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レイトン教授と時の歯車

トライトン

う~ん・・・、最近ヒマなので こちらに初の小説書こうかなあと・・・。
・・・この掲示板、もう少し 使いやすくなりませんかね・・・? いえいえ、何でもありませんよ。

それでは、はじめます。
「レイトン教授と時の歯車」






・・・うそだ、僕はこんなの信じないぞ!きっとこれは 1年前の事件と同じ仕組みなんだ・・。 



信じてしまったら、僕は・・・、僕は!!

2009-03-10 20:13:49


トライトン

この大学は、ドアを見るだけで誰の部屋なのか大体分かってしまう。先生の研究室のドアには山高帽の絵が刻まれているのですぐに分かった。・・・たとえ場所は変わってしまっていたとしても。

僕の今隣にいるレイトン先生の研究室は先生にとって、とても大切な恩師、シュレーダー博士からゆずりうけたもの。それをいくら建て替えたからって、場所まで変わってしまうなんて・・・。未来の先生に何か特別な出来事があったのかもしれない。

2009-06-21 11:44:58


トライトン

「僕から中に入らせていただいてもよろしいでしょうか?」

先生の方を緊張した眼差しで見ると、我慢したようすでコクンとうなずいた。僕よりも先生の方が早く会ってみたいと思っていたに違いない。

『コンコン』
ノックをし、ドアノブを握り、ゆっくりと回す。


開かない・・・


「先生、どうしましょう。鍵がかかっています。・・・・留守なのでしょうか?」

「それは違うと思うよ。今の時間帯なら、普段の私なら研究室にこもっているはずなのだが・・・。」

先生は僕の前に立ち、もう一度ドアノブを回した。僕と違って緊張はしてなく、意外と回すスピードは速かった。
でも、やはり開かない。どうしてだろう。


すると、先生は何か閃いたようで、とても嬉しそうな顔で僕に言った。

「・・・未来の私も相変わらずかなりのナゾ好きだね。ルーク、このナゾに縛られた鍵をはずしてごらん。」

なるほど、そういうことか!

2009-06-21 12:12:45


トライトン

ナゾ3~謎の数字~ピカラット:20

1→2 
2→1
9→3
上の数字には、ある法則がある。
では、

2+5+7+9+6

これらの数字を法則に従い、和をもとめてほしい。

2009-06-21 12:24:05


フルート

私の推理が正しければ…
答えは「9」です[a:0420]!(間違えていたらごめんなさい[a:0330])

例にあげられた数字と導かれた数の法則から、各数字を平仮名表記した時の文字数と考えました!!(*^^*)

トライトンさんの小説、いつも楽しみに読ませて頂いています[a:0420]ミステリアスな部分の表現もとても流麗で、レイトンやルークの言動もよく活かされていてステキです!!
更新楽しみにしています♪頑張って下さい!

2009-06-21 13:36:17


トライトン

フルートs>応援ありがとうございます★
      ふだんあんまり応援してもら      ったことがなかったので、と      ても嬉しいです。
      もちろん、正解ですよ!おめ      でとうございます★

2009-06-22 18:34:35


トライトン

↑文字が変になりました(汗)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ナゾ解明★

まあ、これくらい当然かな♪




「解けました!」


『ガチャ』


ドアノブの鈍い音が僕たちの耳に響き渡る。いよいよ未来の先生と会えるんだ・・・・・・!!


