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レイトン教授と東から来た探偵

μmax

アイリシア・グリーンが9年ぶりに蘇生してから1カ月後、レイトンとアロマはセント・トーマス病院へと車を走らせていた。
レイトン「あそこの病院は私の先輩がいるのでね、その彼にアイリシアさんとの面会を出来る様にお願いしてもらった。今日なら、面会できるそうだ」
アロマ「彼女、私の事覚えてるかしら?・・・」
レイトン「さあね。ただアロマ、前にも言ったように例えアロマに会ったとしても彼女はアロマの事を覚えていないのかもしれない。それだけは覚えておいた方がいいよ」
アロマ「・・・・はい」
レイトンの車はセント・トーマス病院へと向かって行った。その時、歩道を歩いている一人の少年の横を通り過ぎて行った。
少年はレイトンが運転しているのを見て。
「あれがエルシャール・レイトンか。レイトンの行くとこ事件の匂いがあり。これはほおっておけねぇ!」
少年はレイトンの車の後を追いかけた。


セント・トーマス病院

ここの駐車場に車を止め、二人は院内へと入って行った。すると、一人の医師が待っていた。
レイトン「フィリップ先輩、お久しぶりです」
フィリップ「レイトンか。久しぶりだな」
レイトンとフィリップは再会の挨拶代わりに握手をした。
レイトン達は院内を歩きながら、フィリップ医師に聞いた。
レイトン「で、どうなんですか?アイリシアさんの様子は?」
フィリップ「ああ、今は至って良好だ」
それを聞いた、レイトンとアロマは安心した。
フィリップ「しかし、驚いたよ。9年間も意識不明だった少女が今息を吹き返して蘇生するとはね」
アロマ「フィリップさん、彼女はこれからどうなるのですか?」
フィリップ「ああ、彼女の姪に当たる人が彼女の見受け引受人なるそうだ」
アロマ「そうですか」
そう話し合っているうちにレイトン達はアイリシア・グリーンの病室に着いた。


アイリシア・グリーンの病室前

フィリップ「ここが彼女の病室だ。院内では静かにするように。いいね?」
アロマ「はい」
レイトン「わかりました」
フィリップは病室のドアをノックした。
すると
「はい、どうぞ」
と返事が返ってきた。
フィリップはドアを開けた。
そこには金髪で大人びた感じの女性が座っていた。
フィリップ「アイリシアさん、気分はいかがですか?」
アイリシア「フィリップ先生、今日はすごく気分がいいです。ところで・・・」
フィリップ「なんだい?」
アイリシア「後ろにいる人達は誰ですか?」
アイリシアはレイトン達の事を聞いた。
フィリップ「ああ、彼は私の後輩で大学教授のエルシャール・レイトンと・・」
レイトンは軽く会釈をした。
アロマ「レイトン先生の花嫁候補のアロマ・ラインフォードです」
レイトン「こ、こら!アロマ」
レイトンは慌てた。
アイリシア「ふふ、面白い人たちですね」
アイリシアはレイトンとアロマのやり取りを笑った。
アイリシア「ところでアロマさんって言ったっけ?」
アイリシアはアロマに唐突に聞いた。
アロマ「は、はい」
アイリシア「いい名前だね。昔一緒に探し物をしてくれた女の子もアロマって言ってたような」
その言葉にアロマは驚いた。
アロマ「私の事覚えているのですか?」
アイリシア「うっすらとね。ただ、はっきりした事は解らないんだ」
アロマ「そうですか・・・あ、あの」
アイリシア「何?」
アロマ「・・・テディはお元気ですか?」
アロマはテディの事を聞いた。
アイリシア「もちろん、テディも元気だよ」
アロマはそれを聞いて安心した。とその横でフィリップがレイトンに小声で聞いた。
フィリップ「なあレイトン、どういうことだ?」
レイトン「ああ、一か月前彼女は今は廃墟になっているグリーン邸で九歳の頃の彼女を見たと言うんだ」
フィリップ「そんな馬鹿な」
レイトン「私も俄かに信じられないのだが、どうも今の話聞いていると嘘とは思えない」
フィリップ「そんな、非科学的な事・・・・」
その時、外からけたたましいサイレンが鳴り響いた。
レイトン「なんだ?」
レイトンは窓の外を見た。すると病院の前に何台ものパトカーが止まった。
レイトン「スコットランドヤードのパトカーだ!」
フィリップ「えっ!?」
フィリップも窓の外を見た。


