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レイトン教授と呪縛の魔国(幻の王国3)

olive

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のつづきです。

約100年ほどむかし、最大の繁栄をみせた二つの王国が、理由も不明のまま破滅した。

それを知るは、その国の民の僅かな末裔のみだった。

王国の破滅はいかにおきたか、それを探るべく、レイトン達はタイムマシンにのって過去へと調査にむかう。


ネグリシャムラの呪縛はいかなるものか


どこかでひっそりとうごめく闇


砕け散る運命のハグルマに


レイトン達は真実を見るか



そして
誘惑の先の目的とは…?



お楽しみに………

2010-08-17 23:50:33


Ewota

アイズィーは、隊長につれられた客室のベッドで目がさめた。
昨日のことを思い出し、「私らしくないぞ」と呟いて見せる。
でも、鮮明に覚えている。あのかぜは、私を動かしてくれた。優しく背中を押してくれた。
なにげなく壁をみると、紅のドレスがハンガーにかけられていた。
「…そうか、そうだったな……」
アイズィーはもってきた荷物の中からブラウンのドレスと青の肩掛けを取り出し、硝子細工のブローチで留めた。そして、グレーのリボンで髪を一つに纏めた。
ブーツを履いて部屋からでると、美味しそうな匂いがする。
釣られるように歩いていくと、美味しそうな食事が並べられていた。
「アイズィー嬢のために腕を奮いましたよ。さあ、おたべになって」
コックは手を拭きながら、アイズィーにお辞儀をした。
「ありがとう!嬉しい」

腕を奮ったそのスープは、頗る美味しかった。

口をナフキンで拭きながら、アイズィーは隊長さんをさがした。なんとか、糸を手繰ろうと。
「アイズィー嬢、おはようございます」
「マーク隊長」
彼から話し掛けてくれた。アイズィーは、ほんのすこしほっとした。
「王子なら多分向こうにいまさあ」
マーク隊長は、テラスを指差した。
「大丈夫ですかぃ?勿論、足でさぁ」
「大丈夫だ」
「そうですか、よかった」

2010-09-19 22:57:04


Ewota

アイズィーは言われた通りに、テラスにむかった。
確かに、ザルシュはそこで煙管を吹かしていた。仮面をつけて。
「おはよう」
ザルシュは声で気付き、ああ、と小さく返事をした後、
「今日は庭に出てみないか」
と誘ってきた。
「庭?本当にか!」
「勿論」
ザルシュは仮面を少しずらし、ウインクをしてみせた。
「男から誘ってきたら、上々の付き合い」とはアイズィーの母の台詞である。アイズィーは飛び上がりそうな気持を抑えて、お淑やかに頷いた。

城は谷間の洞窟に入り込むようにして建てられており、それをまたぐ吊り橋は自動である。それを渡るとすぐに訓練所がおおきくできており、毎日兵士が腕に磨きをかけている

ここで、あの未来の一行はザルシュに会ったときいている。
一応谷間の底にも庭園はあるのだが、ザルシュはあえてそこではなく、訓練所のさらに奥の、人気のない森をえらんだ。
確かにここは敷地内なので、ある意味では「庭」といえる。
でも、アイズィーの屋敷には、森なんてない。

さらにずんずん進んでいくザルシュに、さすがにアイズィーは怖くなってきた。
「もう着く?」
「もう着くよ。ほら」
ザルシュは一つの小道を指差した。
二人でそこをたどっていくと、やがて大きな湖のほとりに出た。


「うわあー……」
最初はそれだけが口から出てきた。しかし、「どう?」というザルシュの呼びかけに、アイズィーは瞳を輝かせて返事した。
「素敵じゃないかっっ!!」

2010-09-20 14:59:06


Ewota

アイズィーは駆け寄り、さわやかな匂いのする草の上に寝転んだ。
そして、近寄って来たザルシュを引き込み、一輪ピンクの花を摘むと、彼の髪にさした。
「ここはなんて綺麗なんだ」
「俺が骨休めに使ってる」
「へえ」
風の香りは毎回違い、鼻を楽しませてくれる。そんな風に髪なびかせ、二人はたわいもない会話をしはじめた。
いつも周りではびこる、政治、経済、社会問題、差別……そんな固い事とは無縁な、穏やかな風。緑。湖。
二人は誰かが入り込んでくるまで、その中に浸りつつ楽しんだ。
「素敵なお客さんですなあ、ぼっちゃん」
老人の声が頭上で響き、アイズィーは飛び起きた。
「ただの庭師のじいでございます。どうぞ、お気になさらず」
「なんだ、マードックだったのか」
「マードック?」
「彼の名前だよ」
「ははは。どうやら邪魔をしてしまいましたなあ。貴女はフォードのお嬢様ではないですか」
「ええ」
三人は自己紹介を終えた後、また庭師マードックを加えて会話は再開した。
昼の2時を知らせる鐘が響くまで。

