レイトン教授シリーズの攻略
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ウィザー
遂に、2作目を始めることができました!
前作よりも長編になる予定であります。
1作目より、行動範囲を広げようかと・・・・・・。
2作目も、よろしくお願いします!!
2010-01-30 20:39:17
ウィザー
よっしゃあ! かなりラストに近づいたぁ!
皆さん、長ったらしいですが、見捨てないでくださいね!
【続き】
「イ、イヴが、共犯?」
レイトン先生の言葉は、僕達を大きくざわめかせた。
けれども、張本人であるイヴは、平然としている。
ロザリーさんは、悲しそうにイヴを見つめている。
ま、待って!
イヴが……、イヴが、ゴヴァン町長の亡き孫娘だって?
そ、そんなはずはない。イヴは、僕達の前で無表情で立っているイヴは、正真正銘、イヴだ!
ヘルは、死者だ。死者が、自分の祖父と手を組んで事件を起こした?
まず、死者が、この世に存在するわけが……。
僕達のパニックの小言なんか全く訊いていないレイトン先生。
す、少しぐらいは、このざわめきを押さえるようなことを言ってもいいと思うんだけど……。
レイトン先生は微笑みながら、イヴに言った。
「君の本当の名前は、ヘルだね? そして、年齢も10歳ではなく、13歳」
イヴは、何も言わず無表情のまま、レイトン先生を見つめている。
僕は、脳内整理が間に合わず混乱しているカールさんを、横目に、一生懸命事態を把握しようとした。
大丈夫、僕はレイトン先生の一番弟子。
こんなときでも、矛盾で絡み合った糸を解くんだ!
まず、僕らを襲ったのは、陰ノ狩人という2人組み。
1人は、前町長に恨みがあり、さらには財宝や財産に目の無いゴヴァン町長。
そして、共犯は、僕やセシリーさん、イヴを襲った実行犯であるイヴ。
……あれ? おかしくないか?
犯人であるイヴが、被害者でもある。
じゃあ、このときだけゴヴァン町長が動いたんだろうか。
__違う。彼には、ロザリーさんとずっと一緒に話し合いをしていたという、強いアリバイがある。
……ここで、矛盾が1つ生まれたぞ。
次は、ヘルについて。
ヘルは、ゴヴァン町長の孫だと言う。でも、ゴヴァン町長に家族はいないから、孫なんていないことになる。
つまりは、ヘルというのは架空人物になる。
でも、レイトン先生はイヴのことをヘルと呼んだ。もしかしたら、ここが複雑なのかもしれない。
あと、少しレベルは落ちるけれど、イヴは13歳にしては背が小さい!
けれど、成長には個人差があるというし……。もしかしたら、それは仕方の無いことなのかもしれない。
よし、13歳という年に合わないイヴの身長については、謎解明!
解明……というか、無理にでも納得したような気がする……。
でも、すでに2つも矛盾や疑問が生まれている!
いや、それよりも、イヴって何者なんだ? ヘルって何者なんだ?
「でも、おかしくないか?」
ヴランドさんが、大きく首をひねる。
「ヘルってのは、町長の孫の名前だろ? でも、そいつには身内なんかいないから孫なんてのもいねぇだろうし。そいつが、もし本当にヘルだとしたら、意味の分かんねぇことになるぞ」
すると、レイトン先生はシルクハットのつばに手をやり、微笑んだ。
「なにも、ゴヴァン町長の言ったことを忠実に信じることはありませんよ。
確かに、彼には孫はいません。けれど、養女がいます。
ヘルという名の、アルビノの少女が」
レイトン先生の言葉に、ゴヴァン町長が動揺する。目線がなかなか1つに定まらないようだ。
それにしても、ゴヴァン町長はとても正直な人だ。全く、謎にもならない。
一方、イヴは平然としていた。
けれど、先ほどとは違って、冷ややかな笑みを浮かべている。
そして、躊躇いも無く口を開いた。
「よく分かりましたね、レイトンさん。なぜ、アルビノだと思ったんです?」
すらすらと長文で語るイヴ。
今までのような、短文の連続なんかではない。
そして、幼さ溢れる声が、冷静に全てを切り裂く大人の声にも、変貌した。
僕よりも、とても大人な口調だ。
レイトン先生は、イヴの目を手で示した。
「その目の色さ。その美しい赤色の瞳は、アルビノの特徴の1つ。
もう1つのアルビノの特徴は、皮膚が白く、髪も白い。君も、肌が白かった。そして、目の色も赤。
初めて君と会った時点で、君は髪を金色に染めたアルビノだと、私は見抜いていたんだ。
それに、君はたまに館から出て行くそうだね。それは、自分がアルビノだとバレないように、髪を律儀に短期間で染め直す必要があったからじゃないかい。
君は、自分がアルビノだとバレてはまずかったんだ」
「なんでですか? 別に、アルビノの白い髪、きれいだと僕は思うんですけど」
カールさんが控えめに訊くと、イヴはカールさんを鼻で笑った。
「誰が、白髪をコンプレックスだと言った?」
レイトン先生も、カールさんに苦笑している。
「彼女は、自分がアルビノであることを否定しているんじゃないよ。むしろ、それを誇りと思っている。それは実に素晴らしいことだと思うよ」
レイトン先生がそう言うと、一瞬だけ、イヴは嬉しそうに破顔した。けれど、それもすぐ、無表情に戻ってしまった。
「私は、君のことも調べてもらったんだ。けれど、イヴの情報は1つもなかった。いや、イヴという人間がこの世には存在していなかった。
それをいぶかしく思った私は、念のために、ゴヴァン町長がイヴに向かって何度も言った“ヘル”について、調べてもらった。
すると、今度は、もうすでにこの世にいないはずのヘルは生きているという事実が発覚したんだ。
そして、ヘルというアルビノの元孤児が、ゴヴァン町長の養女になっていたこともね」
あぁ、やっぱりモニカさんの情報収集能力は凄い。今回は、陰で活躍していたモニカさんの大手柄だ。
それにしても、イヴ__いや、ヘルがゴヴァン町長の養女……?