待ち遠しさと不安の、とても解きようのない複雑な気持ちをなんとも思わず、扉は自然と開いていく。開くとき、僕は一度ドアを閉めようかなとおもった。



木材の香りが微かに残る、研究室の扉を開けたとき、そこには





だれもいなかった。
研究室も跡形もなく綺麗に片付いていた・・・

2009-06-22 18:45:26


トライトン

すぐ目の前に映るこのなんともいえない光景に、僕はただ立往生しているだけだった。

なぜ、わざわざ誰もいないはずの部屋のドアにナゾの鍵を仕掛けてまで・・・・

言葉が詰まる。


『研究室で、先生がお待ちですよ』

未来のアロマさんが僕たちに伝えた言葉。あれはまさか、嘘だったのだろうか。


僕があーだこーだと考えていると、先生はすでに空っぽの部屋を調査し始めていた。

「う~ん・・・・。どうやら、私の研究室をそのままそっくり別の場所へ移したみたいだね。」

そうつぶやきながら、先生は床やら壁やら天井やらを繰り返し見ていた。


わざわざ研究室をそのままにして、場所だけ移すなんて・・・おかしいな。


僕もそのまま立っているのも失礼だと思ったので、先生と一緒にあたりを見回す。


「え~っと・・・・」

今度は僕が唸りながら足を一歩踏み出す。


「うわ!!」
「大丈夫かい、ルーク」

僕としたことが、何かにつまずいてしまったようだ。それにしても、痛い・・・。



    ★!!


僕が今つまずいたところに、何かがある!

「せんせ・・・」

いや、やっぱり今は先生にいうのは止めておこう。いくら助手とはいえ、すべてを先生のお手柄にしたいわけではない。こういうときくらい、僕だって・・・。


先生は今僕が発見したことを全く知らないみたいだ。
僕はそっとしゃがみこんでその『何か』に触れてみた。


『カチッ』


おや? 何かのスイッチを押してしまったみたいだ。それに気のせいか、だんだん僕の周りの床板が上がっていってるような・・・?

違う! 僕が下がっているんだ。

え・・・・じゃ、まさか そのまま沈んでしまうのかな・・・


「ッ」

いきなり床板の角度が急になり、僕は真っ暗な床下へ今にも落ちてしまいそうだ。


こんな大変あ目になっているとき、ナイスタイミングに先生は僕の方に振り向き、

「思い出したよ、ルーク、そこら辺の床板に地下へとつながるスイッチがあったはず・・・」

「うわあああぁぁぁ・・・・」

僕はそのまま滑り落ちた。僕がその瞬間最後に先生の口から聞き取った言葉は

「ああ、やっぱりそこだったのか。」




   僕の心配は?

2009-06-24 22:58:47


トライトン

『ドスン!!』

僕は先生が『地下室』という場所に大きな音を立ててしりもちをついた。運がよかったようで、ズボンが少し汚れたくらいですんだ。

それにしても、辺りは真っ暗。ここに落ちたとき、びっくりして目を瞑ってしまったが、落ち着いて目を開いても目を瞑っていたときとさほど変わりはない。

僕は何も見えないのに、どこかに明かりを灯せるものはないかとキョロキョロしていた。

『ストッ』

今度は先生が落ちてきた。僕と違って楽に着地したみたいだ。少しホッとした。


「ここの地下室はね、私が研究室をシュレーダー博士から譲り受けたときに発見したものなんだ。どうやらシュレーダー博士は若いころの遊び心で仕事の合間に取り付けたとはなしていたが・・・・。これまで残っているとはね。」

先生はそういうと、自分の鞄から洞窟で使ったのと同じ携帯型のランプを取り出した。
それとほぼ同時になぜだかは分からないけど、地下室に明かりがついたようだ。(少々薄暗いけど・・・)


誰がつけたのかな?

そう心の中でつぶやき、再び正面に向きなおすと、僕と先生がいる位置から、たった1メートルほどしか離れていないところに

『未来の先生』らしき人物が、今隣にいる先生と全く同じ優しげな顔で僕ら2人を見つめていた。
その人はこう言う。

「待っていたよ」

2009-06-25 15:58:20


トライトン

容姿はアロマさんの時と比べると、茶色の髪の毛の色がほんの少し薄くなっているだけで、それ以外は何も先生は変わっていなかった。僕たちの時代から10年も経っているというのに・・・・いや、10年しか経っていないのか。



今僕たち3人は、地下室の古いテーブルの椅子に座っている。僕は2人の先生が一応初対面にも関わらず、何か熱心に話しているのをうわの空に、未来の先生が用意した紅茶の湯気をただ眺めていた。