「こんな時間か。
お二人さん、お腹がすいたでしょう。お茶にしますか」
「ああ」「ええ」
二人は同時に返事をした。顔を見合わせ、爆笑した。

2010-09-20 16:38:28


Ewota

「では、お昼抜いちゃいましたし、多めに準備しましょうか」
マードックは小屋からバスケットとポットや鍋を持ち出し、アイズィーに小さなバケツを手渡した。
「小屋の辺りの実や低木は大抵、野苺です。それを一杯に取ってきてください」
「こんなに?」
「ええ」
ザルシュは平然と杓と桶を取り出し、湖で水をくんでいる。アイズィーはいわれたとおり、小屋の辺りにいった。
「これはモミジイチゴ、これはナワシロイチゴ。全てたべられます」
アイズィーは、こんなことしたこと無かった。全てが新鮮だった。
「これは?」
「ああ、ヤマグワですよ」
「食べれるのか?」
「ええ」

マードックはテーブルの近くに戻ると、赤れんがで囲われた中に小枝をばらまいた。そしてマッチで火をつけ、金網を乗せ、ザルシュの汲んできた水をポットや鍋にいれて火にかけた。
そして、小屋から持ってきた、カモミールを乾燥させたものをいれた瓶をあけ、さっとハーブティーをいれた。辺りに生えるミントも摘み取り、それもハーブティーにした。
「私はセージのハーブティーもすきだな」
独り言をつぶやきながら、セージのハーブティーもいれた。

「坊ちゃん、小屋の奥の畑から、キンレンカとチャービルを」
「ええ、俺も!?」
「ええ」
ザルシュは渋々とってくると、マードックをそれを薄くきったパンのうえに乗せるようにいった。「チャービルはスープにしますから、挟まないで」
マードックは手際よくベーコンと卵を焼き、パンにおいてサンドした。そして、ハーブティーをいれ上がると、作ってきておいたスープにチャービルをそえた。

「摘んできたぞ〜」
アイズィーの持ってきた野苺は、一粒ずつよく洗い、鍋にいれて煮込んだ。途中で大量の砂糖を加え、灰汁をすくって掻き混ぜる。檸檬汁を最後に加え、それをパンに塗りたくった。
「ジャムです」
マードックはぬったあと、のこりの野苺を皿にあけた。
「そのままでも食べられますから」

溶かされたチーズを残りのパンにのせ、さっと味付けした。

「ハーブティー、チャービルのスープ、キンレンカと野苺、チーズのサンドイッチ、野苺……うん、上出来だ」
椅子が一つたりなかったのでもってくると、三人は「いただきます」をいうが早いか、飛びついた。


色んな本を参考にしました。ちょっと違ってるかも…;

2010-09-20 17:22:55


Ewota

パンをほおばりながら、マードックは昔話を始めた。
アイズィーはそれを聞きつつ、キンレンカとベーコンのサンドイッチに手を伸ばす。
「昔は、奥様と王子さま二人の三人でこの庭にきてらしたが」
キンレンカというのは、山葵のような辛さがある。アイズィーはそうとは知らずに口に入れ、思わず舌をだす。
ザルシュは平然と食べていた。
「いまは、坊ちゃんとフィアンセか」
アイズィーは何となく対抗したくなり、必死で食べる。キンレンカの辛さはかわらないのだが。
急いで口にはこんだハーブティーがミントだったのが、また不幸だったけど。

「すっかり変わりましたね」
アイズィーは、その王子とはロチェスとザルシュだと勘違いした。隠し子も知らないし、正妻とロチェスが不仲なんて事情、しるはずもないからだ。

