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レイトン教授と呪縛の魔国(幻の王国3)

olive

http://layton.g-takumi.com/novel_detail.php?bbs_id=23813
http://layton.g-takumi.com/novel_detail.php?bbs_id=24294

のつづきです。

約100年ほどむかし、最大の繁栄をみせた二つの王国が、理由も不明のまま破滅した。

それを知るは、その国の民の僅かな末裔のみだった。

王国の破滅はいかにおきたか、それを探るべく、レイトン達はタイムマシンにのって過去へと調査にむかう。


ネグリシャムラの呪縛はいかなるものか


どこかでひっそりとうごめく闇


砕け散る運命のハグルマに


レイトン達は真実を見るか



そして
誘惑の先の目的とは…?



お楽しみに………

2010-08-17 23:50:33


にし

Ewotaに改名したんや^^
PC禁止令、まだ解除されてないけど来ちゃった!←

それはアイズィーは楽しみなんだろうなあ。
ワクワクが伝わってくる♪

2010-09-11 08:33:44


Ewota

色々あって改名しました;Ewotaも宜しく^^
また、にし直の「最期の約束」更新まってるよ^^


アイズィーのドレス姿。

2010-09-11 20:27:32


のなりい

あ、名前変えたんだね~。
・・・ごめん、なんて読むの?

アイズィーさん、可愛いなぁ・・・。
ドレスを着ると一気に大人びて見えるし。

2010-09-12 01:09:34


Ewota

「エヲタ」そのまんまだよ!
アイズィーは可愛く、そして綺麗を意識してみました♪


更新!

隊長さんにまでおちょくられて、アイズィーは頬を膨らませた。
「…そなたらに、女子(おなご)の心を読む力はないのか?」
「もともと男ばっかじゃない、ここ」
アンネさんの言葉に、アイズィーはなんとなく目を逸らしていた。

城。
僕らは客間に通されて、そのまま広い部屋でもてなしがされた。
テーブルの上に並ぶ豪華なお菓子と紅茶を前に、よだれがたれそうなのは僕だけじゃないだろう。
啜るそれはとても香しく、やわらかな口当たりだった。
「…こんなことしてもらえるなんて」
アイズィーはカップを引き寄せ、僅かに髪を揺らす、そんな風を穏やかな顔で感じた。
「結構だな。…しかし」
アイズィーの顔は曇り、穏やかな風は焦るように部屋を駆け抜ける。
曇天に気付いた隊長さんは、「おや」と一言、辺りを見回しながら
「…王子が見えませんぜ。空も怒ってやがる」
地下に曇天なんてあるんだろうか。

後にそれは、細かな季節と天気の移り変わりを楽しむ、アジア独特の文化に合わせた遊びと分かった。

「…私ならいる」
部屋の奥から仮面と鎧をつけたザルシュが出て来た。
パイプににた不思議な何かをくわえながら。
(西洋にキセルはなかったかと…Ps.Ewota)
「…ザルシュ!」
アイズィーはザルシュに駆け寄り、瞳をキラキラさせながら手をとった。
ザルシュは少し驚いたのか、口を開けたままにしている。

2010-09-12 16:16:13


Ewota

「…ああ、アイズィー」
やっぱり冷たいそのトーンのまま、ザルシュはアイズィーに返した。
「…王子ったら〜〜。もうすぐ結婚するというフィアンセを待たせるなんて、性(たち)悪いことこの上ないですぜ?」

「……」

ザルシュは隊長さんの話を聞きながら、しきりに僕らに目を合わせた。
それはこう言っているようだった。
(なんでこんな絶好タイムにテメエらがいるんだ?…あぁ?)
先生はそれを察してか、「町に調べ物にくるついでに、のせてもらったんだ」
と弁解した。
「なんだ」
ザルシュはうっかり本音をもらした。
やっぱり、ザルシュそう思ってたな。
男ってそんなもんだよ、アイズィー。