その紅茶を一口飲んでみると、新しい葉だとすぐに分かった。レイトン先生と一緒に飲むお馴染みの味だ。不意に、僕たちの時代=過去に懐かしさを感じてしまう。


そのまま一時間くらいたっただろうか。紅茶も完全に冷めてしまっているというのに、この2人は・・・。だんだん話がエキサイティングになっていく。本当にいい加減にしてほしいくらいだ。
僕らはそもそも、あの賢い鳩に導かれてここまで来たというのに・・・。


「ねえ、先生。何をさっきから話していらしたのですか?」

いら立ちが限界に達し、僕は2人の一生止まらなそうな討論に突っ込んだ。
すると2人の先生はアッと思い出したようで、話しをピタッと止めた。

2009-06-25 23:08:10


トライトン

まるで前から打ち合わせでもしてたかのように、2人の先生は僕の方をピタッと揃って振り向いた。

「すまない、ルーク。ちょっと未来の科学技術というのに好奇心が沸いてしまってね。」

「フフ・・・自分自身と話すのもなかなか興味深いね。」


僕を笑顔で見つめる2人の先生を眺めていると、どちらの先生が未来なのか過去なのか分からなくなってしまう。見比べているだけで、頭がふらついてくるほどそっくりだ。おっと、もともとどちらも同一人物だった。

そんな中で、唯一髪の毛の色以外に違うところを見つけた。それは眼だ。
僕と一緒にここまで旅を続けてきた『過去の先生』の眼は、初めて会ったときと変わらず、小さいが輝きに満ちていた。反対に『未来の先生』はどうだろう。確かにさほど変わらないが、ほんの少しだけ眼の色が濁っている・・・。今まで何年も見てきたので僕にはすぐ分かった。



「さて、もう少し君と話したいところだけど、そろそろ本題に入ろうか。」

未来の先生が顔を上げ、真剣な眼差しで僕と先生に語りかけてきた。

2009-06-26 23:36:25


トライトン

都合上、章を延ばします。







「ここへ君たち2人に来て貰ったのは、何もただ過去の私自身と話したかっただけではない。」

未来の先生はゆっくりと口を開いた。

「もちろんです」

珍しく僕と先生は息ぴったりで同じ言葉を言った。
もちろん、そんなことは分かっている。わざわざ僕たちの宿探しの時間をこんなにも削って呼んだのだから。

「実は・・・君らに頼みたいことが2つあるんだ。」

頼みごと!?これは意外。
先生が人に頼みごとをするところなんて、はじめて見た。いつもなら、誰かからの頼みごとを解決している側なのに。

すると、未来の先生は僕の思いを悟ったようで、

「本当は、私自身でやり遂げたいことなのだが・・・・何しろ、もう48だ。10年前のように走り回って調査することなんて、ルークの手助け無しでは、もうできないよ。まあ、昔もそうだったんだけどね。」

未来の先生は、寂しそうにウインクをした。その先生の話しを聞いて、ようやく忘れていたことがあった。

未来のアロマさんや、レイトン先生には会ったのに


未来の僕自身は姿を見ることさえもまだない。

いつものこの時間帯なら、必ず先生の研究室にいるんだけどなあ・・・・。


「・・・ルークは、今から4年前・・・。いや、君たちの時間からは6年後・・・。」

未来の先生は再び顔を俯け、黙り込んだ。なにかこらえているように見えた。

「その日、ルークに何があったのか教えていただけませんか?」

先生はどうしても聞きたいようだ。僕も気になる。

未来の先生は何とか立ち直り、無理やり少し嬉しそうな顔をして

「無事に独り立ちしていったよ。」


・・・それならそれでよかったじゃないか。僕が言うのもなんだけど、レイトン先生自身が育て上げてきた弟子が、1人だけでも生きていけるようにまでなったのだから。もっと喜ぶべきじゃないかな。なぜあんなに悲しそうな顔をするのだろうか。