モミジイチゴを口に運び、辛みは消え失せた。

「甘い…」
「でしょ?毎日世話しましたからね」
マードックはセージティーを口に運び、爽やかな風を感じた。
「ここは地下。四季がありませんから、春も夏も秋もないのです。本来、野苺がこんなにとれることはないんですよ」
「四季か。
そうだな、もし、冬が体験できたら、……私は雪が見てみたい。
純白の結晶が空から舞い降り、辺り銀世界にかえる。そんな雪をあつめて……」
「食べるとか?」
「ザルシュの卑しん坊。それを頬にあてたい。ひんやりした綿のような雪を」
「みてみたいものですねえ。私は…そうですね、月を眺めたい」
「月?」
「美しく、また妖艶な月光をおがみたいです……。きっと素敵でしょう」
「俺は……。真っ青な空に浮かぶ雲と、黄金色に光る太陽をみてみたい」
「へえ」
「暖かさを感じたい。温もりを感じながら、ずっとながめていたいよ」

三人は地上への夢をはせながら、偽りの太陽に育った野苺を口のなかにいれた。
「甘い……」

2010-09-20 21:41:18


Ewota

一方、レイトン教授達は、ナターシャハウスでお茶を飲んでいた。
「最近さあ…」
博士が口を開いた。
「…八等身キャラ、多くね」
「ですよね〜!」
クラウスさんが、大袈裟に騒いだ。
「メインキャラが八等身、しかも女性向けイケメンとかないわ〜て思いますよ!
イケメンは少しでおk!僕とか」
「あっさりイケメンを認めるなクラウス。
私なんて瞳点だよ!?カルロみてみい」

じ〜〜〜。

「なんかついてますか?」←カルロ
「キラッキラしてますね、先生!」
「だろ、ルーク…
君はどうだい」
「丸かいてチョンです………」
「だろ!」

「しかもみて!あのルックスでタバコ!ザルシュなんてキセルですよ!?
あ〜〜〜なんかも〜〜いや!『ひ●かたじゅうよ●ろう』ですか!」
「クラウス、『じ●う●んろう』ってのはまさか……。でも、マルコは」
「腹黒い笑顔。糸目。童顔。ピンポイントですよあれ」
「きついね。アンネは北欧の美人、アイズィーはアジアンビューティ…」

「き〜〜〜!作者が絵へたなばかりに!
いかんわホンマに!」
「何弁!?もう目茶苦茶だよ?!」
「まじないわ!」

薄汚い会話に混じり、そとから鋭い刃物の音がした。レイトン達は急いで見に行った。

2010-09-21 15:27:01


Ewota

「なにがあったんだ!?」
見ると、ショーがクナイや短剣を片手に、幹目掛けて打ち込んでいた。
「めがけて投げるときになる、風を切る音だったのか…」
しゅっ、しゅっと上手に幹にあたっていた短剣が、途端に回転しながらまがってきた。
そして、カルロさんの頭の直ぐ横の、小さな小枝を打ち落とした。
「あんた、野蛮王子を仕留められるんだろ。俺の相手もしてくれよ」
「だれからきいたの」
「ししょー」
「………。
すまないが、それは昔の話、昨日の話。
今日は足が痛いんだ。杖ついてないと歩けなくてね」
「え〜。一回だけでいいからさ、佇まい坊々さんっ」
「佇まい坊々か。懐かしい名前だな。
…まあ、リハビリにはなるかな…。
…よし、一度だけだぞ」
「いやっほう!」

カルロさんは数本クナイを拾い、なにか手を動かすと、ショーめがけて投げつける。
ショーはそれをかわすも…
「しまった!」
いつの間にかクナイに糸がくくりつけられており、ショーは必死に糸をきる。
その間にカルロさんは杖を駆使して頭上に飛び上がり、横向けになると、身体を捻らせ一回転した。
そのときクナイをショーを囲むように回し、クナイの先は地面にたたき付け、ふかく突き刺した。
糸によってぐるぐるのショーは「負けた!」とさけびながら糸をきる。
「準備も大切だよ、ショー」
カルロさんは右足が使えないため着地に失敗したのか、背中をさすりながらささやいた。
と途端に、ショーの糸がプチっとだれかによって切られた。

2010-09-21 23:29:29


のなりい

カルロさん、強いなぁ・・・。
かっこいい!憧れるねぇ。

アイズィーさん、可愛い♪
そういえば、ここ地下なんだもんね~。

・・・ぷっ。
教授達の会話、面白い!!
イケメンぞろいだもんね。しかも、クラウス、自らイケメンを認めた!?