「今日は約束があるからきたんだぞ。
そこらはきっちりしてほしいものだ」
「………ああ」
二人の間に会話が成立し、アイズィーはうれしそうにザルシュの手に頬を擦り付けた。
「ヒュー」
マルコさんは冷やかすのが大好きらしい。
怒っているアイズィーをみながら、舌をだして笑っていた。


「…ザルシュ」
いきなり真面目な顔になったアイズィーは、ザルシュをふっと見た。
先程アイズィーに手をとられ落としたキセル―さっき先生に教わったんだ―は、筋状の煙を出している。
そいつは二人を取り囲んで、怪しげに髪に巻き付く。
「…ずっとアイズィーには見せていなかったな」
うん。頷き返すアイズィー。
「そろそろ、いいかもしれないね」

2010-09-12 16:35:50


Ewota

ザルシュは仮面に手をかけ、ゆっくりと外す。臙脂色の髪が纏わり付き、それはさらさらと流れていく。

「………!」
アイズィーの頬は一気に紅く染まり、目は動揺して揺れていた。とたんに恥ずかしがって斜め下を見、髪をくるくると指でいじくりながら、また顔をみる。

冷たくて綺麗な瞳が、アイズィーを怪しく映す。
アイズィーはその容姿の妖艶(ようえん※なまめかしい美しさ)さに、直視できないようだった。

ザルシュが口角をあげると、そこら中に黒い薔薇が散るような感覚に陥る。アイズィーはその黒い花びらのなかに、紅のドレスで一人佇んでいた。
そのうち薔薇の茎や刺が、アイズィーに食い込んだ。


いや、別に、ザルシュにおでこをコツンとされてるだけなんだけど…

って……

うっそお!?

すっかり真っ赤な顔のアイズィーから手を離すと、「さっさとでてけ」と言わんばかりの視線を浴びせた。
先生は察してか、「ではこの辺で」
とささやく。



…ザルシュ、奴は扱いに慣れてるぞ。

2010-09-12 16:51:41


Ewota

アイズィーはザルシュに手を引かれるまま廊下をあるく。
ウィダード城よりはるかに立派で、勿論自分の家とは比べものにならない。
ザルシュはこんなところに住んでいるのか。毎回ここに来る度、おもってしまう。

「…ザルシュ」
「…?」
「何処に行くんだ?どんどん城の奥に入って行っているぞ。
この城があるところは洞窟だから、一切の光も差し込んでいないし」
「俺の部屋だよ」
ドッキーン。
胸の辺りで、太鼓の様な響きがこだます。
しかも、知らず知らずの内に、「俺」と名乗ってるじゃないか。
なんだ……この感覚!
鼓動をおさえ、アイズィーは上目遣いで質問をした。
「なにするんだ?」
「別に。だって向こう、教授さん達がいるし…」
「…なんだ」
がっかり。
ザルシュはそんなアイズィーを見て、直ぐに辺りを見回した。
そして誰もいない事を確認すると、にかっと笑った。
「お〜?アイズィー様々がなんて御発言を」
12歳の時のような、あのちゃらんぽらんな笑いだった。


ドッキーン。

「ザルシュの馬鹿っっ!」
アイズィーは照れ隠しにザルシュの背中をどんっと押した。
「やれやれ」
ザルシュはその勢いで一つのドアに立った。
山の様に、そう、そびえ立つようなそのドアは、軽く5㍍は超しているだろう。
「ここだぜ」
力をつけて開けたドアの先には、またまた豪華な部屋が広がっていた。

2010-09-12 22:13:26


Ewota

「さ、入って」
ザルシュは手招きし、まごつくアイズィーの手をとった。

紳士的な態度の一つ一つが、アイズィーにとっては心の太鼓を叩く撥だった。

ひとつめに目にはいったのは、壁に掛けてあるカーキのドレス。
ザルシュがアイズィーの為に仕立てさせた物とは知らず、アイズィーはきつく奥歯を噛んだ。
「…あれは?」
「…ん?どれ」
「あれだ!」
アイズィーは人差し指を真っ直ぐ伸ばし、ドレスを強調する。
「ああ」
ザルシュはさりげなくアイズィーの人差し指に触れ、腕を降ろさせた。
「着てみる?」
遠回しなアピール。アイズィーも流石に気付き、嬉しそうに頷いた。

