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レイトン教授と謎の人物’〇<ゼロ>’

のーた

皆様こんにちは☆ のーたです。

ついに5作目となりました☆

「レイトン教授と江戸の姫君」
「ドン・ポールと貴婦人」
「レイトン教授と~夢~」
「レイトン教授と密室事件」も、良かったら見て下さい☆全てミステリーです。

今回はレイトン、ルーク二人で解決していきます。(前回のアロマ目線は難しかった笑)
勿論ミステリーですよ☆

コメント大歓迎です☆
それでは、素人ですがよろしくお願い致します☆

2010-12-24 14:46:42


のーた

いつの間にか「21」ですね。3作目も4作目も確か「20」で終わっていたので、それを上回ったということになります(短く区切っていたから増えただけ笑)。
できれば「30」くらいで終わらせようと思っています。3カ月くらいで終える予定だったのに、話も時間も、思ったより長くなっちゃったなあ(苦笑)
それでは更新☆



21.~ユキさんを連れて~ <ルーク目線>



ユキさんは待合室にいた。僕達はユキさんに声をかける。

ル「ユキさん」

ユキ「あら、早いわね」

その一言で察したのか、ユキさんは立ちあがるとそのまま外へと歩き出した。
僕達もユキさんの後を追うように歩き出す。

しばらく経って、ユキさんは足を止めた。

ユキ「ここです」

目の前には、普通の一軒家。

ユキ「では、どうぞ」

ユキさんは門を開け、家のドアを開けた。
私達が中へ入った後、ユキさんが入り、そしてドアは閉まった。

ミズさんの部屋は2階にあるようで、ユキさんは階段をのぼったあと、ポケットから鍵を取り出して目の前にあるドアの鍵穴に差し込んだ。
カチャリと鍵が開く音がする。

ル「鍵かけてあるんですね」

ユキ「ええ。勝手に入られないように、いつも鍵はかけた状態にしているんです」

ということは、誰かがこっそり部屋の中へ入るのは不可能ということか。

レ「誰か、前に勝手に入って来た人はいるんですか?」

先生の質問に、ユキさんは首を横に振った。

ユキ「いいえ。でも、ミズの部屋には分からない薬品とかがたくさんあるから・・・危ないでしょう?鍵をかけていないと」

ル「確かに・・・そうですね」

ユキさんはドアを開けて、中へ入った。

ユキ「どうぞ入ってください」

ル「あ、ええ」

先生が入った後、僕は少し戸惑いながらミズさんの部屋へ入った。

・・・想像した通りの部屋だった。
分厚い遮光カーテンのせいで、光が一切部屋に入っていない。
部屋に入ってすぐにユキさんが明かりを点けてくれたのだが、その光も弱々しくて、何だか頼りない。

ユキ「簡単に掃除はしているんですけど、ビーカーとか、薬品のようなものには一切触れないようにしているんです。・・・ミズの時のような事が起きたら、怖いから・・・」

ユキさんがそういうのも、分かる気がする。
ビーカーや試験管や・・・液体が入っているビンや粉末などがずらりとあるから、それを避けながら中へ入るだけでも一苦労だ。
何なのか分からないもの・・・何が起きるか分からないものには、僕だって触りたくない。

レ「メモ帳というのは、これですか?」

机の前に立っていた先生が、机上にある一冊のメモ帳を指差して訊く。

ユキ「ええ、そうです」

レ「随分とホコリかぶっているようですが・・・」

確かに、メモ帳にはうすくホコリのようなものがかぶっていた。
というより、机の上のものは全てホコリかぶっているような・・・?