院長室

室内は机の中は荒らされており、本棚も滅茶苦茶に荒らされていた。警官達は証拠写真を撮っていたりしている中、陣頭指揮を執っていたチェルミー警部が言った。
チェルミー「これは結構な荒らされ方だな。どうだ、何か見つかったか?」
金庫の中を調べていた警官が言った。
警官A「いえ、荒らされているようですが金庫の中の書類には手をつけていない模様です」
チェルミー警部「そうか。私は聞き込みをしてくるから、ここは任せたぞ」
警官B「はっ、了解しました」
チェルミー警部は院長室から出て行った。
院長室前には非常線が張られており、なにがあったのかと病院関係者や患者達が心配そうに見つめていた。
とその時、チェルミー警部は様子を見に来たレイトン達を見つけた。
チェルミーはレイトン達の元へと駆け寄った。
チェルミー「おお、レイトンか」
レイトン「チェルミー警部、何かあったのですか?」
チェルミーは答えた。
チェルミー「実はな、ここの病院の院長が何者かに連れさらわれたと連絡が入ってな」
それを聞いたフィリップは驚いた。
フィリップ「テリー院長が!?」
チェルミー「そうだが、あんたは?」
フィリップ「私はこの病院で医者をやっている、フィリップ・アンダーソンといいます。それで事件は」
チェルミー「ああ、事件の概要はこうだ」
チェルミーは事件の概要を語った。
チェルミー「今日の今日の朝7時に院長はこの部屋にこもって書類を作成したのだが、それから3時間後の10時に秘書が紅茶を持って部屋をノックして部屋に入ったら、部屋は荒らされており、院長も姿を消していたとの事だ」
レイトン「チェルミー警部、犯人が院長をさらった理由はなんだと思いますか?」
チェルミー「う~む。今の所身代金目的の誘拐ではないかと思うが・・・」
とその時
バートン「警部」
チェルミーの部下のバートンが駆け寄った。
チェルミー「どうした?バートン」
バートン「付近をうろついていた怪しい男を確保しました」
チェルミー「何!本当か!」
バートンが続けた。
バートン「しかし、妙な事を言っていて」
チェルミー「何だ?」
バートン「本人はエルシャール・レイトンに会い来ただけと言っているのであります」
その発言を聞いてレイトンは驚いた。
レイトン「私に?」
チェルミー「なんだそれは!?とりあえず行ってみよう。レイトン、君も興味があったらついて来るかね?」
チェルミーはレイトンに聞いた。
レイトン「当然行きますよ。私に会いたがっている人物が誰なのか気になります」
チェルミー警部とレイトン達は怪しい男が確保されていている部屋へと向かった。


「だ~から、俺はこの病院に入って行った、エルシャール・レイトンに会いに来ただけだつーの」
怪しい男は先ほどレイトンの車を追いかけていた少年だった。そして、それを聞いた警官の一人が机を叩いた。
警官C「そんな事は解っている!だが、お前しかこの病院で怪しい奴はおらん」
とその時
チェルミー警部とレイトン達が部屋に入った。
チェルミー「ご苦労さん、事情聴取はどうだ?」
警官C「それがさっきから同じことの繰り返しなんですよ」
謎の少年はチェルミー警部の後ろにいたレイトンを確認すると突然立ち上がった。そしてこう言った。
「お前がエルシャール・レイトンか!?」
レイトン「そうだが。君は?」
レイトンは謎の少年に聞き返した。
「そうだな。まだ俺の名前を言ってなかったな。俺はハヤト・テンドウ!日本から来た、高校生探偵だ!」
レイトン「それで君はこの私に何の用だい?」
ハヤトはレイトンを指差しこう言った。
ハヤト「エルシャール・レイトン!お前に推理対決を申し込みたい!!」
突然推理対決を申し込まれレイトンとレイトンの周りにいた人たちも唖然としていた。
果たして院長の安否は?そして犯人の目的は?後半に続く。




後書き
前作(アロマと翼をもった少女の探し物)の続きです。そして今回、ドン・ポール、デスゴールに続く新たなライバルキャラが登場します。なお、劇中に出てきたセント・トーマス病院は実在する病院です。