ザルシュが壁から下ろすと、それを無言でアイズィーに宛(あて)がう。
彼女は嬉しそうにさっと寄せ、「鏡は?」と問う。
「鏡なら……、ここに、有りまさァ…。はあ」
「マーク、なぜここに…」
「…あ、俺はただ、護衛の当番で、別に、聞いてたなんて言えませんぜ!?ただ…」
「後で首はねてやろうかお前」

「ザルシュ〜!
似合ってるか?みてくれよ!あはは」
二人の物騒な会話を、アイズィーが掻き消した。ザルシュはアイズィーに駆け寄ると、鏡を覗き込みながら、ドレスを当てる。

「よかった、似合ってる」
「本当か!」
アイズィーは一回転し、ふわりとドレスのゆれるさまをみた。うっとりと。

「ザルシュ、ありがとう!」
やがてそれを抱きながら、アイズィーはザルシュに駆け寄った。そして、7年前のときのように、ザルシュにもたれた。

2010-09-12 22:34:44


のなりい

ひゅ~~!!
アツイですなぁ。いや~、羨ましい(若干ネタミ・笑)

アイズィーさん、可愛らしいなぁ・・・。
まぁ、ザルシュ君(何故か彼は君付けで呼ぶ私)もなかなか手馴れてる?(笑)
仲睦まじいな、ふふ。

マークさんもなかなか・・・(笑)

エヲタと読むんだね、ありがとう!!

2010-09-13 01:10:09


Ewota

「僕ら追い出されちゃいましたね〜」
「仕方ないさ。ザルシュとアイズィーの僅かな楽しみさ」
「そうですよね。
僕、アイズィーだけの片思いだと思ってましたけど、あれを見る限り、ザルシュも…」
「いや」
ディミトリー博士が遮った。
「ザルシュにとっては、アイズィーだけが目に映ってるんじゃないかな。
彼は、彼女しか信じられないのかもよ」
「なんで分かったんですか!?」
「あの閉塞された城に篭り、野蛮王子と罵られるザルシュにとって、無実を信じるアイズィーのみが我が光だよ、きっと」

「多分、ロチェスとかいうのも、シラーマというのも、そんなザルシュなんかお構い無しにバカンスだろ」
クラウスさんが突っ込んだ。
「バカンス?」
「ルークは不思議に思わなかったか」
とレイトン先生。
「?」
「あんなにウィダードに罵られているザルシュに対して、ただの象徴に過ぎないロチェスなんか、噂話も小耳にはさむこともない。
シラーマもどうせ大臣に任せているようだし」
「なんで分かったんですか?」
「なんであんなに、他国の野蛮王子ばかり瓦版に書き立てられるのかい?」
「…あ」
「暇なんだよ、瓦版も」

「じ、じゃあ」
「暇な金持ちの行く先なんぞ目に見える」
マルコさんが穏やかに笑った。いや、きっと腹の中は真っ黒だ。
「君は財閥の養子だろ。
とにかく、国王も王女もまかせきりなんだよ」


「師匠を裏切るしかなかったし」

2010-09-13 21:43:44


Ewota

「ザルシュ、話がしたい」
「……」
すっかりカーキのドレスに身を包んだアイズィーが、黙々とキセルを吹かすザルシュに持ち掛ける。
「なに?なんかあるの?」
「ある」
「……なんだよ、そんなのさ…」


『ザルシュは何故、師匠を裏切ったんだ。
何故、そこまでして闇に入る』

「それはね、ルーク」
先生はシルクハットを直しながら、寂しげに囁いた。
「難しい話なんだよ」


かつて。
もともと野蛮王子という異名をつけたのは、師匠であるロッパなんだ。
彼は、ザルシュがもともと王子として政治をするのには大反対だったんだよ。
それを、師匠の為にと我慢をして、ザルシュは政治の世界に入り込んだ。

ザルシュはもともと闇と繋がっていたし、まだ12。
ロッパは、自分の配下に置きたかったんだね。弟子をそれまでザルシュしかとらなかったほど、ザルシュを溺愛していた。

それなのに―――。


ロッパはザルシュを失脚させようとしたんだ。だから、かつて闇に繋がっていた事をばらしたり、野蛮王子と罵って、支持を減らそうとした。

でも、そんなにうまくいくものかい?