2010-09-22 16:29:10


Ewota

のなりい
クラウスはユーザーの反応をみて楽しんでいたんだ!!なのにこのスレといったら…
「ザル君人気たかくね怒」←クラ

2010-09-22 18:45:40


Ewota

更新!

「誰だ!?」
ショーが声をあげると、草影がガサガサてゆれた。僕らは身構えて、その敵を待った。
「そんなに大きな声をださんでも。私だ、用も終えたので帰ってきた」
その声は、頭に直接響き渡るように聞こえた。
「ししょー!」
ショーは飛び上がり、草影に飛び込んだ。そして、一人の男性を連れて来ると、はにかみつつ挨拶する。
「…よーこそ、お疲れ様でございます!……へへへ、元気そうでなにより、本当よかったですっ!」
「ああ」
その男性はショーの頭をわしゃわしゃと撫でながら、こちらをむいた。
「お久しぶりです、ロッパさん」
「ええ」

2010-09-23 17:58:31


Ewota

すっかり日がおち、アイズィーは髪を纏めていた灰色のリボンを外した。首元がさぶいのだ。
「なんか、風が冷たいな」
「地上は4月。まだ吹き込む風は冷え込みます。坊ちゃんもアイズィー嬢も、城に御戻りください。私は用があるので」
「まだ残るのか?」
「ええ。
おや、アイズィー嬢、肩が……。ずれていては寒いでしょう」
マードックは紳士的に、ずれていたアイズィーの肩掛けを直し、ブローチを固く固定した。
ザルシュはいい役目をとられて、悔しそうに頬を膨らませた。
「では言葉に甘えて、帰るとしよう。寒いし」
「ええ、では」
二人はマードックに見送られて、足早に森を出た。
途中、寒そうに手に息をふきかけたアイズィーに、ザルシュはぎゅっと手を握った。
さっきのがよほど悔しかったみたいで……。


城についてから、アイズィーはコック特製のシチューを口にした。これは頗る美味しかったが、舌の奥には昼に食べたヤマイチゴの味がつよく残っていた。

「そういえばザルシュは、いつの間に食事をすませてるんだろうか」
「王子は表では食わないですぜ。見れる人も僅かで、例えば庭師マードックとか」
「いつもはどうしてるんだ?」
「部屋まで持ってくんでさあ。知らない内に空になってる」
「……」
「ま、俺ら下っ端の推理によれば、多分行儀はよくないでしょうな」
マークは確信ありげな顔で、アイズィーをみた。
昼にみたが、そんなに悪かったか?アイズィーは首を傾げたまま、考え込んだ。
ザルシュの部屋に向かいながら、改めて謎めいたやつだ、と確信した。

2010-09-23 22:25:52


Ewota

部屋にむかう途中、甘い香りと湯気が近くからたちこめていた。
「ここは……?」
「浴場ですわ。入りますか?」
お手伝いさんが小瓶片手に、アイズィーに聞いた。瓶の中は、お風呂でつかうオイルが入っていた。
「入りたい!」
「では」
お手伝いさんは目を細めると、タオルをテキパキと用意し、アイズィーを浴場の入口まで案内した。
「オイルはアイズィー嬢のためにつかいましょう」
お手伝いさんはバスに浸かってゆったりしているアイズィーに、優しく語りかける。そして、頷くのを確認し、小瓶を傾けた。




「病み付きになりそうだ…。
とても気持ち良かった」
アイズィーは髪を拭いて乾かし、ガウンを羽織った。あのオイル、どこのだろう。香りは自分の好みピッタリだ。
考えつつザルシュの部屋の扉をノックし、中に入った。

ザルシュも(いつの間にか)風呂に入ったのか、ガウン姿だった。ただ、

髪が「びしょびしょ」のまま、うとうとしていた。


「男って……、こうもだらし無いものなのか………?」

起きろ〜!風邪ひくぞ〜〜っ!!
てか、風呂あがったらすぐ髪をふけぃ!!