「つまり、ヘルはゴヴァン町長の孫娘ではなく、養女。
ゴヴァン町長は、ワインの酔いで、うっかり、他人を上手く装っていたイヴを、ヘルと呼んでしまった。慌てた町長は、そこでうまい嘘をついたんだ。それが、後になって全てを暴く大きな鍵となってしまうことに気付かずにね」
レイトン先生の言葉に、肩を震わせながら紅潮するゴヴァン町長。
ヘルは、なんだか楽しそうに微笑んでいる。けれど、その笑みは全く友好的ではない。
レイトン先生は続けた。
「情報によると、ヘルのいた孤児院では、ヘルのことを皆、“よく笑いよくしゃべる、明るいアルビノの子”と言っていたらしいね。
それが、ヘルにとっては大きく足を引っ張ることになった。
孤児院からの情報で、イヴがゴヴァン町長の養女になったヘルだとバレてしまうことは、2人にとっては命取りだった。
そこで、君は髪を染め、無表情を決め込み、わざと短文を重ねて特徴的なしゃべり方をして、自分が孤児院から引き取られた明るいアルビノの少女ヘルだと思われないようにした。名前も、もちろん変えてね。
そして、年齢も身長でギリギリカバーできる幼いものにして、考え方も幼いものに変えた。
でも、君は夢中になった時に本当の話し方と思考が表に出てしまった。そこでも、私は君を怪しく思っていたんだ」
「なんだ、全ては情報でバレてしまったのですか」
ヘルは、残念そうに呟いた。……いや、残念そうだと思わせるような声で、わざとそう言った。
彼女は、俯きながらも、悠々と笑みを浮かべている。
ヘルは、13歳という年にそぐわない冷笑を、レイトン先生に向けた。
さぁ、まだ解いていない謎を解きなさいと言うように……。
2011-03-22 16:06:51
にし
私も同じようなもんですよ……趣味っていうか、自分の妄想の世界を皆様に公開してるっていうか……←←
そして、「躊躇い」を「ちゅうちょい」と読んだ私は馬鹿(苦笑)
イヴをイブって発音しただけで彼女は怖い顔をするんですか(笑)
怖いけど、やっぱり可愛いんでs(殴
それにしてもよく観察してるなぁ、レイトン先生。
先生のこと、私淑してますよっ(^0^)/
2011-03-22 22:02:18
夢羽
イヴが13歳っ!!
ルーク「驚くポイントそこですか」
いや、そうじゃないけど;
喋りかたも違うし雰囲気は大人だし…
実は明るい女の子だったなんて!!
ヘル同様、先生、まだ解いてない謎を解きなさい…(笑←
2011-03-22 22:11:40
ウィザー
~にしさん~
躊躇いって、難しいですよね。私も、最初これが読めなくて、軽くスルーして読んでいました。今は、読めても書けません! 難しいよ、躊躇い!
ヴの発音は、私もこだわりがあるんです。ちゃんと、発音上でもvの発音を大切にしています。ただ、頭の硬い作者です。
ル「でも、イヴは笑うと可愛いですよ」
カ「何でかな、僕以外のひとには笑ってるんだってね」
ル「それって、イヴに拒否されてるからじゃ……」
カ「ルーク君、君はダイレクトに言いすぎだと思うよ!」
~夢羽さん~
イヴは13歳! 童顔というと、イヴは怒るそうです。
確かに、レイトン教授、さっさと解きなさい!
カ「若く見られるっていうのは、いいことなのに」
ル「そうじゃないんですよ。僕には、イヴの気持ちがよく分かります!」
セ「確かに、ルーク君もあまり背は高くないわよね」
ル「セシリーさん、少しはオブラートに包んでくれませんか?」
2011-03-23 14:01:40
ウィザー
イヴの容姿です。
2011-03-23 14:06:38
ウィザー
あららぁ、上手く添付されませんでした。一応、絵を描いたのですが。うまくいかないものですね……。
またいつか、載せたいと思います。
2011-03-23 14:11:07
レグルス
イヴは偽名だったんですね・・・・・・
しかも元は明るい女の子!!