サンステリ内で、そんなロッパに対しての反感が強まり、支持派、ロッパ派に別れて紛争が始まった。

ザルシュは、勝手に争われる様を寂しげに見ていたそうだよ。
結果、ザルシュはその紛争を止めるために更に闇に染まり、それを背景にとめた。ついには国を選んだ。

ザルシュは泣く泣く、ロッパをサンステリから永久追放したんだよ。


「なぜ、ロッパには第二の弟子がいるとおもう?」
「ショー………」
「区切りをつけ、ザルシュと縁を切ったからさ。
ロッパは闇を排そうそする思想を持っていてね、師匠の為に汚れたことなんぞ、何も理解出来ていないんだよ」
「……」
胸が痛かった。
「それからザルシュはふさぎ込み、アイズィーさえも13歳を区切りに顔さえ見ていなかった。
ロッパ派であるウィダード国民からは罵られ、ザルシュ派のサンステリ国民からは支持を浴び、性格も歪んでしまったんだ」


「なんで、なんで結婚前にも関わらず、何も教えてくれないんだ!酷いじゃないかあっ!!」
「………」
「なんで………」


「イタリアからの侵略の魔の手から逃れるために、さらに闇につかりこんでいる。
ウィダードごと守ろうと、『ガルシュ』という隠し子である弟と手を組み、卍というものまで作りだし、ウィダードを侵略しようとしている」
絶句した。
まさか、卍のボスが………


「闇は光を求めるものさ。
ザルシュは、何も知らないアイズィーを、汚れを知らないアイズィーを、純粋なまま護りたいと思ってるんだよ」


「結果、死ぬんだよ」
カルロさんは、静かに囁いた。
「犠牲が伴うんだよ、闇は。
僕の右足しかり、ザルシュの命しかり」

2010-09-13 22:11:00


Ewota

「なんで、教えてくれないんだ」
「………」
「なんで、何もかも………」
「……」


「だから、いまも二国間はピリピリしているんですね?」
「ああ」
「………」
「刺激が強かったかい」
「まだ19なのに………」
喉がつっかえて、苦しくなる。
「なんで…全ての重荷を…」


「私は真実を知るまで帰らない。絶対にな!」
「…」
「なんで言わない!?」
「…言ってもおなじさ、光ばっか求めている奴なんかに話しても」
「なに?」
「光の中に一つ、影が落ちることで光は際立つ。でも、それひとつない世界なんて、ただのホワイトの世界だ」
「…」
「僕は影になり、光を際立たせる。
光の知らないところで」

「…?」
「でも、そんな影こそ、光が欲しい!」
「!?」



「余り闇に浸かると、犠牲だけでない。何故か光が愛おしくて、配下におきたくなるものさ。
僕がアンネを牢屋に閉じ込め、脱出しないようにしたようにね」
「…?」
「僕はみたことがあるんだ。アイズィーはどうやら若い頃、アキレス腱を切られかけたみたいで、跡が……」

僕は背筋が凍り、城を振り返る。
「心が歪みきるんだよ…」



アイズィーは悲しかった。
マーク隊長がいなかったら、まずかった。
鳩尾に食らわされて気を失っているザルシュをみながら、隊長は涙を流していた。
「…俺達だけじゃ、なにも出来なかったってわけか」

アイズィーは足に包帯を巻き、悲しみにくれた。
ネグリシャムラのせいだ。
きっと。
そう自分に言い聞かせながら、足をなでた。

2010-09-13 22:28:30


のなりい

あぁぁぁ・・・・・。
複雑に色々と絡んで絡んで、切ないな。
皆が幸せにはなれないものかねぇ・・・。

2010-09-13 22:37:50


Ewota

のなりい
かなり複雑だね。
わたしもかいててドヨーン(┬_┬)

となったよ……。
さて、本当の幸福ってなんだろね…?