ユキ「簡単にといっても・・・いつも掃除するのは床くらいなんです。器具に触れないように掃除するとなると、それくらいしかできなくて・・・。だから、机の上とかはそのままなんです」

床はきれいで、机の上や棚の上などがホコリっぽいのは、そのせいか。

レ「中、見てもかまいませんか?」

ユキ「ええ、どうぞ」

ユキさんから了承を得ると、先生はポケットから手袋を取り出し、手にはめてからメモ帳を開いた。
僕も少し背伸びをして、メモ帳を先生の後ろから見る。

レ「・・・・・」

ル「・・・・・」

おびただしい量の文字が、ノートの1ページ1ページにびっしりと埋まっていた。
だけど文字が・・・あれ?なんか・・・。

ル「先生、あの・・・分かります?」

レ「・・・いや」

先生も分からないようで、首を傾げていた。

ノートを埋めていた文字はものすごく達筆で、しかもバラバラな国の言葉が用いられている。
文字の形の特徴から、どこの国の文字なのかはわかるけど、そこに書かれている単語の意味は全く分からない。
ドイツ語もあればスペイン語、スワヒリ語、・・・ラテン文字まで様々だ。

医学用語で使うためだけに作られた言葉が多いから分からないのだと、先生は言った。

その単語たちの中で、唯一僕達が読めるものがあった。
その単語は英語で書かれていた。

“solanine”・・・ソラニンと、達筆だったがかろうじて読めた。

ル「先生、これ・・・!」

思わず、声をあげる。

レ「・・・ユキさんが言っていた“ソラニン“の文字とは、このことですか?」

先生に訊かれたので、ユキさんは先生が指差している部分を覗き込んで見た。

ユキ「ええ。これがそうです」

なるほど、これは確かに・・ソラニンの文字のことを僕達に話すはずだ。
それしか読めなかったというのも、頷ける。
僕達もこれしか読めなかった。

後半の30ページ分くらい・・・これは実験の記録だろうか、量とその結果を表しているのか、数字が細かくずらりと並べられていた。

ル「一体・・・これは何の実験何でしょうか」

レ「・・・ソラニンかも、しれないね・・・」

ル「・・・・・」

ソラニンの凝縮・・・ミズさんには、おそらくそれができた。
このメモ帳は彼女の最後の実験について書かれたものだと思われるから、今回の事件の凶器であったソラニンを凝縮させた粉を作るための記録が書かれていた可能性は高い。
だが、それが本当なのか・・・僕達には分からない。

_____チェルミー警部にお願いして、科捜研で調べてもらうのはどうだろう・・・。

ル「先生、チェルミー警部に頼んでみませんか?科捜研の方々なら、分かると思うんです」

レ「・・・いい考えだね。それなら、あの文字たちの意味も分かるかもしれない。ユキさん、そうしてもかまいませんか?」

ユキ「はい、大丈夫です。私も気になっていましたから・・・お願いします」

よし、これでメモ帳の内容はなんとか分かりそうだ。

___あと気になる事は・・・・ミズさんの事故後で、この部屋に入った事のある人がいるかどうか・・・だけかな。
勝手にはいられないように鍵をかけているとユキさんは言っていたけど、とりあえず僕は窓の所や他にこの部屋に入れそうなところを見わたした。・・・全部、ホコリかぶっている。

