レイトン教授シリーズの攻略
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ウィザー
遂に、2作目を始めることができました!
前作よりも長編になる予定であります。
1作目より、行動範囲を広げようかと・・・・・・。
2作目も、よろしくお願いします!!
2010-01-30 20:39:17
ウィザー
本当に、長ったらしいです、コレ!!
【続き】
魔女の館。
街の人々は、それを “ 奇跡の館 ” と呼ぶ。
そう呼ばれるのは、もちろん伝説の通り。
けれど、誰も “ 魔女の館 ” とは言わなかった。
「魔女なんて、酷い名前じゃない。あそこは奇跡を起こした館よ?
なんで、そんな呼び方をゴヴァン町長はするのかしら」
人のよさそうな女性はそう言った。
カールさんは、大きく首を傾げる。
「でも、魔女がいるから、そう言うんじゃないんですか?」
女性は、手に持っている花を眺めながら微笑んだ。
「確かにそうらしいわ。
でも、あの方はこの街の神様のような人なの。魔女なんかじゃないわ、神よ。
その人の実像が魔女だろうと鬼だろうと、関係ないわ」
女性は、魔女のことを神と思っている。
けれど、それはおかしくないだろうか。
信仰は自由だけれど、全く知らないものを神のように崇めるなんて。
「いつかまた、この街が地獄に成り果てようとも、あの方がいらっしゃるから、また元のように戻るの。
だから、町長なんてのも肩書きなのよ」
なんということだろう。
この街は、魔女の奇跡に頼っているのでは……。
このような考えは、この女性だけじゃない。
訊いてみれば、大半の街の人は、似た考え方をしていた。
中には、それをおかしいと思う人もいるけれど、それは皆、この町から何度か違う街や地域に行った事がある人だけ。
レイトン先生は、腕を組み難しい顔をした。
「この街の人々は、魔女の奇跡がどのようなものか知らないのに、あぁ言っている。
怖いぐらいに、魔女は街の人々に敬られているね」
「本当に、不っ気味ですよねぇ。あそこまで信じ込むなんて」
カールさんは、道端に咲いている花を摘んでいる。
僕も、カールさんの隣で花を眺める。
「それにしても、奇跡って一体なにがあったんでしょうか。
奇跡って、短期間で、地獄化した街が、地獄化する前よりも栄えた状態になったことですよね」
「そうだよ。それも、興味深いね」
レイトン先生は、あいまいに微笑んでいる。
たぶん、予想はついているんだ。
カールさんが、葉っぱを千切る。
「乾いた川が元に戻ったり、噴火して燃えた山が元に戻ったりなんて、短時間では無理だよ。
やっぱ、なんかあるんだよ。街が元に戻るような方法が!」
カールさん、草笛がとても上手だ。
僕は、そんなことをしようとは思わない。英国少年がすることではないからね。
奇跡についても、なんだか全く分からない。
「けれどさ、お金があったら、簡単に出来るかもね。
街の周りがめちゃくちゃでも、お金があれば街だけは元に戻れる。それに、逆に栄えさせる事だって不可能じゃない」
「カールの言うとおりだ。
破壊された自然は、そう簡単に戻らない。
けれど、街自体はどうにかなるだろう。
自然が元に戻るまで、街の人々が食いつなげていけるぐらいの富があればね」
レイトン先生は、そう言った。
と、いうことは、街はお金で復活したとレイトン先生もカールさんも予想しているということだ。
そ、そんなロマンが壊れるようなことがあるのだろうか!?
「た、たったそれだけのことが、奇跡なんですか!?」
「ふふ。ルーク、これはあくまでも私の推測だよ。
奇跡は、起こせるものではない。逆に、起こるものなんだ。
この街をみていて思ったのだけれど、この街はそう豊かな街じゃない。
昔は、もっと貧しかったのだろうね。
そのような街にとって、巨万の富は築けないもの。けれど、それが手に入ったらどうだろう。
手に入るわけの無いものが、簡単に手に入ってしまった。
それは、奇跡以外のなにものでも無かったのだろうね」
レイトン先生は、遠くを見ながらそう言った。
カールさんは、にやりとしている。
「その通りです、教授!
館の本だらけの部屋にあった本を読んだんですけど、どうやらこの街は昔、全く発展していない貧しい街だったそうです。
いや、今も、車一台もないし……」
そういわれてみれば、車をここで見たことがない。
それって現代において、すごいことじゃないだろうか?
とっても遅れている街のような気がしてきた。
「この街の造りは、古い。それに、考え方も古い。
この街から出たことがある人以外、皆そうだ。若い人も、洗脳されたようにそう思い込んでいる!!