更新!

「アイズィー……」
広がる天井をみながら、光を求める虫のように、ザルシュはアイズィーを探す。

きっと、アイズィーはいま、俺の部屋で…

余りに残酷なことなのに、麻痺しているザルシュにはそれも解らない。
そして、足に包帯を巻き、震え上がる彼女をみた。

全てを悟った。

ザルシュは彼女に手を伸ばすが、それは部下によって制される。
彼女がいないと、息も出来ない……。
苦しいのに。
ついに理解者を失ってしまった。歩み寄るも、マークは光を遮ろうとする。
もう駄目だ……。

ザルシュは引き返した。
煽る酒も上手くなく、酔うことで和らぐ孤独感。ただし、倍の悲しみが襲う。

「…いやだ」
俺はなにが嫌なんだ?それは、だれも仮面の下をみてくれないことだ。
あんなに頑張っても、報われない。
なにも知らない…ふりをする、家族。
あんなの家族か?なわけない。
あんなのクソだ。

一目を憚らず、泣き叫ぶ。
それが、一番楽になる。
裏切られた。
酷い。最後の理解者だったのに。
いや、酷いのは俺だった。
だれか、分かってくれ………



ししょお…アイズィー…
カルロ…教授さん…

みんな…




アイズィー……

2010-09-13 22:58:16


のなりい

ザルシュ君・・・・・。
自らを犠牲にして、結局・・・。
教授はザルシュ君を救えるのかな。
誰か分かってくれるのかな。
アイズィーさんは、どうするのだろう。

2010-09-14 00:56:31


Ewota

のなりい
ザルシュは結局、最後は自分が苦しむ形で終わろうとしているんだよ。
教授には、時空を歪めるようなことは絶対に出来ない。アイズィーは、理解できない。
さて、どうなるんだろね?
私は書いてて、悲しくなったや(:_;)


[s:0426]野蛮王子の秘密[s:0426]
野蛮王子と呼ばれていた理由。それは、皆を守ろうとして闇に入り込もうとするザルシュの苦肉の策を避難した、ロッパ始めとするウィダード国民のつけた「愛称」だった。
ザルシュにとっては、自らが蝕まれても護りたいものがあったため起こしたものだった。


[s:0426]卍[s:0426]
ガルシュ、ザルシュ率いるウィダード王国侵略兵士。
マークをはじめとする三騎士、ロッパなどは正体に気づきかけている。
ザルシュの目的はウィダードを守ること、
ガルシュの目的はウィダードを潰すこと。


[s:0426]ガルシュ[s:0426]
ウィダードに因縁がある。


[s:0426]師弟関係の崩壊に関する秘密[s:0426]
ザルシュを失脚させようとしたロッパに気付き、二国内でのそれを巡る紛争をとめようとしたときの、苦肉の策。
ロッパ、アイズィー、ショーなどは、今だロッパ派。

2010-09-14 18:02:38


Ewota

んんんどやっほおおおおい!!
たっとこれたぜ~フヒュウ~~←ハイテンション


更新!
そのあと、僕らはサンステリの城に呼び出された。カルロさんのいやな予感が的中したのだ。
顔を手で覆ったままのアイズィーをしり目に、隊長さんはすべてを説明してくれた。
「アイズィーのそのカーキのドレス、僕が小さい頃に見た気がする」
絶対に周りの空気に流されないカルロさんらしい発言は、この後の出来事を連想させてくれた。

後に、先生からあれは慰めの言葉だと聞かされたんだけど。

「アイズィー嬢、そんなに泣かないでくだせえよ。
これは、俺達の非でもありまさあ、自分だけをお責めにならず……」
「……でも……」
「本当に、そんなに泣かないでください…。
何もかもに気付いている身でありながら、なにもしなかった俺らが…」
隊長さんの言葉に、先生が突っかかった。
「私達を利用したね」