考えられない・・・・・←失礼
レイトン先生のその観察力が欲しいです(笑)←←
2011-03-23 14:50:48
ウィザー
さぁて! いよいよラスト間近! レイトン教授が、全てを解き明かします。
【 続き 】
レイトン先生が、ゆっくりと人差し指を立てた。
「まず、最初の被害者はルークとヘルでした。2人は、何者かによって眠らされた。
しかし、実際のところはヘルが自作自演を交えて、ルークに手を出した。
君は、自分が犯人だと思われないようにするため、自分も被害者になった。ルークを眠らせた後、次は自分を眠らさせた。これで、実行犯が被害者と成り代わり、ヘルが犯人だとは誰も思われなくなった」
「自作自演か! なるほど、それなら加害者も立派な被害者になれるわけだ」
グランドさんは、納得のいったように手を叩いた。
「だから、犯行に使われた布が置き去りにされていたのか」
グランドさんの呟きに、ヘルは大きく頷いた。
確かに、眠気に襲われた状態で犯行道具を片付けるのは不可能に近いだろう。
「次に、セシリーさんです。セシリーさんは、床に落としたものを拾おうとした時に、襲われました。なぜ、そのタイミングだったのか。
それは、セシリーさんの身長にヘルの手が全く届かなかったからです。そこで、物を拾おうとしてしゃがんだセシリーさんの口を塞いだ。
別にセシリーさんではなくてもよかったのですが、都合上、自分の手が顔に届き、なおかつ隙だらけの人を狙うしかなかったのです」
「じゃあ、別に私みたいな力が男性よりもない女性じゃなくても良かったの?」
セシリーさんの質問に、レイトン先生よりも先にヘルが答えた。
「はい、レイトンさんの言っていた条件を満たしていれば、誰でも良かったのです。でも、力のことを考えると、男性は少し危なかったとは思います」
確かに、少女のヘルの力よりも、僕以外の男性陣のほうが力が勝っている。
ある意味、ヘルの狙いは無難だったのかも知れない。
「後は簡単です。眠っているセシリーさんのまわりに、片栗粉でわずかなとろみをつけた赤色の水を撒いて置けば終わりです」
これで、陰ノ狩人の犯行の謎は終了ですね、とヘルは笑った。
いや、とレイトン先生が首を横に振る。
「まだ、いくつか君に教えておきたいことがある」
「教えておきたいこと?」
「そうさ。私は、全てを情報戦に託したわけではない。
ゴヴァン町長の共犯が君であることは、ついさっき、確信したんだ。
ゴヴァン町長は、私達よりも先にこの儀式の間に訪れていた。
けれど、この部屋の鍵と鍵の使い方を知っているのは、君とロザリーさんだけだね?
しかし、君はスペアキーを事前にゴヴァン町長に渡して、使い方も教えていた。だから、ゴヴァン町長はこの部屋に入ることが出来た。
そうじゃないかい?」
レイトン先生がそう言うと、ヘルは大きくため息をついた。
そして、思い切り口を尖らせ、ゴヴァン町長を横目で見た。
「あれほど、鍵を使うなと言いましたのに。そのせいで、完全に暴かれてしまった」
ゴヴァン町長は、真っ赤な顔で歯軋りをしている。
レイトン先生は続けた。
「そして私にとって最大の謎は、なぜこの企画の参加者は少ないのか。普通、街を救った奇跡を賞金にしたら、多くの人が集まるでしょう。なのに、参加者はたったのこの人数。
それも、参加者には共通点があります。
全員、頭脳を使うのを何よりも優先すること。
そして、世間に名が広まっていたこと。
グランドさんは、警察の手を焼かせた元頭脳犯。
セシリーさんは、誰もが思いつかないようなトリックを次々と編み出す小説家。
ヨアンさんは、現世に生きる屈指の語り部。
三人には、どうやら広告のようなものが家に届いたらしいですね。
一方、私達の場合は、この企画を造り上げた人の手先。ヘルは、私の勤めている大学の前で倒れていたところを、ルークに介抱されました。いや、実際は、わざとそれを狙っていた。
私も、新聞には何度か載っていたので、それを見て参加者にしようとしたのでしょう。
出来るだけ少ない駒を作り、その駒たちに自分達の目的のものを探させた。それも、企画ということで怪しまれないように」
レイトン先生は、厳しい顔をしてゴヴァン町長を見た。
すると、ゴヴァン町長は突然、余裕の笑みを浮かべた。
「どうかしましたかな?」
「ゴヴァン町長、私は1つだけ知りたいことがあります」
「ほう? 言ってみるがいい」
「前町長は、今、どこにいるのですか?」
「前町長? あぁ、そうだな。いるとすれば、空の上だ」
そ、空の上だって!? 空の上というのは、つまり……。
僕のすぐ隣にいるセシリーさんが、口を押さえた。
「ま、まさか!」
ゴヴァン町長は高らかな笑い声を上げた。
「あぁ、そのまさかさ。町長について、あまりにもうるさくてな、途中から殴り合いになったんだよ。途中であっちが優勢になったから、こちらもやりかえしたんだよ。近くにあったの陶器でね」
あぁ、そうか。この人は、重い陶器で頭を強く殴ったのか! そして、前町長の命を……!
「最低な奴だ……!」
吐き捨てるように言うグランドさん。その隣では、ヨアンさんが悲痛な面持ちで、黙祷している。
突然、ロザリーさんの隣に立っていたヘルが、ゴヴァン町長のところに向かった。
そして、ゴヴァン町長の前に立ち、僕らを冷ややかな目で見渡す。
これで、完全に彼女は敵サイドだ。
さっきまで黙っていたグロスキー警部が、怒号をあげた。
「現行犯として、もうお前の逮捕は確定だ。大人しくしてもらおうか! 強盗ならまだしも、いや、それも許すことは出来ないが、人の命を奪うなど!」
「おぉっと、大人しくするのはどっちかなぁ?」
にたにたと笑うゴヴァン町長が服の内側から取り出したのは、拳銃。よく、小説などに出てくる、ある意味最強の武器だ。
「こちらにも、貴方方の自由を奪うものはあるんですよ。貴方方こそ、大人しくしていたほうが良いんじゃないですか?」
殺傷力の高い漆黒の体を、自信たっぷりに僕らに見せている。
その輝きに、身の毛がよだった。
な、なんでそんな物が!