「・・・」

一方、こちらのレイトン先生はまだ何か話したそうだったが、未来の先生が話を進める・・・

「そこで、1つは未来のルークを探し出し、ある事件について調査してほしいことを伝えてくれないか。」

「『ある事件』っていうと・・・?」

僕のつい口出してしまった疑問に即答えるように

「君たちもなぜこのような未来の世界に来たのか疑問に思っているはずだね。・・・それは私にも分からないが、過去の人間が未来に飛ばされるだけではない。」

「未来の人間が過去に飛ばされることもあるということですね。」


これで過去の世界で起きた、精神異常者が多発する事件の解明できたわけだ。その人たちは、ただおかしくなっていたのではない。いきなり住み慣れた世界=未来から、別世界=過去へと飛ばされてしまったため、混乱しているのだ。一体、だれがこんな事を・・・

「そして、それが2つ目。時空は普通人の手によってではなければ、狂って誰かを飛ばすことはない。君たち2人にもこの事件の調査に加わってほしい。一刻も早く、この事件の犯人を止めなければならない。・・・何を目的にしているのかもわからないこの状況で。」

「分かりました。私たちもその調査に関わらせていただきます。」

僕は先生の言葉に同意し、椅子から立ち上がり研究室へとつながる階段へ走っていった。

「せんせ~い!! 何をしているんですか。行きますよ。」

僕のその姿を見て、2人の先生は顔を見合わせ笑った。僕の後を追いながら、先生は未来の先生に短く質問する。

「そういえば、彼方はなぜ私たちがここに来ることを知っていたのですか。」

「んんーー・・・なんとなくかな。」

未来の先生のそっけない返答に、僕は

「いつもの勘ってやつですね!。」

とお馴染みの台詞を張り切って言った。2人とも、また噴き出した。

2009-06-28 20:34:09


トライトン

第7章~忘れられぬ想い~


未来のレイトン先生は、僕と先生が大学から張り切って出て行くところを、窓からひっそりと覗いて見ていた。瞬き1つもせずに。
それは、何も過去の自分自身を見ていたわけではない。視線は、僕だけに注がれていたのだ。


「先生!任せてください。僕たちがこのロンドンを隅々まで調べ上げてきますから!」

ついさっき僕が言った何気ない言葉は、未来の先生の心の奥底まで広く響き渡り、決して忘れられないものとなっていた。



「ルーク・・・・・・ハァ・・・」

未来の先生は深くため息をついた。未来の僕と別れた日のことを思い出してしまったらしい。
本当はあの日、きっちりと記憶から消し去ろうと必死でもがき苦しんだことなのに・・・今の僕に出会ったことで、再びその記憶は呼び戻されてしまったようだ。