なんかおおげさな表現になっちゃったけど、あんまりそこは気にしないでね、ルーク君。
まぁ、ともかく、この街が何事も古いってことは分かった!」
カールさんは、草笛をやめて、そう宣言した。
それなら、あの人が嫌われているのも、それに原因が?
「もしかしたら、この街が古いから、新しいゴヴァン町長は、よく思われていないのでしょうか?」
僕がそう訊くと、レイトン先生とカールさんは、思いっきり苦笑した。
2010-03-18 21:51:57
lemon
そういや、ヘルって地獄って意味らしいですよ。なんか怖いなぁ……
カールさん草笛上手いんだ! さすが語り部、楽器は上手そう[s:0062]
町長にはなにか秘密がありそう……魔女の秘密を知っていたり[s:0032]
更新頑張ってね[s:0033]
2010-03-18 22:45:10
town
車がないとは...不便そう。
2010-03-19 00:31:04
ウィザー
~lemon1~
それです! lemon様、私はその意味で付けました!!
あと、北欧神話の地獄の女神的な女性、Helからも発音的にとりました!
わざと、こんな名前になってます。
さすがだよ。もうここで、そこが出てくるとは思ってもいなかったよぉ!
カ「まぁ。見習い語り部としては、当然です」
ル「止めてください、カールさん。その台詞の元は僕の言葉です!」
カ「ピッピ~(草笛&無視)」
ル「おそらく、カールさんは遊んで極めたんでしょうね!!」
~town~
絶対、不便です。
けれど、閉鎖的な街なら、一歩も外に出なくても生きていけるからねぇ。
ロンドンなんて、知らないかもしれません。
カ「教授の車って、見て一発でこれがレイトン教授のものだと分かりますよね」
ル「本当に見つけやすくて良いですよね」
イ「茶色っぽい赤……。なんだか、血みたい」
カ「イヴ。本当に君は何歳なの!?」
2010-03-19 16:44:19
ウィザー
全く進展しない小説が、私流なのでしょうか。
【続き】
「なら、簡単に言えば、あの館に宝の山があるということですよね?」
僕がそう言うと、レイトン先生はうなずいた。
「奇跡が富と考えるとね。
いくら錬金術師や魔女でも、自然を復活させる奇跡なんて起こせないさ。
それに、閉鎖的な街が存在していくためには、この街を永遠に守り続けていくことと、一度滅びかけてもそれを元に戻す何らかの仕組みを残しておくことをしていなければならない。
……宝があるとすれば、魔女の館になるね」
レイトン先生の考え方や決断は、本当に大胆だと思う。
けれど、レイトン先生がそう言うってことは、そういうことだという確信が持てているということだ。
少しずつ、魔女に近づいてきたような気がするぞ!
「教授ぅ。一応、考えてみたんですけど、あの館って宝を所持している建物なんじゃないですか?
奇跡を起こす儀式っていうのも、実は単にお宝のもとへいくための準備だったりとかぁ……」
カールさんが、葉っぱについている芋虫を観察しながら言う。
レイトン先生は、大きくうなずいた。
「そう考えて良いだろうね。
簡単に宝の元へ辿り着かれては困るから、いろいろと仕組まれているんじゃないかな。
魔女の涙、という鍵がないと、そこへ辿り着けないような」
魔女の涙が、鍵……?
けれど、魔女の涙も金だから、かなりのお宝だと思うんだけれど……。
じゃぁ、魔女は何だったんだ?
財宝を守るための大きな謎?
けれど、魔女と街は昔、関係は無いに等しいほど会っていなかったんじゃ……。
ぐるぐると、ハテナマークが飛び交う。
芋虫を木の枝で突っついているカールさんが口を開いた。
「教授ぅ。僕、町長について調べたいんですけど」
「何でだい?」
「おかしいんですよ。
この街の人々が必要としていなかった存在とはいえ、前町長だって人間です。
なのにあのゴヴァンとか言う人は、全く気にしていない様子だったし。
ていうか、あの町長を一度、痛い目に合わせてみたいんですよ!!」
カールさんの目が、いつも以上にきらきらと輝いている。
その目の中には、たっくさん星があるんじゃないだろうか!?
レイトン先生は、悪戯系目的に燃えているカールさんに苦笑した。
「あまり勧めたくは無いけれど、彼については怪しいことが多すぎるからね。
少し、調べてみるのもいいかも知れない。
あと、ロザリーさんやイヴについても、参加者についても」
レイトン先生は、徹底的に怪しいと感じるものを調べるつもりらしい。
しかし、そんな暇があるのだろうか!?
とにかく、魔女の涙を探しましょうよ!!