と、アイズィーがザルシュに叱咤したのは当然の事である。



[s:0426]お風呂にときめく可愛いアイズィーと、とにかくだらしないザルシュをかきたかっただけです。すいません。

2010-09-23 22:47:16


Ewota

面倒げに髪にタオルをまき、ザルシュはまたうとうとし始めた。
アイズィーはなにか腹ただしくなり、まだベタベタのザルシュの髪を引っ張った。
「あいたたたたた」
「なんでこんなことも出来ないんだ!?そこの辺りのデリカシーはないのか」
「髪を拭くのって面倒じゃあねえか?
なんかもう、自然乾燥だけで十分な気がするんだけど……」
「ありえないな。
せっかく伸ばしてるのに、傷んでは悲しかろ?広がるし」
「平気だって。そんな女みたいなこと」
アイズィーはなにか腹が立って、彼の髪を束ねていたタオルを引ったくるようにとった。そして、無理矢理ふいた。
「うわあああやめろってばあ!」
そう嫌がっていたザルシュも、なにがあったか大人しげになった。そして、ぼけーとしたまま、されるがままになる。


すっかり乾いた髪を撫でながら、ザルシュはぼんやりと見つめていた。流石にアイズィーは恥ずかしくなったのか、ソファーに腰掛けたまま俯いていた。
「サンキューな、アイズィー」
頭の上、遠くから、甘い声(勿論アイズィーの幻想の入り混じる声)が響いた。
「……?」
ザルシュはそれ以上は言わず、金刺繍の施されたリボンをつまんだ。そして、無造作に髪をひっつめ、ぎゅっと駒結びをした。

2010-09-24 23:11:30


Ewota

アイズィーは淋しくなった。ザルシュは母親がいないとはいえ、あまりの無造作さに寂しさが生まれた。
ザルシュは、髪を梳いて、服を羽織り、手作りの料理をつつき、掃除をしたり、リボンを結び、濡れた髪を拭いてもらった事もないのだろうか。
アイズィーはザルシュのガウンの裾を掴み、むりやりソファーに引き寄せた。
そして、ひっつめられた髪を解き、使われたこともないような、真新しい(かなり高級な)櫛をとった。
ザルシュの髪は浅黒い赤茶をしていて、でも艶(つや)の美しい、艶(あで)やかで妖艶(ようえん)なさまだった。
梳かす度、髪はさらさらとゆれた。
アイズィーは裏を編みこみ、ゆったりと束ねてリボン結びにした。

「この方が綺麗だ」

ザルシュは違和感があるのか、頻りに髪を撫でた。
「…どう?」
「…ん」
「ザルシュはこういうこと、してもらったことがないのか?」
アイズィーは髪を撫でながら、はっきりときいた。
「…母親みたいな?」
「ああ」
「……あははは、俺あそんなのいないからなあ。
…いたけど、あまりに小さい頃の話だもんだから…」
ザルシュの瞳は、一気に暗くなった。アイズィーにも察せた。
「優しくて、きりっとした母親だったらしいけどね」

2010-09-25 00:30:48


Ewota

「ふうん」
アイズィーは話をごまかそうと、ただそれだけをつぶやいた。
ザルシュも察したか、にかっとわらいながらこう囁いた。
「今度はいつこれる?」
「え?」
「三泊してくだろ。で、その後だよ」
「分からぬ。でも、また当分会えないだろうなあ…」
「…当分かあ」
ザルシュは名残惜しげに呟くと、アイズィーの髪にそっと触れた。
「…?どうした?」
「いや、何となくだよ。こうして気楽に話せるのも数少ないし」
確かに、ザルシュはマーク隊長にも命令形だった。こうした砕けた会話は、貴重なんだ。
今度いくときは、密かに土産に焼鳥でも持って行ってやろうか。庶民の味も恋しかろうな。それから話も沢山こさえて……

途端に、髪を撫でていたザルシュの髪が離れた。
不思議に思っていると、彼は隣の部屋に駆け込み、気付けば正装に変わっていた。
「ザルシュ?」
「……しー…」
ザルシュは唇に指をあてた。その仕草とは裏腹に、顔は氷でできた能面のように暗く、ぎらりと冷えていた。