「すまなかったです、未来のお方」

アイズィーは涙をぬぐいながら、苦しそうにすすり泣いた。

2010-09-19 15:08:05


Ewota

「早くザルシュエル王子を闇からひきずりださないと、さらに悪化しそうですね、先生」
クラウスさんの言葉に、先生はあわてて
「しっっ!!」
と黙らせた。
「それはウィダードの風の考えだ」
隊長さんが肩をすくめた。ばかにされている。

「闇なんて」
「こんな話があるよ、風にかかった皆さん」
カルロさんがにんまりと笑った。
「君は風のひ孫でしょう」
ディミトリー博士の言葉に、カルロさんはちっ、ちっ、ちっと人差し指をユラした。
「反発した結果がこの足ですから、先生」
あ、そういえば、カルロさんって博士の助手だった…

かつて、闇ととりひきした縦笛吹きの青年は縦笛をふいて地獄をささえていました。
心臓の力をささげることを犠牲に。
それは、天の世界で琴をならす天使に恋をしたからでした。
そうして、天を脅かそうとしていた悪魔を自分に引き付けたのです。

そんな青年の吹く縦笛は、胸の痛みにたえていたため、ついに吐息混じりで汚かったのでした。

なにもしらない琴弾きの天使は、哀れんだ悪魔にすべてのことをきくまで、その縦笛を不快におもっていたようですが…


「おしまい」
「……え?」
「かつて僕が一番共感を覚えたお話です。どうです、おもしろいでしょう?
僕がアイズィーに読んでもらっていた本のなかにあったんですよ」

「アイズィー的には、きっと闇に入ることへの戒めのつもりだったんでしょうけど。
竪琴の音色は美しい
吐息混じりのたて笛は汚い
ぼくにとっては、最高の話でね……」

カルロさんの瞳の奥で、ネグリシャムラの血が疼いて疼いてどす黒くきらめいた。
狂気を目にたたえた彼の顔には、隊長さんもアイズィーも、周りの僕らも息をのんだ。
恐怖さえおぼえた。

2010-09-19 16:33:49


Ewota

第5章

英雄・ロッパ

2010-09-19 17:21:42


Ewota

なんだかんだでその後僕らはウィダードに引き返したが、アイズィーは泊まっていった。ザルシュと区切りをつけたかったらしい。
「これ以上は私達の出るところではないね、皆」
先生の台詞に、全員が頷いた。
カルロさんの顔は、紳士的ないつもの顔にもどっていた。でも、疼く蛇封印剣(ネグリシャムラ)の血を必死に抑えるように、度々眉間にシワをよせているときもあった。
なにかアイズィーとカルロさんの間に因縁があることはわかっているんだけど…
僕には解決できないことだった。



アイズィーはザルシュの部屋に向かった。
痛む足首を懸命に動かし、引きずるように歩む。
ドレスの裾がするすると床に当たり、引き止められるような感覚に陥りながら。

今日のあのことは、今日のうちに解決したいから。

光ひとつ差し込まない、光に洗浄されることもない湿った洞窟内部。その奥で、うずくまるように部屋はあった。

ノックの音とともに、向こう側から足音が近付く。アイズィーは身構えた。
「…誰だい」

ドアがあき、仮面をつけた青年が姿を現した。
風が吹き抜け、アイズィーと青年の髪を強く靡かせた。なにかを伝えるように、風はアイズィーに纏わり付く。

アイズィーは怖じけづき、足を後ろに退こうとする。でも、風は許さない。背中をぐいぐいと押すように、支えるように、足を「前に動かす」のには楽なように吹く。

されるがまま、アイズィーはザルシュの胸に飛び込んだ。
臙脂色の髪が彼女を包み込むように垂れる。ザルシュはそれを耳までかき揚げながら、その手はアイズィーの背中にあった。

ザルシュの体は冷え切って、ひどく冷たかった。アイズィーは頬をとって、唇をつけた。




青年の瞳は、揺れも、動きもしずに、どこかを見つめていた。

2010-09-19 22:39:57


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