けれど、レイトン先生たちは探す気などさらさらなさそうだ。
どうしよう。ここは、僕だけでも探したほうがいいかな。
どうせ、これからもレイトン先生にくっついているだけになるだろうし、ここは単独で行動すべきかもしれない。
僕は、ぴしっと手を挙げた。
「先生。僕、屋敷に戻って魔女を探します」
「え?」
「少し、自分でも探してみたいと思って……」
これで、少しは役に立つといいんだけれどな。
いつもいつもレイトン先生に頼っているから、多少情報収集ぐらいで役に立とうじゃないか!
レイトン先生は迷っていたが、悩んだ末、許可をだしてくれた。
「私やカールはつかないけれど、大丈夫だね。
くれぐれも、無理はしないように」
「はいっ!!」
僕は、レイトン先生の助手・一番弟子としてふさわしい返事をした。
2010-03-19 17:13:20
ウィザー
読者がいるというのは、本当に幸せなことなのだと、しみじみ感じながら更新。
レイトン教授目線でいきます。
【続き】
ルークは、まだ少し短い足を一生懸命に動かしながら、私のもとを離れた。
彼も成長したのだと、しみじみと感じた。
私の元に来始めた頃は、一人で行動できなかったルークが、自ら行動を起こすようになるとは。
彼は、私の予想以上に早く、私を越すような存在になるだろう。
「教授~。まず、どこで調べます?
やっぱ、聞き込みとか、警察にお電話?」
芋虫を枝に乗せながら言うカール。
……ルークよりも先に、立派な英国紳士になって欲しいものだ。
私はうなずく。
「そうだね。ゴヴァン町長や前町長について、聞いてみよう」
私とカールは別れて情報を集めることにした。
2人いるのだから、ここは分かれて情報を集めた方が早いだろう。
カールと別れ、まず、公衆電話へと向かう。
私にとって、ゴヴァン町長の人柄や前町長の人柄より、なぜ警察がここにいないかの方が、知りたいことであった。
一ヶ月も行方不明になっているのに、警察が一人もいないというのは怪しいだろう。
公衆電話を使うのは、本当に久しぶりだ。
受話器をとり、ダイヤルを回す。
相手は、スコットランドヤード。ここ以外に頼りになるところは、そうそう無い。
「こちらはスコットランドヤードです」
すぐに、声が帰ってきた。
この大きな声は、グロスキー警部だろう。
「もしもし。レイトンです」
「おぉ! レイトンかぁ!」
受話器から、10cmほど耳を遠ざけた。
ここからでも、よく聞こえる。
「どうしたんだ? 電話なんかしてきて」
「今、ローラス街という、ロンドンから離れたところにいまして……」
「また、謎の依頼か?」
「いえ。ちょっとした用事で。
すみません。ローラス街で行方不明者が出たことについてお聴きしたい事があったのですが」
「……行方不明者ぁ!?」
20cm以上、受話器から耳を遠ざける。
この反応的に、知らなかったようだ。
やはりか……。
「警部。通報は無かったのですか?」
「あぁ。すまんが、それはいつ頃から?」
「一応、一ヶ月前となっています」
「一ヶ月前、なぁ。よし、ちょっと待ってろ。
モニカー!! 事件記録の一ヶ月前のやつ、あるかあ!!?」
今度は、思いっきり耳を遠ざけた。
受話器からは、モニカさんの不機嫌そうな声が聞こえる。
どうやら、あるらしい。
「ちょっと待てよぉ……。
ローラス、行方不明……。
すまんがレイトン、行方不明者は誰だ?」
「町長です。けれど、ゴヴァンという方ではありません」
しまった。前町長の名前を知らなかった。
けれど、事件記録にはそのような事件は載っていなかったらしい。
モニカさんの、あきれたような声が聞こえる。
おかしいな、とグロスキー警部。
「そんな通報はないぞ」
「そうですか……」
「なんだ、またなんかややこしい事件に巻き込まれているんじゃないか?」
これは、事件というのだろうか?
けれど、前町長行方不明というのは、立派な事件だ。
「そうですね……。
ありがとうございました、グロスキー警部」
「待てレイトン。俺も、今からそこに向かう。
とにかく、行方不明者が出たという通報を今受けた!
ローラス街は、どうやって行けばいいんだ?」
「モレントリー急行に乗ってください。
そして、終点の4つ前の駅で降りてください」
「おう、分かった! ほかに、なんか調べたいことはないか?」
他に……。
今のところはないだろう。
しかし、聞き込みをするにつれ、増えるはずだ。
私は、大変迷惑をかけると分かりつつ、言った。
「今のところは無いです。
しかし、これから何度かお電話するかもしれません」
すると、グロスキー警部の笑い声が返ってきた。
「ここにモニカをずっと残しておくぞ?