ル「ユキさん、この部屋にだれか入った事のある人はいますか?その、ミズさんの事故以降で」

ユキ「いいえ、いないわよ。誰も、一度も入れていないわ」

ル「そうでしたか。どろぼうに入られたとか、そういうのもありませんでしたか?」

僕はもう一度確認した。

ユキ「無かったわ。少なくとも、見た限りでは無いわね。違和感も変化も、感じた事無かったから」

ミズさんの事故以降は、ユキさん以外誰も入っていない・・・ということになる。

ル「先生、何かありますか?」

僕はもう調べることが無いので、先生に訊いた。

レ「いや、無いよ。それじゃあユキさん、私達は警部のところへ行きます。メモ帳、拝借しますね」

ユキ「分かりました。では、私も病院へ戻ろうと思います」

僕達とユキさんは部屋を出て、ユキさんが鍵をかけたあと、家を出た。

レ・ル「ありがとうございました」

ユキ「いえ、こちらこそ」

ユキさんは僕達に背を向けると、そのまま病院のほうへまっすぐに歩いて行った。

ル「次は、ハルさんの家ですね。チェルミー警部がいるといいんですけど・・・」

レ「たぶん、いると思うよ。それじゃあ、行こうか」

先生は手袋をはめたままメモ帳をしっかりと持っていた。

ル「はい!」

僕達はハルさんの家へ向かって歩いた。

2011-03-31 10:11:18


茜星

凄いな…
それだけソラニンを研究していたんだ…

何のために…?
わからないや…

2011-03-31 10:43:54


レグルス

あ、のーたがイヤなら載せなくていいよ?(笑)
ちょっと冗談半分で言っただけだk((((((


ミズさん凄いな。そんなに研究してたなんて・・・・
どうしてそんなに研究してたのかな?

2011-03-31 12:19:29


town

ソラニン....テッカ○ン....ポ○モン←?

それでもソラニンを研究していたことと今度のことは関係が無いとも....
でも犯人はそれを知っていて利用したとも....

2011-03-31 17:34:12


江戸川 アラン

やほっ!全部読んだよ!すごいね^o^/

こんな事件が周りで起きたらおもしろいのn(蹴

粉チーズの容器にソラニンの毒物反応が出たらキッチンにいた人全員犯行可能!

続きが楽しみ!

2011-04-01 15:26:58


ミズさんすごい人だったんだね…。

でも何の為に? 
まさか、ハルさんに復讐する為?

粉チーズの中にソラニンが含まれていたんなら、容疑者は台所の中にいた人全員になるのかな…。

2011-04-01 21:51:21


ゆうん

ミズさんは一体何ヶ国語話せたのか…!?笑
羨ましいよ、笑←

粉チーズに入ってたんだから…
1人だと怪しまれるし、むしろ全員が共犯!とか…ないか!!笑
もし全員だったら理系苦手でも知識を集めて頑張る!…みたいな笑

うーん…分かりません(・・`)笑

2011-04-02 13:41:12


のーた

>茜星
ソラニン、の文字しか読めなかったから全体的にどうなのかはまだ分からないけれど、あの数字達の記録は凄いよね(笑)
数学は好きだったけどその他理系は苦手だった私は・・・あのメモ帳きっと(絶対)迷宮入りだね☆←
科捜研の人達の解読を早く・・・!←
ル「早く更新してくださいね」
の「うっ・・・分かってるとも汗」

>レグルス
そうかい?(笑)じゃあ、まあ…とりあえず保留で←←
ミズさんの研究に対する執念は本当凄いよね^^
姿勢だけ、見習いたいと思うよ(笑)←
科捜研の人達が読んだら、どうしてミズさんがそんなに熱心に研究していたかが、分かるかもしれないn←←

>town
な、何だい?その連なりは(笑)←
一瞬、花○山が頭をよぎったよ(笑)←古っ
色々考えてるねえ・・・。
正直、今回のユキさん宅の話は、思ったよりうんと長くなっちゃって自分焦りました(笑)←何の報告
次の更新、早く書きたいんだけど中々手が進まぬ(苦笑)

>江戸川 アラン
来てくれてありがとう^^ 
長かったろうに・・・読んでくれてありがとうね(笑)←
確かにアランの言うとおり、台所にいた人達全員は犯行可能です^^
だけど、人数が多い分リスクも高い…っていう(笑)←
犯行方法の有力な情報は前に載せたから、その点が今のところ一番ポイントかもしれないね(笑)←
続きを楽しみにしてくれて、私も嬉しいよ^^ 期待にそえるよう頑張るね^^

>雫
ミズさん凄い人だったねえ。
私もああいう風になんかカッコよく残してみたい・・・!笑←悲しいほどに何も無いけど
何のために?というのは、確か過去に可能性をちらりと書いたような・・・^^;←
粉チーズの中にソラニンを入れてたかもしれない、という可能性が事実になっていたら、犯行可能な人物はますます増えちゃうような気もするけど・・・が、頑張るよ(笑)←