ゴヴァン町長が、ゆっくりと拳銃を僕達に向ける。
僕の隣にいたカールさんが、僕を自分の後ろの方に回した。
「絶対に、前に出てきちゃ駄目だよ」
そう言って、カールさんはにっこりと微笑んだ。
でも、これじゃあカールさんが僕の盾になってしまう!
いや、それよりも、まずこの場にいる全員がピンチだ!
2011-03-23 15:02:25
ウィザー
~レグルスさん~
あらら、すれ違ってしまったようですね! すみません!
はい、イヴは偽名でした。簡単すぎて、カチンときますよね。もっと、こう、謎めいたものを考えられたら最高なのですが、この単細胞には無理でした。
推理が得意な人は、人間観察のベテランなんでしょうね……。
カ「イヴが明るい、ねぇ」
ル「少し、想像しがたいですよね」
カ「いや、僕は考えられないよ」
ル「カ、カールさん。後ろ後ろ……。物騒なものを持った張本人が……」
イヴは、どうやら短気のようですね!(笑)
2011-03-23 15:06:37
ウィザー
終わりに近づいていますよ、皆さん!
だから、見捨てないで下さいねぇ!!
【 魔女の奇跡と少女の奇跡 】
ゴヴァン町長は、拳銃を僕達に向けて、悠々と微笑んでいる。
一体、僕達はどうなるんだろう。彼の銃の餌食になるのか? それだけは、絶対に嫌だ!
突然、カールさんがひらめいたように手を叩いた。
な、何か良い策でも思いついたんだろうか。この、窮地を逃れることが出来るような策を!
僕の期待の眼差しを受けながら、カールさんはレイトン先生の腕を突付いた。
「分かりましたよ教授! 参加者が少ないのは、口止めをする人数を出来るだけ減らすためだったんですね!」
辺りにお花を飛ばしながら、小さな謎が解けたぞと満足そうに笑うカールさん。
ま、まったく、この人は!
「ど、どうしますか、先生……」
思わず、泣きそうな情けない声が出てしまう。
レイトン先生は、難しい顔をしたままだ。
「どうにかして、彼を説得するしか、方法はなさそうだ」
あ、あれを説得する? 凶器を手に狂ったように笑みを浮かべている人を?
無理に決まっているじゃないか! 相手は、理性というものがあるかも分からないような状態だ。
いや、彼は今、ロザリーさんの莫大な財宝にしか目がいっていない!
また、いい事を思いついたようにカールさんが手を叩いた。
「教授! こんなときこそフェンシング!」
カールさんのひらめきに、今度は僕もひざを叩いた。
そうだ、レイトン先生はフェンシングがとても上手だ! それに、銃を構えて引き金を引くことよりも、剣で攻撃する方が早い!
レイトン先生の剣捌きなら、ゴヴァン町長の拳銃にも負けないはず!
なんていいときに思い出してくれたんだ、カールさん!
心の中で一生懸命にカールさんに拍手を送る。
しかし、レイトン先生は残念そうに首を横に振った。
「残念なことに、この部屋には武器らしきものが見当たらないんだよ」
な、なんということだ……。
次は、グランドさんがヨアンさんを肘で突付いている。
「おい、お前が常備しているダガーで、どうにかならないのか」
すると、ヨアンさんも残念そうに首を横に振った。
「彼の前には、少女がいます。私が彼に攻撃をしかければ、確実に彼女が邪魔をするでしょう。彼女がいなければ、手の打ちようはあったのですが」
ヨアンさんの目が、ヘルに向けられる。
ヘルは、平然と僕らを見つめている。
僕達は、絶体絶命のピンチというわけだ。全く、手の打ちようもなければ、対抗できるようなものもない。
まさに、蛇に睨まれた蛙状態だ!
そんな中、ロザリーさんが決心したように言った。
「私が、彼の息の根を止めましょう」
一瞬で、僕達蛇に睨まれた蛙組みの中に、冷たい風が吹き渡る。
そ、それは最終手段レベルだ!
レイトン先生が、慌ててロザリーさんを止めた。
「いけません! それでは、貴方も彼と同じように、殺人犯になってしまいます」
すると、ロザリーさんはレイトン先生を見て、にっこりと微笑んだ。
「私は、殺人用のカラクリです。殺人こそ、私の役目です」
次は、グロスキー警部が割り込んでくる。
「エインズワースさん、それでもいけないものはいけません。カラクリとはいえども、半分は人なんですから」
複雑なやり取り中に、ゴヴァン町長の弾んだ声が入り込んできた。
「まぁ、まずは黄金の涙をいただきましょうか。世界に終わりを告げる前に、頑張ってくださった参加者の皆さん達にも、この館の主が隠し持っていた財宝ぐらいはお見せしますよ」
つまりは、黄金の涙を渡さないのならば、生かしておかないということだろう。
なんとも、都合の良い人だ!