騒ぎがおきたのだ。その騒音は、近付いていた。

2010-09-25 12:07:03


Ewota

第6章

危険すぎな師弟

ネグリシャムラと英雄の因縁

2010-09-26 21:39:06


Ewota

ザルシュはアイズィーの肩を叩き、物陰で着替えるようにと手振りで伝える。
アイズィーは震える足を持ち上げ、何とか物陰で着替える。そして、終わると一目散にザルシュに駆け寄り、騒音と地響きに怯えながら彼の腕を掴んだ。


この洞窟一つ崩れるような、響くような音をたてて、ついに野蛮王子の部屋は開かれた。ザルシュは仮面を取り付け、逆光で陰る敵をみた。

「てめえ!アイズィー嬢になにするつもりか!!彼女を渡せ!」

そんな敵の長の声は、周りにいた彼の部下を動かした。
ザルシュはそんなアイズィーに近付く部下をみて、はっとした。
もう一度長をみた。光に目が慣れ、顔がみえた。
「ショー!それに町の子供達…」
アイズィーの声は、ザルシュの脳内に『負』の字を浮かび上がらせた。


「あんたたち、ロッパの刺客なのか?」

2010-09-26 22:01:07


Ewota

「まあ、確かに俺の師匠はロッパだが。
俺はまた別、単独できてやったんだよ。
てめぇがアイズィー嬢を引き込んで、話してるとかきくからよ。どうせ結婚を無理矢理承諾させようと、いろいろ糸からめてんだろ」

「なんの話だ」

兵士は役立たずだ。子供達を見くびったあまり、その予想外の強さに腰抜けしている。
こんな時、マークがいれば……。

「ちょいと表でろや」
「……?」
「いろいろしこりがあったんだよ。この際、全てとりたくてなあ」
ショーはにたついた。
アイズィーはザルシュの知らぬ間に子供達に奪われ、泣き叫んでいた。引きずり出されていたのだ。
さっきまで彼女の手があったのに。
「全て、決着をつけてえんだ!」
ショーは短剣をぬき、ザルシュに向けた。
兵士はうろたえ、なんの護衛にもならない。


「まて」
懐かしい、頼りになる声が響く。マークだ。

2010-09-26 22:10:27


のなりい

ぬぅぅぅ・・・・。
なんか悔しいなぁ。
おもいっきり誤解してるよね?この子達。

にしても・・・うふふ。
アイズィーちゃん、可愛いなぁ・・・。
マークさんはかっこいいな。
結構、好みかも(なんか好みが多いな・笑)

2010-09-27 16:28:16


Ewota

のなりい
アイズィーはさりげなくザルシュに甘えてます←
しかも、マーク隊長のいいとこどり!作者の私もああ、鼻から血…
ショーの勘違いぶりは、お話のキーなんだよ。お楽しみに!


マーク「更新でさあ」


ロッパさんがパニックに陥った。
さっきまで外で練習していたショーが消えている。実は、町の子供達もいないのだ。
「誘拐魔」とまで騒ぐロッパさんを落ち着かせ、糸を手繰りながら、ショーの居場所を突き詰める。
「場所がわかった。そこは危険だ。私とカルロで十分だ。みんなはまっていなさい」
「先生、僕もいきます!」
「今回ばかりは生死に関わる。だめだよ、ルーク」
「僕からも同意見だ」
「カルロさん!」
「いきますか、先生、ロッパさん」
「ああ」
三人は漆黒の闇を、小さな明かり一つで入り込んでいってしまった。


「まて」
一人の声に、ショーは敏感に反応した。
「あんたはだれだ!」
「第三番隊隊長のマークという」
「マークか。つまり、この」
ショーは横目でザルシュをみた。ザルシュはゆっくりと部屋からでてきた。
「野蛮王子の護衛か」
「そういうことさ。はやく立ち退き願いたいね。あんたみたいなひよっこと」
「剣をぶつけ合う勇気もないのか。
上等だぜ」
「馬鹿だな。倒したくないんだよ。子供という特権を傘に好き勝手暴れよって」
「なにい!?」
「…きたねえやつも来ちまった…」
マークはそうつぶやき、窓をみた。
そこには、裏ではりこんでいるロッパの姿がある。
しかし、それは
「俺の応援にきたに違いない!
覚悟おぉーーーーっ、ザルシュエル!」
ショーを勇気づけてしまった。


同時に、ザルシュに憎悪を植え付けた。

2010-09-27 20:35:21


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