モニカなら、調べるのはスコットランドヤード内でトップレベルだ」
また、モニカさんのいらだった声が聞こえる。
しかし、協力してくれるようだ。
「本当にすみません、警部」
「いや、いいことだ。毎回、協力を要請してる俺達の方が迷惑なこと頼んでるからなぁ。
……そういえばレイトン。昨日、アロマとかいう女の子がお前を探しにここに来たぞ?」
グロスキー警部の言葉に、心臓を掴まれる。
また、アロマに連絡をするのを忘れていた……。
彼女には、本当に申し訳ないことを繰り返ししている。
グロスキー警部は、すぐに別れの言葉を告げ、乱暴に電話を切った。
私も、そっと受話器を戻す。
これでとにかく、素晴らしい情報が手に入った。
ゴヴァン町長は、通報したという嘘をついていた……。
これからが、多くの謎を暴いていく時間となるだろう。
魔女の涙。魔女。
これらは、ルークに任せよう。
今は、不可解な謎の、絡んだ糸を解いていく時。
2010-03-19 17:48:07
桔梗
あんまり来れなくてごめんね!
ルーク、そろそろ親離れの時期かな?
更新楽しみにしてるよ!
2010-03-19 18:07:45
town
グロスキー警部の声大きい....
2010-03-19 18:22:01
ゆうん
声wwwていうか,本当は前町長はどっかに監禁とかされてるんじゃないかなぁ・・・んと,ゴヴァン町長とかに?
続きの更新楽しみにしてるね*
2010-03-20 10:49:41
ウィザー
~桔梗~
これから、少しルークに働いてもらいます!
レイトン教授のようにはいかないでしょうが、彼ならやってくれるはず!
カ「親離れ、ねぇ。確かに、そんな感じがするね」
ル「ぼ、僕はお子様じゃありませんから!」
イ「ルークさん、いる?(キャンデーを手に)」
ル「いります!!」
カ「……十分、かわいいお子様じゃないかな?」
~town~
なんだか、そんな感じがして、こんな感じになりました。
グロスキー警部なんて、出す予定無かったのに……。
レ「彼とイヴの愛称が、少しばかり心配だ」
ル「確かに……。熱血警部と冷めた少女ですかたね……」
カ「イヴ~。このレポート、手伝って~!!」
イ「自分でして! イヴは今、忙しい!!」
レ「すでに、あぁだからね……」
~ゆうん~
グロスキー警部、かなり扱いやすいです!
前町長は、とにかく殺されたか、または監禁されているか……。
本格的な謎は、レイトン教授の出番です!
レ「魔女の涙よりもそれが優先だ。人の命に関わっている可能性がある」
ル「僕は、魔女のほうに力を入れます!」
カ「まぁ。お子様に事件協力は危ないし、ついていけないからねぇ」
ル「それ、カールさんだけには言われたくありません!!」
2010-03-20 13:42:11
ウィザー
今回は、まさかのカール目線で行きます。
出来れば、オリキャラ目線は避けたかったのですが、今回はしょうがなく……。
【続き】
レイトン教授と分かれたは良かったものの、僕、そういえば聞き込みとか苦手なんだった。
子供ならどうにかなるんだけれど、大人相手はどうも調子が狂う。
なんだか、途中で相手にされなくなったりするし……。
「あ、すみません!」
とにかく、当たってみるまで!
僕が声をかけたのは、ベンチに腰掛けている女性。
女性は、スケッチブックを手に、何かを描いていた。
女性は、スケッチブックから顔を上げた。
「あの、すみません。ちょっと訊きたい事があるんですが……」
「あぁ、いいですよ」
女性はスケッチブックを膝に置いた。
さあ、早速始めようじゃないか!
「あの、突然失礼なんですけど、ゴヴァン町長ってどんな方なんですか?」
知りきっていることを、あえて訊いてみる。
僕達の知っている町長と、違う顔をしているかもしれないからね。
女性は、大きくため息をついた。
「あれ、ですか」
あ、あれ扱いされていますね、ゴヴァン町長……。
「あれは、邪魔ですよ。
この街に、よそ者を入れようとする企画を勝手にたて、街の声も聞きもしないで勝手に実行するし……。
まず、私達は、よくあの人を知らないわけですし、信用できないんですよね」
確かに、何者かも知らない人が町長となれば、動揺してもおかしくない。
「前町長は、優しい方でしたよ。
それに、私達がよく知っている人ですし。
町長は肩書きでしかないと言っておられましたけど、頑張っていました。
よそ者が、この街に入ってこないように」
ギクゥっ!!
ここに、立派なよそ者がいま~す!
多分、女性は気付いている。
訊く人を間違えたかなぁ?