ヨアンさんが、ロザリーさんの肩を叩いた。
「ともかく、今は彼に従うしかありません。彼の言いなりになっておけば、少しの間は時間を稼ぐことが出来ますよ。その間に、全員で策を練りましょう」
すると、ロザリーさんは困ったように口を押さえた。
一体、どうしたのだろうか。
「申し訳ありませんが、私の意志で黄金の涙は流せないのです」
ロザリーさんの一言で、儀式の間が一気に騒がしくなった。
いや、この儀式の間にに、絶叫が響きわたった。
黄金の涙を持った魔女が、自分では黄金の涙を流せない……!?
「そ、それは、どういうことだ!」
ゴヴァン町長がいきり立った。
ロザリーさんは、困ったように微笑んでいる。
「分かりませんよ。私の身体をそういう構造にした父兄にお聞き下さい。ともかく、黄金の涙については、私も手が出せないのです」
もしかしたら、錬金術師達は、事態がいつしかこうなることを見抜いていたのか?
いや、ただ単に彼女を泣かしただけでは無駄だと、思い知らさせるためだろう。
それは素晴らしい心なのだが、今は余計な設定にすぎないぞ!
ゴヴァン町長の額に、青筋が浮かび上がる。
あぁ、とても嫌な予感がする……。
般若のように顔を歪ませたゴヴァン町長が、ロザリーさんに銃を向けた。
そして、青筋を立てたまま、歪んだ笑みを満面に浮かべる。
「なら、壊してでも黄金の涙を奪うまで!」
2011-03-23 15:43:16
ウィザー
今度こそ、載りますように!
2011-03-23 15:51:51
ウィザー
やはり、駄目でした。何故でしょう?
2011-03-23 15:58:24
town
おひさ!
う~ん....ケータイがPCによって載せ方が違うみたいだよ。自分もたまに載らないときがあるんだけれどね....
やっぱりアレはイヴちゃんの自作自演だったのか!
アロマ 「何でルークはイヴちゃんの年齢のナゾがよく理解できないのかしら?」
ルーク 「え?! アロマさんには分かったんですか?」
アロマ 「ルークを見ていれば一目瞭然よ♪」
ルーク 「..........。」
2011-03-23 20:29:35
ゆうん
イヴ…役者!!←
てか、やばいよ町長、笑
壊れてきた←
拳銃常備とか…Σ
ウィザーの絵、凄く楽しみだな★
2011-03-24 14:54:28
レグルス
ゴヴァン町長ーっ!?←←
ちょっ、かなりヤバいですよこの人!?←←←
拳銃装備とか・・・・・・←←
絵、なんで載らないんでしょうね・・・?
ウィザーさんの絵、楽しみです^^*
2011-03-24 19:46:13
ウィザー
~town~
必ず、頑張って載せたいです。機械オンチって、怖いですね……。
本当、貴方は怖いですよ。自作自演まで見抜いていただなんて。
ル「先生、僕、大きくなりたいです」
レ「ルークはこれから伸びるから大丈夫だよ」
ル「そうだといいんですけど……」
イ「ルークさん、まだいい。イヴ、10歳児に間違えられる!」
~ゆうん~
もう、町長は手遅れのようですね。冷静ぶって、実はずっと壊れていました、みたいな……あは!
ル「銃って、怖いですよね」
レ「近距離戦だと、刃物のほうが圧倒的に有利になるけれどね」
カ「実際、刃物振り回している10代の女の子がいますけどねぇ」
ル「今回、かなり危ないですよね」
~レグルスさん~
はい! この人、根性悪いどころか、完全に狂ってます、発狂してます!
これって、小説だからこそ、できることなんですよね……。
ル「本当にいたら、厄介ですよ!」
カ「すでに目の前にいるけどね」
ル「精神科、行ったんでしょうか?」
カ「行っても、もう手遅れなんじゃないかな?」
2011-03-25 10:01:06
ウィザー
長いったらありゃしない。自分で書いているのに、そう愚痴りたくなります。
【続き】
ゴヴァン町長は、ロザリーさんに銃口を向け、勢いよく引き金を引こうとした。
その寸前に、僕の前にいたカールさんが僕の目を手で塞いだ。
「見るな!」
カールさんの険しい声が響く。
それと同時に、レイトン先生が駆け出す音を聞き取った。
まさか、レイトン先生、ロザリーさんの目の前に飛び出すつもりじゃ……!