頭の中は、もはや『ナゾ』ではなく、『僕』に埋め尽くされていた・・・


未来の先生の脳内には、僕の顔がゆっくりと浮かび上がる・・・

2009-06-30 22:38:47


トライトン

ー僕たちの時代から 6年後ー





「ルーク!! 何度言ったら分かるんだ!もしも君の言う『計画』とやらが失敗したら、世界は滅亡しかねない!」

「だから先生に協力を求めているのではありませんか!! それにどっち道、あと数年もたてば・・・ロンドンは、世界は・・・!!」


研究室で絶えない言い争いが何時間も続いている。ここ数週間、未来の先生と未来の僕らしき青年はずっと、何か重大なことでもめあっている。

その様子は、昔の仲の良かった2人とはとても思えないような激しいにらみ合いだった。


そのような中、2人をただただ心配そうに見つめていたアロマさんは、つい耐え切れずにこう言う。

「ルーク・・・もうやめましょうよ。彼方が間違っているわ、先生の言う通りよ。」


当然、先生の婚約者を試みるアロマさんは経験の豊富なレイトン先生側に付く訳だ。



「アロマさん・・・ッ・・・。」




未来の僕は古い椅子から荒々しげに立ち上がり、研究室の外へと走り去ろうとした。




「待ちなさい、ルーク!」

それを止めようとした先生をも通り過ぎ、未来の僕は研究室のドアノブを握る。



すると、思い出したかのように、その状態から未来の僕は先生の方へ再度振り向く。
悲しみや憎しみ・・・。その他の暗い感情をすべて押し殺し、苦笑いをした。


「・・・・さよなら、先生。」



『バターン!!!』

扉は大きな音をたて、そのまま勢いよく閉まる。もうその場にはいつもの3人の姿はなかった。



静かな研究室には、アロマさんのすすり泣く声だけが響いている。

2009-07-04 23:09:39


トライトン

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「・・・・はっ」

未来の先生は、何とか我に帰った。でもまたあれを思い出してしまい、もう1度深いため息をつく。


「・・・君の思い出となるものは全て視界から避けてきたつもりだったのにね。」

空っぽの研究室を眺めながら、そうつぶやく。目にはうっすらと涙が浮かんでいる・・・。その研究室の姿は、まさに今の先生そのものと言ってもよい。



「先生、いらっしゃいますかー? 入りますよ。」

ドアの向こうから未来のアロマさんの声が聞こえてくる。
未来の先生はおお慌てで涙をぬぐい、「どうぞ」とさりげなく言う。背を向けたままで、目を合わせたくないらしい。



入ってきたアロマさんは、不思議そうに目を円くする。
「先生・・・一体どうしたのですか?」

「いや、なんでもないよ、アロマ。」


先生は思いなおし、アロマさんに目線を合わせようとした。



『ガツンッ』

しかし、それをすることなく先生は鈍い音をたてて倒れてしまった。後頭部を何かで強くぶたれたようだ。


未来の先生の意識が朦朧とする中、最後に浮かび上がった目線の先には、未来のアロマさんがせせら笑っていた。

「ア、アロマ・・・。一体 なぜ・・・?」

先生は言葉を言い終わることもなく、意識を失った。



『・・・ビュィィィィィィン』
そのすぐ後、アロマさんの体は何がなんだか分からないくらいまでぼやけ、やがてクロックさんの姿へと変化した。


「あの支配者様までもが一目置かれる考古学者が、こんなにも脆すぎたとは予想外だね。こりゃたまげたわ。まあ、ようするにレイトン。お前の役目はこれで終わったんじゃよ♪」

楽しそうな声には、どこか腹黒さが入り混じっていた。きっと支配者はこれ以上酷い事をするのだろうなあ。

クロックさんはそのままどこかへと消え去り、再び研究室は静まり返った。





倒れた先生の上着の隠しポケットからは、古ぼけた小さな写真が出ていた。
その写真には、かつてはいつも一緒にいた、シルクハットの英国紳士と、その助手2人が仲良く並んでいるのが写っていた。そのうち片方は水色のハンチングをかぶっていて、もう1人のほうはポニーテールに赤毛がとてもお似合いだ。

3人の笑顔は、幸せそのものを象徴しているようにしか見えなかった。



~幸せはそう永く続くものじゃない。いつかは終わりが来るものだ。~


僕たちの未来にあったこの出来事が、きっとその節目だったのだろう。僕はそのときまで、本当に幸せだったのだろうか―――――

2009-07-05 22:08:43


トライトン

第8章~見違えるほど輝いていた青年~

未来の先生がクロックの手によって倒されてしまったことなど、もちろん知りもしない僕たちは、未来の先生の最後の伝言を未来の僕自身に伝えようと決心した。


空はもう夜と言ったほうが正しい。明日の『未来の僕探し』を前に、ちょうど大学からさほど離れていないホテルに泊まる事にした。
フォルセンスのときに泊まった幻の宿ほどではないけれど、それでもまぁまぁ居心地のよい所だった。・・・宿泊料も安いし・・・。あ、別にこれは屁理屈ではないよ。