女性は、また、ため息をついた。
「奇跡を起こすものがある街、なんて世間に知られたら、この街はなくなってしまう。
今までの平和な時間が、探索隊とか学者によって、記者達などによって全て、奪われてしまいますからね。
この街を守るため、前町長は頑張っておられたのに、ゴヴァン町長といえば、それを全て無駄にするようなことを独断で……」
女性は、本当に疲れているようだ。
この街が閉鎖的なのは、奇跡によって多くの人が釣られてこないようにするためだったのか。
なるほど、大きな情報だ。
ふと、女性のスケッチブックの絵に目が奪われた。
風景画だろうか? この街の。
「キレイな絵ですね!」
「ふふ、ありがとう。でも私、風景を書くのは苦手なんですよ」
「あの、スケッチブック、見せてくれませんか!?」
僕がそうすがると、女性は微笑んだ。
「いいですよ」
そう言い、少しぼろぼろになったスケッチブックを渡してくれた。
1ページずつ、めくっていく。
子供達が遊んでいる絵が多い。
その中に、ひかれる絵が一枚あった。
「あのぉ……、この絵は?」
金髪に、真っ赤な瞳の女の子。
身軽で高そうな服を身にまとい、なんだかよく分からない紙切れを千切っている。
それも、わざわざ公園で……。
この絵だけ、暗い。タッチではなく、色使いではなく、この子が。
女性は、あぁそれね、と言った。
「たしかそれは、一ヶ月前ぐらいに描いたやつじゃないですかね」
「結構、最近ですね」
「そうです」
「それにしてもこの紙、その後はどうなったんだろう……」
ものすごく微妙な疑問が出てくる。
女性は、くすりと笑った。
「面白いことを考えるのですね。
確か、川の中に全て入れていましたよ」
か、環境破壊者!!
女性は、目を細めながら絵に目を落とした。
「近くで同じぐらいの年の子達が遊んでいるのにも関わらず、その子は、無表情でずっとそうしていました。
それに惹かれて、描いちゃったんです。
ずーっとそのまま立っていたから、細かいところまで書けましたよ。
その紙も、かなり詳しく描けたし」
「目がいいんですか?」
「えぇ。それには自信があって」
この女の子、一体誰だろう?
イヴとそっくりなんだけれど……。
「あの、この子、なんていうか分かりますか?」
女性は、大きくうなずいた。
「私もこの子が気になって、名前を本人に訊いてみたんですよ。
たしか……ヘル、と言いましたね」
僕は、固まるしかなかった。
ヘル……!?
こんな名前、あの子しかいないじゃないか!
以前、ゴヴァン町長に訊いたことがある。
ゴヴァン町長の孫が亡くなったのは、2ヶ月前ほどだと……。
一ヶ月前に描かれたイヴにそっくりな女の子、ヘル……。
そ、そんな莫迦な!!
2010-03-20 14:25:15
ウィザー
よし、ルークに頑張ってもらいましょう!
【続き】
儀式の間を探すのに時間をとられまくった僕は、次になにをするべきだろう。
やっぱり、怪しい石像とか絵画と、にらめっこ……。
出来たら、儀式の間、奇跡を起こした部屋に行きたいのに。
そこで、もしかしたら魔女の正体が分かるかも知れない。
けれど、何処にあるんだろう?
さっきから探しているのに、全く見つからない。
「何をブツブツ言いながら、壁に激突してるの?」
「へっ?」
よく見たら、目の前が白い……。
これは、壁。
多分、考えながら歩いてたから壁にぶつかっていたんだ。
それにしても、なんでそのことに僕は気付かなかったんだろう?
少し、夢中になりすぎたか。
ロザリーさんが、面白そうにくすくすと笑っている。
なんだか、顔がとても熱い。
「かわいいわ、ルーク君は。
レイトンさんと一緒ではないの?」
「あ、はい。少し、自分で頑張ってみようと思って……」
「さすがね、未来の英国紳士さんは」
ロザリーさんは、いたずらっ子のように微笑んだ。
なんで、そんなことをロザリーさんが知っているのだろう。
僕、ロザリーさんの前でそう言った覚えは無いんだけれど……。
ロザリーさんは、首をかしげている僕に言った。
「イヴが言っていたの。ルーク君は、英国少年でもあり、未来の英国紳士でもあるって」
あぁ。イヴが。それなら、納得がいく。
「どう? 魔女は見つかった?」
ロザリーさんは、笑みを浮かべたまま言った。
僕は、頭を振るしかない。
「まだ、全くです。
ロザリーさんは、魔女のことを知っているのですか?」
「いえ、私も全く。伝説上でしか知らないの。
奇跡を起こす、不老不死の魔女。
その人は孤独なんでしょうね……」
ロザリーさんは、遠くを寂しげに見る。
その姿が、とても悲しげで、なんだか僕も悲しくなった。
ロザリーさんの、輝きのない目は、本当に何処を見ているか分からない。
……そうだった!!