一気に血の気が引き、僕は強引にカールさんの手をどけた。
「せ、先生!」
でも、僕は見た。
レイトン先生よりもカールさんよりも先に、ヘルが動いていたことを。
ヘルは、引き金を引こうとするゴヴァン町長に、思いっきり体当たりをした。
平衡感覚を失ったゴヴァン町長は、それでもなお銃口をロザリーさんに向けようとする。
ヘルは、両腕を広げて、ロザリーさんを隠すように射撃範囲に飛び出した。
僕達は、目を見開くこと以外、何も出来なかった。
その直後、銃声が鳴り響いた。大きく、鋭く、一瞬の間。
そして銃声が聞こえなくなった刹那、ヘルが床に体をたたきつけるように倒れこんだ。
次に瞬間、咆哮を上げながらグロスキー警部はゴヴァン町長を取り押さえた。
さらにそこにグランドさんが加わり、ゴヴァン町長は完全に動きを封じられた。
ゴヴァン町長は、もはや人間とは思えない奇声を上げながら暴れている。
僕は初めて、人間の大人が醜いと思った。
言い切れない怒りが込み上げ、今すぐにでもゴヴァン町長に飛び掛りそうだ。
「ヘル!」
ゴヴァン町長を取り押さえている2人以外の全員が、口々にヘルを呼び、座り込んでいるヘルの元に駆けつけた。
ヘルは、平然としながら上半身を起こし、駆けつけた僕達を見回した。
「け、怪我は!?」
僕が訊くと、ヘルは首を横に振った。そして、大きくため息をつきながらゴヴァン町長を横目で睨んだ。
「銃を使い慣れてないみたい。下手くそ。そのおかげで、頬を掠った程度で済んだからいいけど」
ヘルは、紙で切ったような、左頬の浅く細長い傷を手で拭った。
よ、良かった。ヘルは、大きな怪我を負わなかった。
安堵の息を全員がつく。セシリーさんは、安心しすぎて、泣き出していた。
レイトン先生は、ヘルの前に膝をつき、優しく微笑んだ。
「痛くないかい?」
ヘルは、これぐらいどうってことないと言い切った。
それは良かったと、レイトン先生が言ったとき、セシリーさん同様泣き出しているカールさんがヘルに抱きついた。
ヘルの顔が、一瞬にして真っ赤に染まった。
「な、何してるの!」
「よ、良かったぁ、本当、かすり傷で良かったぁ! も、もし、命に関わるようなところに当たってたら、どうしようってぇ……。ほ、本当に無事で良かったぁ!」
情けないほどに泣きじゃくるカールさん。ヘルは、困惑しながら僕に助けを求めた。
あの、僕はカールさんお世話係じゃないんだけど……。
僕は、鼻をずるずると鳴らすカールさんを、無理矢理ヘルから引きずり離した。
それでもなお、カールさんは、良かった良かったと繰り返し泣いている。もちろん、セシリーさんも泣きじゃくっている。思わず、僕もレイトン先生のように破顔した。
ヨアンさんは、ヘルの傷を見て、苦笑した。
「愛らしいお顔が、残念ですね。でも、すぐに傷は癒えます。なので、触らないようにしてください。他に、怪我は?」
「ありません。一発しか撃っていなかったので」
僕は、それに感謝した。もし連射していたら、ヘルはこの程度の傷では済まなかったはずだ。
安堵の空気に包まれた中、離れたところでゴヴァン町長が吼えている。
「なぜだ、なぜ私を裏切った、ヘル! 今頃になって、罪悪感でも生まれたのか、この役立たずが! 私に育ててもらった恩を忘れおって!」
慌ててゴヴァン町長の口を塞ぐグロスキー警部。
グランドさんは、それを手伝いながら、ヘルは無事だとグロスキー警部に伝えた。
グロスキー警部は、安心したように肩を落とした。
ゴヴァン町長の怒号に、ヘルが肩を竦める。
レイトン先生は怯えるヘルを隠すようにゴヴァン町長に向き直り、シルクハットのつばに手をやった。
「まだ分かりませんか。元から、ヘルはあなたの優秀な操り人形では無かったのですよ」
2011-03-25 10:34:52
ウィザー
あとちょっとだ、頑張れ、自分!
【続き】
レイトン先生は、ロザリーさんを見て、これが最後の謎解きですと言った。
「ロザリーさんは、元から、ヘルがあなたに送り込まれた優秀なスパイであることを、薄々気付いていました。けれども、何も言いませんでした。
さらに、ヘルも、ロザリーさんが魔女であることに気付いていた。
けれど、ヘルはあなたに魔女の正体を言っていませんでしたね?」
ゴヴァン町長は、あぁそうだ、ヘルは魔女は見つからないと報告してきたと、怒鳴るように言った。
レイトン先生は、ふっと笑みを浮かべた。
「それもそのはず。ヘルは、貴方から、魔女であるロザリーさんを守ろうとしたのです」
レイトン先生の言葉に、全員がざわめいた。ロザリーさんは、目を大きく開き、口を両手で押さえながらヘルを見ている。
ヘルは、レイトン先生を見上げた。
今にも泣きそうな顔をしているヘルに、レイトン先生は優しく言った。
「ヘル、君は主に背いてまでも、ロザリーさんを守ろうとしたんだね」
「教授、なんでそんなこと、分かったんですか?」
カールさんは、涙をハンカチで拭きながら、首を傾げた。
レイトン先生は、人差し指を立てた。
「考えてごらん? ヘルは、いつもロザリーさんと一緒にいただろう? それは、ロザリーさんに参加者がむやみに近づかないようにさせるためだったんだ。