>ゆうん
ミズさん・・・語学能力半端無かったね(笑)
ゆうんのコメント見て気づいたよ← 凄いなあ~ミズさん(笑)←
英語とかもう昔過ぎて忘れt←・・・から、羨ましいね←
全員が共犯!かあ!大きく出たねえ・・・^^←
全員で知識集めて頑張って見る姿をちょっと頭の中で想像したら・・・何かほほえましかった(笑)←←
次・・・どんな風に更新すればいいか分かりません←←

2011-04-07 18:07:48


のーた

あ、相変わらず時間無い・・・(泣)4月中には終わらせたいです・・・もう4カ月以上経っているので(笑)←
夜中に作業するとさすがに目と腰が・・・(苦笑)
それでは更新☆


22.~ハルの家にて~ <ルーク目線>




チェルミー「ふむ・・・成程な。このメモ帳が、もしかしたら事件と関係あるのかもしれない、ということか」

レ「ええ」

ハルさんの家に行くと、リビングにチェルミー警部はいた。
チェルミー警部がソファに座っていたので、僕達は警部と向かい合うような形で座る。

先生は手袋をはめたままメモ帳を持っていたので、そのままチェルミー警部に手渡す。
チェルミー警部ももちろん手袋をはめているので、問題無い。

チェルミー「ちょうど30分くらい前に、科学捜査研究所の研究員に来てもらっていたんだ。彼らなら、分かるだろう」

チェルミー警部は台所の方を向くと、2人の名前を呼んだ。
程なくして、白衣を着た男性と女性が、台所からこちらへ来る。

この二人が、科捜研の研究員なのだろう。

リビングに来ると、2人のうちの男性の方が、チェルミー警部を見て言った。

男性「どうしました?チェルミー警部」

チェルミー「お前たちなら、分かるだろう。このメモ帳の中身、何が書かれてあるのかを今すぐ調べてくれ。分かったら、ワシに教えてほしい」

男性「メモ帳、ですか。ええと、これは証拠品…何ですかね?」

チェルミー「…一応、そのつもりで取り扱ってくれ」

男性「分かりました。では、分かり次第チェルミー警部にご報告しますので」

チェルミー「うむ」

男性はチェルミー警部からメモ帳を受け取った後、僕達に会釈して、向こうのほうへと離れていった。

・・・とにかく、これで一応メモ帳の件は大丈夫だろう。

チェルミー警部は一つ咳払いすると、僕達の方を見た。

チェルミー「事件の話だが___証拠品が、新たに見つかった」

ル「本当ですか!」

粉チーズの容器、だろうか___

チェルミー警部は懐から紙を取り出すと、それを先生に手渡した。

チェルミー「それが報告書だ。見てくれ」

___________________________

<証拠品 報告書>

・粉チーズの容器 :台所のゴミ箱の中から発見。指紋は四姉妹のもの。

粉チーズに混じってソラニン(毒)が検出された。
小ビンの中のソラニンと同じ濃度だったため、小ビンの中のソラニンと、粉チーズの容器の中のソラニンは同じものだと断定できた。
          :
          ・
_______________________

それだけを見て、僕はすぐに先生の顔を見た。

ル「やっぱり!やっぱり毒は粉チーズの容器に入れられてあったんですね!」

レ「ああ・・・そのようだね」

チェルミー「何だ、お前たち知っていたのか」

チェルミー警部が意外そうな顔をする。

ル「知っていた、というより・・・可能性としてそう思っていただけです。ハルさんの妹さん方から話を聞いて、そうかなって」

チェルミー「ほう・・・」

どうやら、毒を入れる方法は、この粉チーズの容器で確定のようだ。

ル「でも、指紋は四姉妹全員なんですね。ハルさんしか粉チーズ使わないはずなのに・・・どうしてでしょう?」

僕の疑問に、先生はさらりと答えた。

レ「思い出してごらん、ルーク。ハルさん達が料理を作っている時、妹さん達はその手伝いをしていただろう?」

その先生の言葉で、僕はピンときた。

ル「あ、そうか!ハルさんに頼まれた内容が“粉チーズを取ってくれ”という時もありますよね!そうしたら、粉チーズを手に取る機会があってもおかしくないですし。普段からハルさんの料理を手伝っているようでしたから・・・だから、指紋が四姉妹全員あるんですね!」