レイトン先生が、ロザリーさんは不思議な人だと言っていたではないか!
ここで、ロザリーさんの不思議なところを目に焼き付けて、謎として解いてみよう。
魔女を探しつつだけれども。
今、冷静になってみると、ロザリーさんにいつもついているイヴがいない。
「そう言えば……、イヴは何処に?」
「イヴは、街の方へ遊びに行ったわ。
イヴは街にあまり行こうとしないのだけれど、たまに出掛けたくなることがあるみたい」
街の方にあまり行かない?
街が嫌いなのだろうか。
イヴも、頭の中で考えていることが予想できない人だ。
……ここにいる人たちのほとんどが、異常な人なのかもしれない……。
そう考えると、ぞっと、寒気がする。
「ルーク君は、きれいな目をしているのね。
全く曇っていない、きれいな目。
大人にはない、いい目をしてるわ」
ロザリーさんは、僕の目を見ながらうらやましそうに言った。
僕は、失礼になるかもしれないことを、訊くことにした。
「ロザリーさん、片目が見えないのですか?」
「えっ? あぁ、これのことかしら」
ロザリーさんは、作り物のような目を押さえた。
「えぇ。生まれつき見えないの」
失明、なのかもしれない。
けれど、おかしいんだ。
その見えていない瞳は、全く動くことなく、全く曇っていない。
本当に、造られた宝石の瞳みたいに見える。
いつも、動く目は片一方。
もう一つの目は、正面を見ている石像のよう。
「生まれつきだから、もう慣れて不便でもないのよ」
そう微笑むロザリーさんは、強い女性だ。
僕なら、永遠と見えない片一方の瞳を恨んでいただろう。
ロザリーさんが、ぽんと手を叩いた。
「そう言えばルーク君、儀式の間がなんとかかんとか言いつつ壁にぶつかっていたけれど、おでこは痛くない?
けっこう強く、打っていたけれど」
は、恥ずかしい……。
我を忘れて、まさか豪快におでこまでぶつけるなんて!
ロザリーさんは僕の目線に合わせ足を曲げ、僕の額にヒヤリとした手を添えた。
「うん、大丈夫そう。赤くもなっていない」
「す、すみません……。
あ、そうだ。ロザリーさん、儀式の間は、何処にあるんですか?
探してみたんですけれど、見つからなくって」
僕がそう言うと、ロザリーさんは困ったように微笑んだ。
「そのはずよ。
儀式の間の場所は、私とイヴしか知らないもの」
「え、そうなんですか!?」
それじゃあ、見つからなくてもおかしくは無い。
「ルーク君、そこに行きたいの?」
「はい! もちろんです」
僕がそう言うと、ロザリーさんは立ち上がった。
「なら、特別に教えてあげましょう。
本当は、あまり教えたくないのだけれど、ルーク君は特別に。
イヴの命の恩人でもあり、今までイヴの面倒を見てくれている、立派な英国少年だからね」
ロザリーさんは、春の女神にも負けない微笑を浮かべた。
僕は、とてもこそばゆくなった。
2010-03-20 15:07:54
ハッピー
ほへぇ~!すっごいですね!
あ、すみませんハッピーといいます(^^)
これからも見に来ますね!
タメ、呼び捨てokです!
2010-03-20 15:27:58
lemon
イヴとヘル、実は血縁関係だったりして? そして、カールさんの反応が面白い[s:0367] それならルークも先生もよそ者じゃないかぁ~!
更新頑張ってね[s:0357] 楽しみにしてるよ[s:0033]
2010-03-20 17:36:24
桔梗
イヴとヘルってどういう関係なの!?
分かんない事が多すぎる~!やっぱ、ウィザーは書くのうまいね!!
続きもがんばれ!
2010-03-20 17:52:48
riddle
こういう皆がバラけてる時って何かが起こりそうで心配になります[d:0210]。大丈夫かな?
ロザリーさんはやっぱり片目が見えなかったんだね。
うーんヘルさんの件、気になるなぁ…。どういう事なんだろう?今後のカールさんの調査に期待ですね[d:0150](笑)
ウィザー更新頑張ってね☆
2010-03-20 18:02:10
meylan
カールさん、聞き込みは苦手と言いつつも成果ありですね!もっと頑張って!
もちろんウィザーさんも頑張ってください!
2010-03-20 18:53:50
ウィザー
~ハッピー~
私も、タメ&呼び捨てでOKです!