人物設定

ハヤト・テンドウ
日本から来たという高校生探偵。レイトンをライバル視しており、推理対決を挑んできた。

フィリップ・アンダーソン
セント・トーマス病院の医師でレイトンの大学時代の先輩。

アイリシア・グリーン
9年間意識不明だったが一か月前に蘇生。アロマの事をうっすらと覚えている模様。

2010-01-04 10:56:04


あんず

はじめまして♪くわしくかいててすごいです!続き楽しみにしてます♪

2010-01-04 11:02:30


あんず

はじめまして♪くわしくかいててすごいです!続き楽しみにしてます♪

2010-01-04 11:02:30


ABC

ルークは出てこないんですか?

2010-01-04 11:12:35


μmax

あんずさんコメント有難うございます。
続きは当分先になりそうです。

ABCさんコメント有難うございます。
アロマと翼をもった少女の探し物にも書いているように時代設定は最後の時間旅行の後の話ですのでルークは出てきません。

2010-01-04 13:32:59


にし

【アロマと翼をもった少女の探し物】も、こっそりと読まさせていただいきました、にしという者です。

μmaxさんの作品はとても素敵で、私のお気に入りです。
次作を首を長くして待ってますね。

2010-01-04 21:53:07


μmax

ハヤト「エルシャール・レイトン!お前に推理対決を申し込みたい!!」
日本から来たという高校生探偵ハヤト・テンドウに突然、推理対決を挑まれたレイトン。果たしてどうなる?
レイトン「・・・なぜ、私に推理対決を?」
レイトンは驚きながらもハヤトに理由を聞いた。
ハヤト「なぜ、お前に推理勝負を挑むか?それはお前を負かして、ロンドンでも有名な探偵になるからだ!」
フィリップ「何を勘違いしているんだ君は!彼は探偵ではない!ナゾ好きなグレッセンヘラーカレッジの教授だ!」
フィリップが口を挟んだ。
しかしハヤトは
ハヤト「そんなのは関係ない。とにかく、この病院で起きている事件をどっちが先に解決できるか勝負だ!」
ハヤトは部屋を出て行った。


セント・トーマス病院、休憩室

レイトン「まったく、私は探偵では無いのに・・・・」
レイトンは紅茶を飲みながら、愚痴っていた。
フィリップ「ところで、これからどうするんだ?このまま黙って引き下がる訳にはいかないだろ?」
フィリップはティーカップを持ちながらレイトンに聞いた。
レイトン「とりあえず、院長室を調べてみよう。それから、院長との関係が良くない人物の割り出しだな」
フィリップ「関係があまり良くないのは3人いるな」
それを聞いたレイトンは
レイトン「よしアロマ。君はその3人のアリバイを調べてきてくれ」
アロマ「はい。レイトン先生」
アロマはフィリップから関係の良くない3人を聞き、休憩室から出て行った。
フィリップ「俺達はどうするんだ?」
レイトン「チェルミー警部にお願いして、院長室を調べてみよう。何か発見があるかもしれない」
二人は紅茶を飲んだ後、チェルミー警部の元へ足を運んだ。