レ「その通りだと思うよ。その証拠に・・・チェルミー警部」

チェルミー「ん?何だ」

レ「その粉チーズの容器ですが・・・指紋は多くありませんでしたか?」

チェルミー警部は少しのあいだ宙を見て、

チェルミー「・・・ああ。たくさんありすぎて、調べるのが困難だったほどな。一番多かったのは、ハルさんの指紋だったが」

と答えた。

指紋が多い・・・ということは、それだけ、四姉妹が粉チーズの容器を手に取る機会が多かったことを表す。
指紋が多いのが証拠、というわけだ。

ル「成程」

2011-04-17 00:10:14


のーた

納得した僕は、立ちあがって台所へ行った。
証拠品が発見された場所を確認しようと思ったからだ。

その間、先生は報告書を見ていた。

レ「・・・この証拠品は?」

ル「先生、チェルミー警部!ちょっと来てくれませんか?」

先生の声と、僕の声がほぼ同時だった。
そういえば…さっき見た報告書、“粉チーズの容器”の他に、まだあと“もう一つ”証拠品が書かれていたような気がする。
だけど先生の方はひとり言のように呟いていたので、僕の声にかき消されたような感じだった。

しまった・・・。

だが、もう遅い。
僕の声を聞いて、先生とチェルミー警部が台所へ集まって来た。

僕なんかより、先生の方を優先すべきだったのに・・・。

ル「あの、すみません・・・先生・・・」

レ「なに、いいさ。いずれにせよ後で見るからね。それよりルーク、どうかしたのかい?」

先生は優しくそう言ってくれた。

ル「その…証拠品が発見された位置を確認しておきたかったんです。確か・・・ソラニン(毒)が入った小ビンは、台所のすみの床で発見されたんですよね?」

チェルミー「ああ。・・・ここ、だったな」

チェルミー警部はその場所を指差した。
結構分かりやすい場所だ。

僕だったら絶対にそんな場所に置かない。すぐに見つかるからだ。
それとも犯人は…“わざと”、ここに置いたのだろうか。

ふと先生を見ると、腕を組んで黙ったまますみの床を見つめていた。
僕と同じことを考えているのかもしれない。

チェルミー「粉チーズの容器は、ここのゴミ箱から発見されたんだ」

台所の、作業台の隣にゴミ箱があった。

チェルミー「元々この粉チーズの容器は、ここにあったそうだがな」

流し台の下の戸棚を、チェルミー警部は指差す。
足元にある戸棚なので、流し台で洗い物をしていたら、足が邪魔で戸棚を開けられないだろう。一人なら、それ程問題でもないが。

つまり…犯人は、僕達がいたあの時間帯に“ソラニンを粉チーズの容器に入れる”という作業はしていない。
調理台には結構な人がいたし、小ビンから容器にソラニンを移すなんて作業、リスクが高過ぎて成功しそうに無いからだ。
どれくらい前の日にその作業を行ったのかは分からないが、とにかく僕達がいた時間帯には、行われなかったのだろう。