これから、(長ったらしくなるでしょうが)よろしくお願いします!
カ「駄目だよ、ハッピーさん。こんな小説は凄いのすの字も無いから」
イ「いきなり馴れ馴れしい!!この変な人っ!! えと、これからイヴたちもヨロシクです」
ル「お願いだから、この話の印象を悪くするような登場をしないで……」
カ「よろしくね~(ルーク、無視)」
~lemon~
その通り! 教授たちもご立派なよそ者!
少し、怖い目にあわせてみるのも、面白いかも……。
カ「独特な反応が、僕の売りですからっ♪」
イ「変人変人」
カ「これからも、期待してねぇ!」
イ「してはいけないしてはいけない」
~桔梗~
イヴとヘル、血統関係以外に考えられるものは……。
これから、少しずつ情報が集まってくるので、分かってくるよ。絶対に!
イ「ヘル? 不吉な名前」
カ「怖いという点では、イヴにぴったりだよ」
ル「カールさん! 少しは相手のことを……」
カ「ぐはあぁっ!」
イ「ははは! ストレス発散に素晴らしい!」
ル「……案外、良かったのかも」
~riddle~
君のコメントを読んで、新たなネタが生まれました!
本当にありがとう。(にやりにやり)
カ「あ、riddleさんの小説を読んで感動しちゃってる人だぁ」
セ「いい! いい! この一人称! 素晴らしいわ!」
ヨ「セ、セシリーさん。その手にある縄は……?」
セ「この小説を書いている子を、とっ捕まえて私の助手にするのよ!!」
ヨ・カ「riddleさん、逃げるんだ!!」
~meylanさん~
どうにかして、皆さん情報を集めていただかないと……。
これからは、ルークとカール、(もしかしたら教授)が、頑張ってくれます!
カ「ありがとう! もっと頑張るよ!」
イ「はいはい、一人で頑張って」
ル「僕も、頑張ります!」
イ「ルークさん、頑張って。応援してるから」
カ「あ、相変わらず酷いよ! 10歳児!!」
2010-03-21 12:28:22
ウィザー
予定というのは、絶対に守れないものなんですね。
いい加減、ラストに行きたいのに、全くラストが見えません。
今回は、レイトン教授目線で行きます。
【続き】
以前、レミが言っていた。
グロスキー警部は、オリンピックの選手並に走ることが出来ると。
それは、どうやら本当だったらしい。
グロスキー警部は、モレントリー急行を降りた後、全力疾走し、この街に5分で走りついた。
グロスキー警部が、大雑把に青いリーゼントの形を整える。
「ふぃ~。いい運動になったぜ」
「早かったですね」
私は、グロスキー警部とともに、街の入り口にいる。
グロスキー警部の到着を待ちながら、今までのことを思い出し、考えていたのだ。
けれど、なかなか考えはまとまらなかった。
グロスキー警部は脇に抱えていた鞄を私に渡した。
「一応、モニカに色々と調べてもらったものだ。
役に立つかは分からんが、渡しとく」
「ありがとうございます」
本当に、グロスキー警部は頼りになる。
たまに、筋肉で養われた脳が暴走する時もあるけれども。
鞄の中には、いろいろな書類が入っていた。
グロスキー警部が、大きく腕を回す。
「しっかし、行方不明者が出たっつうのに、この街は落ち着いてるな。
俺から見ると、これは異常だぞ」
「私もそう思ってはいます。
けれど、街の人々の様子より前町長の消息が大事です」
そう言ったものの、前町長についての情報は全く無い。
こうなれば、怪しいゴヴァン町長からか。
グロスキー警部は、屈伸をしながら言った。
「そう言えばレイトン。なんでお前はここにいるんだ?」
……魔女の涙探しについて、グロスキー警部に言うべきだろう。
電話の時は、時間を気にして言わなかったが、ここでは言うべきだ。
私は、今までのことを簡単に説明した。
「なるほどなぁ。
よく分からんが、この街が栄えるように、街以外の人間を呼び込む企画に参加している、と。
そして、それが奇跡を起こす鍵となる魔女の涙を探すこと」
「はい。
けれど、今はそれをルークに任せています。
前町長の行方不明のほうが、大きな問題なので」
ロザリーさんとゴヴァン町長には申し訳ないが、今のところ私は魔女の涙探しを放棄している。
人の命と奇跡を秤に乗せたら、大きく人の命に傾いたのだ。
グロスキー警部も、魔女の涙に興味を持ったようだ。
面白そうに、笑みを浮かべている。
「なるほどなぁ。よく分からんが、面白そうじゃないか
……それで、その主催者のゴヴァン・オブライアンとかいう奴は一体何者なんだ?」
「分かりません。ただ、この街のものではないとしか」
「もう、こいつが犯人じゃないのか?