セント・トーマス病院、院長室前

チェルミー警部「何?院長室を調べたいだと?」
レイトン「はい。なんとかお願いできないでしょうか?」
チェルミー警部は暫く考えた後、こう答えた。
チェルミー警部「う~ん、10分位なら調べてもいいぞ」
レイトン「ありがとうございます。チェルミー警部」
チェルミー警部は室内にいる警官達にレイトンが調べる旨を伝え、レイトン達を通した。
チェルミー警部「いいか?10分だけだぞ!」
チェルミー警部はそう言うと部屋を出て行った。
レイトン「さっそく調べてみよう」
レイトンはフィリップと一緒に部屋を調べた。するとレイトンは黒地に金色の模様が入った皿に目をやった。
レイトン「この器変わっているね。これはなんていう器なんだい?」
フィリップは机を調べつつ答えた。
フィリップ「あぁ、それは漆器(しっき)っていうんだ」
レイトン「漆器?」
フィリップ「なんでも、木で作った器に漆と言われる木の樹液を塗り重ねて出来る、日本の工芸品らしい」
レイトンはそれを聞いて。
レイトン「院長は日本工芸品が好きなのかい?」
フィリップ「特に漆塗りの物は何十個って持っているらしい。それにこの部屋の観賞植物はわざわざタイから漆の木を取り寄せたんだ」   
フィリップは答えた。
レイトンは辺りを見渡し、倒れている植木鉢を見つけ近寄った。
レイトン「これがその漆か?」
フィリップ「レイトン!それに触るな!!」
レイトンは漆の木に触ろうとしたが、フィリップに止められた。
フィリップ「それに触るとかぶれしまう。中には木に近寄っただけでかぶれてしまう人がいるんだ」
レイトン「それはあぶなかったな。・・?この植木鉢が倒れていたという事は」
レイトンは漆の植木鉢を見ながら何か考えていた。とその時
チェルミー警部「お前ら、そろそろ10分たったぞ。さあ、部屋から出るんだ」
チェルミー警部が入ってきて、レイトン達に退室を促した。
レイトンとフィリップは院長室から出た。
レイトン「チェルミー警部、ありがとうございました」
チェルミー警部「なにか収穫があったのか?」
レイトン「はい、大体は」
チェルミー警部「あっ、そうだ」
チェルミー警部は何かを思い出したように言った。
レイトン「どうしたんですか?」
チェルミー警部「あのハヤトとか言う小僧は白だったぞ」
レイトン「彼の無実を証明できる人物がいたんですか?」
レイトンが聞き返した。
チェルミー警部「あの小僧の相棒と名乗る女が現れてな、犯行があったと思われる時間帯に奴と一緒にいたと言っているのだ」
とその時。
「フィリップ先生、ちょっといいですか?」
フィリップ「どうしたんだい」
一人の看護師が現れ、フィリップに耳打ちした。
フィリップ「それは本当なのか!?」
「は、はい」
レイトン「どうした?」
フィリップ「これから副院長が大ホールで記者会見を開くそうだ」
レイトン「よし、我々も大ホールへ行ってみよう」
レイトン達は一人でアリバイを聞いていたアロマと合流し、セント・トーマス病院の大ホールへと向かうことにした。

一方その頃 セント・トーマス病院、中庭

先ほど、レイトンに推理対決を挑んだハヤトとショートカットでメガネをかけた、ちょっと気の強い感じの女性がベンチに座っていた。
???「まったく、アンタは!少しはじっとしている事が出来ないの!?」
ハヤト「また説教かよ・・・。おめーの説教は聞き飽きてんだ!それになんで俺の居場所をしってんだよ!アスカ!」
アスカと名乗る女性は携帯電話を見せた。
アスカ「あんたはじっとしてられない性格だから、携帯にGPSを追加したのよ。わかった?」
ハヤト「お前、いつ俺の携帯にGPS付けたんだよ・・・」
アスカ「まあ、そういう訳で私からは逃げれないからね。ところで何か騒がしいけど、何かあったの?」
アスカはこの病院で起きている事を聞いた。
ハヤト「あぁ、なんでもこの病院の院長先生が何者かに誘拐されたんだと。身代金目的なのか、個人的な恨みなのかは不明だ」アスカ「院長室に恨みを持ってた人物は?」
ハヤトは自分の手帳を見ながら答えた。
ハヤト「まず、外科部長のジョアン、院長に借金があったらしい。次に看護婦のアリス、院長と関係があったとの噂だ。次に事務長のハイド、よく口論を起こしていたとの事だ」
アスカ「次に犯行があった時間に院長室に出入りした人物は?」
ハヤト「それなんだが、誰も院長室に入って無いって言うんだよ。ただ、院長室に清掃員が一人入って行ったと目撃している人物がいるんだ。それから、秘書が何者かに呼び出されて何分か席を外している」
とその時、二人がふと出入り口を見るとこそこそと辺りを見回し出ていく怪しい清掃員を見つけた。
アスカ「ねえ、あれって?」
アスカが問いかけた。
ハヤト「まちがいねえ、あいつが院長を誘拐したんだ。アスカ、追うぞ!」
二人は怪しい人物を追った。
「やば・・・」
二人に気付いた怪しい男は清掃道具入れを押しながら逃げた。
ハヤト「まて、待ちやがれ!」
アスカ「ハヤト、これを」
と言って、アスカは近くにあった空き缶を渡した。
ハヤト「よし・・・」
ハヤトは空き缶を受け取り、思いっきり蹴りあげた。すると、缶は男の頭に当たり男は倒れた。
ハヤトとアスカは怪しい男に追いついた。だが男はアスカに襲いかかって来た。
ハヤト「アスカ、気をつけろ!」
とハヤトは言ったがアスカは合気道の技で男を叩きのめした。
ハヤトは清掃道具入れを調べると手足を縄で縛られ、口にはガムテープを張られていたテリー院長を見つけた。
ハヤト「おいオッサン!大丈夫か?」
ハヤトはテリー院長の縄を解いた。