レ「ん?このなべつかみは・・・」

台所の壁の方を見ていた先生が呟いた。

見て見ると、4組のなべつかみがある。
大きさがそれぞれ違うので、おそらく四姉妹それぞれのものなのだろう。

ル「なべつかみ、ですね」

レ「一人一人にあるのか・・・」

ル「料理をお手伝いする機会が多い姉妹ですからね。それぞれのサイズに合わせて、そろえたんだと思います」

料理好きとあって、やっぱり流石だなあ。
僕が知らない調理器具がたくさんあって、どれもぴかぴかに磨きあげられていた。

___その時。

女性「あの、チェルミー警部。ちょっといいですか?」

先程メモ帳の中身を調べるよう頼まれていた科捜研の研究員の2人だ。

チェルミー「どうした、メモ帳の中身が分かったのか?」

女性「ええ、分かりました。達筆でしたけど、どれも私達には分かる言葉だったので」

さすが科捜研の研究員。短時間で分かるとは。

チェルミー「分かりやすく聞かせてくれ。この二人も一緒に聞くから」

チェルミー警部は僕の肩を軽くたたいた。

女性「あ、はい。分かりました」

女性も男性も、白い手袋をはめている。
メモ帳を持っていたのは男性の方だった。

男性「まず、このメモ帳に書かれていた大体の内容は、簡単に言うと“毒の種類について”でした」

ル「毒に種類、ですか」

女性「ええ。動物や植物、菌や人間が作りだした毒の名称と、それぞれの毒の強さ等がばらばらに記されてありました。例えば、コブラの毒とか、キノコの毒とかですね。特に、解毒剤が無いものについての記述が多かったです。色んな国の専門用語が多く用いられていたので、このメモ帳に書いた方はかなり医学関係にお詳しかったんですね」

解毒剤が無いものについての記述が多い・・・。
ミズさんは、それらの中でソラニンを選んだのだろうか。

男性「あと、後半のページは実験内容でしたね。細かく結果が載っていましたよ。“ソラニンを凝縮する”実験でした」

レ・ル「・・・・・!」

やっぱり・・・そうだったんだ。
ミズさん、ソラニンの凝縮についての実験をしていたんだ・・・。

レ「凝縮というと、どれくらいまでの・・・ですか?」

男性「ええと・・・65kg分くらいまでの凝縮に成功していますね。それから、凝縮した後の粉が水に溶ける速さなんていうのも、書かれていました。結果的に、50kg分のソラニンを凝縮した粉が、一番早く効果的に水に溶けたみたいですね」

50kg分・・・それは、最初の報告書であった“ソラニンの凝縮粉が入った小ビン”の中身と、同じ数値だった。

男性「あの・・・このメモ帳の持ち主、一体どなたなんですか?もしかして、この事件の犯人、とか」

やはり、今回の事件について調査していたこの2人の科捜研も気付いたのだろう。
なんとなくそう訊かれるだろうなと思っていた。
彼らの質問にはチェルミー警部が答えた。

チェルミー「犯人、では無いよ。もうその持ち主は亡くなっているんだ」

男性「そうなんですか。・・・でもこの持ち主、凄い人ですよ」

ル「凄い・・・?」

女性「かなり高度な実験なんです、さっきのソラニンの凝縮。いえ、たぶんこの方はこれ以外の実験でも、私達では考えられないようなやり方でかなり高度な事をしていたんだと思います。知識についても、実験方法についても・・・この方は、普通の科学者ではありません。治療方法がまだ見つかっていない病気でも、この人なら解決できたかもしれない___そんな偉人のような方です、この持ち主は」

驚きだった。
理系にかなり詳しいミズさんというのは聞いていたが、それ程凄い人だったとは・・・。

男性「この持ち主の家、最新の実験器具がかなりあったんじゃないですか?例えば、僕達は軍手とか今はめている白い手袋なんかで実験しているんですけど、この持ち主の場合はお高い実験用手袋をしていた、とか」

確かに・・・見たこと無いような実験器具もあったような気がする。

ル「実験用手袋・・・そんなものがあるんですね」

男性「ええ。塩酸や希硫酸などで濃い濃度のものを扱う場合、皮膚に触れると皮膚が腐敗をしてしまうので気をつけなければならないんです。でも高級な実験用手袋をはめていれば、手袋にかかっても皮膚に絶対に届かないので、実験しやすいんです。ただ、そういう手袋は分厚いので、作業しにくいんですけどね」