「先生、明日からまた調査を開始しましょう。今日よりも頑張りましょうね!」

天井のシャンデリアを眺め、先生の隣のベッドで仰向けになりながら僕は言う。最初の意気込みとは思えないような張り切りぶりで、自分自身でもびっくりした。

「おや、ルーク。どうやらやる気が出てきたみたいだね。」

「もちろんです、先生! だって今度は本当の本当に・・・未来の僕に会えるんですよね?」

不安げに質問する僕に、先生はいつもの優しいスマイルをして深くうなずく。

「ああ、もちろんさ。未来の私がいるのだから、未来の君も当然いるさ。」

「そうですよね!」

2009-07-31 22:50:38


トライトン

翌朝・・・

僕はいつもよりも2時間も早く目覚めた。空はまだ薄暗い。ぼんやりとオレンジ色に染まっている。

先生もまだ寝ているようなので、外へ出て未来のロンドンを眺めてみたくなった。いわば、朝の散歩。
僕はパジャマの上に薄い上着を着て、先生を起こさないようにひっそりと外へ飛び出して行った。どうせまだ誰も出歩いてはいないだろう。ちょっとくらい格好悪くてもいいや。


ホテルの場所を見失わないように気をつけながら、僕は未来のロンドンの通りを歩いていた。過去のロンドンも十分綺麗だったが、未来の方はそれよりも桁違いに輝いてるように見える。
以前、『未来のロンドン』と呼ばれていた場所に訪れたときとは半端なく周りの建物や乗り物が発展している。
車は見た目からかなり速そうだし、細くて長い建物(ビル)は、早くも電気がついている。僕は誰かにこのパジャマ姿を見られたのではないかと、急に恥ずかしくなった。

2009-08-04 23:18:35


トライトン

僕はそれでもホテルに戻らずに歩き続けた。ホテルが何処にあったのかが忘れそうになってしまいそうになるくらい。

「ハァ…ハァ…ハァ…」

いい加減、歩き疲れたところで目線をゆっくりと上にした。


向こうに、灯台が見えた。日がとうとう眩しくなってきたので、あそこに行って少し休んだら、ホテルに戻ろうと思った。


あとちょっとで休めると思い、残りの体力を早くも使いきってまで灯台に走り込んだ。一体何故ここまで、自分がこの灯台に行きたかったのか……



灯台に着くと、そこはエレベーターになっていて、楽に最上階まで昇ることができた。


「やっと・・・着いたぁ!!」

疲れているのは忘れられなかったが、淡いセルリアンブルーの海…、それに反射している太陽の光…

灯台から見る光景はとても煌びやかで美しかった。

2009-08-07 15:05:41


トライトン

「そろそろ…帰ろうかな。先生ももう起きてる頃だろうし……」

見るのも飽きた僕は、渋々と振り返り、エレベーターで地上に戻ろうとする。

そのとき、灯台には僕以外の人がいた事に気がついた。
その人は、多分僕よりももっと前からここに来ていたに違いない。僕が見ている中では、ず~っと太陽を見つめていたのだから。


僕が見つめているのに気づいたその人は、フッとため息をつき、僕に語りかけてきた。


「…………この都市は、世界は、大きく変わってしまった。…このままでは、全てはいずれ終わってしまうだろう……」

意味不明な言葉に、僕は何と言葉を返せばいいのか迷っていると、その人はまたため息をつき

「フフ…ごめんよ、君にはまだ分からないことだったかな。」


その子供を見るような言葉で話しかけられると、僕はついムッとしてしまった。
誰かもわからないというのに、生意気に反論しようと睨む。



『ヒューヒューヒュー…』

旅が始まる前と同じ、冷たい風が吹く。




その人は、すでにどこかに消え去っていた。

僕は幽霊じゃないかと勝手に思い込み、一目散でホテルに走っていった。

2009-08-07 15:21:30


ルケ

初見のルケです[a:0257]
読ませて頂きました。
凄く上手ですね[a:0002]続きが気になりますっ(*゜⊿゜)ワクワク
海辺のナゾな人はもしや青年ルーク・・・・?!(予想
更新楽しみにしております[a:0420]

2009-09-13 01:12:14


ヤマ

結構面白いです!ちょっと「ポ○モン」の「不○議のダ○ジョ○」に似てますが・・・

2010-03-07 17:50:29


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