。学生時代フェンシングをやっていた先生が持つと、どことな
く頼もしい印象を醸している。
「ふむ・・・確かにこれは『創造の杖』ようだ。ある程度は予想していたが、
当たっていたらしい」
「どういうことだ?」
デヴィッドさんは興味深そうに尋ねた。レイトン先生は杖の先を下に向けて、
いつものように僕たちに説明してくれた。
「よく見ててご覧2人共・・・」
「何だ?何が起こるんだレイトン?」
2011-07-01 17:33:52
U
レイトン先生が杖に向かって何かをつぶやき、おおげさに手を振ってからしば
らく杖の先を見ていると、ゆっくりと水が現れて先に溜まり、自分の重さに耐
えきれず地面に落ちた。
「あ!み、水だ!」
「なぜ杖から水が・・・?すごいじゃないかレイトン!本当に『創造の杖』だ
な!」
僕とデヴィッドさんが驚くと、今まで閉じていたオルセインの口が僕たちに向
かって開いた。
「なるほど、確かに水を生み出しているようにも見えるな。この部屋に入った
ときから少しおかしな感じはしたんだが・・・凝縮か」
「流石ですねオルセインさん、ご明察の通り、これは凝縮という現象です」
「凝縮?」
確かこの前の夏に、レイトン先生に教えてもらったっけ。冷たい水をカップに
入れておくと、いつのまにかカップが水滴だらけになる現象だったかな。部屋
に入ったときの違和感は、遺跡の通路より湿度が高かったんだ。
「凝縮を知らない昔の人間なら、まるで杖から水が生み出されているように思
い込むわけだね。杖を冷やせばいくらでも水蒸気を凝縮させることができるか
ら、誰も疑いようがない」
2011-07-28 15:40:42
U
なぁんだ、伝説だとか幻だとか言われてる『創造の杖』の正体は、そんなもの
なのか。いつもレイトン先生とナゾを解き明かす度に思うことだが、意外と伝
説なんて物は、後からついた尾ヒレの方が大きかったりするのだ。しかし僕は
このままでは引き下がらない。水を出しただけでは、『創造の杖』なんて大層
な名前はつかないだろう。
「先生、この杖が生み出せるのは、水だけなんですか?」
「いや、そんなことはない。もっと色々な物を『創造』することもできるさ。
例えば・・・」
そういうとレイトン先生は、杖を強くこすって剥き出しの地面に杖を向けた。
今度は何が起こるのか、デヴィッドさんもオルセインも興味津々のようだ。レ
イトン先生が向けた地面がみるみる盛り上がり、今度は土山が生み出された。
「うわわっ・・・土だ!」
「ん?待てよレイトン・・・これはもしかして・・・」
「なんと・・・」
「分かったかいデヴィッド?オルセインさんには心当たりがおありでしょう。
まさか自分が『創造の杖』の力の一つを解き明かしていたとは思わなかったで
しょう」
「先生、それって・・・あぁ!」
ひらめいた!この土がゆっくりと盛り上がる現象には見覚えがある。2回もあ
んなに怖い思いをさせられたら、嫌でも頭にこびりつく。オルセインが仕掛け
たあのゾンビのトリックとよく似てる。
2011-07-29 20:06:17
U
「みんな気付いたようだね。この杖は島の鉱物から作られている。例の、奇妙
な磁場を生み出す磁力を持った鉱物さ。この磁力で島の土は盛り上がって、山
を作るのさ」
「山・・・ですか?」
「といっても、極小さな盛り上がり程度だけどね」
じゃあ、伝説にある生きた物はどうやって生み出すんだろう?いくら『創造の
杖』とはいえ、命をそう簡単に生み出せるのかな?僕は先生に聞いてみた。
「先生、その杖で生き物を創ることはできるんですか?」
「まさか、生きた物を生み出せるのは生きている物だけさ。この杖はただの磁
力の強い金属の棒だ。だけど、熱すれば火を点けることも、高い場所に固定す
れば雷を呼ぶこともできる。何も知らない古代の人々がそんな光景を見たら、
まさしく万能の杖、『創造の杖』と見まがうわけだ」
なるほど、やはり伝説なんてのはほんの少しの事実と沢山の噂からできている
んだ。偶然とは言え、オルセインはその能力の一部を再現してしまったんだか
ら、すごそうなのは名前だけか。
「それにしても、古代にコレを発見した人はきっと素晴らしい頭脳を持ってい
たに違いないなぁ。遺跡を調査したら何か見つかるかも知れないな」
「もしそうだったら、これは歴史的な大発見になるだろうね」
2011-08-01 16:41:17
U
レイトン先生とデヴィッドさんが杖を持って談笑していると、急にオルセイン
が二人に歩み寄っていった。無表情だが、何か様子がおかしい。すると突然オ
ルセインが杖を引ったくった。
「よこせ!!」
「うわぁ!」
驚いたのと、オルセインにぶつかられたせいでデヴィッドさんはまた尻餅をつ
いてしまった。レイトン先生は身構えたが、持っているのは小さな懐中電灯だ
けだ。オルセインは部屋の端まで走っていき、壁に手をかけた。すると、壁に
小さな穴が開いた。丁度、『創造の杖』ぐらいの太さの棒が入りそうな穴だ。