レ「作業しにくい・・・それだと、効率悪くなりませんか?」

男性「最初は慣れませんけど、徐々に素手で実験しているくらいまで操る事ができますよ、そういう方々は」

男性の研究員が苦笑した。

ル「メモ帳の内容は、実験についてだけだったんですか?他には無かったんですか?」

女性「ううん、ありませんでしたね。毒の種類についてがメモ帳の3分の2を占めていて、残りは実験記録でしたから」

ル「そうなんですか・・・」

てっきり、何か感情的なことが書かれていると思ったんだけどなあ。

チェルミー「報告は以上か?」

男性「あ、はい。以上です」

僕はちらりと先生の顔を見る。
質問は無さそうだった。

チェルミー「そうか、ご苦労だったな。仕事に戻ってくれ」

男性「分かりました。それじゃあメモ帳、お返ししますね」

男性はチェルミー警部にメモ帳を返した。
そしてそれを、先生に手渡す。
2人の研究員はそれぞれの持ち場へと戻って行った。

2011-04-17 00:12:19


のーた

___さて。
メモ帳の中身も分かったところで、僕は先生に言った。

ル「・・・あの、先生。先ほど先生が報告書を見ておっしゃっていた気になる“証拠品”、何だったのか聞かせて頂けませんか?」

さっき僕と先生の声が重なった時の、先生の言葉だ。

レ「ああ。そう、これだ」

先生は右手に持っていた報告書を僕に見せた。
“粉チーズの容器“の下に書かれていたもう一つの証拠品、僕はまだ見ていない。

・・・・・・・・・え?

ル「先生、これは・・・」

レ「ふむ。どうやら、やっと色んな情報が一つにまとまったようだね」

報告書に書かれていた“もう一つの証拠品”は、僕達にとってほぼ答えを見せているようなものだった。



僕達は“ある事”を確認するため、家のあちこちのあるものを調べた。
さまざまな物を集めたうえで、それらを“あるもの”と照合する。
その中でおそらくこれが決定的になるであろう、電話機のそばにあったものを証拠品として選んだ。

・・・間違い無い。

僕達はその“もう一つの証拠品”とは別の、2つの証拠品を手に取った。

ル「これ・・・外に持ち出してもいいですか?」

一応、チェルミー警部に許可をとる。

チェルミー「ああ、いいぞ。責任は私がとる」

レ「ありがとうございます」

2011-04-17 00:13:07


のーた

23.~ハルの家にて~ <レイトン目線>




犯人は、分かった。

だが・・・信じられない。
本当に私の推理は合っているのか・・・珍しく、自信が無かった。

ル「先生」

ルークが、静かに私を呼ぶ。

ル「・・・もうすぐ、4時です。あの場所へ行きましょう」

レ「もう、そんな時間なのか」

4時・・・もうタイムリミットは近づいていた。

レ「分かった、行こう」

ル「はい」

私達はチェルミー警部に礼をすると、必要な証拠品を手に持って外へ出た。
A病院へ向かう。



これから0<ゼロ>に会って、話さなければいけない。

___私の、推理を。

2011-04-17 00:13:43


茜星

ついに犯人がわかったんだ…
誰だろう?

2011-04-17 06:25:45


江戸川 アラン

ついに犯人が・・・・・!

もう一つの証拠品ってなんだろう?

2011-04-17 07:45:34


レグルス

おおっ、犯人がわかったのかレイトン先生!!


一体誰なんだろう?
証拠品も気になる・・・・

2011-04-17 11:20:15


town

電話機のそばかぁ....懐中電灯とか?←
う~んでも....何となくダニエルさんの指紋がないことが引っかかる?←←

花○山? なんかあったような無いような?←え?

2011-04-18 18:51:35


のーた

>茜星
ついに犯人わかったようだね~レイトン達。
今回は謎解きの時まで「犯人は誰なのか」をヒントすらほとんど教えなかったから、結構可能性が残ってるんじゃないかな~と思う。
誰が犯人なのか・・・更新をお楽しみに^^

>江戸川 アラン
ついに犯人が分かったみたいだね^^
報告書に書かれていた粉チーズの証拠品と、”もう一つの証拠品”。
他にも2つ紹介していない証拠品があるから、結局3つあることになるね(笑)←
一体何なのか・・・更新をお楽しみにね^^