セント・トーマス病院、大ホール

副院長が院長誘拐の経緯等を説明している中、レイトンはある人物の不可解な行動を見ていた。それは手袋をした人物が右の手の甲を掻きまくっていた。そして、アロマから秘書が院長室に清掃員が入って出て行った事と秘書が何者かに呼び出され数分間院長室を離れていた事、そして三人のアリバイを聞き、考え込んだ。そして考えが纏まり。
レイトン「ちょっとまってください」
突然レイトンが立ち上がり、檀上へ歩いた。記者達はレイトンの方へカメラを向け、フラッシュを焚いた。そして一人の記者がレイトンだと気付き、会場がざわめき出した。
副院長「なんだね君は?」
副院長はレイトンに聞いた。
レイトン「私はエルシャール・レイトン。グレッセンヘラーカレッジで考古学を教えております」
副院長「その考古学の教授が何の用だ?」
レイトンが続けた。
レイトン「今回の院長誘拐事件の犯人、いえ首謀者言うべき存在の人物が解ったのです」
会場が更にざわめき出した。
チェルミー警部「どういう事だ!説明したまえ」
レイトンが語り出した。
レイトン「はい、今回の事件は一人の共犯者と共に起こした事件です。まず、共犯者の人物は清掃員になり済まし秘書に院長室の掃除をすると言って、院長室に潜入し院長を拉致、監禁し。それから、電話で秘書を呼び出し秘書が席を離れたすきに首謀者は院長室に侵入。そして院長室を荒らしたのです」
レイトンは真相を語りながら一人の人物の近くに向かっていた。
チェルミー警部「それで犯人は?」
そしてレイトンは一人の人物の近くで止まった。
レイトン「この事件の真犯人・・・・・」
レイトン「それはあなただ!」
と言って振り返り、一人の人物を指差した。
レイトンが指差した方を全員が見るとその人物は看護婦のアリスだった。
アリス「な、なんで私が犯人なんですか?証拠はどこにあるというのですか?」
看護婦のアリスは反論した。
レイトン「証拠はあなたがしている手袋にあります」
アリス「そ、それがなんだというのですか?」
レイトンが語り出した。
レイトン「秋になったとは言え、まだ熱いこの時期に手袋をしているのはおかしい」
アリス「それは・・・私が潔癖症だからですよ!」
レイトン「いえ、あなたには手袋をしなければいけない理由あるのです」
チェルミー警部「その理由とは?」
レイトン「チェルミー警部、院長室に倒れていた植木鉢がありましたね?」
チェルミー警部が答えた。
チェルミー警部「あぁ、植木が一つ倒れていたがあれは一体?」
レイトン「あれは漆と言う木です」
チェルミー警部「漆・・・?」
フィリップ「!!」
フィリップは何かに気付いた。
レイトン「えぇ、漆と言うのはウルシノキと言う木の樹液です。日本ではこの漆を木で出来た器に塗る塗料としても使われてます。しかし、この漆の木にはある成分により、それに触れると人体である変化が起こるのです」
チェルミー警部「それは一体何なんだ?」
レイトンが続けた。
レイトン「漆にはウルシオールと言う成分は肌に触れるとアレルギー反応を起こしてかぶれる事があります。それは樹液だけでなく、木に触れただけでもかぶれるそうです。もしあなたが犯人で無いと言うのならば、あなたの右手の手袋を取ってみてくれませんか?」
アリスは黙ったまま手袋を外そうとはしなかった。
レイトン「あなたが脱がないのは手の甲にウルシオールによる湿疹が出来ているはずです!」
レイトンは力強く語った。
フィリップは彼女の右手を掴み手袋を外した。すると、アリスの右腕の手の甲は赤く腫れあがり、水泡が出来ていた。
レイトン「これで言い逃れは出来ませんよ」
しかしアリスは不敵に笑った。
アリス「フフ、まだ肝心の院長が見つかって無いじゃないの?院長を見つけないと立証は出来ないんじゃないの?今頃、私の仲間が院長を始末しているはずよ」
「その心配は要らねえぜ!!」
突然、大ホールに大声が響いた。そして、入口には清掃員に扮装した誘拐犯を拘束したハヤトとアスカに付き添われて、誘拐された院長が入って来て、首謀者のアリスの前に来た。
「姉ちゃん、御免・・・」
誘拐犯はアリスの弟だった。
アリスは院長を睨みつけながら
アリス「あんたがいけないのよ」
レイトン「なんだって?」
アリス「あんたがいつまでも私と結婚してくれないからよ!私は不安だったのよ。このままではまた一人になってしまうと」
アリスは泣き出した。それを聞いた院長は突然土下座した。
院長「すまん!私はこの病院の院長だ。院長のとしての責任があった。全ての事を円滑にするためにどうしてもプロポーズを受けられなかった。許してくれ」
院長は更に頭を深く下げた。それを聞いていた、フィリップはアリスの前に行きこう言った。
フィリップ「院長は全ての事が終わったら、君のプロポーズを受けるつもりだったんだよ。答えはYESだって言っていた」
それを聞いたアリスは顔を手で隠して泣いた。
チェルミー警部が近づき
チェルミー警部「さっ、行こうか」
とアリスの肩を叩き、誘拐した弟と一緒にたくさんのフラッシュがたくなか連行して行った。
ハヤト「へへ、明日のロンドンタイムスの一面は俺の活躍だな」
ハヤトがルンルンとしていたがチェルミー警部が一言。
チェルミー警部「・・・・レイトンは事件の真相を解明し、お前は院長を救出した。残念だがどっちの勝ちでも無い」
と言って、ホールから出て行った。
それを聞いたハヤトはただ黙ってしまった。
アスカ「行きましょう。私達も」
とハヤトの肩を叩き出て行った。