ヘルは、自分以外の人間がロザリーさんに近づくことを、異常に拒んだ。カール、君も分かっているはずだ。いや、ルークやセシリーさん以外の人は皆、ヘルに警戒されていたんだよ」
「僕と、セシリーさん以外、ですか?」
「そう。君は、ヘルと同じ年だから、ヘルは警戒しなかったんだ。子どもに優しい女性のセシリーさんにも、同じだ。その気になれば、ロザリーさんは刃を向けることが出来るから、ヘルは自分が対抗できない大人の男性を警戒していたんだ。私も、たまにヘルから鋭い視線を感じたよ」
「なるほど! それで、僕はヘルに異常に嫌われてたんですね!」
可愛そうな納得をするカールさん。ごめんなさい、貴方は違う意味も含まれていると思います。
レイトン先生は続けた。
「もし、魔女の正体が分かったら、直ちに主に報告するはずだ。なのに、ヘルは全く報告をしなかった。それどころか、ロザリーさんを実の親族のように慕っていた。その時点で、ヘルの主はロザリーさんになっていたんだ」
ヘルは、下唇を噛みながら、ロザリーさんの目を避けるように俯いた。
ロザリーさんは、何も言わず、レイトン先生の最後の謎解きを聞いている。
さらに、とレイトン先生は口調を強くした。
「ヘルは企画中にもロザリーさんを守ろうとしました。
以前、カールとヘルが口論になったとき、ヘルは突然前町長のことを口にしました。魔女の涙を探すこと以外に、すべきことはあるはずだと。
どう考えても、この発言は、ゴヴァン町長を危機に陥れるものです。いや、共犯が言うべきことではありません。
ヘルは、共犯である自分ではゴヴァン町長の犯行を食い止めることが出来ないから、私達に示唆を与えたのです。全ては、魔女を狙うゴヴァン町長を止め、ロザリーさんを守り抜くために」
陰ノ狩人であるヘルと魔女であるロザリーさんを手で示し、レイトン先生は、言った。
「ゴヴァン町長、始めから、貴方の思い通りにはいかなかったのですよ。
敵だと分かっていても惜しまず愛情を注ぎ込んだ魔女という肩書きの女性と、本来の主に背き自分の命を擲とうとしてまで大切な人を守り抜こうとした少女の、お互いを思いやることで生まれた、本当に奇跡によってね。
これが、最後の謎の真相です」
なぜだ、なぜだと吼えるゴヴァン町長に、グロスキー警部は呆れたようにため息をついた。
「金の亡者は、もうそこらへんが理解できないようだな」
金の亡者。それが、彼を示す言葉だろう。今もなお、理性を失った目で僕達を睨みつけている彼なのだから。
ロザリーさんが、口を開いた。
「イヴ」
ヘル、いやイヴは、慌てて振り返った。
ロザリーさんは、慈愛に満ちた暖かい笑みを浮かべている。
ロザリーさんを見たとたん、イヴは顔を歪ませた。
「ごめんなさい……。ごめんなさい、ロザリー様」
しゃくりあげながら、小さな子どものように泣くイヴを、ロザリーさんは優しく抱きしめた。
「謝ることはないのよ。貴女は、ずっと私を守ってくれていたのだから」
「で、でも、ずっと騙して……」
「イヴ、聴いて?」
ロザリーさんは、自分を責めるイヴに優しく言い聞かせた。
「長い間、ずっと独りで暮らしていた私にとって、貴女はかけがいの無い存在だったの。本当に、毎日が楽しかった。全て、貴女のおかげよ? 分かるかしら。イヴであろうとも、ヘルであろうとも、陰ノ狩人であろうとも、貴女は私のたった1人の家族なのよ?」
イヴは、何度も何度も頷いた。真っ赤な瞳から、大粒の涙が止まることなく溢れている。
父兄に旅立たれ、長い間たった独りで過ごすなんて、考えられなかった。僕には、お父さんもお母さんもいて、レイトン先生もいる。ロザリーさんには、誰もいなかったのだ。そんなロザリーさんにとってイヴは、大切という言葉では収まりきらない存在だったのだろう。
ロザリーさんは、イヴの髪を指で梳いた。
「大丈夫、私は貴女を責めてはいないから。むしろ、感謝しているのよ? イヴ、本当にありがとう」
そう言って、ロザリーさんが目を閉じた時だった。
ロザリーさんの左目から、金色の涙が零れ落ちた。
僕達は、何も言えず、息を呑んだ。誰も、言葉を発しない。
その中、小さなその涙は、軽い音を立て、床に辿り着いた。
それは、偶然だったのかもしれない。いや、奇跡と、言うべきだろうか。
魔女の美しい黄金の涙は、複雑な紋章の中心に、長い間この時を待ち望んでいたかのように、吸い込まれていった。
2011-03-25 11:26:57
ウィザー
さて、続けます。読者の皆様、読みづらくてごめんなさい!
【続き】
次の瞬間、部屋が激しく左右に揺れ始めた。
立っているのもきつくなり、僕は思わず座り込んだ。
「な、なんか揺れてます!」
「カラクリだ!」
パニックを起こす僕達に、カールさんが叫んだ。
「この館最大の、最後のカラクリだ!」
ロザリーさんは、顔を引き締めて立ち上がると、座り込んで頭を抱えている僕たちを、紋章の外側へ促した。
「この紋章が動きます。早く、紋章から出てください!」
僕達は、もつれた足を叱咤しながら、慌てて紋章の外側に走った。
すでに、イヴは紋章の外で僕達を呼んでいる。
けれど、走りにくくてなかなかスピードが出ない。平衡感覚を失った中、全力疾走するのは至難の業だ!