「感謝しようレイトン君、よくぞ私をここまで導いてくれた。だが君達はもう
用済みだ、残念だよレイトン君。君のような素晴らしい頭脳がこんな遺跡の下
で失われてしまうのは!!」
オルセインはスーツの胸ポケットから拳銃を取り出してレイトン先生に向けた
。今にも引き金を引きそうな様子に、流石のレイトン先生も少し困惑している
が、すぐに冷静にオルセインを諭そうと試みた。
「一体どうしたのですか、オルセインさん。紳士的とは言えませんね」
「どういうつもりだ!」
2011-08-02 14:00:51
U
僕も怖かったけど、必死に声を絞り出して言い放った。デヴィッドさんは尻餅
をついたまま両手を挙げて震えていて、なんとも頼りない。
「君達は知らないだろうが、『創造の杖』の伝説には続きがあるんだ。『創造
の杖は道を開く 至宝の眠る園への道を』というな。おそらく、コレを使って
集落を支配していた者の宝でも保管してあるのだろう」
「至宝ですか?初めて聞きますね」
「そうか!『創造の杖』がその宝物庫の扉を開けるカギになってるんだ!」
「その通りだよ坊や。だが実に残念なことに、宝は全て私が頂く予定なのだ。
つまりここに他の人間がいてもらっては困る、私が君達に手伝ってもらったこ
とを喋られても都合が悪い。すまないね」
そういうとオルセインは杖を壁の穴に突っ込んだ。カチッという音と共に壁が
窪み、大きな音を立てながら奥へと滑っていった。オルセインは僕たちを警戒
しながらゆっくりと中に入っていった。
「先生、今がチャンスです!今のうちにここを出ましょう!」
「そうだレイトン、あいつはおかしくなってる!しかし・・・宝というのも見
てみたい気もするな」
「そんな!」
デヴィッドさんは興味と恐怖の間で揺れ動いているようだ。そりゃ僕だって宝
に興味はあるが、こっちは丸腰で向こうは銃を持っている。もしオルセインが
襲ってきたら、僕たちには対抗する手段がない。
「ルーク、あの水晶はなかなか硬そうだよ。防げないにせよ、銃弾の勢いを弱
めることくらいはできそうじゃないか?」
「本気ですか先生!?もしも撃たれたらどうするんですか!?」
「そうだな、『創造の杖』で傷薬でも生み出してもらおうか」
2011-08-03 18:37:01
U
〜六章 至宝の園〜
どうしてレイトン先生はあんなに落ち着いていられるんだろう?相手が銃なん
か持ってたら普通僕やデヴィッドさんみたいに震え上がるんじゃないか?落ち
ていた水晶を寄せ集めて作った盾と剣を持ったレイトン先生は映画に出てくる
ヒーローのようだ。僕とデヴィッドさんはレイトン先生の後ろに付いて奥へと
進んでいった。今にも暗闇の向こうから銃弾が飛んできそうだ。
「2人共気を緩めないようにね、私の後ろについていなさい」
「はい・・・先生・・・」
デヴィッドさんはまだ好奇心と恐れで葛藤しているようだ。レイトン先生の後
ろに隠れながらゆっくり進んでいると、道の奥にオルセインがいた。壁を前に
何か考えているようだ。僕たちに気付いたらしく、急に振り返って銃を向けて
きた。
「お前達!帰れと言っただろう!!」
「先生!危ない!」
「落ち着きなさいルーク、どうしたんですかオルセインさん?」
「お前達には関係無いだろう!」
「行き止まりで先に進めないんだろう?」
デヴィッドさんがレイトン先生の後ろから意地悪く言った。どうやら図星らし
い。杖だけでは宝に行き着くことはできないようだ。思ったよりもずっと厳重
なセキュリティが敷かれているようだ。
2011-08-09 11:18:15
U
「ルーク、またナゾの鍵のようだよ。オルセインさんは挑まれたのですか?」
「当たり前だ!そんな子供に解けるようなナゾではないぞ!」
オルセインのその言葉を聞いて、僕のナゾ好きの血が少し騒いだ。そんなこと
を言われたら、挑戦しないわけにはいかない。僕はオルセインが銃を持ってい
ることも忘れて、行き止まりの壁に歩いて行った。
「どうだいルーク君?解けたかい?」
「う〜ん・・・」
確かに難しい、しかしナゾを解くのに必要なのは知識ではなく根気だ。一生懸
命考えていれば、何か閃くはずだ。そうレイトン先生に教わった。デヴィッド
さんがしきりに声をかけてくるからいちいち集中が乱れる。すると、ずっと横
でもどかしそうにしていたオルセインがしびれを切らした。
「レイトン君!いい加減に君が解いたらどうだ!!もう答えは分かっているん
だろう!?」
「落ち着いて下さいオルセインさん。今はまだ彼が解いてる途中ですよ」
その時、僕の頭の中でぱっと閃いた。答えのピースをはめ込むと、壁はゆっく
りと開いて奥に新しい道が開いた。どうやら正解のようだ。
「やりました先生!奥に道が!」
「おぉ!すごいじゃないかルーク君!」
「よくやったねルーク。先をどうぞ、オルセインさん」
「・・・」
2011-08-12 16:50:08
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