いや、そうしか考えられないだろう」
グロスキー警部は、もうゴヴァン町長を捕まえる気だ。
急いで、グロスキー警部を止める。
「いや、まだその証拠がありません。
ここは、はっきりと犯人が分かってからにしましょう。
もしかしたら、共犯もいるかもしれませんし」
私がそう言うと、グロスキー警部は足を止めた。
「うぅむ……。言われてみれば、そうだな」
良かった。
以前のように、直感的に動かれては困る。
最悪の場合、上手く犯人に利用され、無実の人間を逮捕してしまうかもしれない。
「警部。ひとまず屋敷に行ってみましょう。
ゴヴァン町長に一度、会うべきです」
「そうだな。一度、顔を拝見してみたいものだな」
そう微笑む警部は、犯人を前にしたチェルミー警部を思わせた。
そう、獲物を前にうずく野獣のように。
私とグロスキー警部が館へと向かい始めた時、私を呼ぶ声が何処からか聞こえた。
グロスキー警部が、足を止める。
「レイトン。だれかに呼ばれてるぞ」
誰か……。
それは、後方からよろめきながら走ってくるカールだった。
「きょ、教授ううぅぅぅ!!」
一枚の紙を手に、カールが走ってくる。
カールは、私たちの元へとやってくると、恨めしそうに私を見た。
「教授、酷いです。
ずっと、呼んでたのに、気付かないなんて」
「すまない、カール」
カールは、肩で大きく息をしている。
カールは顔を上げると、私の隣にいるグロスキー警部を見た。
そして、この人は誰だろうと言いたげな表情をした。
グロスキー警部が私に訊く。
「レイトン。生徒か?」
「はい。
彼はカール・トイ。色々とあって、私とともに行動しています。
あぁ、カール。紹介するよ。
この人は、スコットランドヤードの警部、グロスキー警部だ」
「よろしくな。カール君」
グロスキー警部は、カールに手を伸ばした。
それを、カールは恐る恐る握る。
「よ、よろしくお願いします……」
警部相手に、カールは小さくなっている。
いつものような陽気さが、全く表に出ていない。
カールは、青ざめながら私に言った。
「きょ、教授。なにかしでかしたんですか!?」
そう言うとは、薄々分かっていた。
私は、苦笑するしかない。
「まさか。
色々とあって、協力を頼んだんだ」
「な、なんだ……。
てっきり、教授が何か悪いことをしたのかと思いましたよ」
カールは、ほっとしたように息をついた。
そして、はっとしたように顔を上げる。
本当に、感情がころころと変わり、大変そうだ。
カールは、私の腕を力強く掴んだ。
「じゃなくて、教授!
大変です、大変です、大変です、大変です!」
「分かったから、落ち着きなさい。
なぜ大変なのか、落ち着いて教えてくれないかい?」
カールは、落ち着け自分、と何でも言って、大きく深呼吸をした。
そして、顔を赤らめたまま、言った。
「驚かないで下さいよ? これは、事実です、とも先に言っておきます。
一ヶ月前、ヘルという少女がこの街に存在しました!!」
「なんだって……!?
そんな莫迦な。
たしか、その子は、二ヶ月前に病で亡くなっているはずだ」
信じられなかった。
もうこの世に存在しない者が、存在していたなど。
けれど、カールが嘘をつくわけが無い。
カールは、手に持っている紙を私に見せつけた。
「本当なんですって!
これ、ヘルを目撃した女性が描いたものです。
確かにこの子は存在し、このようにこの世に存在する紙を千切りまくり、自分はヘルだと言ったそうです」
絵には、日付が書かれていた。
その日付は、一ヶ月ほど前。
どうやら、本当にあったことらしい。
「なにがどうしたんだ?」
グロスキー警部が、私の肩に手を置く。
私は、このことについても軽く説明した。
「今から二ヶ月前ほどに亡くなったゴヴァン町長の孫娘が、一ヶ月前ほどに目撃されたそうなのです」
グロスキー警部の動きが、ぴたりと止まった。
グロスキー警部も、信じられないのだろう。
カールが、ガタガタと震える。
「ま、まさかの……霊? 」
それはないよ、と言いたいが、否定はしきれない。
本当に霊がいるかどうかも分かっていないのだから。
しかし、これは一体どういうことなんだ。
2010-03-21 14:20:21
ハッピー
じゃあこれからタメにするね!
登場人物のキャラがすごく個性的だね☆
読んでて楽しい♪私的には、イヴちゃんが好き☆これからの展開がすごく楽しみ!
応援してまーす
2010-03-21 14:39:25
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