突然、僕の体が宙に浮いた。
「わぁっ!?」
「大丈夫かぁ? これしきのことで、ビリで走ってたら駄目だぞ」
僕を担いでいたのは、グロスキー警部だった。
グロスキー警部は、皆よりかなりの遅れを取っていた僕を担いだまま、紋章の外へ走り出した。本当に、あっと言う間だった。気が付けば、僕は紋章の外にいた。
「あ、ありがとうございます、グロスキー警部」
「なぁに、どうってことないさ」
きゅっきゅっと青色の髪を整え、グロスキー警部は、いい運動だったぜと満足そうに言った。いや、運動の域を軽く通り越しているような気がするんだけれど……。
もう、全員、紋章の外に立っていた。紋章の外は、あまり揺れていなかった。少し、振動を感じる程度だ。
紋章は、金属音を盛大に奏でながら、ゆっくりとずれていた。まるで、自動ドアのように。
気が付くと、揺れは止まっていた。もう、紋章は動かないということだろうか。
「これが、奇跡の間です」
ロザリーさんが、紋章があったところを手で示した。
紋章があったところには、ただの巨大な穴があった。いや、降りる階段がある。
この下が、奇跡の間なのだろう。
「さぁ、参りましょう」
ロザリーさんが、階段を手で示す。
僕達は、ロザリーさんの後に続いて、会談を降りていった。
階段は、とても短かった。一段一段が高いということもあるだろう。なので、僕とイヴは、一生懸命、転がり落ちないように降りていった。
最後の段を降りた時、僕は目の前の光景に言葉を失った。
大き目の一部屋サイズの空間に、溢れるばかりの金銀財宝が山積みになっている。もう、天井まで占領している。
それどころではない。宝石も砂利のように転がっているし、王冠やネックレス、高価そうな煌びやかな甲冑、武器も、乱雑に積まれている。
けれど、その中で、1つの王座だけは例外で、それらから遠く離れたところに、ひっそりと置いてあった。
溢れんばかりの輝きを放つ財宝。これが、ローラス街を救った奇跡……。
「確かに、これほどの財宝があれば、街の復興は異常に進むはずだ」
レイトン先生は、あまり感動していないのか、さらりと言った。
一方、レイトン先生の隣のカールさんは、目の前の奇跡に絶句している。
いや、皆、レイトン先生とロザリーさん以外は、街を救った奇跡に言葉を失っている。
手を震わせながら、ゴヴァン町長は、蝶を追う子どものように、おぼつかない足取りで財宝に近づいた。
「こ、これが……、奇跡!」
そう。黄金色の山と、彩色豊富な山。それが、奇跡なのだ。
セシリーさんは、感動の酔いから冷めたのか、大きくため息をついた。
「これが奇跡ぃ? ちょっと、昔の人たち、大袈裟じゃないのかしら。こんなのより、私はビッグなネタが欲しいわよ。一発でベストセラーになっちゃうようなネタこそが、奇跡よ!」
「確かに、目を疑うような光景ですが、これを奇跡とは呼べませんね」
ヨアンさんは、苦笑しながらセシリーさんの言葉に頷いた。
どうやら、この2人は財宝に全く興味が無いらしい。
グランドさんは、愉快そうに舌打ちをした。
「素晴らしい奇跡だな。どうやってここまで溜め込んだか知らねぇが、ここまで溜め込むことが出来たこと自体が奇跡だ」
僕は、一瞬グランドさんを警戒した。この人なら、この財宝に手を出しかねないと。けれど、グランドさんはそう言っただけで、その場からあまり動こうとしなかった。
少し、財宝を手にとって眺めて、それを直ぐもとの場所に丁寧に戻す。それを繰り返していた。
大きく動いているのは、ヨアンさんとカールさん、セシリーさんにゴヴァン町長だ。
カールさんとヨアンさんはロザリーさんの許可を得て、財宝を手に取り、これはいつの時代のどこのものだと、難しい話に花を咲かせている。
レイトン先生も、様々な種類の硬貨を見比べて、興味深そうに頷いている。
誰も、財宝を欲しがってはいなかった。
なんでだろう? これだけの宝があったら、仕事なんかしなくても生活することが出来るのに。
でも、僕もこの宝が欲しいとは思わなかった。何と言えばいいんだろう。この宝が、なんだか怖いのだ。美しすぎて、輝きすぎて、恐怖を感じる。
これは、僕なんかが手にしていいものではないんだ。
「ねぇ、見てみてルーク君」
振り返ると、小さめの王冠を手にしたセシリーさんが笑顔で立っていた。
「この王冠、ルーク君なら被れるんじゃないかしら」
そう言うなり、それを僕に被せた。王冠は、ずっしりと重かった。か、肩こりの原因になりそうだ!
セシリーさんは、僕から少し離れて、手を合わせた。
「かわいい! ルーク君、王子様みたいよ?」
「や、やめてくださいよ!」
僕は、恥ずかしくなって、急いで王冠をはずしてセシリーさんに返した。
皆、奇跡で思い思いのことをやり遂げているみたいだ。
その中でもひときわ目立つセシリーさんは、色々とアクセサリーを物色しては、それが似合いそうな人に無理矢理付けさせている。な、なんだか、いつも楽しい人だ。
ふと、僕はロザリーさんのことが気になり、ロザリーさんを探した。
この奇跡は、もとはといえばロザリーさんのものだ。それを、全く関係のない僕達が触って、いい気はしないだろう。
けれど、ロザリーさんは微笑みながら、少し離れたところで僕達を見ていた。
いや、監視していた。奇跡を持ち帰ろうとする者がいないか、監視している。
微笑ましそうに微笑んでいるが、目は、全く笑っていなかった。
ちゅうと半端になってしまいましたが、時間の関係上、今日はここで一旦きります。
2011-03-25 12:17:19
town
無理していたんだね....イヴちゃんは....(ここはあえてのイヴちゃん)←
見破っていたというか...前に似たような者見たことあるんだよ。
アロマ 「ルークはすぐ泣くわよね。別れは笑っていたいとは思わないの?」
ルーク 「僕だって英国少年ですからね! もう泣きませんよ。」
アロマ 「...バカね。素直なことも大切じゃない。」
ルーク 「う...アロマさんにはかなわないなぁ~....」
2011-03-25 12:43:46
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