セント・トーマス病院、駐車場

レイトン「すっかり、遅くなってしまったね」
レイトンとアロマ、フィリップが外に出て来ると日はすっかり落ちて、夜になっていた。
アロマ「あの人、これからどうなっちゃうのかしら?」
アロマは今回逮捕された、アリスの事を考えていた。
フィリップ「あぁ、院長は彼女の出所を待っているそうだよ」
それを聞いたアロマは安心した。
アロマ「それはよかったです。ところで・・」
レイトン「どうしたんだい?アロマ」
アロマ「お腹すきました」
アロマは空腹を訴えた。
フィリップ「そういや、夜ごはんまだだったな。そうだ、俺の行きつけの店でご飯食べると言うのはどうだ?」
アロマ「賛成ですぅ~」
レイトンもその案に乗り
レイトン「では、私もご同伴させて頂こう」
三人はレイトンの車へと向かった。レイトンの車に到着したとき、レイトンはフロントガラスにメモが張ってある事に気づいた。
レイトン「なんだこれ?」
レイトンはフロントガラスからメモをはがし見た。
フィリップ「レイトン、なんて書いてあるんだ?」
レイトン「次は勝つ!」
フィリップ「ふふ、あの少年か。面白い事してくれるね」
レイトン「そうだな」
レイトン達は笑っていた。

その頃、バスの車内。

ハヤト「おい、アスカ次どこへ行くんだ?」
ハヤトは次の目的地を聞いた。
アスカ「次はニューヨークで美術館巡りよ」
それを聞いたハヤトはつまらなそうな顔をした。
ハヤト「お前も好きだねぇ・・・・」
二人は空港へと向かっていた。

NYで彼らはかつてレイトンの助手だった少年と出会う事なる。




後書き
実に四カ月もかかってしまいましたが完結編の完成です。最後の文にもあったように次回はルークが出てきます。その代わりレイトンとアロマは出てきません。そして今回少し長いので宜しくお願いします。

人物紹介

アスカ・コノミヤ
ハヤトの同級生で推理の時のパートナー。じっとしてられない、ハヤトを心配している。

アリス
セント・トーマス病院の看護婦。院長にプロポーズをした。

クルス
アリスの弟。姉を慕っている。

ちなみにハヤト・テンドウ、アスカ・コノミヤの漢字表記は天道速人、仔ノ宮明日香です。

2010-05-24 11:08:52


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