>レグルス
先生ついに分かったようです^^ あと、ルークも(笑)←
一体誰だろうねえ。可能性はまだ色々あるからなあ(笑)←
その可能性を一つに絞る証拠品が、あの明かされていない”もう一つの証拠品”含む3つだね。
更新をお楽しみに^^

>town
吹いた(笑)← え、ええっ・・・(汗)懐中電灯って、そういう所にあるの?←←
因みに私の所は置いて無いぞ(笑)
あ~、ダニエルさんね(笑)でも証拠品となりそうな所にあまりダニエルさんの指紋がついていなかっただけで、他の所はついていると思うよ?←←
更新をお楽しみにね^^

2011-04-23 08:02:32


のーた

さて。いよいよ謎解きです^^ 皆様、大変長らくお待たせいたしました(笑)←
犯人は誰なのか、そして0<ゼロ>は誰なのか・・・。
それでは、更新します。




24.~A病院前にて~ <レイトン目線>




_____午後4時。


0<ゼロ>の指示通り、A病院の前___0とであった場所へ行った。

・・・私たちが着くと、程なくして0が病院から出てくる。

0は普通どおりの姿、声のまま、ただ口調を変えて私達に話す。
あの時と同じように。

0「約束通り、来たな。それじゃあ・・・」

0は自分が歩いてきた方向___すなわち、病院内の方を見て言った。

0「“空き室”で話を聞こうか。お前たちが容疑者に話を聞いたりしていた、あの空き室だ」

レ「分かりました」

0を先頭に私たちは空き室に向かって歩いた。
0があの空き室のことを知っているのは、少しも不自然では無い。

なぜならば、0はあの空き室で私たちの調査につきあった人物だからだ___

2011-04-23 09:02:45


のーた

25.~空き室にて・謎解き~ <ルーク目線>




あの時のように僕達はパイプ椅子、0<ゼロ>はベッドに腰掛ける。
今この空き室にいるのは、僕達と0の、3人だけ。

0「さて、君たちの推理を聞かせてもらおうか」

レ「その前に、そろそろいつもの話し方に戻したらどうだい?…疲れるだろう、フユ」

____先生の言葉に、フユは笑みを浮かべた。

そう、0<ゼロ>の正体はフユ。
あの時___0と初めて会った時、凄く驚いた。

フユ「そうね、確かに。だけど私は最初に言ったはずよ?さっきのような喋り方をしている時は、0と呼んでくれって」

レ「ああ、確かに君はそう言っていたね。だけど、今はもうその必要も無いだろう?」

フユ「ふふっ」

フユは声を出して笑った。

フユ「その様子だと、“どうして私が0と名乗ったのか”っていう理由も、分かっているようね」

フユは楽しそうに話していたが、僕達は笑わなかった。
なぜフユがあんな喋り方をしていたのか・・・正直、まだ僕は分かっていない。
でも先生は分かっているようだ。

レ「あくまで推理、だけどね。・・・君についての推理をする前に、先に事件の方から私の考えを話すよ」

フユ「ええ、それじゃあお願い」

0が僕達に依頼した内容は「ハルさんの事件に関することで、僕達が疑問に思ったナゾを解明すること」だ。
だから、僕達は自分たちが疑問に思ったこと全てを調べた。
そして____

レ「まず、今回の事件の手順はこうだ。残り一回分しか使えないであろう量の粉チーズに、予め用意していたソラニンの凝縮粉をスプーン一杯分入れて混ぜる。このソラニンは犯人が自分で作ったものだ。混ぜたら、容器を元の位置___つまり流し台の下の戸棚に戻す。あとは、ハルさんが使うのを待つだけだ」

フユは笑顔のままだ。

レ「そして、それを行なった犯人は___」

先生はいつものように指差さなかった。
ただ、悲しそうに・・・フユの目を見ていた。

レ「君だね、フユ」

2011-04-23 09:03:13


江戸川 アラン

えぇぇぇぇええぇx!?フユちゃんが犯人!?

いやいやもっとウラがあるはず・・・・(暴走中)

ルーク「静かにしてくださいっ!」

2011-04-23 10:11:19


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